Trademark Appeal Case
地名と普通名称の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成9年審判第20784号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「道後ビール」の文字を横書きしてなり、第32類「ビール」を指定商品として、平成7年11月6日に登録出願されたものである。
2 原査定の理由
原査定において、『本願商標は、「愛媛県西部、高縄半島以西の松山市を中心とする地域」を表す「道後」の文字と、指定商品を表す「ビール」の文字を、普通に用いられる方法で書してなるものであるから、これを本願指定商品に使用しても、単に商品の産地、販売地を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。』旨認定、判断して本願を拒絶したものである。
3 請求人の主張
ビール醸造免許に基づき、平成8年8月1日に販売を開始しており、各種販売促進用パンフレット、チラシ、カード等の記載から明らかな通り現在まで継続的にその販売を行っており、各地域の需要者から好評を得て順調にその生産販売量を増大している。この間、各種新聞、雑誌、地元情報紙等に数多く記載されている通り、この「道後ビール」は新しい地域活性化の目玉商品として各種マスメディアに大きく取り上げられており、同様にテレビ、ラジオ等放送にも多く取り上げられている。この様に、この「道後ビール」は各種マスメディアに繰り返し報道されており、少なくとも四国地方においては、この「道後ビール」は、請求人の製造販売に係る商品であると、一般の取引者、需要者が認識するに至っていることは明白である。
この様な状況を勘案するとき、この「道後ビール」なる文字が商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、本件商標はその使用実績及び各種マスメディアによる繰り返しの報道で、周知性を取得していることは明らかであり、商標法第3条第2項が適用されるべきである。
4 当審の判断
本願商標は、上記のとおり「道後ビール」の文字よりなるところ、これを構成する前半部の「道後」の文字部分は、「愛媛県西部、高縄半島以西の松山市を中心とする地域」を占める旧名として、また、後半部の「ビール」の文字部分は、商品の普通名称として、それぞれよく知られているものである。
ところで、平成6年(1994年)の酒税法改正以降現在に至るまで、いわゆる地ビールが全国各地で製造・販売されるようになり、その製造地の旧国名を付して「○○ビール」、「○○地ビール」と命名し販売されているところである。
そうとすれば、本願商標をその指定商品「ビール」に使用する場合、これに接する取引者・需要者は、該商品が単に前記「道後(愛媛県西部、高縄半島以西の松山市を中心とする地域)」で製造・販売されたものにすぎないと認識するに止まるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
請求人は、本願商標が商標法第3条第2項の適用を受けられるものであると主張し、証拠書類として甲第5号証及び同第6号証(枝番を含む。)を提出している。
しかして、商標法第3条第2項の適用を受け、使用により識別力を有するに至った商標として登録が認められるのは、使用により識別力を有するに至った商標と同一の商標及びその商標を使用していた商品と同一の商品に関する場合のみである。しかし、本願商標と使用により識別力を有するに至った商標が同一のものと認められない。
また、商標が使用により識別力を有するに至ったかどうかは、例えば、次のような(a)ないし(e)の事実を総合勘案して判断するものであるところ、本願については、(a) 実際に使用している商標並びに商品、(b) 使用開始時期、(c) 使用期間、(d) 生産、証明若しくは譲渡の数量又は営業の規模(店舗数、営業地域売上高等)、(e) 広告宣伝の方法、回数及び内容に関し、具体的な使用等に関する証拠資料の提出がなく、(1)提出された資料であるパンフレット、チラシ、カード等からは、広告宣伝の方法、回数及び内容が把握することができないこと、(2)「道後ビール」が平成8年夏ごろに販売される、「道後村まつり」での発表及び発売に関する新聞記事が、讀賣新聞、日経新聞及び産経新聞の愛媛版、及び愛媛新聞等に掲載されたこと、(3)えひめ雑誌等地方の情報雑誌に掲載されたことだけでは、日本国内において、取引者・需要者間で広く認識されたとは言い難いものである。
そうすると、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を満たすものと認めることができない。
以上のとおりであって、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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