結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第35280号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4112029号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第7類「各種機械器具及びその部品用の洗浄機,医療器具及びその部品用の洗浄機,電子部品用の洗浄機,その他の洗浄機,これらの洗浄に用いた溶剤の蒸留再生装置,ろ過材を用いたろ過機,脱気装置」を指定商品として、平成8年2月9日に登録出願され、同10年2月6日に設定登録がなされているものである。
請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第941788号商標(以下「引用1商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第9類「産業機械器具、動力機械器具、風水力機械器具、事務用機械器具、その他の機械器具で他の類に属しないもの、これらの部品及び附属品、機械要素」を指定商品として、昭和43年12月2日に登録出願され、同46年12月18日に登録、その後、同57年5月27日と平成4年1月29日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。
同じく、登録第1002680号商標(以下「引用2商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第9類「産業機械器具、動力機械器具、風水力機械器具、事務用機械器具、その他の機械器具で他の類に属しないもの、これらの部品及び附属品、機械要素」を指定商品として、昭和44年3月12日に登録出願され、同48年3月2日に登録、その後、同58年5月20日と平成5年2月25日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。
同じく、登録第477334号商標(以下「引用3商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第20類「車輛、船舶、その他運搬用機械器具及びその各部」を指定商品として、昭和30年5月14日に登録出願され、同31年2月25日に登録、その後、同51年6月17日、同61年5月21日及び平成8年1月30日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。
同じく、登録第477335号商標(以下「引用4商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第20類「車輛、船舶、その他運搬用機械器具及びその各部」を指定商品として、昭和30年5月14日に登録出願され、同31年2月25日に登録、その後、同51年6月17日、同61年5月21日及び平成8年1月30日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。
同じく、登録第899280号商標(以下「引用5商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料」を指定商品として、昭和43年11月28日に登録出願され、同46年5月28日に登録、その後、同56年7月31日及び平成3年9月27日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。
同じく、登録第899496号商標(以下「引用6商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第3類「染料、顔料、塗料、印刷インキ、くつずみ、つや出し剤」を指定商品として、昭和43年11月28日に登録出願され、同46年5月29日に登録、その後、同57年1月29日及び平成3年9月27日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。
同じく、登録第899497号商標(以下「引用7商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第3類「染料、顔料、塗料、印刷インキ、くつずみ、つや出し剤」を指定商品として、昭和44年1月18日に登録出願され、同46年5月29日に登録、その後、同57年1月29日及び平成3年9月27日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。
同じく、登録第962488号商標(以下「引用8商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第9類「産業機械器具、動力機械器具、風水力機械器具、事務用機械器具、その他の機械器具で他の類に属しないもの、これらの部品及び附属品、機械要素」を指定商品として、昭和44年1月18日に登録出願され、同47年5月10日に登録、その後、同57年6月25日及び平成4年5月28日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。
同じく、登録第975684号商標(以下「引用9商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料」を指定商品として、昭和44年1月18日に登録出願され、同47年8月16日に登録、その後、同57年10月26日及び平成4年11月27日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。
同じく、登録第1392290号商標(以下「引用10商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第1類「化学品、医療補助品」を指定商品として、昭和44年1月14日に登録出願され、同54年9月28日に登録、その後、平成1年11月21日及び同11年10月5日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。
同じく、登録第1392291号商標(以下「引用11商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第1類「化学品、医療補助品」を指定商品として、昭和44年1月18日に登録出願され、同54年9月28日に登録、その後、平成1年11月21日及び同11年10月5日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。
同じく、登録第899498号商標(以下「引用12商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第3類「染料、顔料、塗料、印刷インキ、くつずみ、つや出し剤」を指定商品として、昭和44年3月12日に登録出願され、同46年5月29日に登録、その後、同57年1月29日及び平成3年9月27日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。
同じく、登録第994979号商標(以下「引用13商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料」を指定商品として、昭和44年3月12日に登録出願され、同48年1月20日に登録、その後、同58年2月22日及び平成5年1月28日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。
同じく、登録第1050692号商標(以下「引用14商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第12類「輸送機械器具、その部品及び附属品」を指定商品として、昭和45年10月21日に登録出願され、同49年1月14日に登録、その後、同59年1月27日及び平成6年4月27日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。
同じく、登録第1392292号商標(以下「引用15商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第1類「化学品、医療補助品」を指定商品として、昭和44年3月12日に登録出願され、同54年9月28日に登録、その後、平成1年11月21日及び同11年10月5日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。
請求人は、本件商標の登録を無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、請求の理由及び弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第89号証を提出している。
(1)請求の理由
(ア)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「ボノボ」の称呼を生ずる。引用1商標及び引用2商標は、「ボルボ」の称呼を生じる。そして、両称呼の「ノ」と「ル」の相違を有する中間音は、語頭音と語尾音に吸収され印象に残りにくい性質を一般に有するところ、語頭音と語尾音が重々しく鈍い響きの濁音「ボ」であり、中間音がともに軽い響きの清音「ノ」と「ル」であるため、より一層中間音が聴取されにくいから、称呼上類似する。さらに、本件商標の欧文字部分と引用1商標の外観を比較するに、両者は、ともに「VO」をその前段部と後段部に繰り返し配したものであり、同様に、本件商標のカタカナ文字部分と引用2商標の外観を比較するに、両者は、ともに「ボ」をその前段部と後段部に繰り返し配し、その中段における「ノ」と「ル」のカタカナ文字も文字態様上類似する。したがって、本件商標は、引用1商標及び引用2商標に外観上類似する。そして、本件商標と引用1商標及び引用2商標の指定商品は、同一又は類似し、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(イ)商標法第4条第1項第10号について
引用1商標ないし引用15商標は、請求人が1927年の創設以来、輸送用機器などに使用している世界的な著名商標であり、請求人は、グループ全体で7万人の従業員を擁し、20ヶ国を超える生産拠点を抱える国際的な産業グループを形成し、その事業活動は、乗用車、トラック、及びバスの各部門を中心とする輸送機械産業に加え、現在では、船舶用及び産業用エンジン産業や航空宇宙産業にも及んでいる(甲第17号証ないし甲第34号証)。グループ全体の売上高は、1995年約106億円、1996年は約93億円、1997年には約113億円にも達し、その80%が欧米、日本を含むアジアなど、スウェーデン国外の市場におけるもの(甲第17号証ないし甲第34号証)。このうち、日本では、1997年で約3.7億円を占めている(甲第33号証)。請求人は、莫大な費用(1997年約3.4億円(うち日本は約3千万円))を投じて国際的なマーケティング活動を展開し(甲第33号証及び甲第35号証ないし甲第86号証)、その結果、請求人の有する「VOLVO」商標には、製品の高い品質、安全性及び耐久性などの信頼性が強力に化体するに至っている。請求人は、自らの商標管理を徹底して行い、日本においても、40を超える商標登録と出願商標を有しており(甲第87号証)、請求人の商標「VOLVO」に著名性を認められ、同商標についての引用4商標に平成1年から平成7年にかけて16もの防護標章登録がなされている(甲第4号証)。以上より、引用1商標ないし引用15商標は、本件商標の出願時において、請求人に係る商品を表示するものとして、既に我国を含む世界中において、著名であったことは明らか。これら世界的に著名な引用商標のうち、本件商標は、引用1商標及び引用2商標と類似し、その指定商品と同一又は類似の指定商品に使用をするものであるため、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(ウ)商標法第4条第1項第15号について
請求人の商品を表示するものとして著名な引用1商標ないし引用15商標と相紛らわしい本件商標がその指定商品である「各種機械器具及びその部品の洗浄機、ろ過機」などに使用された場合、取引者・需要者をして、その商品が請求人の提供にかかわるものであるかのごとく、あるいは、請求人と何等かの経済的・組織的関連があるかのごとく認識され、出所混同を生ぜしめるおそれがある。請求人は、とりわけ乗用車及びその関連部門で名を馳せており、これは、本件商標の指定商品である「各種機械器具及びその部品の洗浄機、ろ過機」などと極めて密接な関連を有する。実際、請求人は、「ろ過機」などについても商品を提供している状況がある(甲第88号証)。したがって、本件商標の所有者が、その指定商品に本件商標を使用すると、あたかも需要者をして、請求人の商品であるかのごとく認識され、出所の混同を生ぜしめるおそれがきわめて高いといわざるを得ない。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(エ)商標法第4条第1項第7号について
請求人の商標として世界的著名な「VOLVO」と相紛らわしい本件商標を、請求人とは何ら関係のない他人が自己の商品について商標として採択し使用することは、本来みずからの営業努力によって得るべき業務上の信用の維持をはかる商標法の目的に反し、該商標の著名性にフリーライドするものであり、また、著名商標「VOLVO」に化体した信用を希釈化させるおそれがあるといわざるを得ない。よって、本件商標は、公正な競業秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものであり、商標制度の趣旨に則しないものであり、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(オ)むすび
以上、述べてきたところの理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号及び同第7号の規定に該当し、同法第43条の2第1号(前記条文は、商標法第46条第1項第1号とすべきところ、誤記したものと認める。)の規定により取り消されるべきである。
(2)弁駁
(ア)商標法第4条第1項第11号について
被請求人は、本件商標が引用1商標「VOLVO」と類似しない根拠として「ボノボ」「BONOBO」商標と「VOLVO」の併存登録例を挙げている。しかしながら、商標の類否判断は、称呼、外観、観念の全体により判断すべき問題であり、本件商標と同一の称呼が生じうるが外観・観念が異なる「ボノボ」「BONOBO」商標と「VOLVO」の併存登録例における類否判断を、そのまま本件商標と引用1商標「VOLVO」の類否判断に適用するべきでなく、商品の出所の混同も視野に入れて個別具体的に判断すべきである。また、被請求人は、本件商標「VONOVO/ボノボ」と引用1商標「VOLVO」の外観類否について、本件商標が欧文字とカタカナ文字よりなるのに対して引用1商標「VOLVO」が欧文字のみよりなることを理由として、両者が非類似であることを主張している。しかしながら、問題となるのは、これらの欧文字ないしカタカナ文字がいかなる文字で構成されているかであり、本件商標の欧文字部分「VONOVO」と引用1商標「VOLVO」は、ともに「VO」ではじまり「VO」で終わっている。このように「VO」が前後に重複する言葉は当職らが知る限りにおいては他に例がなく、「VOLVO」に特徴的なものである。この点において、本件商標「VONOVO/ボノボ」と引用1商標「VOLVO」は、文字態様上、類似していることは明らかである。さらに、本件商標はピグミーチンパンジーの別名である「ボノボ」に由来するものであるとしている。しかしながら、ピグミーチンバンジーの英語の綴りは「BONOBO」であって、「VONOVO」ではない(甲第89号証)。したがって、本件商標から、ピグミーチンパンジーの観念がただちに生ずるとは言えない。むしろ、引用1商標「VOLVO」に酷似した外観より、本件商標に接した需要者は、著名自動車製造販売業者である請求人にかかるものであるかのごとき観念が生じるのは否定できない。以上より、被請求人の主張は、当を得ず、依然として、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(イ)商標法第4条第1項第10号について
被請求人は、本件商標と引用1商標及び引用2商標が非類似であるがゆえに、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない旨を主張してるが、上述より、本件商標と引用1商標及び引用2商標は、依然として類似するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(ウ)商標法第4条第1項第15号について
被請求人は、本件商標と引用1商標ないし引用15商標と混同を生じない根拠として、商標「BONOBO」と請求人が有する登録商標「VOLVO」「ボルボ」「VOLVO PENTA」が、商品「自動車」等について、併存登録されている事実を挙げている。しかしながら、「BONOBO」はその綴りからしてピグミーチンパンジーを指すことは明らかである一方で、引用1商標ないし引用15商標は世界に名だたる著名商標であり、両者に混同が生じる余地はなく、かかる併存登録は、本件商標と引用1商標ないし引用15商標との間に混同が生じない根拠にはなりえない。繰り返しいうならば、本件商標は、称呼もさることながら、引用商標の文字態様上の特徴をとらえたものであり、さらに、被請求人は、「自動車の分野においても重複登録されているのだから、ましてや本件商標の指定商品において」本件商標と引用1商標ないし引用15商標との間では混同は生じない旨主張している。この点は、先の併存登録が出所の混同否定の根拠となり得ない以上、採用し得ない主張である。
(エ)商標法第4条第1項第7号について
被請求人は、本件商標と引用1商標ないし引用15商標との間に混同が生じないゆえに、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない旨を主張しているが、上述より、本件商標と引用1商標ないし引用15商標との間には依然として混同が生じるから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(オ)以上に述べたとおり、被請求人の答弁によっても、本件商標が、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号及び同第7号に該当することは否定できない。
被請求人は、結論同旨を求め、請求の理由及び弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出している。
(1)請求の理由に対する答弁(平成10年10月29日付答弁書)
(ア)商標法第4条第1項第11号について
(a)〔本件商標と引用1商標及び引用2商標の称呼上の比較〕
本件商標は、「ボノボ」の称呼を生じる。これに対して、請求人の引用1商標及び引用2商標は、ともに「ボルボ」の称呼を生じる。「ノ」と「ル」の音は、子音が鼻音と弾き音との差異を有するとともに母音、行音も相違し、音質を異にするものであるから、この差異がわずか3音という音構成の両称呼全体に及ぼす影響は大きく、それぞれ一連に称呼しても、その語調、語感が相違し、何等聞き誤るおそれはない。
(b)〔本件商標と引用1商標及び引用2商標の外観上の比較〕
本件商標は、欧文字と片仮名文字を二段に書してなるものであるから、欧文字のみよりなる引用1商標及びカタカナ文字のみよりなる引用2商標とは外観上明確に区別し得る。したがって、本件商標と引用1商標及び引用2商標は外観上、非類似の商標であることは明白である。
(c)〔本件商標と引用1商標及び引用2商標の観念上の比較〕
本件商標の名称は、霊長目オランウータン科のピグミーチンパンジーの別名「ボノボ」を借用して命名したものである(乙第5号証)。したがって、本件商標と引用1商標及び引用2商標は、観念においても全く異なる非類似の商標である。
(イ)商標法第4条第1項第10号について
本件商標と引用1商標ないし引用2商標とは、非類似の商標であるから、引用1商標ないし引用2商標が本件商標の出願時において既に周知著名であったか否かを検討するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号の規定に該当しない。
(ウ)商標法第4条第1項第15号について
本件商標と引用1商標ないし引用15商標とは、商品の出所の混同を生じないから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に該当しない。このことは、本件商標と同一の称呼を有する「BONOBO」が、自動車メーカーである請求人が所有する「VOLVO」又は「ボルボ」の商標と、自動車が属する商品において、重複して登録されている併存登録例からも明白である。ましてや本件商標の指定商品である「各種機械器具及びその部品用の洗浄機,医療器具及びその部品用の洗浄機,電子部品用の洗浄機,その他の洗浄機,これらの洗浄に用いた溶剤の蒸留再生装置,ろ過材を用いたろ過機,脱気装置」において、本件商標と引用1商標ないし引用15商標が商品の出所の混同を生じないことは明白である。
(エ)商標法第4条第1項第7号について
本件商標と引用1商標ないし引用15商標とは、前記4(1)(ア)ないし(ウ)に記述のごとく、非類似の商標であるとともに商品の出所の混同を生じるおそれもないものである。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号の規定に該当しない。
(オ)以上のごとく、請求人の主張は、全く当を得たものでない。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号及び同第7号に該当することがなく、本件商標は、その商標登録を維持すべきものである。よって、本件無効審判請求は、理由が無い。
(2)弁駁に対する答弁(平成12年11月28日付答弁書)
(ア)本件商標と引用1商標及び引用2商標の類否について。
(a)称呼の類否について
請求人は、弁駁において「商標の類否判断は、称呼、外観、観念の全体により判断すべき問題であり」と主張している。しかしながら、現代の電話取引、人間の言語を用いた取引、音声媒体の重要性等を考慮するなら、称呼における類否判断が圧倒的に重視されるべきものであることは明白である。そして、本件商標と同一の称呼を有する商標と請求人の所有する「ボルボ」または「VOLVO」の商標とが登録されている併存登録例から見るも本件商標と「ボルボ」または「VOLVO」の商標とが少なくとも称呼上非類似の商標であることは明白である。
(b)観念の類否について
本件商標と引用1商標及び引用2商標とを観念において比較するに、「ボルボ」または「VOLVO」からは特定の観念が生じない。本件商標の「ボノボ」部分からはピグミーチンパンジーの観念が生じ、「VONOVO」部分からは特定の観念を生じることがない。したがって、両商標が観念において非類似であることは明白である。
(c)外観の類否について
請求人は、本件商標と引用1商標及び引用2商標とが「文字態様上、類似している」との主張を行なっているが、本件商標の「ボノボ」部分と引用2商標の「ボルボ」が外観非類似であることは、平均的日本人の文字識別能力からすれば、「ノ」と「ル」を見誤るおそれは全くなく非類似であることは明白である。また、本件商標の「VONOVO」部分と引用1商標の「VOLVO」であるが、両商標の前後の2文字「VO」の部分が同一であるとはいえ、中間文字が「NO」と「L」の差違を有し、3文字が異なるものである。6文字または5文字の商標で3文字が異なる以上、平均的日本人の文字識別能力からすれば、両商標が外観において非類似であることは明白である。
(d)以上の通り本件商標と引用1商標及び引用2商標とは称呼、観念、外観のいずれも非類似の商標である。したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号には該当しないものである。
(イ)商標法第4条第1項第10号について
本件商標と引用1商標及び引用2商標とは上述のごとく、称呼、観念、外観のいずれにおいても非類似の商標であるから、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当しないものである。
(ウ)商標法第4条第1項第15号について
請求人は、併存登録例の「BONOBO」商標と「VOLVO」及び「ボルボ」の商標とは、「両者に混同が生じる余地はなく」と主張している。この請求人の主張は、「BONOBO」と同一称呼の本件商標が、少なくとも称呼において「VOLVO」及び「ボルボ」とは非類似で、称呼において混同が生じる余地がないことを認めるものである。しかるに、請求人は、「本件商標は称呼もさることながら、」と上記とは全く矛盾する主張を繰り返している。そして、「本件商標は・・・引用商標の文字態様上の特徴をとらえたもの」と主張する。しかしながら、「文字態様上の特徴をとらえた」とは、なにを主張するつもりなのか全く不明である。そもそも、商標の類否判断において「文字態様上の特徴をとらえた」などという概念はそもそも存在せず、商標の類否判断においては、称呼、観念、外観のいずれかが類似していれば類似商標である。また、請求人が引用する「VOLVO」または「ボルボ」の商標を、請求人は、本件商標の指定商品について使用した事実も無く、ましてや誤認混同を生じる余地は全くないものである。以上の通り、本件商標は、引用例商標とは称呼、観念、外観のいずれにおいても異なるものであり、誤認混同の余地は無く、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しないことは明白である。
(エ)商標法第4条第1項第7号について
商標法第4条第1項第7号は、商標自体が公序良俗を害するおそれのあるものを登録しないとする規定であって、他の商標との関係で論ずべきものではない。この点において請求人の主張は、全く理由がない。
(オ)以上のごとく、請求人の主張は、全く当を得たものでない。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号及び同第7号に該当することがなく、本件商標は、その商標登録を維持すべきものである。よって、本件無効審判請求は、理由が無い。
(1)商標法第4条第1項第11号違反について
本件商標は、別掲に示したとおり「VONOVO」の欧文字と「ボノボ」のカタカナ文字を上下二段にして横書きしてなるものである。
これに対し、引用1商標は、別掲に示したとおり「VOLVO」の欧文字を横書きしてなるものであり、引用2商標は、別掲に示したとおり「ボルボ」のカタカナ文字を横書きしてなるものである。
そして、本件商標と引用1商標及び引用2商標の類否についてみるに、本件商標と両引用商標は、以下のとおり観念、称呼及び外観のいずれにおいても非類似の商標と認められる。
(ア)観念について
本件商標は、その構成中の「VONOVO」の欧文字部分が特定の意味を有する外来語とは認められないから、造語として認識するのが相当である。また、該欧文字の下段の「ボノボ」のカタカナ文字は、「ピグミーチンパンジーの別名」の意味があると認められるが、一般に知られている語とまではいえず、その構成上、上段の「VONOVO」の欧文字の字音を表示した文字として看取されるものであるから、造語として認識されるとみるのが相当である。
他方、両引用商標の「VOLVO」「ボルボ」は、請求人の提出に係る甲第17号証ないし甲第86号証によれば、「ボルボ」と称呼され請求人が自動車等に長年使用して本件商標の出願時には既に広く一般の取引者・需要者に認識されていた著名な商標と認められる。また、「VOLVO」「ボルボ」は、請求人の略称の表記ともみられるものといえる。
そうすると、本件商標は、造語として認識するものであり、両引用商標は、前記のとおり請求人使用の著名な商標として認識されるから、本件商標と両引用商標は、観念において類似するものとはいえない。
したがって、本件商標と両引用商標は、観念上、類似しない商標とするのが相当である。
(イ)称呼について
本件商標は、別掲に示したとおり「VONOVO」の欧文字と「ボノボ」のカタカナ文字を書してなるものであって、前記5(1)(ア)の認定のとおり、その構成上、「ボノボ」のカタカナ文字が上段の「VONOVO」の欧文字の字音を表示した文字として看取されるものであるから、「ボノボ」と称呼されるものと認められる。
他方、両引用商標は、前記5(1)(ア)の認定のとおり、「ボルボ」と称呼され請求人が自動車等に長年使用して本件商標の出願時には既に広く一般の取引者・需要者に認識されているものであるから、「ボルボ」と称呼される。
そうすると、本件商標の「ボノボ」の称呼と両引用商標の「ボルボ」の称呼は、「ノ」の音と「ル」の音の差異を有しているものであり、また、両称呼の差異音「ノ」と「ル」が中間音であるとしても、両称呼は、3音構成の短い称呼であるから、該差異音「ノ」と「ル」を聞き誤るおそれがあるものとはいえない。
さらに、本件商標の「ボノボ」の称呼は、その子音〔v〕、〔n〕及び〔v〕がすべて母音〔o〕の結合によって発せられるのに対し、両引用商標の「ボルボ」の称呼は、その子音〔v〕、〔r〕及び〔v〕が母音〔o〕、〔u〕及び〔o〕の結合によって発せられるものであるから、両称呼は、それぞれ一連に称呼した場合にあっても全体の語調、語感が異なるものである。
したがって、本件商標と両引用商標は、称呼上、類似しない商標とするのが相当である。
(ウ)外観について
本件商標の「VONOVO」の欧文字部分と引用1商標の「VOLVO」の欧文字は、中間の文字部分において「NO」と「L」の差違を有しているものであり、また、本件商標の欧文字部分と引用1商標の欧文字は、その構成の文字数を異にするものであるから、両商標の欧文字は、見誤るおそれがあるものとは認められない。
次に、本件商標の「ボノボ」のカタカナ文字部分と引用2商標の「ボルボ」のカタカナ文字は、中間の文字部分において「ノ」と「ル」の差違を有しているものであり、また、本件商標のカタカナ文字部分と引用2商標のカタカナ文字は、ともに短い3文字構成であるから、両商標のカタカナ文字は、見誤るおそれがあるものとは認められない。
ところで、請求人は、「本件商標の『VONOVO』の欧文字部分と引用1商標の『VOLVO』の欧文字は、ともに『VO』ではじまり『VO』で終わっている。このように『VO』が前後に重複する言葉は当職らが知る限りにおいては他に例がなく、『VOLVO』に特徴的なものである。この点において、本件商標の『VONOVO』の欧文字部分と引用1商標の『VOLVO』の欧文字は、文字態様上、類似していることは明らかである。」旨主張する。
しかしながら、「VO」ではじまり「VO」で終わっている欧文字を表してなる商標は、請求人使用の著名な商標「VOLVO」の特徴を表すものとして広く一般の取引者・需要者に認識されている事実があるものとは認められず、この点の請求人の主張は、採用することができない。
したがって、本件商標と両引用商標は、外観上紛れるおそれのない非類似の商標といわざるをえない。
(エ)そうすると、本件商標と両引用商標は、観念、称呼及び外観において相紛れるおそれのない非類似の商標とするのが相当であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとは認められない。
(2)商標法第4条第1項第10号違反について
本件商標は、前記5(1)の認定のとおり引用1商標及び引用2商標とは非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものとは認められない。
(3)商標法第4条第1項第15号違反について
請求人は、前記3(1)(ウ)において「本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨主張する。
しかしながら、前記5(1)の認定のとおり本件商標と請求人の著名な引用1商標の「VOLVO」及び引用2商標の「ボルボ」とは観念、称呼及び外観において相紛れるおそれのない非類似の商標であり、また、本件商標が請求人の著名商標「VOLVO」「ボルボ」を想起、連想させる特段の事由があるものと認められないことからすると、本件商標をその指定商品に使用しても、需要者が請求人の商品であるかのごとく認識され出所の混同を生ずるおそれがあるものとすることはできない。
そうすると、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとは認められない。
(4)商標法第4条第1項第7号違反について
本件商標は、前記5(3)の認定のとおり請求人の著名商標「VOLVO」「ボルボ」を想起、連想させるものでなく、本件商標をその指定商品に使用しても、需要者が請求人の商品であるかのごとく認識され出所の混同を生ずるおそれがあるものとはいえないから、本件商標が他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であることを前提にして「本件商標は、公正な競業秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものであり、商標法第4条第1項第7号に該当する。」との請求人の主張は、根拠を欠くものであって採用できない。
そうすると、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものとは認められない。
(5)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号、同第7号に違反して登録されたものでなく、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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