結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第35571号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第3369313号商標(以下、「本件商標」という。)は、「REVLIAN」の文字と「レブリアン」の文字を二段に横書きしてなり、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として平成5年8月23日に登録出願され、同10年3月20日に設定登録がされたものである。
「本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」旨の審決。
以下の理由により、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当するにもかかわらず登録されたものであるから、その登録は同法第46条第1項の規定により無効とされるべきである。
(1)商標法第4条第1項第11号に関する主張
(a)引用商標
本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当する理由として、自己の所有する登録第771191号商標(以下、「引用商標」という。)は、「REVLON」の文字を横書きしてなり、第4類「せっけん類(薬剤に属するものを除く)、歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)、香料類」を指定商品として、昭和41年3月5日に登録出願され、同43年2月15日に設定登録がされ、その後、昭和53年6月7日、昭和63年3月25日、平成10年2月17日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。
したがって、引用商標が本件商標よりも先願に係る登録商標のであり、これら指定商品が相互に抵触していることは明らかである。
(b)本件商標と引用商標との類似性について
本件商標は、その構成中の片仮名文字に相応して「レブリアン」の称呼を生じるものと考えられるが、同時に本件商標からは、後述するとおり「レブリャン」又は「レブラン」の称呼をも生ずるとみるのが自然である。一方の引用商標からは、欧文字「REVLON」より「レブロン」の称呼が生じる。
本願商標の後半部「リアン」の音は、「リ」「ア」と一音づつ区切って発声される場合のほか、「リ」の母音「i」部分が、次に口を広く開いて発声する母音「ア(a)」の音に吸収され、「ria」の二重母音の形で一気一連に発声される場合が少なくない。この場合、本件商標は、全体として「レブリャン」又は「レブラン」として発声され、英単語としては、二音節として聴取されることになる。
この点につき、本件商標登録前における登録異議申立についての決定においては、『この「レブリアン」と「レブロン」の称呼は、5音対4音と構成音数が相違し、・・・』と述べられているが、英単語の場合には、構成音の音の数(本件で言えば「5音対4音」)といった日本語と同一の基準は用いられるべきではない。すなわち、本件商標の場合、引用商標とは構成する欧文字のうち「REVL」「N」を共通にするという外観上の類似点とも相まって、以下のように発音されると判断すべきであり、両者ともに二音節の単語として理解されるというべきである。
さらに、本願商標の「レブリャン」又は「レブラン」の音と引用商標「レブロン」の音とを対比すると、それぞれの相違音である「リャ」「ラ」「ロ」はいずれも、舌面を硬口蓋に弾ませて発する子音「r」の音を共通にするラ行の同行音に属するものである。
しかも、元来ラ行の音は弱く響く音であるうえ、この相違部分は強い音である2音の「ブ」の直後に位置し、この「ブ」の音に吸収されてさらに紛らわしい音となる。また、その相違する母音「a」と「o」も、発声方法においては近似した音である。
したがって、両商標を一連に称呼したときには、当該相違部分が全体の称呼中で看過されがちな中間部に位置することとも相まって、両称呼全体の語調・語感は相互に近似するものとなり、当該相違部分における差異が両商標の称呼全体に及ほす影響は、非常に小さくなるものと考えられる。
そうとすれば、両商標を時と所を異にして観察した場合に、上記相違音によって両商標の称呼を明瞭に聴別することは、現実の商取引においては困難といわなければならない。すなわち、両商標は称呼において混同を生じるおそれのある類似の商標である。
したがって、本願商標は、商標法第第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号に関する主張
(a)請求人は、1932年に、チャールズ・レブソン氏(C.Revson 注:Revlon ではない。理由については後述する。)が米国ニューヨークに創業した世界最大の化粧品メーカーであり、マニキュア、香水、ヘアケア製品といった化粧品のみならず、医薬品、コンタクトレンズ、医療機器に至るまで、幅広い分野の商品及びサービスを取り扱っている。
レブロン創業の理念である『工場では製品を作るが、店頭では夢=美を売る』は、今や世界中の化粧品会社を貫く理念ともなっており、同社の取締役には、女優のオードリー・へツプバーンやレーガン前大統領夫人のナンシー、キッシンジャー元米国国務長官などが名を連ねていることでも広く知られている。
レブロン社は、現在、世界140カ国以上の販売ネットワークを持ち、約15,000種類の商品を販売、世界30数カ国に工場を持っている。レブロンの化粧品部門の売上は、1981年には約13億ドル、健康産業部門の売上は12億ドルに達しており、両者を併せると日本円で約3,000億円に相当する。
(b)日本においては、昭和38年(1963年)4月に請求人が100%出資したレブコ株式会社(現レブロン株式会社、住所:東京都港区六本木6−9−12)が設立され(、同社は以後継続して請求人の開発に係る「ヘアーシャンプー」「ヘアーリンス」「洗顔料」「化粧水」「乳液」等の販売を行っている。レブロン製品の持つニューヨークテイストは、女性や若い世代を中心に人気を博しており、とりわけ「女子大生、OLに絶大な人気を誇る」と雑誌記事でも表現されている。
(c)レブロン製品のこのような圧倒的な人気に鑑み、輸入元であるレブロン株式会社は、長年に渡って、若い女性向けの雑誌等にレブロン製品の広告を多数掲載し続けている。レブロン社の広告には、例年パリコレクシヨンに出演し、ヨーロッパを初めとする世界各国で人気を博しているスーパーモデル(クラウディア・シェファー他)たちが起用されているが彼女たちと専属契約を結ぶには億単位の契約金が必要とされ、その宣伝・広告活動には、巨額の経費がかけられている。
参考までに、レブロン株式会社が、1992年から1995年にかけて日本国内の雑誌のみに限って行った広告・宣伝費だけでも、以下のとおりである。
1992年(平成4年)2億7千8百万円
1993年(平成5年)1億4千1百万円
1994年(平成6年)1億3千3百万円
1995年(平成7年)1億6千9百万円
さらに、レブロン株式会社は、若い世代に向けたイベントやコンサート、スポーツ大会などをいわゆる「冠スポンサー」として企画・開催し、その冠に「レブロン」の名前を掲げて、より一層同商品の宣伝販売に力を注いでいる。最近では商品を販売するだけではなく、アンケート調査や研究活動も行い、その結果を新商品の開発に役立てる一方、マスコミを通じて、衛生活動の普及にも努力している。
以上のことから、「REVLON(レブロン)」が「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」等の商標として、本件商標の出願日である平成5年8月23日以前から我が国において広く知られていたことは明らかである。
(d)一方、本件商標の構成は前記のとおりであり「レブリャン」又は「レブラン」と称呼される可能性のあることも明らかである。
しかして「レブロン」という語は、請求人の創業者「チャールズ・レブソン(C.Revson)」名字の3番目の文字を、彼のパートナーであった「チャールズ・ラッチマン(C.Lachman)」の名字の頭文字「L」と入れ替えて発案された社名であり、同社の社名を表す以外に特定の意味を有さない造語である。
したがって、本件商標は、明らかに被請求人が請求人の著名な商標「REVLON(レブロン)」を利用して選択した商標と疑わざるを得ない。
問題なのは、本件登録商標の指定商品が、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」だという事実であり、現実に、請求人の著名商標「REVLON/レブロン)」が付された化粧品と、本件商標「REVLIAN/レブリアン)」の付された化粧品とが同一店舗で並んで販売されるようなことになれば、本件商標が付された商品は、あたかも請求人又はその関連会社の製造販売する商品であるかの如く、その出所につき誤認・混同を生じさせることは必至である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当すると判断されるべきである。
(3)商標法第4条第1項第19号に関する主張
請求人の商標「REVLON」が、化粧品等についての商標として長年に渡り使用されてきたことは既に述べたが、このような商標と外観及び称呼が酷似する類似商標の使用・登録を容認することは、請求人の商標が有する出所表示機能(指標力)を稀釈化するばかりでなく、請求人の商標に化体した業務上の信用に“ただ乗り”することを認めることとなり、国際信義上穏当でない。また、出願人は、そのことにより不正の利益を得ることになる。
さらに、本件商標が請求人の著名な商標「REVLON/レブロン)」と無関係に選択されたとは考えられず、その顧客吸引力を利用しようとするものであることは容易に看取されるというべきである。したがって、本件商標が請求人と何ら関連性の無い商品に使用されれば、商標「REVLON/レブロン)」に化体している請求人の、業務上の長年の信用が損なわれ、同商標によせる需要者・取引者の信頼を失う結果を招来することは明らかである。
したがって、本件商標の使用は、客観的に不正の利益を得、若しくは請求人に損害を加える目的を持つものというべきである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号にも該当する。
(4)以上詳述したように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当するから、その登録は同法第46条第1項の規定により無効とされるべきである。
請求人は、証拠として甲第1号証ないし同第35号証を提出している。
被請求人は、何ら答弁するところがない。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記のとおり、「REVLIAN」の文字と「レブリアン」の文字を二段に横書きしてなるところ、その構成文字は、同一の書体、同一の大きさ、同一の間隔で書されているばかりでなく、外観上もまとまりよく一体に表されていて、しかも、これより生じると認められる「レブリアン」の称呼も格別冗長というべきでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そうとすれば、本件商標は、その構成文字に相応して「レブリアン」の称呼を生ずること明らかである。
他方、引用商標は、前記のとおり、「REVLON」の文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して「レブロン」の称呼を生ずるものと認められる。
そこで、本件商標より生ずる「レブリアン」の称呼と引用商標より生ずる「レブロン」の称呼を比較するに、両称呼は、その音構成、音数の差などにより、明瞭に区別し得るものといわなければならない。
請求人は、本願商標の「レブリャン」又は「レブラン」の音と引用商標「レブロン」の音とを対比すると、それぞれの相違音である「リャ」「ラ」「ロ」はいずれも、舌面を硬口蓋に弾ませて発する子音「r」の音を共通にするラ行の同行音に属するものである。
しかも、元来ラ行の音は弱く響く音であるうえ、この相違部分は強い音である2音の「ブ」の直後に位置し、この「ブ」の音に吸収されてさらに紛らわしい音となる。また、その相違する母音「a」と「o」も、発声方法においては近似した音である。と主張するが、本件商標の「レブリアン」の文字は、「REVLIAN」の欧文字の表音と認められ、該文字の読みを特定するものであり、英語風の称呼をすると、「V」の文字に母音がないため、「LI」の部分にアクセントがあり、「LI」の部分が強く発音されるものと認められる。
他方、「REVLON」の文字は、同様に「LO」の部分にアクセントがあり、「LO」の部分が強く発音されるものと認められる。
したがって、請求人の主張は、採用することができない。
また、本件商標と引用商標とは、その外観・観念についても類似するものということはできない。
したがって、両商標は、その外観、称呼、観念のいずれの点よりみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
請求人は、「REVLON(レブロン)」が「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」等の商標として、本件商標の出願日である平成5年8月23日以前から我が国において広く知られていた旨主張するように、引用商標「REVLON」は、該文字をもって需要者の間に広く認識されている商標と認められるから、なおさら「REVLIAN」、「レブリアン」の文字よりなる本件商標が請求人の商標と商品の出所について誤認を生ずるおそれはない。のみならず、前記(1)で認定したとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であること及び上記実情を併せ考慮すれば、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、請求人又は同人と何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。
(3)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、前記のとおり、「REVLIAN」の文字と「レブリアン」の文字を二段に横書きしてなるところ、前記(1)及び前記(2)で認定したとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であることから、商標法第4条第1項第19号には該当しないものである。
(4)以上のとおりであるから、請求人の審判請求は、理由がないから成り立たないものとし、審判費用の負担については、商標法第56条第1項、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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