結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2000−35174(T2000−35174/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
(1)本件商標及びその登録に至る経緯
本件商標は、その商標の構成、指定商品、出願日、登録日等については、前記1のとおりである。そして、その出願から登録に至る審査手続・審判手続(平成10年査定不服審判第14862号)(以下、「関連審判事件」という。)の経過については、本件審判において請求人が引用する登録第1240435号商標(引用商標)等との類否に関し紆余曲折を辿った経緯がある。
(2)請求の利益について
本件商標は、請求人の先願登録に係る登録第1240435号商標(引用商標)と類似し、指定商品も同一又は類似するものであるから、その登録は違法なものであり、また、請求人が平成11年2月3日に出願した「TEK」なる商標(商願平11−8088)につき、本件商標を引用して拒絶理由通知を受けているものでもあるから(甲第2号証)、請求人は、本件審判の請求につき利害関係を有するものである。
(3)無効理由について
(ア)本件商標は、請求人の先願登録に係る引用商標(甲第3号証)と類似し、指定商品も同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(イ)引用商標の概要については、前記2のとおりである。
(ウ)本件商標と引用商標との類否について
本件商標は、商標公報(甲第1号証)に見られるとおりの構成からなる。
その構成から、「つ」の字状の枠内に「TEC」の文字が表されていることは、容易に認識することができ、これに相応する「テック」の称呼によって取引に当たられることになることは明らかなところである。
被請求人は、本件商標の登録に至る関連審判事件の段階で、本件商標が『電力の頭文字の「D」と、「テック」の「T」「E」「C」を複合させて一体的にデザインしたものである。即ち、アルファベット文字「E」、「C」を囲む「D」の文字の中に「T」のアルファベット文字を内在させるようにデザイン化したものである。』と説明している(甲第4号証)。そして、そこでは、「T」の文字につき、『「T」を表しているという先入観を持たなければ、「T」と認識することは困難である。』とも述べている。
しかしながら、被請求人も、元々「TEC」と表わされているものであり、見た目にも容易に「TEC」と見えるのであるから、「TEC」ではないといわれることは、全く理由のない主張であるといわざるを得ない。また、「T」の先入観念に言及して述べる被請求人の主張は、本件商標を「株式会社電力テック」という「テック」を含む称号の被請求人が自ら使用することを考えれば、本件商標に接する取引者及び需要者はその商標の使用者との関係で、「つ」の字状の枠内の文字を「TEC」と見るであろうことは、多くの説明を要しないころである。
さらに、「つ」の字状の枠内の文字は「TEC」を表したものであり、被請求人も含め、取引にあって、これを「TEC」と見る者があるであろうことは、誰も否定できないことである。本件商標は、その構成中の「つ」の字状の枠内の文字を「TEC」と認識し、これに相応する「テック」の称呼によって取引に当たることがあるものである。
他方、引用商標は、その構成文字に相応し、「テック」の称呼を生ずるものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、「テック」の称呼を共通にするものであり、また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品に含まれることは明白であるから、本件商標と引用商標は類似するものである。
(エ)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証(関連審判事件審決)を提出した。
(1)請求人は、本件商標と請求人が先に登録している引用商標「テック」とが類似し、指定商品も同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する無効理由を有するものであるとする。
しかしながら、本件商標は高度に図案化された図形商標であって、全体として「テック」なる称呼が当然に生じると理解できるような標章ではなく、引用商標とは類似しておらず、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)本件商標と引用商標との類否について
(ア)請求人は、本件商標の構成が「つ」の字状の枠内に「TEC」の文字を表していることは容易に認識することができ、これに相応する「テック」の称呼によって取引に当たることは明らかである旨主張するが、本件商標の「TEC」を囲む楕円様の形状をなす部分は、「D」とも「T」とも認識できない程に融合し異なった印象を与える図形としたものであって、「TEC」と当然に看取されるものではない。
即ち、「T」の文字の特徴は、a)鉛直方向の縦の直線と水平方向の横の直線から構成されていること、b)縦線の上端に横の直線が接するように両線が直角を成すように配置されること、c)縦線を中心に左右に延びる横線が同じ長さであること、d)縦線の左右には囲まれていない開いた空間が形成されること、にある。したがって、描かれたものが「T」の文字であると容易に看取されるためには、この4条件の全てを満たすことが必要であり、これを全て満たしていなければ、ギリシャ文字のガンマ「Γ」や欧文記号のガンマ「r」、あるいはギリシャ文字の「Y」などと誤認してしまう。
したがって、本件商標の「E」及び「C」なる文字を囲む斜線と楕円とから成る楕円様の形状部分は、「T」の文字の特徴である上述のa)〜d)の条件、中でもギリシャ文字や欧文記号のガンマ「r」を示すものとの大きな差異となるc)の条件を欠くものであり、「D」とも「T」とも異なった印象を与えるものであり、「TEC」の文字をデザイン化したものと容易に看取されるものではない。
(イ)請求人は、被請求人も元々「TEC」を表されているものであり、見た目にも容易に「TEC」と見えるのであるから「TEC」でないということは全く理由がない旨述べているが、確かに、本件商標は、出願人の名称である「株式会社電力テック」から導いた「D」「T」「E」「C」の文字を1つのまとまりあるデザインとすることを意図して創作されたものである。しかしながら、その際に、「D」と「T」の文字を複合させて図形的にデザインし、その中に「EC」を囲むように配置したものであり、特に「TEC」の文字を図案化したものでも「テック」の称呼が生ずるものでもない。したがって、「T」を表しているという先入観を持たなければ、「T」と認識することは困難である。
(ウ)請求人は、本件商標は被請求人称号「株式会社電力テック」との関係で、「テック」を含む称号の被請求人が使用されることを考えれば本件商標に接する取引者・需要者が「つ」の字状の枠内の文字を「TEC」と見るのは容易であり、これに相応する「テック」の称呼によって取引に当たることがある旨述べているが、登録商標の使用に際してはその権利者の表示が義務づけられているわけでもなければ、必ず権利者が併記されるものでもないし、権利者と商標使用者とが必ず一致しているとも限らないし、ましてや取引者や需要者がいちいち登録商標と権利者との関係を確認してから商標を認識する訳ではない。むしろ、使用者との関係からして商標が判断されるとするのであれば、電力テックの「DTEC」と東芝テックの「テック」と識別でき、出所の混同などは考えられない。
(エ)むすび
以上のとおり、本件商標は、関連審判事件審決において示されている通り、これに接する取引者、需要者は図案化された楕円様の形状部分を特定の文字とは理解しないというべきであって、全体として「テック」の称呼を生じる「TEC」なる文字を認識することは有り得ない。
(3)結局、本件商標は「テック」なる特定の称呼が生じる引用商標と類似しないから、商標法第4条第1項第11号に該当するものではなく、その登録を無効にされるべきものではない。
本件商標と引用商標との類否について判断するに、本件商標は、後掲に示すとおり、輪郭細線または籠字風の表現手法を用いてあたかも欧文字の「T」及び「D」の各字形をそのステム(stem)・アーム(arm)ないしローブ(lobe)部分を一つに繋いで重ね合わせた如く右側に急角度で湾曲する半円状の外輪郭図を描き、同図内部空間にやや小さめの籠字風の欧文字「EC」を配してなるものである。
しかして、前記「EC」の文字部分はさておき、前記半円状の外輪郭図は、直ちに特定の事物・事柄等を何ら想起し得るものでなく、たとえ、その形象上の着想が欧文字「T」、「D」の各文字にあったとしても、このように特異に表現された構成の全体からは、もはや、特定の文字の原型を離れて渾然一体と融合された一種幾何学的図形とみるのが自然であって、殊更、その形象の一部を捉えかつその内部の「EC」の文字とを結びつけ、これをたとえば「テック」の如く称呼するとみるのは不自然といわなければならない。そして、これに接する取引者、需要者は、むしろ、前記構成上の特徴ないしは全体より受ける外観、印象をもって取引に資するとみるのが相当である。
そうすると、本件商標より「テック」の称呼を生ずるということはできないから、本件商標より「テック」の称呼を生ずるとし、その上で本件商標と引用商標との類似を述べる請求人の主張は妥当でなく、その理由をもって本件商標と引用商標とを類似のものとすることはできない。その他、両者を類似のものとすべき事由は見出せない。
そのほか述べる請求人の主張は、前記認定に照らしいずれも妥当でなく、採用の限りでない。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものでなく、その登録は、同法条の規定に違反してされたものとはいえないから、商標法第46条第1項により、これを無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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