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Trademark Appeal Case

商標「寅さん」と「虎産」の称呼類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35532(T2000−35532/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第3286179号の指定商品中「穀物の加工品」についての登録を無効とする。
その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第3286179号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲に示すとおり、「寅」の文字に「とら」のルビを振り、これに人の名前などに添える敬語「さん」の文字とを結合させた「寅さん」文字を書し、その下段に人物を表現した図形を配した構成よりなり、第30類「茶,みそ,穀物の加工品,菓子」を指定商品として、平成5年11月29日に出願され、同9年4月25日に設定登録されたものである。

2 引用商標

請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第1039106号商標(以下、「引用商標」という。)は、「虎産」の文字を書してなり、第32類「食肉,卵,食用水産物,野菜,果実,加工食料品(他の類に属するものを除く。)」を指定商品として、昭和46年2月4日に出願され、同48年10月22日に設定登録され、その後2回に亘る存続期間の更新登録がされて該商標権は有効に存続しているものである。

3 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証の1、2、同第2号証の1、2及び同第3号証の1、2(なお、弁駁書において提出した証拠の符号を甲第1号証の1、2としているが、請求書において提出された証拠と区別するため「甲第3号証の1、2」として読み替えた)を提出している。

(1)請求の理由

本件商標は、請求人が所有する引用商標と類似し、同一もしくは類似する商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し、第46条第1項1号によりその登録は無効にされるべきものである。

a.本件商標の称呼

本件商標は、「とら」と読み仮名を振った「寅さん」からは、「トラサン」の称呼が生ずるものである。

b.引用商標の称呼

引用商標は、「虎産」の漢字二文字からなる商標であり、これから「トラサン」の称呼が生ずるものである。

c.本件商標と引用商標との類似性

両者は、「トラサン」の称呼を共通にする類似商標である。

d.指定商品の共通

本件商標の指定商品の中で、「穀物の加工品」については引用商標の指定商品と重複するものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するにもかかわらず誤って登録がされたものであるから、商標法第46条第1項第1号に該当しその登録は無効にされるべきものである。

(2)弁駁の理由

引用商標「虎産」は、本件請求人の商号「虎屋産業株式会社」の「虎屋」(トラヤ)の「虎」(トラ)と「産業」(サンギョウ)の産(サン)とを併せて商号の略称としているものを商標として採用をしているものであり、これから「トラサン」の称呼が生じることは明らかである。

甲第3号証の1、2として提出した登録第2045256号(商公昭2−73007号)「とらさんの/クイックシリーズ/早煮豆」は、引用商標の「連合商標」として登録がされていたものであって、引用商標の「虎産」とこの登録商標とは類似商標とされているから、引用商標の「虎産」からは「トラサン」の称呼が生じるとされ、この登録商標の「とらさんの」の部分から生じる称呼「とらさん」と称呼類似と認定されていたことは明らかである。(なお、この商標登録は、有効に存続中であり、また、現に各種煮豆の商標として使用中である。)

したがって、本件商標及び引用商標からはともに「トラサン」の称呼が生じるから、両者は称呼において相紛らわしい類似商標であり、その指定商品が一部重複する。

4 被請求人の答弁

被請求人は、答弁の理由を要旨次のように述べている。

(1)本件商標は、国民的映画として当社が昭和44年から約30年にわたり製作し上映し、二次、三次使用している劇場用映画「寅さんシリーズ」49本のグッズとして、種々の商品を販売しているもので、その映画の「寅さん」の愛称と独特の映画の主人公の姿・形を絵に表わし、全体で1つの商標として登録されたものである。

なお、本件商標は、寅さんの図形は同じであって、横文字の「寅さん」の部分が「男はつらいよ」と記されて表示した登録第3264772号商標の連合商標として登録されているということは、如何に映画「男はつらいよ」=「寅さん」が著名でありオリジナリティがあるかの証明と思料する。

引用商標は、漢字で「虎産」と横書きされたもので、「こさん」と音読みで称呼するか或いは「とらうむ」と訓読みで称呼するか、無理に「とらさん」と1字づつ音と訓で称呼するか第三者には不明である。

また、本件商標の「寅さん」は「図形」で判る通り偶像としての寅さんの固有の名詞である。引用商標の「虎産」については、意味が不明である。

したがって、本件商標と引用商標は、外観、観念、称呼のいずれにおいても非類似であって、登録無効の審判請求は当らない。

5 当審の判断

本件商標は、その構成別掲に示したとおり「とら」のルビが振られた「寅さん」の文字と劇場用映画「寅さんシリーズ」の主人公の特徴を捉えた漫画風図形とを結合してなるものと認め得るところ、その文字部分が該主人公の愛称を表示したものであるとしても、構成中の文字と図形とは、視覚上自ずと分離して看取されるものであり、両構成部分はそれぞれが独立して商品の出所を識別する標識として機能し得るものというべきである。

そして、かかる場合、本件商標に接する取引者・需要者は、「寅さん」の文字部分に着目し、これより生ずる「トラサン」の称呼をもって取引に資されるものとみるのが相当である。

請求人は、本件商標は全体で1つの商標として登録されたものであり、本件商標が「寅さん」の文字部分を「男はつらいよ」と置き換えて表示された登録第3264772号商標の連合商標として登録されたということは、如何に映画「男はつらいよ」=「寅さん」が著名でありオリジナリティがあるかの証明と思料する旨述べているが、これもっては、該図形部分が独立して自他商品の識別力を有することを認め得るに止まり、本件商標のかかる構成において、映画「男はつらいよ」=「寅さん」とまでの連想作用が働いて取引に資されるものとは認め難いところである。

したがって、本件商標は、単に「トラサン」の称呼が生ずるものといわなければならない。

他方、引用商標は、その構成前記したとおり「虎産」の文字よりなるものであって、これがルビの如き仮名文字の記載もないから、引用商標に接する取引者・需要者は、その語学知識に応じ、それぞれの読み方をするものとみるのを相当とするところ、「コサン」と音読みで称呼するか或いは「トラウム」と訓読みで称呼しなければならないとする必然性に乏しく、このほか重箱読みの如きに「トラサン」と読まれることを否定し得ないから、引用商標よりは「トラサン」の称呼を生じるものというのが自然であり、これをもって取引に資されること少なくないといわなければならない。

そうすると、本件商標と引用商標とは「トラサン」の称呼を同じくする点で互いに相紛らわしく、このほか外観・観念上の差異を考慮するとしても、電話等による口頭の取引においては商標の称呼をもって商品を特定することになり、このような場合、称呼を同じくする商標は、商品の出所の誤認混同を生ずるおそれが多分にあるというべきであるから、これら各点を総合判断するになお、両商標は類似のものというべきである。

そして、本件商標の指定商品中の「穀物の加工品」については、引用商標の指定商品中の「加工食料品(他の類に属するものを除く)」に包含される商品である。

したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の「穀物の加工品」については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により無効とするべきものである。

しかしながら、本件商標と引用商標の指定商品とは、「穀物の加工品」以外の商品については非類似の商品と認め得るものであるから、本件商標は、その指定商品中の「穀物の加工品」以外の商品については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものでないから、同法第46条第1項の規定により無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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