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Trademark Appeal Case

全身調整の記述性・識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2000−90588(T2000−90588/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4364001号商標の指定役務中「美容」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定役務についての商標登録を維持する。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第4364001号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成9年6月9日に登録出願され、「全身調整」の文字を横書きしてなり、第42類「調剤,歯科医業,衛生に関する指導,栄養の指導,美容,健康診断,理容,宿泊施設の提供,家畜の診療,入浴施設の提供,庭園又は花壇の手入れ,老人の養護,肥料の散布,美容院用・理髪店用機械器具の貸与,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」を指定役務として、平成12年3月3日に設定登録されたものである。

2.登録異議の申立ての理由

本件商標は「全身調整」の文字を普通に用いられる方法で表示したに過ぎないから、指定役務中の「美容」、特にエステティック(全身美容)に本件商標を使用しても、「全身の調整のためのエステティック」あるいは「エステティックのために全身の調整を行うサ−ビス」を意味するに過ぎない。また、全身美容(エステティック)では、全身を調整することが行われており、また東洋医学の「気」の理論に基づく施術がエステティックに適用されており、その一つの整体療法は「全身を調整する」ものであるから、「全身調整」の文字から役務の質(内容)もしくは効能あるいは態様を表示するに過ぎず、自他商品識別標識として機能を果たしえない。また、上記の役務以外の役務に使用した時は役務の質について誤認を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

3.本件商標に対する取消理由

本件登録異議の申立てがあった結果、本件商標の指定役務中「美容」については、本件商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして通知した取消理由は、つぎのとおりである。

<取消理由>

本件商標は、「全身調整」の文字を普通に用いられる方法で横書きし、第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として設定登録されたものである。

しかして、本件商標は「体全体の調子を整え過不足をなくし、程よくする。」の意味合いを認識させるものであるから、これをその指定役務中「美容」の範疇に属するものと認められる「エステティック(全身美容)」について使用した場合は、単に該役務の質(内容)を表示するにすぎないものとみるのが相当である。

さらに、本件商標を、上記以外の「美容」について使用した場合は、役務の質について誤認を生じさせるおそれがある。

したがって、本件商標は、その指定役務中の表記役務について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

4.商標権者の意見

(1)本件商標である「全身調整」は「体全体の調子を整え過不足をなくし、程良くする」と認識され、これを「エステティック(全身美容)」について使用した場合、単に役務の質(内容)を表示するに過ぎないとしている。

しかしながら、岩波書店の広辞苑によれば、「エステティック」の本来意味は「イ)美学、ロ)全身美容」であり、このうち「美容」は「イ)美しい容貌、ロ)容貌・容姿・髪型を美しくすること。美粧」を指す。また「美粧」に関しては「美しくよそおうこと。美しい化粧」を意味するものである。

この事から「調整」語は「調子を整え過不足をなくし、程良くする」となり「美容」語は「美しい容貌。容貌・容姿・髪型を美しくすること。美しくよそおうこと。美しい化粧」となり、この「調整」語と「美容」語は全く異なる語と一般的に認識されているものである。この事から「全身調整」語が「エステティック(全身美容)」の役務の質(内容)を表示するとの考えは一般的でないことが理解できできるものである。それ故、本件商標が商標法第3条第1項第3号に違反するとの考えは不適切である。

(2)「全身調整」語及びその一部を形成する「調整」語に関しては−般的に「美容」の意味合いを有するとしては認識されていないことが理解できる。 しかしながら、本商標権者である「山田陽子プロポーションクリニック」は、「調整」語に「美容」の概念を持ち込み、「調整美容」として既に確立し(第1号証)、25周年を迎えている。そうであるから、本件商標が「体全体の調子を整え過不足をなくし、程良くする」と認識され、これを「エステティック(全身美容)」について使用した堤合、単に役務の質(内容)を表示するとしても、それは商標権者が長期に渡り使用したからこそ識別力を有したものと理解することができる。この場合、長期に渡り使用している事実を鑑みると、本件商標は役務の質の誤認を生ずるとは考えづらく、商標法第4条第1項第16号に違反するとの考えは不適切なものであり、かつ、商標法第3条第2項の適用を受けるべき事柄である。

(3)以上のことから、本件商標である「全身調整」は「体全体の調子を整え過不足をなくし、程良くする」と認識され、これを「エステティック(全身美容)」について使用した場合、単に役務の質(内容)を表示するとは言いえず、また、長期に渡り使用していることも明白であるから、本件商標は第42類「美容」を取り消すことはできないものである。

5.当審の判断

本件商標は、「全身調整」の文字を横書きしてなるものである。

そして、商標権者は「美容」と「調整」では本来的な意味合いが相違する旨主張しているが、申立人提出の甲第4号証(2000年1月1日朝日新聞社発行「知恵蔵」)によれば、「エステティック」の項に「......近年、ツボ刺激や経路刺激といった東洋医学の考え方『気』の理論に基づく施術法や、インド伝承医学アユール・ベーダなども取り入れられ、リラクゼーション効果や体質改善効果なども研究発表されている。」との記事が掲載されており、この記事によれば「エステティック」は広い意味合いの「全身調整」であると解するのが相当である。

しかして、本件商標は「体全体の調子を整え過不足をなくし、程よくする。」の意味合いを認識させるものであるから、これをその指定役務中「美容」の範疇に属するものと認められる「エステティック(全身美容)」について使用した場合は、単に該役務の質(内容)を表示するにすぎないものとであり、本件商標を、上記以外の「美容」について使用した場合は、役務の質について誤認を生じさせるおそれがある。

したがって、本件商標は、その指定役務中「美容」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものでり、同法第43条の3第2項の規定により、その指定役務中「美容」についてその登録を取り消すべきものとし、その余の指定役務については、取り消す理由がないから、同第4項の規定により登録を維持する。

商標権者は、山田陽子プロポーションクリニックの資料(乙第1号証)を提出し、本件商標は商標法第3条第2項の適用が受けられる旨主張しているが、本件商標は登録されているものであるから、この点に関する主張は採用できない。

よって、結論のとおり決定する。

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