Trademark Appeal Case
地名と産地表示
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第5951号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「上野原」の文字(標準文字による)を横書きしてなり、第32類「ビール」及び第33類「しょうちゅう」を指定商品として、平成9年6月6日に登録出願されたものである。
2 原査定の理由
原査定は、『本願商標は、山梨県北都留郡の町「上野原」の文字を表してなるから、これを本願指定商品に使用するときは、単に商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。』と認定、判断して、本願を拒絶したものである。
3 当審の拒絶理由
本願商標は、鹿児島県国分市にある今から約9500年前の縄文時代の定住化した国内最大規模で最大級の集落遺跡である「上野原遺跡」の所在地と認められる「上野原」の文字を書してなるものであるところ、当該地は、観光名所の一つとして広く世間に知られるようになった現在、上野原遺跡を想起させる「上野原」の文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるから、これを本願の指定商品に使用しても、一般の取引者、需要者が該商品が上野原遺跡周辺で生産、販売されているものであると認識するに止まり、単に商品の産地、販売地を表示したにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
4 請求人の意見
本願商標は、「上野原」の文字を書して成り、第32類「ビール」及び第33類「しょうちゅう」を指定商品として出願したものであるが、「上野原遺跡」が、本願商標の指定商品である「ビール」及び「しょうちゅう」の生産や販売が盛んな場所として取引者、需要者に理解されているような事情はなく、また、本願商標の指定商品を取り扱う業界において、その産地、販売地を表すものとして普通に使用されているという事実もない。
したがって、取引者、需要者が、本願商標「上野原」を、本願商標の指定商品である「ビール」及び「しょうちゅう」の産地又は販売地を表示したものと認識することはない。
商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否か、特に指定商品の産地や販売地と認識されるか否かは、実際にその地が、指定商品の生産や販売で盛んであったり、指定商品を取り扱う業界において普通に用いられているものである等の背景について十分に検討されるべきであり、その点について考慮すればこの商標登録出願に係る商標「上野原」が産地及び販売地として認識されるものではないことは明らかである。
「上野原遺跡」は、本願商標の指定商品である「ビール及びしょうちゅう」の生産販売が盛んな地ではなく、また、本願商標「上野原」が本願商標の指定商品指定商品を取り扱う業界においてその産地、販売地を表すものとして普通に用いられているという事実もなく、さらに、「上野原遺跡」は、「遺跡」としては有名であったとしても、単なる「上野原」の文字が直ぐに「上野原遺跡」に通じる程、著名なものではなく、さらにまた、本願商標の指定商品である「ビール及びしょうちゅう」は「遺跡」と何ら関係のない商品であり、これらの指定商品に本願商標「上野原」の文字を付すことにより、「上野原」の語から「上野原遺跡」を想像し易くなることもないので、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものではない。
5 当審の判断
本願商標は、上記のとおり「上野原」の文字よりなるところ、「上野原」の文字は、鹿児島県国分市にある今から約9500年前の縄文時代の定住化した国内最大規模で最大級の集落遺跡である「上野原遺跡」の所在地と認められる「上野原」として、よく知られているものである。
ところで、平成6年(1994年)の酒税法改正以降現在に至るまで、いわゆる地ビールが全国各地で製造・販売されるようになり、その製造地の地名を付して「○○ビール」、「○○地ビール」と命名し販売されているところである。
そうとすれば、本願商標をその指定商品「ビール」に使用する場合、これに接する取引者・需要者は、該商品が単に「上野原遺跡」の所在地と認められる「上野原」で製造・販売されたものにすぎないと認識するに止まるというのが相当である。
また、本願商標をその指定商品「しょうちゅう」に使用する場合、これに接する取引者・需要者は、鹿児島県が焼酎の発祥の地であり、焼酎の生産高、消費高が日本一であることからして、該商品が単に「上野原遺跡」の所在地と認められる「上野原」で製造・販売されたものにすぎないと認識するに止まるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。
請求人は、過去の登録例、審決例を挙げて、本件についても登録されるべきである主張するが、「上野原」という地名、指定商品との関係等を無視することはできないと言わざるを得ず、本願商標の識別力についての前示認定判断を覆すことはできない。
以上のとおりであって、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当するとして、当審の拒絶理由と同趣旨で本願を拒絶した原査定は、その結論において誤りはなく、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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