結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第35319号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4029863号商標(以下「本件商標」という。)は、「オーガニック ライフ」の片仮名文字と「ORGANIC LIFE」の欧文字とを上下二段に左横書きしてなり、平成7年7月7日登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き,洗濯用漂白剤」を指定商品として、同9年7月18日に設定登録がなされたものである。
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第4070825号商標(以下「引用A商標」という。)は、「ORGANICS」の欧文字を左横書きしてなり、平成3年12月13日登録出願、第4類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、同9年10月17日に設定登録がなされ、現に有効に存続しているものである。同じく登録第4070826号商標(以下「引用B商標」という。)は、「オーガニックス」の片仮名文字を左横書きしてなり、平成3年12月13日登録出願、第3類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、同9年10月17日に設定登録がなされ、現に有効に存続しているものである。同じく登録第3071315号商標(以下「引用C商標」という。)は、「ELIDA ORGANICS」の欧文字を左横書きしてなり、平成5年2月5日登録出願、第3類「せっけん類,香料類,頭髪用化粧品,香水類,制汗用化粧品,防臭性化粧品,その他の化粧品,歯みがき」を指定商品として、同7年8月31日に設定登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
請求人は、「本件商標の登録を無効にする。審判費用は、被請求人の負担とする。」旨の審決を求め、その理由(要旨)を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第12号証(枝番号を含む)を提出している。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、わが国一般人の平均的な言語知識に照らして、指定商品の需要者、取引者は、同商標が「オーガニック」、「ORGANIC」と「ライフ」、「LIFE」の2つの言葉から構成されていることを即座に理解することができる。
前者は、「オーガニック」と発音され、かつ、「有機的」等の意味を有する。また、後者は、「ライフ」と発音され「生活」等の意味を有する。
さて、本件商標の指定商品は、スーパーマーケットその他の小売業者を通じて一般消費者に購入されることの多い商品である。これらの指定商品との関係において本件商標の後半部分「ライフ/LIFE」を考察するに、これらの指定商品は、人々の日常生活で消費される商品であり、「生活」を意味する言葉「ライフ/LIFE」がさまざまな消費財との関連で頻繁に使用される言葉であるから、本件商標の後半部分「ライフ/LIFE」は、自他商品を識別する機能が弱い部分であると認められる。本件商標にあって、自他商品の識別機能は、専ら、冒頭にあって強く印象に残る前半部分「オーガニック/ORGANIC」によって発揮される。
殊に、後述のように、引用A商標が、商品「シャンプー」について、需要者、取引者の間で極めて広く認識されている取引の実情を考慮するに、簡易迅速を尊ぶ取引場裡において、本件商標に接した需要者、取引者は、本件商標の前半部分「オーガニック/ORGANIC」に着目し、該部分より生ずる略称「オーガニック」をもって取引に資することも少なくない。
引用A商標は、欧文字「ORGANICS」にて構成され、英語「ORGANIC」に「S」を付加したものであり、「オーガニックス」の称呼及び「有機的」等の観念を生ずる(甲第5号証)。引用B商標は、片仮名「オーガニックス」にて構成されるところ、引用A商標を片仮名にて表示したものであるから、引用A商標と同様に「オーガニックス」の称呼及び「有機的」等の観念を生ずる。引用C商標は、欧文字「ELIDA ORGANICS」にて構成されるところ、「ELIDA」と「ORGANICS」との間にスペースを置いてなり、また、両者の言葉の間に直接かつ密接な関連が見出されないから、「エリーダオーガニックス」の称呼のみならず、「エリーダ」及び「オーガニックス」の称呼、並びに、「有機的」等の観念を生ずる。
しかして、本件商標から生ずる称呼「オーガニック」は、引用A、B、C商標から生ずる称呼「オーガニックス」と比較した場合、前者が4音からなるのに対して、後者が5音からなり、後者の末尾音に「ス」の音があることにわずかな差異が見出せるにすぎない。両者の称呼は、音声によって商標を識別する際に、特に重要な役割を占める語頭音を含めて、「オー」、「ガ」、「ニッ」、「ク」が全く同じ音で構成される。唯一の相違である後者の第5音「ス」は、無声摩擦音の弱音であるばかりでなく、一般的に末尾音は弱く発音される。
したがって、両者の称呼は、全体の語韻語調が極めて紛らわしい。
かような次第で、本件商標は、離隔観察上、その称呼において引用A、B、C商標と混同を生ずるおそれの高い類似商標である。
いわんや、本件商標並びに引用A、B、C商標は、全く同じ意味「有機的」を表すものであるから、両商標が、観念上、混同するおそれがあるばかりでなく、観念上の同一性がある故に、称呼においても、需要者が両商標を混同する危険性が極めて高くなる。
また、本件商標の指定商品中「せっけん類、香料類、化粧品、歯磨き」は、引用A、B、C商標の指定商品と同一又は類似する商品である。
よって、本件商標は、その指定商品中「せっけん類、香料類、化粧品、歯磨き」について、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用A商標は、商品「シャンプー」について使用され、本件商標の出願日以前より今日に至るまで、同商品の需要者、取引者の間で広く認識されている。
引用A商標は、平成7年3月1日以来、商品「シャンプー」の商標として使用されてきた。同商品の発売開始と同時に精力的な営業活動を行い、また、積極的な宣伝広告活動を展開した(甲第6号証の1ないし同第6号証の7及び甲第7号証の1ないし同第7号証の6)。ちなみに、発売初年度の平成7年には26億円を宣伝広告の費用に投じた。その甲斐あって、引用A商標の使用に係る「シャンプー」は、発売開始直後より好調な売上げを記録した。発売初年度の平成7年の売上高は60億円にもなり、単品の商品として誇るべき数値である。その後も、毎年、20余億円ないし10余億円の費用を宣伝広告にかけ続けている。その結果、毎年、60億円ないし30億円の売上げを得ている。
本件商標「オーガニック ライフ/ORGANIC LIFE」は、「オーガニック/ORGANIC」と「ライフ/LIFE」から構成されると容易に理解される。また、本件商標の指定商品のほとんどが最終消費者を対象とする小売市場にて販売されるものであり、かかる商品との関係において本件商標の後半部分「ライフ/LIFE」は自他商品の識別機能が弱い。
本件商標の指定商品中「せっけん類、香料類、化粧品、歯磨き」等は、商品「シャンプー」と同様に、身体を衛生的かつさわやかに保つ等の目的のために使用される機会の多い商品であり、その用途において相互に密接な関連がある。また、同一の者によって製造され、同一の店舗にて販売される。更に、同一の商標の下に市場に提供されている商品が多数見うけられる商品である。また、本件商標の指定商品中「洗濯用漂白剤」も、商品「シャンプー」の製造販売者と同一の者によって製造販売される商品であり、同一の商標にて市場に提供されることがあると需要者に認識されるものである。
かような事情において、本件商標を付した指定商品に接した需要者は、強く印象に残る冒頭部分「オーガニック/ORGANIC」に注意を惹かれ、「ORGANICS」の文字よりなる引用A商標を付した請求人の商品とその出所が同一の商品であるのか如く、あるいは、請求人の子会社その他の密接な関係がある者の製造、販売する商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第7号及び同第19号について
被請求人は、請求人と同じ種類の商品を製造販売する、いわゆる同業他社と認められるところ、本件商標の出願時期は、請求人の引用A商標を使用した商品「シャンプー」が発売され、活発なプロモーション活動が行われ、マスメディア媒体を通じた宣伝広告が集中的に行われていた頃である。
かような時に引用A商標を構成する文字「ORGANICS」に該当する「オーガニック/ORGANIC」を含む商標を採択せんとする行為は、請求人の商品「シャンプー」の順調な市場への浸透に鑑み、請求人の使用する引用A商標に化体した顧客吸引力にあやかって、不当な利益を得る目的から出願されたものと認められてしかるべきである。
さらに、付言するに、引用A商標の使用に係る商品「シャンプー」は、日本国のみにて販売されたものではなく、日本発売に先立って世界各国において発売され、日本発売の頃には既に世界各国の市場において需要者に広く知られていた製品である(甲第8号証)。また、引用A商標と同一の商標が世界各国において出願・登録されている(甲第9号証及び同第10号証の1ないし同第10号証の8)。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当する。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第2号証を提出している。
(1)商標法第4条第1項第11号について
請求人は、引用A、B、C商標を引用して、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当すると主張する。
しかし、これらの商標は、いずれも平成9年12月1日付異議申立(平成9年異議第90576号)において引用されたものであり、平成10年6月11日付の異議決定により、本件商標の登録を取り消すべき理由はないと認定されたものである。
よって、本件商標は、引用A、B、C商標をもって、その登録を無効とすることができないものである。
(2)商標法第4条第1項第15号、同第7号及び同第19号について
請求人は、商標法第4条第1項第15号、同第7号、同第19号を無効理由に挙げて、縷々主張するが、このような主張は独断的なものであって何ら根拠の無いものである。以下、その理由を述べる。
まず、本件商標は、「オーガニックライフ」、「ORGANIC LIFE」と、同書、同大で一連一体に表してなるものである。
ここで、「オーガニック」とは、「有機の」の意味を有する一般名称である。例えば、「広辞苑 第5版」(乙第1号証)によれば、「オーガニック【ORGANIC】(「有機の」の意)有機農業による生産物であること」と記載されている。
このように、「オーガニック」とは、「有機の」の意味を有する一般名称である点に疑義は無い。
ところで、請求人の提出した甲第7号証の1以下の証拠(商品写真)を検証すれば、商品に付した登録商標「ORGANICS」の下に、片仮名書きの「オーガニック」の表示があり、この「オーガニック」の表示は、登録商標の使用でないことは明らかである。上述のように、「オーガニック」は、「広辞苑」にも掲載されているように、「有機の」の意味を有する広く認知される一般名称であり、また、請求人が、登録商標以外に、「オーガニック」の文字を、例えば、「シャンプー」等の商品に表示している事実を考慮すれば、このように表示されたシャンプーは、「有機性のシャンプー」であることを消費者に認識させようとする意図があり、記述商標(特性表示等)的に使用しているのは明らかである。
よって、記述商標的に一般名称の「オーガニック」の文字が使用され、一方、かかる「オーガニック」により拒絶されることなく「オーガニックス」が登録商標として登録されている事実を考慮すれば、「オーガニック」と「オーガニックス」は、法的にも、また、事実上も非類似商標と見るのが相当である。
一方、「ライフ」とは、「生活」の意味が一般的である。そして、上記を考慮し、また、近時、健康志向から有機栽培による野菜や果物等が注目され、さらに、「オーガニックパン」を商品名としたパンなども販売されている事実を考慮すれば、「オーガニックライフ/ORGANIC LIFE」と書した場合、即、「有機の生活」或いは「有機らしい生活」等の観念を生ずるものである。したがって、そもそも請求人の引用された「オーガニックス」とは、観念も全く相違する。
ところで、同一区分において、「〇〇〇ライフ」とネーミングした商標は、相当数登録されているのも事実である(乙第2号証参照)。
これらは、「〇〇〇ライフ」とすることで、いずれも十分に非類似商標として成立することを意味する。本件商標のネーミング根拠も、まさにこの点に有り、請求人の主張するような「オーガニックス」を意図的に意識したものでは全くない。
したがって、「オーガニック ライフ/ORGANIC LIFE」と一連に書してなる本件商標は、前記異議申立の決定で認定されたように、構成中の「オーガニック」及び「ORGANIC」の文字部分或いは「ライフ」及び「LIFE」を抽出して取引に当たるとみるべき事由は存在しないものであって、「オーガニック ライフ/ORGANIC LIFE」の一体性により、前述した 「有機の生活」 或いは「有機らしい生活」等の観念を生じるものである。
このように、本件商標は、引用A商標とは、そもそも類似性は全く存在せず、請求人の主張するような引用A商標に係わる周知性や営業努力等は、何ら本件商標の登録適格性に影響するものではなく、また、本件商標と引用A商標とは、需要者をして混同することは有り得ない。
以上の点を考慮すれば、本件商標が商標法第4条第1項第15号、同第7号、同第19号に違反しているとする請求人の主張は、何ら根拠が無く、失当であるといわざるを得ない。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「有機的、有機の」及び「生活、生命」等の意味を有する外来語(英語)の「オーガニック」、「ORGANIC」及び「ライフ」、「LIFE」の文字を「オーガニック ライフ」、「ORGANIC LIFE」と、同書、同大、左右バランスよく一連に書してなるものであるから、これよりは「オーガニックライフ」の一連の称呼を生じ、一種の造語を表したものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標よりは書された文字全体より「オーガニックライフ」の一連の称呼のみを生じさせるものである。
これに対し、引用A、B商標は、「ORGANICS」、「オーガニックス」の文字を書してなるものであるから、これよりは、いずれも「オーガニックス」の称呼を生じさせ、一種の造語を表した商標と認められるものである。また、引用C商標は、「ELIDA ORGANICS」の文字を書してなるものであるから、これよりは「エリーダオーガニックス」の一連の称呼を生じさせ、造語を表した商標と認められるものである。
したがって、引用A、B商標よりは「オーガニックス」の称呼を、また、引用C商標よりは「エリーダオーガニックス」の称呼を生ずるものというのが相当である。
そこで、本件商標より生ずる「オーガニックライフ」の称呼と引用A、B、C商標より生ずる「オーガニックス」及び「エリーダオーガニックス」の称呼とを比較するに、両者は、一部の「オーガニック」の音を同じくするものの、「ライフ」、「エリーダ」の音の有無という顕著な差異を有するものであるから、両称呼は、称呼上明らかに識別し得るものである。
また、本件商標と引用A、B、C商標は、上記のとおり、共に造語よりなるものと認められるものであるから、観念上比較すべくもない。
さらに、本件商標と引用A、B、C商標は、各々上記のとおりの構成よりなるものであるから、外観上互いに区別し得る差異を有するものである。
したがって、本件商標と引用A、B、C商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
なお、請求人は、指定商品との関係において、本件商標の後半部分「ライフ/LIFE」は自他商品の識別機能が弱く、本件商標の前半部分「オーガニック/ORGANIC」より「オーガニック」の称呼をも生ずる旨の主張をしているが、本件商標は、上記のとおり、その構成上一連の造語よりなる商標とみるのが相当であり、構成中の前半部分のみを抽出して取引に当たるとみるべき格別の事由は見出せないものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
請求人提出の甲第6号証の1ないし同第7号証の6によれば、引用A商標等を付した商品「シャンプー」の広告、宣伝が、わが国において、本件商標の登録出願前よりなされていたとしても、これらの提出されている証拠のみでは、引用A商標が、本件商標の出願時に、請求人の業務に係る商品「シャンプー」を表示するものとして、取引者、需要者間に広く知られていたものとは認め難い。
そして、本件商標と引用A商標とは商標が非類似のものであるから、これよりは、引用A商標を連想、想起させるとはいい得ないものである。
してみれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、該商品が請求人または請求人と組織的・経済的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
(3)商標法第4条第1項第7号及び同第19号について
本件商標は、上記のとおり、わが国においても外来語(英語)としてよく知られている「オーガニック」、「ORGANIC」の文字と「ライフ」、「LIFE」の文字とを結合した一連の造語と認められるものである。
そして、本件商標は、その構成文字自体が矯激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるようなものでなく、また、これをその指定商品について使用することが、社会公共の利益に反し、かつ、社会の一般的道徳観念等に反するものともいい得ないものである。加えて、本件商標中の「organic(オーガニック)」の語は、造語ではなく、「有機」を意味するものとして、「有機塩基石ケン(organic basic soap)」、「有機顔料(organic pigments)」、「有機染料(organic dye)」の如く商品の品質や商品の原材料の品質を表す語として普通に使用される語でもあるから、被請求人が本件商標に該文字を使用したとしても、請求人の引用A商標等「ORGANICS」の文字よりなる商標の出所表示機能を希釈化させたり、その名声を毀損させる等、不正の目的をもって使用するものとも認められない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものでないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効にすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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