Trademark Appeal Case
ONE TO ONEの記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2000−90624(T2000−90624/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4367174号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ONE TO ONE」の文字と「ワン・トゥー・ワン」の文字とを二段に横書きしてなり、平成10年9月29日に登録出願、「第38類 電子計算機端末による通信,情報通信に関する企画又は助言,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」を指定商品として平成12年3月10日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
本願商標は、「顧客との『ワン・トゥ・ワン』(一対−)の相互関係を前提としたマーケティング」を意味する「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」を認識させるものであるから、これを「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」のための電子計算機端末による通信などに使用しても、単に当該役務の質ないし用途を表示したものと認識されるに止まり、自他役務の識別機能を発揮し得ない。また、それ以外の役務に使用した場合には、当該役務があたかも「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」用のものであるかの如く、役務の質に関して誤認させるおそれがある。したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の規定に違反してされたものであるから、その登録は取り消されるべきである。
3 本件商標に対する取消理由
本件登録異議の申立てがあった結果、本件商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第第16号に該当するとして商標権者に対して通知した取消理由の要旨は、つぎのとおりである。
<取消理由>
本件商標は、「ONE TO ONE」の文字と「ワン・トゥー・ワン」の文字を上下二段に横書きしてなるものであるところ、該語は、英語において「(2つ以上のグループ間で)各要素がそれぞれ対応する、一対一対応の」の語義を有するものである。
ところで、本件指定役務中「電子計算機端末による通信」においては、近年、一対一対応による通信から一対複数・不特定多数との通信が行われていることは良く知られているところである。そして、登録異議申立人提出の各証拠によれば、インターネット、電子メールを利用した電子商取引の場等においては、一企業が多数の顧客に対し、顧客の趣味、嗜好、要求、動向などを把握し、顧客一人一人に対してきめ細かく対応した通信によるマーケティングがおこなわれ、これを「ワン トゥー(ツー) ワン マーケティング(ONE TO ONE MARKETING)」と称していることが認められる。
してみれば、本件商標を指定役務中、例えば、「マーケティングについての電子計算機端末による通信」に使用する場合、これに接する取引者・需要者は、該役務が「一対一対応の通信」、「ワン トゥー ワン マーケティングによる通信」、又は、「一対一対応のきめ細かな通信」であることを、及び「一対一対応の情報通信に関する企画又は助言」について使用するときは、単にその役務が「一対一できめ細かな企画又は助言をするもの」、又は、「ワン トゥー ワンマーケティングについての情報通信の企画、又は助言」であること、更に、「電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」に使用するときは上記役務に対応する機器の貸与であること、すなわち、単に役務の質(内容)、方法を表すにすぎず、また、これを、上記以外の「電子計算機端末による通信」、「情報通信に関する企画又は助言」及び「電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」に使用した場合には、その役務の質について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、これを本件指定役務中、上記に照応する役務に使用したときには、単に役務の質(内容)、方法を表したにすぎず、それ以外の役務に使用するときは、役務の質(内容)について誤認を生じるおそれがあるから、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。
4 商標権者の意見
上記3の取消理由に対し、商標権者は、要旨つぎのように意見を述べた。
(1)「ONE TO ONE」の文字及び「ワン・トゥー・ワン」の文字は、英語において「(2つ以上のグループ間で)各要素がそれぞれ対応する、一対−対応の」の語義を有するものであることは認める。
しかしながら、「ONE TO ONE」の文字及び「ワン・トゥー・ワン」の文字は、「ワンツースリ−」等の音がかけ声やテンポをとるときに広く使用されている現実においては、それと類した語呂のよい特定の観念を有しない造語として需要者・取引者に認識される余地も十分有り、必ずしも上記の英語の観念を一義的に直感せしめるものではない。
(2)本件商標の構成はあくまでも「ONE TO ONE/ワン・トゥー・ワン」であり、「ONE TO ONE MARKETING/ワン・トゥー・ワン・マーケティング」ではない。
「ONE TO ONE MARKETING/ワン・トゥー・ワン・マーケティング」はマーケティングに関する新しい手法を表した言葉であり、「MARKETING」或いは「マーケティング」の文字を伴わなければ意味をなさない。これは、登録異議申立人(以下「申立人」という。)提出の各証拠における「ONE TO ONE MARKETING/ワン・トゥ−・ワン・マーケティング」の解説或いは紹介記事において例外なく「ONE TO ONE MARKETING/ワン・トゥー・ワン・マーケティング」と表記されていることからも明らかである。
上記各証拠の中には、本文中において一部「MARKETING」或いは「マーケティング」の文字を省略している記述もあるが、それはあくまでも記事冒頭の「ONE TO ONE MARKETING/ワン・トゥー・ワン・マーケティング」の記載を前提とした省略である。よって、この一事をもって「ONE TO ONE/ワン・トウ−・ワン」の文字が取引上取消理由にいうような意味合いを表すものとして普通に使用されていることの証拠とすることはできない。
その他、申立人提出の各証拠を精査しても、「ONE TO ONE/ワン・トゥー・ワン」の文字が取引上取消理由にいうような意味合いを表すものとして普通に使用されていることの事実を見出せない。
一方、「ONE TO ONE/ワン・トゥー・ワン」の文字が、「(2つ以上のグループ間で)各要素がそれぞれ対応する、一対−対応の」の語義を必ずしも一義的に直感せしめるものではないことは前記した通りであり、仮に直感せしめたとしてもそれだけでは具体的にどのような品質を表すのか不明である。
以上の事実から、本件商標は取消理由にいうような意味合いを暗示することが仮にあっても、一義的に直感させ得ることはあり得ず、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号には該当しない。
5 当審の判断
本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものであるとの理由によりその登録を取り消すべきものとした前記3の取消理由は妥当なものであって、これについて述べる商標権者の上記4の意見は、以下の理由により、採用することができない。
本件商標中の「ONE TO ONE」の文字は、「(2つ以上のグループ間で)各要素がそれぞれ対応する、一対−対応の」を意味する英語であり、この意味を理解することが困難であるなど難解な部類に属する英語とも解されないものである。加えて、申立人の提出に係る甲第2号証「1999現代用語の基礎知識」の「ワン・トゥ・ワン・マーケティング(one to one marketing)」の項に「データ・ベース、コンピュータ、ネットワーク、テレコミュニケーションをはじめとする情報・通信技術の発展によって、顧客とのワン・トゥ・ワン(一対一)の相互関係を前提としたマーケティングが可能となった。」、「ワン・トゥ・ワン・マーケティングの重要性の認識が高まっている。」の記載があり、また、甲第5号証「1997年9月9日付け繊研新聞」に「通販業界でワン・トゥ・ワン(個別対応)マーケティングという概念が脚光を浴びてきた」、「今年四月にはワン・トゥ・ワン・マーケティング協議会も設立された。」の記載がある。その他、申立人の提出に係る甲第7号証ないし同第25号証に、「ネット上で個人客に対応『ワン・ツー・ワン』広がる」(甲第7号証)、「情報発信」「ワンツーワンマーケティング」(甲第8号証)、「『ハッチ』で新サービス」「ワンツーワンマーケ促進」(甲第9号証)、「ワンツーワン・マーケ実現」(甲第11号証)など、「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」について新聞において報道され、また紹介されていることが認められる。
これらの事実からすると、わが国の産業界においては、マーケティングの手法の中で、情報・通信技術を利用したワン・トゥ・ワン(一対一)の相互関係を前提とした「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」(one to one marketing)」が、脚光を浴び注目されている実状にあるというべきである。
してみれば、本件商標は「ONE TO ONE」及び「ワン・トゥー・ワン」の文字よりなるものであって、構成中に「MARKETING」「マーケティング」の語を有するものではないが、本件商標の指定役務中に、マーケティングに係わる情報・通信に関連する役務が包含されているのであるから、上記実状にあることからすれば、本件商標に接した需要者は、これを「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」に関する役務を端的に表現したもの、すなわち役務の質(内容)、方法を表したものと認識するにとどまるものと判断せざるを得ない。
そうとすれば、本件商標は、上記に照応する役務については質(内容)、方法を表したにすぎないものであり、それ以外の役務については、役務の質(内容)について誤認を生ずるおそれがあるから、結局、商標権者の主張は採用することができない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の規定に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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