Trademark Appeal Case
運動用具と特殊靴の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年異議第91047号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4262154号商標(以下「本件商標」という。)は、「ナイスショット」の文字を横書きしてなり、平成9年9月24日に登録出願され、第28類「運動用具」を指定商品として、平成11年4月16日に設定の登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由
昭和33年5月1日登録出願、「NICESHOT」の文字と「ナイスショット」の文字とを二段に併記してなり、第61類「傘、杖、履物及びその附属品」を指定商品として、昭和34年2月19日に設定登録されている登録第533542号商標(以下「引用商標」という。)と本件商標は、称呼及び観念において類似する商標であって、引用商標に係る指定商品と類似する商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は取り消されるべきである。
3 取消理由の通知
平成11年11月8日付けで、商標権者に要旨下記の取消理由を通知した。
本件商標と引用商標とは、共にその構成文字から「ナイスショット」の称呼を生ずる類似の商標であり、かつ、本件商標の指定商品である「運動用具」と引用商標の指定商品に含まれていると認められる「運動用特殊靴」とは、取引系統、販売系統等を共通にすることの多い互いに類似の商品である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
4 商標権者の意見
上記3の取消理由に対して、商標権者は、要旨つぎのように意見を述べ、証拠として乙第1号証ないし乙第3号証を提出している。
本件商標の指定商品である「運動用具」と引用商標の指定商品に含まれるとされる「運動用特殊靴」の帰属する商品区分について大正10年法から現行法に至る変遷について検討する。
本件商標の指定商品である「運動用具」は、大正10年法の第65類に「運動遊戯具」の大概念があり、これに包含される「運動具」が現行法の第28類の「運動用具」に若干の例外を除いて相当するものと思われる。
他方、引用商標の指定商品は、大正10年法の第61類の商品である「傘、杖、履物及びその附属品」であり、問題の「運動用特殊靴」なる商品概念が当時通用していたのか甚だ疑問である。仮に「運動用特殊靴」が当該第61類の「履物」に含まれていたとしても、現行法では「運動用特殊靴」は日常歩行用の靴や、運動靴と同じ第25類の商品であり、「運動用具」と「運動用特殊靴」とは、昭和34年法において第24類の「運動具」で括られた他は、歴史的にみて直接的な関係はなく、当該「運動用特殊靴」の概念自体、「運動用特殊衣服」等と同様、昭和34年法の下で作られた概念ではないかと思われる。
そして、特許庁商標課で作成された「書換ガイドライン」によれば、大正10年法の第61類に属する「履物」中「靴」に相当する商品は、運動靴を含む「靴(地下足袋を除く。)」を第25類(類似群22A01)、「運動用特殊靴(乗馬靴を除く。)」を第25類(24C01)、「乗馬靴」を第25類(24C02)、「スケート靴」を第28類(24C01)に、それぞれ書き換えることができるものとされている(乙第1号証)。
また、同ガイドラインによれば、類似群コード24C01に該当する商品は大正10年法区分で8区分に分かれており、これらの書換商品に全て同等の後願排除効を与えるとすれば、商標権の効力の不当な拡大を特許庁自らが是認するに等しく、商標行政に対する国民の信頼を損なう結果を招くものと言わざるを得ない。大正10年法で「運動用特殊靴」と積極表示されているわけでもない引用商標の第61類の指定商品について、第65類の「運動具」について商標権を取得したのと同等の類似範囲を認めることは、昭和34年法の商品類似概念に拘泥するあまり、大正10年法に基づく商標権の効力範囲を曲解するものと考える。
同ガイドラインを尊重しこれに従うとしても、上記の記載からみて、本件商標の指定商品中の「スケート靴」(或いはこれに「ローラースケート」を加えたもの)のみが引用商標の指定商品に抵触するおそれがあるに過ぎないものとみるべきであり、引用商標をもって本件商標の商標登録を全部取消とすることは許されないものと思料する。
次に「運動用具」と「運動用特殊靴」の類否について、検討する。
特許庁商標課作成の「商品及び役務区分解説」によれば、「運動用具」とは、各種スポーツに使用される器具であり、運動用特殊衣服と運動用特殊靴を除いた概念である。
いくつかの総合スポーツ用品メーカーであれば運動用具の他運動用特殊衣服、運動用特殊靴等あらゆるスポーツ用品を製造・販売する可能性があるが、一般的には各スポーツ毎・商品毎に専門のスポーツ用品メーカーが、スキー板、スキー靴、野球用バット、野球用靴、野球用ユニフォーム等を豊富な製造ノウハウをよりどころに製造・販売しており、トップブランド製品もこれらの専門メーカーの製造に係るものが多いという現実がある。
また、引用商標は少なくとも「運動用特殊靴」について周知商標とは言えないから、引用商標の指定商品中に「運動用特殊靴」が含まれるとしても、その出所表示機能が「スケート靴」を除く「運動用具」についても発揮されるものとみるべき理由はないものと思われる。
この点取消理由は「運動用具」と「運動用特殊靴」とが類似する根拠として、両者の取引系統、販売系統の共通性を挙げている。
しかしながら、小売店の店頭においては、スキー靴等は格別、バスケットボール靴、テニス靴等の運動用特殊靴は、一般的な靴や運動靴、スニーカー等と並べて販売されている場合も多く、特許庁の最近の審査例をみても、例えば「ストリートバスケットに適する靴」が類似群コード22A01を付与されて商標登録を受けている事実があり(乙第2号証)、「運動用特殊靴」は「運動用具」よりも、商品類否判断基準からみて、類似群コードの異なる「靴(運動靴)」に近似する商品であると思われる。
なお、特許庁における過去の審査例をみても、本件商標と同一の文字構成よりなる商標が、昭和34年法の第24類の「ゴルフ用具」について登録査定を受けている事実があり、旧第61類の全類指定商品は「運動用具」との関係において後願排除効を有するものでないことは明らかである(乙第3号証)。
商標権者は、本件商標についての行政処分が当該先例と結論を異にすべき理由を発見することができない。
以上の理由により、商標権者は、本件商標の指定商品が「スケート靴」或いはこれに加えて「ローラースケート」を除いて引用商標の指定商品に類似せず、本件商標の商標登録の全部が商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものではないことを確信する。
5 当審の判断
本件商標と引用商標とは、共にその構成文字から「ナイスショット」の称呼および観念を共通にする類似する商標と認められる。
また、本件商標の指定商品である「運動用具」と引用商標の指定商品に含まれていると認められる「運動用特殊靴」とは、その用途、販売店、需要者等を共通にすることが多いから、両者は互いに類似する商品であるとみるのが相当である。
商標権者は、「商品及び役務区分解説」によれば、「運動用具」とは、各種スポーツに使用される器具であり、運動用特殊衣服と運動用特殊靴を除いた概念である。そして、「運動用特殊靴」は「運動用具」よりも、商品類否判断基準からみて、類似群コードの異なる「靴(運動靴)」に近似する商品であると思われる。したがって、本件商標の指定商品が「スケート靴」或いはこれに加えて「ローラースケート」を除いて引用商標の指定商品に類似しない旨述べている。
しかしながら、大正10年法の第61類「傘、杖、履物及びその附属品」に含まれていると認められる「運動用特殊靴」は、「商品区分」に基づく類似商品審査基準〔改訂版〕(昭和61年3月28日発行)の新旧類似商品対照表に記載されているとおり、昭和34年法の第24類「運動具」の概念に属するものとして、そして、運動用特殊靴とそれを除いた運動具は互いに類似商品として一貫して取り扱ってきたところであり、「商品及び役務区分」に基づく類似商品・役務審査基準〔改訂第8版〕(平成8年12月20日発行)の他類間類似商品の一覧表(24C01)には、第25類「運動用特殊衣服 運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」と第28類「運動用具」とが同じ欄内に掲載されていることからもこの解釈、運用が是認されるものであって、商標権者の意見は、採用することができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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