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Trademark Appeal Case

ガソリン商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2000−90920(T2000−90920/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4386456号商標の指定商品中「理化学機械器具、測定機械器具、配電用又は制御用の機械器具、ロケット、遊園地用機械器具、消防艇、消防車、潜水用機械器具、災害用救命用具、火災報知器、消火器、スプリンクラー消火装置、保安用ヘルメット、防火被服、防毒マスク」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4386456号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成11年2月2日に登録出願、「ガソリン」(標準文字による。)の片仮名文字を書してなり、商品の区分第9類に属する商標原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成12年5月26日に設定登録がなされているものである。

2 登録異議申立人(以下、「申立人」という。)の異議理由

(1)本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する商標である。

本件商標は、「ガソリン」の標準文字から成るが、「ガソリン」とは「沸点範囲がセ氏25〜200度の石油留分および石油製品の総称」であり、「ガソリン機関の燃料、溶剤に用いる」ものである(甲第1号証)。この「ガソリン」の語は元は外来語ではあるが、現在においてガソリンは自動車の燃料などとして一般的に使用されており、その事実は需要者の誰もが知るところである。

したがって、一般需要者が「ガソリン」の文字を見た場合において、一般的には「燃料、溶剤としてのガソリン」を連想するであろうことは、想像に難くないことである。すなわち、本件商標の指定商品中、例えば「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,ロケット,遊園地用機械器具」等の商品に「ガソリン」の標準文字より成る本件商標を付した場合には、「ガソリン」は、それらの機械器具等の燃料を指し示すに過ぎないこととなる。したがって、当該商標は商品の品質を普通に用いられる方法で表示しているのみであり、商標として商品識別の機能を有さず、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

(2)次に、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する商標である。

上記に述べたように「ガソリン」の文字は、一定の意味観念を容易に想起させる語句であることから、本件商標が本件指定商品中、ガソリンを燃料としない商品に使用された場合においては、商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標に該当するものと考えられる。

したがって、本件商標はその指定商品を「ガソリンを燃料とする」や「ガソリンを溶剤として使用する」等のような限定を行っているものではないので、ガソリンを燃料又は溶剤としない商品を当然に包含するものであり、商標法第4条第1項第16号の商標に該当するといえる。

(3)本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する商標であるともいえる。

実際の具体例としては、ガソリンを燃料としない商品、例えば、ガソリンとはその性質や取扱いが異なる軽油や灯油等を燃料とする機械器具について、その商品に本件商標である「ガソリン」の文字が付してある場合などにおいて、その機械器具の取扱人は、その「ガソリン」の表示より、その機械器具は当然に「ガソリン」を燃料とする機械器具であろうと誤認し、誤ってガソリンを給油してしまう等の事態が発生することも考え得ることである。このような場合には、需要者に商品の品質誤認を引き起すばかりでなく、実際に需要者に危険や損害が及ぶ可能性が十分に考えらる。現実に、ガソリンスタンド、工場、家庭などにおいて、誤使用、誤給油が原因で事故が起き、社会問題となるケースが後を絶たないことは経験則上明らかな事実であり、もし、本件商標を指定商品等に使用することを法が許すなら、このような事故を助長する結果ともなり得る責任を問われる事も予想される。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第7号の公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標に該当するものである。

以上、本件商標は、商標法第43条の2各号の商標登録の取消理由の内、商標法第3条第1項第3号、第4条第1項第7号、第4条第1項第16号の商標に該当するものである。

なお、これらの理由は、指定商品との関係において、本件商標指定商品中、「ガソリンを燃料又は溶剤とする商品」については商標法第3条第1項第3号が、それらに該当しない「ガソリンを燃料又は溶剤としない商品」については商標法第4条第1項第16号が適用され、商標法第第4条第1項第7号については、本件指定商品全体について適用され得るものと考えられる。

3 当審の取り消し理由

本件商標は「ガソリン」の文字を書してなるところ、これを構成する「ガソリン」の語は、「沸点範囲がセ氏25〜200度の石油留分および石油製品の総称。」であり、各種機器の「燃料、実験材料、溶剤」等に使用されることは広く知られているところである。そうとすれば、本件商標を構成する「ガソリン」の文字に接する取引者・需要者は、当該商品が「ガソリンの分析・実験用の商品」、「ガソリンを動力源とする商品」、「ガソリン用の特殊な商品」等を表したものと理解・認識するにすぎないものとみるのが相当である。

してみれば、本件商標は、その指定商品中「ガソリンの分析・実験用理化学機械器具・測定機械器具,ガソリンを動力源とする配電用又は制御用の機械器具・ロケット・遊園地用機械器具・消防艇・消防車・潜水用機械器具」及び「ガソリン用特殊災害用救命用具・火災報知機・消火器・スプリンクラー消火装置・保安用ヘルメット・防火被服・防毒マスク」について使用するときは、単にその商品の用途・品質を表示するものであって、前記商品以外の「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,ロケット,遊園地用機械器具,消防艇,消防車,潜水用機械器具,災害用救命用具,火災報知機,消火器,スプリンクラー消火装置,保安用ヘルメット,防火被服,防毒マスク」について使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

したがって、本件商標は、上記商品について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定に基づいて、その指定商品中「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,ロケット,遊園地用機械器具,消防艇,消防車,潜水用機械器具,災害用救命用具,火災報知機,消火器,スプリンクラー消火装置,保安用ヘルメット,防火被服,防毒マスク」については取り消すべきものと認められる。

4 当審では、平成13年1月22日付けで取消理由を通知し、期間を指定し上記3の取消理由を通知し意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何の応答もなかった。

5 当審の判断

よって判断するに、当審の上記の取消理由は妥当なものと認められ、本件商標は「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,ロケット,遊園地用機械器具,消防艇,消防車,潜水用機械器具,災害用救命用具,火災報知機,消火器,スプリンクラー消火装置,保安用ヘルメット,防火被服,防毒マスク」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものと認められる。

したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項の規定によりその指定商品中上記商品については取り消すものとし、本件登録異議申し立てに係るその余の商品については取り消すべき理由がないから、同第4項により登録を維持する。

よって、結論のとおり決定する。

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