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Trademark Appeal Case

使用商標と登録商標の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第30181号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第2527325号商標(以下、「本件商標」という。)は、下記(イ)に示したとおりの構成よりなり、第21類「バック、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成2年9月3日に登録出願、同5年4月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2.請求人の主張

請求人は、「本件商標の指定商品中『バック及びその類似商品』の登録はこれを取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と主張し、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第6号証を提出している。

(1)請求の理由

本件商標は、その商標登録原簿の記載より明らかなとおり何人にも専用使用権又は通常使用権の設定の登録はされていないものである。

また、請求人は、本件商標が請求に係る指定商品について使用された事実については不知である。

したがって、被請求に係る指定商品について、本件商標の使用事実の証明をしないかぎり、本件商標は商標法第50条第1項に規定する「継続して3年以上日本国内において商標権者等が指定商品についての登録商標の使用をしていない」との要件に該当するものである。

そうとすると、本件商標は、商標法第50条第1項により、その登録は、取消を免れる得ないものである。

(2)答弁に対する弁駁

(イ)本件審判請求について

かって日本国においては、外国の商標が日本国内で権利取得されていないことを奇貨して、外国の商標と同一又は類似の商標をその該当する指定商品又は関連商品に商標登録すると共に、当該外国商標の名声が日本国内に広まるにつれ、その名声にただ乗りすることによって、不正な経済的利益を得ようとする業者が横行していたことは特許庁でも著名な事実である。

本件は、まさにその典型的事例ともいうべきであり、米国渡航の折に米国商標(甲第3号証)の所有者(請求人)に面会した個人(被請求人)が、当該商標とほぼ同一の商標を該当する指定商品又は関連商品に商標登録したのが本件商標である。

このように、請求人商標とほぼ同一の商標を被請求人が剽窃して日本国で商標登録をし、請求人の日本国への進出を妨害しているといった状況は、正に近年その厳格な対応が叫ばれている問題そのものである(甲第4号証及び同第5号証)。

請求人商標(甲第3号証)は米国のデザイナーによって独自に開発されたものであり、本件商標が請求人商標にたとえ偶然であれ類似することは到底考えられないから、本件商標は他人の周知・著名商標を盗用し、不正の目的をもって使用するものと容易に推認できるものである。

請求人は、別途、商標登録無効審判をも準備中であるが、迅速なる解決を図るべく先行して本件審判の請求に及んだものである。

(ロ)本件商標について

本件商標は、米国ニューヨーク市の摩天楼と称せられるビル群を恰も霧の中から浮かび上がって見えたかの如くに描いてなるものである。

(ハ)本件商標の使用について

被請求人は、許諾により株式会社レジャープロダクツ(以下、「使用者」という。)が通常使用権者として本件商標を使用していると主張する。しかし、被請求人が提出の全証拠を精査するも、使用者が商品バック等の製造販売をしていることが窺えるに止まるものである。

(ニ)しかし、百歩譲って答弁の全体を検討しても適法な本件商標の使用とは到底考えられないところであるから、乙各号証について検討する。

(ニ−1)乙第2号証について

被請求人は、乙第2号証のカタログは使用者が営業所在地で作成したものと主張するが、使用者が係る住所に営業所を有していたことは何ら立証されていない。しかして、被請求人は、答弁書第3頁第9行で「本件商標と同一の図形からなると.........。」と主張するが、乙第2号証の図形部分は太い水平線の上に摩天楼と称せられるビル群を描くものであって、本件商標の如く浮かび上がった摩天楼図形とは明らかに相違し、本件商標と使用商標とは同一性を有しないものである。次に、同第4頁左下に「マンハッタンパッセージ社は1972年の設立以来、旅と仕事をコンセプトにシティ感覚のソフトバックを生産しています。今ニューヨーカーに高い人気を得ているのがこの赤ラベルシリーズです。」と明記されている。上記の記述は、即ち使用者はマンハッタンパッセージ社との取引関係に規り上記赤ラベルで示される商標を使用していることを推認させる。そうであるならば、当然に使用者とマンハッタンパッセージ社との間で使用権等の契約が取り交わされているはずであるから、請求人は当該契約書の提出を要求するものである。因みに、請求人の調査においてマンハッタンパッセージ社なる法人は少なくとも米国ニューヨーク州内に存在しない。

また、仮に本件商標は、被請求人が独自に採択してなる商標だとすれば、「ニューヨーカーに高い人気を得ているのがこの赤ラベルシリーズ」とマンハッタンパッセージ社を紹介する記事中に本件商標に類似する商標が描かれているのは不自然であるし、マンハッタンパッセージ社との契約により赤ラベルシリーズと称する商標が使用できるのだとすると、その図形部分のみを抽出した類似商標を被請求人単独で商標登録するのは自らの不法行為を自白するものである。

更に、答弁書にて示される全証拠についても言えることであるが、正当に権利を取得されているのであれば、図形と文字を結合した使用の場合は、何故に文字部分を「ManhattanPortage」とせず「Manhattane

Possage

」とするのか、全く理解に苦しむところである。

換言すれば、「ManhattanPossage」と図形を結合した商標は使用できるにもかかわらず、「ManhattanPortage」と図形を結合した商標を使用しない合理的理由を被請求人は明確にすべきである。

(ニ−2)乙第3号証ないし同第5号証について

乙第3号証ないし同第5号証の写真により、かえって明確になったところであるが、当該使用商標は太い水平線の上に摩天楼と称せられるビル群を描くものであって、本件商標の如く浮かび上がった摩天楼図形とは明らかに相違するものであるから、両者は到底同視される図形とは言えないものである。

したがって、乙第3号証ないし同第5号証をもっては適法な本件商標の使用とは言えないものである。

(ニ−3)乙第6号証ない乙第17号証について

乙第6号証ない乙第17号証中に本件商標が付されていないばかりでなく、乙第2号証ないし乙第5号証までにおいても本件商標の適法な使用がなされていないことから、係る証拠をもって取引が如何に行われていようとも本件商標の使用を立証するものにはならない。

(ホ)結論

以上述べたとおり「被請求人たる権利者とは、商標の使用について法律的な関係が明確でない点」及び「使用商標は、登録商標と同一性がない点」の2点の事実からみて商標法第50条第1項の取消の要件を覆す答弁及び各乙号証でないこと明白である。

3.被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第27号証(枝番を含む)を提出している。

(1)本件商標は、被請求人である「網野越朗」が商標権者であるが、被請求人は、東京都小平市小川東町五丁目13番17号に所在する株式会社レジャープロダクツ(乙第1号証)(以下、「レジャープロダクツ」という)の代表取締役であり、本件商標に係る商品をレジャープロダクツが製造販売しているところから、本件商標は許諾による通常使用権者の使用である。

(2)本件商標は、平成11年3月3日にその請求の登録がなされているのが確認されたので、請求の登録前3年以内、すなわち、平成8(1996)年3月4日ないし同11(1999)年3月3日に至る期間において、本件商標が継続して使用されていることが必要である。

しかるに、本件商標を使用したバック類は、平成元年(1989)年4月頃から製造販売を開始し今日まで継続して取り扱っている。

よって、上記3年以内における取引書類から抜粋して提出する各乙号証に基づいて順次説明し、本件商標の使用を立証する。

(イ)乙第2号証について

乙第2号証は、レジャープロダクツの取り扱いに係る商品についてのカタログである。このカタログは、平成5年に作成したものであり、現在も商品カタログとして使用している。このことは、カタログ裏面の会社住所が、本店移転前の営業所所在地になっているので、本店移転日の平成8年8月20日以前の作成に係ることは明らかである。

乙第2号証カタログの表紙と第4頁左下に、本件商標と同一の図形からなる商標とその下段に「ManhattanPassage」の商標が表示されており、第4頁ないし第7頁に、本件商標を使用した商品である「バック類」が掲載されている。

これらのバック類は、取引者・需要者の間に好評を得ている商品であり、順調な販売成績を有している。

そこで、これらのバック類に本件商標が使用されていることを明瞭に示すために、3点の商品を撰んで、その写真を乙第3号証ないし同第5号証として提出する。

(ロ)乙第3号証について

乙第3号証は、乙第2号証カタログ掲載の商品番号♯2786の「サイズアップトラベルギア 3ウェイバッグ」の商品写真である。商品のタグ及び商品の正面中央に直接、本件商標を使用している。

(ハ)乙第4号証について

乙第2号証カタログ掲載の商品番号♯2750の「オリジンルクーリア 3WAYパック」の商品写真である。商品のタグ及び商品正面左下に本件商標を使用している。

(ニ)乙第5号証について

乙第2号証カタログ掲載の商品番号♯2720の「シティー 3ウェイバッグ」の商品写真である。商品のタグと商品のフラップ部分に本件商標を使用している。

(ホ)乙第6号証について

1996年(平成8年)10月14日に、(株)東北丸正に商品番号♯2720「シティー 3ウェイバッグ」を納品した佐川急便の送り状(控)と納品書(控)である。

なお、以下、個別の取引書類における商品の「単価」及び「金額」は企業秘密に属するものとして明らかにすることはできないので、その部分はかくして複写したものである。

(ヘ)乙第7号証について

1996年(平成8年)10月18日に(株)ロンド アイドルKに、乙第3号証ないし同第5号証の各商品その他を納品・販売した事実を示すものである。

(ト)乙第8号証について

1996年(平成8年)10月18日に至誠堂アオキAIR AGEに納品・販売した書類であり、乙第4号証の「オリジナルクーリア 3WAYパック」が含まれている。

(チ)乙第9号証について

1997年(平成9年)3月4日に、ジョン・オム(株)に納品・販売した書類であり、乙第4号証及び同第5号証の商品が含まれている。

(リ)乙第10号証について

1997年(平成9年)4月8日に、UNITY SPORTSに商品番号♯2720(乙第5号証)の商品を納品・販売した事実を示すものである。

(ヌ)乙第11号証について

1997年(平成9年)5月21日に、岩崎靴店に乙第2号証カタログ掲載の商品番号♯2720、♯2780、♯2750の各商品を納品・販売した事実を示すものである。

(ル)乙第12号証について

1998年(平成10年)9月1日に、(株)ウイークスに納品・販売したもので、商品番号♯2785の商品が含まれている。

(ヲ)乙第13号証について

1998年(平成10年)9月4日に、ブティック フイガロに商品・販売したもので、商品番号♯2720の商品が含まれている。

(ワ)乙第14号証について

1999年(平成11年)2月8日に、モーベンス株式会社に納品・販売したもので、商品番号♯2750の商品が含まれている。

(カ)乙第15号証について

乙第2号証掲載の商品番号♯2785「サイズアップトラベルギア 3ウェイバッグ」の「商品別・売上明細書」である。1996年(平成8年)、1997年(平成9年)及び1998年(平成10年)度分から抜粋して各1通を提出する。

(ヨ)乙第16号証について

乙第2号証掲載の商品番号♯2750「オリジナルクーリア 3WAYパック」の「商品別・売上明細書」である。1996年、1997年及び1998年度分から抜粋して各1通を提出する。

(タ)乙第17号証について

乙第2号証掲載の商品番号♯2720「シティー 3ウェイバッグ」の「商品別・売上明細書」である。1996年、1997年及び1998年度分から抜粋して各1通を提出する。

(3)以上、詳細な説明と共に提出した各乙号証によって、本件商標は、通常使用権者が本件請求の登録前3年以内に、同社の取り扱いに係る各種バック類に継続して使用していることを証明しているものである。

よって、本件商標の指定商品中、請求人が取り消しを求めた商品「バック及びその類似商品」について、商標法第50条の規定により取り消される理由はないものである。

(4)弁駁に対する答弁

(イ)請求人は、弁駁の理由において被請求人商標とほぼ同一の商標を被請求人が剽窃して日本で商標登録をし、請求人の日本国への進出を妨害している、本件商標は他人の周知・著名商標を盗用し、不正の目的をもって使用するものと容易に推認できるものである云々、と説明しているが、全くの濡れ衣であり、請求人の一方的な説明である。

被請求人が本件商標を我が国で商標登録したのは、請求人の社長であるJohn Peterとの合意に基づくものであり、その担保としての背景は1998年10月に遡る。当時、被請求人である網野越朗(以下、「網野」と称する。)が訪米時にJohn Peter氏に対して日本における請求人製品(バッグ類)の独占販売の申し入れをしたのに対し、日本に本格的な取引先がなく、日本市場に興味を持ったというJohn Peter氏は網野の申し入れを受け、両者は基本的に合意し、その夜はニューヨークで夕食を共にしたのである。

網野は帰国後、確認の電話を入れ(同年10月24日)、併せて確認の手紙を送り(同年10月27日)、その上で初回注文書を送り、L/C を開設した。そのような作業と平行して、昭和63年(1988年)11月8日に登録第2325651号商標(登録第2325691号商標の誤記と認められる。)についての登録出願をしたものであり、本件商標は平成2年9月3日に登録されたものである。

網野からの初回注文書に対して、John Peter氏は1988年11月3日付けの手紙で、約束の船積みが期日までに間に合わないこと等、いくつかの変更を一方的に知らせてきた。このため、網野は日本の顧客に対し納品することができなくなり、顧客に迷惑をかけたばかりか大事な信用を失うことになった。

そこで、網野は急ぎ対応に迫られ、「ManhattanPortage」ではなく、網野自ら「ManhattanPassage」の商標を選択して、製品のデザイン・製造を行い、「ManhattanPassage」を先行させて立ち上げた。その後、網野及び網野が代表者を務める使用者の努力により、取引先も増え、取引先の信頼を得ることが出来、商品の販売数量、売り上げも伸びていった。

その間、請求人からの通信はなかったが、網野及び使用者の日本における市場が確立し、網野及び使用者が取り扱う商品が好評を得てきた頃、すなわち、1993年4月いきなり被請求人の大事な取引先である東急ハンズ株式会社に請求人から通知書らしき書面が届き、事実に反する内容に驚いた次第である(乙第18号証)。

これに対しては、網野は請求人に直接対処して書面を出したが、請求人からの応答はその後5年以上なかった。

ところが、昨年、再度突然、取引先の東急ハンズ株式会社に1999年11月3日付けの書面(「ManhattanPortageLtd.のアジア向け窓口のPORTAGE WORLDWIDE INC.というところから」)が届き(乙第19号証)、それらの内容は不正確であり、かつ、事実に反するばかりでなく、警告を持って圧力をかけようとする態度が見て取られ、請求人の良識を疑った次第であり、被請求人は直ちに回答した(乙第21号証)。

すなわち、乙第19号証及び同第20号証の書面は、請求人とは全く関係のない被請求人の「ManhattanPossage」の商標及びその商品を指摘しているのであり、本件商標「ManhattanPortage」とは別の商標である。

このように、請求人若しくは社長のJohn Peter氏は網野との合意により始まったことであるにも拘わらず、網野若しくは使用者に対して直接接触することなく、取引先に対して営業妨害と思しき書面をいきなり送ったりしており、1988年当時の網野との合意を忘れてしまったとでもいうのか、それとも上記のような真実が表に出されるのに都合が悪いとでもいうのだろうか。

乙第18号証ないし同第20号証以外に、John Peter氏と網野がやり取りした書面の控えなどは網野が保管している。しかしながら、本件審判事件においては、あくまでも双方の事情説明であるので、全ての資料は提出しないが、請求人は真摯に網野と合意した当時の事情を振り返り、被請求人を誹謗することを注視し、紳士的な行動をしたもらいたいと願うものである。

以上の事実が真実であり、請求人の主張及び説明は、網野及び使用者の努力による我が国における市場確立をみて、日本市場における利益の独占を目論見、横やりを入れようとするほ倣漫な行為であり、被請求人に何ら不正な行為はないものである。

もし、何の証拠もなく被請求人及び使用者の製品に対して模造品呼ばわりをしている請求人の説明が認められることになれば、我が国における被請求人及び使用者の企業努力は水泡に帰し、取引の秩序は混乱するばかりでなく、請求人のように警告などの手段で圧力をかけようとする者を増長させるだけである。

(ロ)次に、請求人は、被請求人が提出した各証拠資料について、本件商標の使用には該当しない旨を反論しているので、被請求人は次のとおり反論する。

(ロ−1)請求人は、網野が代表を務める使用者(株式会社レジャープロダクツ)が、商品バッグ等の製造販売をしていることが窺えるに止まること、しかし、適法な本件商標の使用とは考えられないと主張している。

しかしながら、乙第2号証のパンフレット及び同第6号証ないし同第17号証の各取引書類をもって、使用者が商品バッグ等の製造販売をしていることは明らかであり、争う余地のないものである。

(ロ−2)請求人は、本件商標と乙各号証の使用者の使用に係る図形が同一でないと主張している。その理由は、前者が浮かび上がった摩天楼図形であるが、使用に係る商標は水平線の上に摩天楼と称されるビル群が描かれているという点にある。しかしながら、商品取引に資される商標は、図形であれ文字であれ、デザイン上の問題で、商標の下に下線を引くことは日常用いられている手法であり、この程度の相違は付記的な部分に関わるものとして問題にはならないものである。

すなわち、乙第2号証ないし同第5号証における図形商標は、ビル群の構成を同一にしているので、本件商標と実質的に同一視される商標であり、何ら問題はない。

また、請求人は、「ManhattanPassage」とビル群の図形を結合した商標について云々しているが、「ManhattanPassage」は、「ManhattanPortage」と別異の商標であり、その商標と本件商標を組み合わせて使用しているもので、商品のアイテムを異にするときは商標も異にして使用しているという事情にすぎない。

そして、乙各号証の図形部分と文字部分はそれぞれの下方に横線があることから図形部分と文字部分が区別され、図形商標を明確に認識することができるのである。

(ロ−3)また、請求人は、乙第6号証ないし同第17号証について、本件商標が付されていないとして、本件商標の使用を立証するものにはならないと主張している。しかしながら、図形商標の使用について、迅速を尊ぶ取引の実際にあって、注文書や納品書などに登録商標どおりいちいち記載することは皆無であって、乙第2号証のようなパンフレットによって、それに記載の商品名と商品番号とを照合することにより、商標と商品が特定されるので、何ら商品取引に不都合は生じないのである。

商標は商品取引に資される識別標識であり、商品取引の実際とかけ離れた主張は意味をなさない。

(ハ)甲第4号証及び同第5号証について

(ハ−1)請求人は、甲第4号証として請求人ホームページ(模造商品紹介頁)を提出しているが、ここに掲載されている商標は本件商標ではないばかりでなく、ビル群の図形(本件商標の図形と異なる)と「Manhattan/Possage」の商標を掲載して、「不正商品、模造品」などと決めつけているが、請求人の行為こそ不当な行為である。

本件商標を網野が取得したいきさつについては、冒頭で真実を説明した。しかるに、使用者が新製品に使用している商品タグまでこのようなホームページに掲載して模造品呼ばわりするとは被請求人及び使用者に対する営業妨害の何ものでもない。請求人のこのような行為により、使用者の企業イメージは著しく傷つけられる。

ここに掲載されている商標については、別途適法に商標登録を得ているのである(乙第22号証)。但し、甲第4号証掲載の使用品タグは、図形部分を変更して使用者の最新の商品に使用しているのであり、乙第22号証とは図形部分が相違している。直ちに、請求人はホームページから使用者に関する事項を削除するよう要求する。

(ハ−2)更に、請求人は、甲第5号証として請求人のホームページ(模造品に対する声明頁)を提出しているが、これについても一方的に被請求人及び使用者を指名して非難している。被請求人が本件商標を取得した経緯は冒頭に説明したとおりであり、当初の合意についてJohn Prter氏はどのように考えているのか釈明を求める。

請求人のこのような行為により、被請求人及び使用者は企業イメージを著しく傷つけられたので、請求人の行為を看過することはできない。即刻、ホームページからこれを削除することを要求する。

(ニ)以上、被請求人は、請求人の弁駁に対して答弁したが、請求人の事情論及び主張はことごく失当であり、先に被請求人が提出している乙各号証により、本件商標は、通常使用権者である使用者が本件請求の登録前3年以内に、同社の取り扱いに係る各種バッグ類に継続して使用していることを証明し得たものである。

よって、本件商標の指定商品中、請求人が取り消しを求めた商品「バッグ及びその類似商品」について、商標法法第50条の規定により取り消される理由はない。

4.当審の判断

(1)被請求人の提出した株式会社レジャープロダクツ(以下、「レジャープロダクツ」という。)の商品カタログ(乙第2号証)の表紙及びそのカタログ中には、下記に示す商標(1)及び(2)が使用され、同カタログ中には「サイズアップトラベルギア3ウェイバッグ♯2785」、「オリジナルクーリア3WAYパック♯2750」及び「シティー3ウェイバッグ♯2720」として各種バッグが表示されているものである。

(2)一方、レジャープロダクツの商業登記簿謄本写し(乙第1号証)によれば、本件商標権者である網野越朗は該レジャープロダクツの代表取締役であるから、レジャープロダクツと網野越朗とは緊密な関係を有するものとみられ、両者の間には通常使用権許諾があったものと類推し得るものである。

(3)レジャープロダクツの都民税・事業税の確定申告書写し(乙第26号証)及び消費税確定申告書写し(乙第27号証)によれば、同社は平成4年5月1日から平成5年4月30日までの間、商品カタログの裏面に掲載されている住所に営業所を有していたことが認められる。

(4)乙第3号証ないし同第5号証のサイズアップトラベルギア3ウェイバッグ♯2785、オリジナルクーリア3WAYパック♯2750及びシティー3ウェイバッグ♯2720の商品の写真及びタッグには下記の(1)、(2)、(3)の商標が使用(以下、「使用商標」という。)されているものである。

そして、本件商標と使用商標とは、下部に「Manhattan Passage」の文字及び「NEW YORK−NEW YORK 、U.S.A.」の文字の有無及び下線の有無の差異を有するものであるが、商標を構成する要部と認められる中央部に顕著に表された建物群のイラスト図形部分は、互いに極めて近似した図形よりなるものであるから、両商標は社会通念上同一性を有するものであるというのが相当である。

(5)次に、株式会社東北丸正宛の納品書及び佐川急便送り状写真、至誠堂アオキAIR AGE宛の納品書及び佐川急便送り状写真並びに岩崎靴店の納品書及び佐川急便送り状の写真(乙第6号証の1及び2、乙第8号証の1及び2、乙第11号証の1及び2)をみるに、イ)株式会社東北丸正宛の納品書及び佐川急便送り状写真(乙第6号証の1及び2)には、乙第2号証のレジャープロダクツの商品カタログに掲載されている商品「シティー3ウェイバッグ♯2720」の記載があり、該商品(「2720」及び「シティー3ウェイ」)が1996年8月13日付けでレジャープロダクツより株式会社東北丸正宛に納品されていることが認められる。

ロ)至誠堂アオキAIR AGE宛の納品書及び佐川急便送り状写真(乙第8号証の1及び2)には、乙第2号証のレジャープロダクツの商品カタログに掲載されている商品と同じ「オリジナルクーリア3WAYパック♯2725」を表したものと認められる「2750CH」「同KH」及び「クーリア」の記載があり、該商品が1996年10月18日付けでレジャープロダクツより至誠堂アオキAIR AGE宛に納品されていることが認められる。

ハ)岩崎靴店の納品書及び佐川急便送り状写真(乙第11号証の1及び2)には、乙第2号証のレジャープロダクツの商品カタログに掲載されている商品と同じ「サイズアップトラベルギア3ウェイバッグ♯2785」を表したものと認められる「2785BK」及び「サイズアップトラベルギア」の記載があり、該商品が1997年5月21日付けでレジャープロダクツより岩崎靴店宛に納品されていることか認められる。

そして、これら納品書及び送り状に記載された事項からしてみると、これら商品は本件予告登録前3年以内の1996年8月13日、1996年10月18日、1997年5月21日付けで販売されていたものと認められる。

(6)以上、(1)〜(5)のとおり、被請求人が提出した乙各号証を総合判断すれば、本件商標は、本件商標の通常使用権者と認め得るレジャープロダクツによって、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内で、本件商標と社会通念上同一視し得る商標を、取消請求に係る指定商品中の「バッグ類」に使用していたものと判断するのが相当である。

なお、請求人は、「本件商標は請求人商標の盗用である。」、「被請求人のマンハッタンパッセージ社との関係」、「図形との結合において『ManhattanPortage』の文字を使用しない理由」等縷々主張し、被請求人に釈明を求めているが、本件取消審判は、商標法第50条による不使用取消審判であって、被請求人が本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品について使用しているか否かが争点であるから、上記請求人の主張は本件審判請求の争点とは直接関わりないものである。

よって、結論のとおり審決する。

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