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Trademark Appeal Case

称呼類似と語頭音の差異

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35425(T2000−35425/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4343580号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4343580号商標(以下、「本件商標」という。)は、「アイシー」の文字を標準文字とし、平成10年9月29日に登録出願、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,耳帯,眼帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,失禁用おしめ,人工受精用精液,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,防虫紙」を指定商品として、平成11年12月10日に設定登録されたものである。

2 引用商標

請求人の引用する登録第643973号商標(以下、「引用商標」という。)は、「ハイシー」の文字を横書きしてなり、昭和37年7月16日に登録出願、第1類「化学品、薬剤、医療補助品」を指定商品として、昭和39年5月29日に設定登録されたものである。

3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証(枝番を含む。)を提出した。

本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同15号に該当し、同法第46条第1項の規定により、無効にすべきものである。

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標が「アイシー」、引用商標が「ハイシー」と称呼されることはそれぞれの構成に照らして明らかである。

そこで、本件商標の称呼「アイシー」と引用商標の称呼「ハイシー」とを比較検討するに、両者は、語頭において「ア」と「ハ」の差異を有するほかは、他の音を同一にするものである。しかるに、その差異音である「ア」と「ハ」は、母音「a」を共通にする近似した音であるところ、この差異が全体の称呼におよぼす影響は決して大きなものとはいえず、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が近似したものとなり、彼此聴き誤るおそれがあるものといわざるを得ない。

したがって、本件商標と引用商標とは、称呼において類似する商標である。

(2)商標法第4条第1項第15号について

請求人が引用する引用商標は、甲第2号証2の登録原簿のとおり、多数の商品区分について、防護標章登録がなされており、また、特許庁の作成に係る日本国周知・著名商標リストあるいは、AIPPI発行の「日本有名商標集」にも掲載されていること(甲第6号証及び甲第7号証)等より、引用商標「ハイシー」が請求人の製造・販売にかかる薬剤を指称するものとして、需要者・取引者間で極めて広く知られているものであることは、顕著な事実である。

しかして、引用商標「ハイシー」と類似する商標「アイシー」がその指定商品、とりわけ「薬剤」に使用されたときは、引用商標「ハイシー」を容易に連想・想起させ、取引者・需要者をもってして、当該商品が請求人の「ハイシー」商品のシリーズ商品・姉妹商品として、恰も請求人或いは請求人と何らかの関係がある者の業務にかかる商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずることは必至である。

4 被請求人の主張

被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べている。

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用商標の称呼は、共にわずか3音(最後の長音を入れても4音)からなる短いものであり、称呼識別上最も影響の大きい語頭音において「ア」と「ハ」の相違を有するものである。しかも、本件商標の称呼「アイシー」からは、「集積回路」を意味する「IC」や、「わかりました」との意味を有する「l see.」、更には「氷のような、氷のように冷たい」との意味を有する「lcy」といった、我が国においても親しまれた英語の意義が想起・連想あるいは暗示されるものであるのに対し、引用商標の称呼からは、「高い」を意味する「HI」と、アルファベットの「C」の読みを組み合わせた語であるとの印象を受け、あるいは暗示がされるものである。かかる点からすると、両商標の称呼における上記相違音が称呼全体に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼するときといえども聴感が異なり、聴き誤るおそれはないものである。

(2)商標法第4条第1項第15号について

引用商標が著名であることを認め得るにしても、引用商標が使用されている商品は、有効成分として高含量のビタミンCを含む各種製剤であり、上述した引用商標から受ける印象、暗示にそった商品である。一方、本件商標が引用商標とは別異の意義を想起、連想あるいは暗示させるものであることは上述のとおりであるから、かかる点からすれば、被請求人は、本件商標をその指定商品、特に「薬剤」に使用した場合といえども、取引者・需要者をして、当該商品が請求人の「ハイシー」商品のシリーズ商品・姉妹商品であるかのごとき誤認をさせるおそれはないものである。

5 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標及び引用商標の構成は前記したとおりであるから、それぞれの構成文字に相応し、本件商標は「アイシー」の称呼を生じ、引用商標は「ハイシー」の称呼を生ずること明らかである。

そこで、本件商標より生ずる「アイシー」と引用商標より生ずる「ハイシー」の称呼とを比較するに、両者は、語頭において「ア」と「ハ」の音の差異を有し、第2音以下において「イシー」の音を共通にするものである。

しかして、相違する「ア」と「ハ」の音についてみると、「ハ」の子音「h」は無声摩擦音で比較的弱く発音されるものであり、これに帯同する母音「a」が強く響く音であるから、子音「h」が母音「a」に吸収され「ア」に近似した音として聴取されるから、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が極めて近似したものとなり、互いに聞き誤るおそれがある称呼上類似の商標というべきである。

そうとすれば、本件商標と引用商標とは、その外観、観念を考慮するとしても、称呼において類似の商標といわざるを得ない。

また、本件商標の指定商品「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,耳帯,眼帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液」と引用商標の指定商品とは同一若しくは類似するものである。

(2)商標法第4条第1項第15号について

請求人の提出した甲各号証をみるに、請求人は、引用商標を商品「整腸薬、ビタミンC剤」等の薬剤に使用した結果、本件商標の登録出願時には、需要者・取引者間において、広く知られているものであることが認められる。 してみれば、本件商標と引用商標とが上記のとおり類似すること及び請求人の使用する商品と本件商標の指定商品が同一若しくは近似する商品であることを考慮すれば、被請求人が本件商標をその指定商品に使用するときは、取引者・需要者をして、請求人又は同人と何らかの関係がある者の業務にかかる商品であるかのように商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものというのが相当である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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