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Trademark Appeal Case

称呼の類似性:長音記号の有無

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35109(T2000−35109/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4267970号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成7年7月3日登録出願、「PROMOD」の欧文字よりなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルド,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として同11年4月30日に登録されたものである。

2 請求人の引用する商標

請求人が、本件商標の指定商品中「被服」は、商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した登録第731916号商標(以下、「引用A商標」という。)は、昭和40年6月22日登録出願、「プロモード」の片仮名文字を上段に、「Promode」の欧文字を下段に、それぞれ横書きしてなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として同42年1月31日に登録され、同52年6月6日、同62年4月17日および平成9年1月30日に、それぞれ商標権の存続期間の更新登録がされているところ、本引用A商標に対して、商標法第50条の規定に基づく取消審判の請求があった結果、その指定商品中「布製身回品、寝具類」についてはその登録を取り消す旨の審決の確定登録が平成9年7月16日にされているものである。

同じく、登録第2706585号商標(以下、「引用B商標」という。)は、平成4年3月12日登録出願、「プロモード」の片仮名文字を上段に、「PROMODE」の欧文字を下段に、それぞれ横書きしてなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、同7年4月28日に登録されたものである。

以下、上記引用A商標および引用B商標を併せて引用各商標という。

3 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品中、「被服」について登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求めると申し立て、その理由および被請求人の答弁に対する弁駁を概要次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第7号証(枝番を含む)を提出した。

本件商標を構成する「PROMOD」は普通の辞書に存在しない造語からなるものであるために定まった称呼はないが、これをローマ字読み、あるいは権利者の名称から「プロモド」が生ずる。その根拠の一つとして、本件商標の登録出願時の委任状とその訳文(甲第4号証)において本件権利者の名称は本件商標と同じ「PROMOD」であり、これを「プロモド」と表記している。

一方、引用A商標および引用B商標は「プロモード」と「Promode」あるいは「PROMODE」とを併記した構成からなるものであり、片仮名文字は欧文字の発音を仮名書きしたものであること明らかであるため、「プロモード」の称呼が生ずるのである。

これより、本件商標より生ずる称呼「プロモド」と引用各商標から生ずる称呼「プロモード」とは、第3音の「モ」音において長音記号の有無の差異を有し、この長音記号を正確に発音することにより語感が異なることがあるとしても、長音記号の有無の発音は個人差があり常に必ずしも正確に発音されるとは限らず、両者の相違は微差にすぎないものである。

このことは、特許庁商標課編「商標審査基準」の商標の称呼における類否について、「八、第4条第1項第11号」の(H)(5)において、「相違する1音が長音の有無、促音の有無又は長音と促音、長音と弱音の差にすぎないとき」は両者は称呼上類似すると解説している(甲第5号証)。

したがって、中間音の長音記号の有無のみの微差にすぎない本件商標と引用各商標とは当該「商標審査基準」で定められた原則からも類似するものであること明白である。

しかも、本件審判事件の被請求人である本件商標の権利者は、引用B商標である甲第3号証の異議申立の決定の後に、本件審判事件の請求人であるユニチカ株式会社の当時の代表者に宛てた権利譲渡依頼の書簡(甲第6号証)において、本件商標の権利者自身の名称を自ら「プロモード社」「プロモード(PROMOD)社」と記載しているのである。係る書簡は代理人が作成したものであるとしても、代理人の行為は権利者の行為に他ならないものであるから、登録商標から「プロモード」なる称呼が生ずることも明白である。

すなわち、本件審判事件の被請求人自らが、甲第6号証に記載して使用している被請求人の名称「プロモード社」「プロモード(PROMOD)社」から明らかなように「PROMOD」からは「プロモード」の称呼が生ずるのであり、これは引用各商標から生ずる称呼「プロモード」と同一の称呼であり、そのため両者は称呼を共通にする類似商標であること明白である。

さらに、本件審判事件の請求人が平成7年8月29日に登録出願した平成7年商標登録願第89210号の拒絶理由通知を提出する(甲第7号証)。当該登録出願は、甲第7号証の拒絶理由通知書に示されているように、類似商標として本件商標が引用されているのであり、商標法第4条第1項第11号の規定に該当するという拒絶理由である。

上記したいずれの事項も、本件商標と引用A商標および引用B商標が類似するものであることを証明する顕著な事柄である。

本件商標は「第25類 被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品とするものであり、引用A商標の指定商品は、第17類「被服」、引用B商標の指定商品は、第17類「被服、布製身回品、寝具類」である。本件商標の指定商品中の商品「被服」と引用A商標及び引用B商標との指定商品中の商品「被服」とは法改正により全く同一ではないとしても、共通の商品が包含されているのであり、個々に列挙するまでもなく、両者は商品「被服」について同一または類似するものであること自明である。

本件商標の出願日は、引用A商標および引用B商標の設定登録日の後に登録出願された商標である。

被請求人の答弁書は、これを精読するに、本件審判事件に係わる審判請求書に記載した事項について的確に答弁したものではない。

本件商標の構成「PROMOD」から「プロモド」の称呼が生ずるとしても特許庁商標課編「商標審査基準」から引用各商標と類似すること明らかである。その上、被請求人ら当事者はこの綴字の被請求人の名称を「プロモード」社と表示し、かつ、呼称している。しかも、請求人の登録出願した甲第2号証と略同一の構成である商願平7−89210号は本件商標を引用した拒絶理由通知書を受けているのであり、本件商標が引用各商標に類似すること極めて明確である。

したがって、本件商標はその指定商品の「被服」の登録は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項第1号の規定により登録無効にされるべきである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を概要次のように述べるとともに、証拠方法として乙第1号証ないし同第37号証(枝番を含む)を提出した。

(1)本件商標と引用各商標とは、外観において相違する。

本件商標は、欧文字「PROMOD」より成る。他方、引用A商標は「プロモード」「Promode」を上下2段に配してなり、同引用B商標は「プロモード」「PROMODE」を上下2段に配してなる。

よって、その構成から、本件商標は、引用各商標と外観において相違する。

(2)本件商標と引用各商標とは、観念においても相違する。

本件商標「PROMOD」は造語であり、英語にも仏語にも「PROMOD」なる言葉はなく(乙第1号証、乙第2号証)、「プロモド」「PROMOD」なる語が外来語として用いられていることもない(乙第3号証)。「PROMOD」は被請求人の商号である。従って、本件商標「PROMOD」からは「被請求人」の観念を生じうる以外何らの観念も生じない。

他方、引用各商標からも何らの観念を生じない。「プロモード」、「Promode」、「PROMODE」も造語であり、何ら一定の観念を生じない(乙第1ないし3号証参照)。

よって、本件商標と引用各商標とは観念においても相違する。

(3)本件商標と引用各商標とは称呼においても相違する。

本件商標からは「プロモド」の称呼を生ずる。他方、引用各商標からは「プロモード」の称呼を生ずる。

両称呼を対比すると、本件商標は緊張した語感であり、引用各商標は間延びした語感である。両者は明らかに語感が相違しており、明瞭に聴取識別出来る。

本件商標と引用各商標の称呼についての類否判断においては、「PRO」は称呼類否の判断において重要性を有するものではなく、「プロ」「PRO」「Pro」の後の文字、本件商標中の「MOD」と引用各商標中の「モード」、「Mode」、「MODE」とを対比すべきものである。

以上により、本件商標の称呼「プロモド」は引用各商標の称呼「プロモード」と容易に聴取識別でき誤認混同の虞はなく、本件商標は引用各商標と称呼においても非類似である。

(4)取引の実情

被請求人PROMOD(法人である。フランスの法制では、法人に会社の種類を表す語を付さないものが商号である)は、世界的に著名なフランスのアパレルメーカーであり、登録商標「PROMOD」は、被請求人の商号であると同時に、被請求人の世界的に著名な商標である。乙第7号証は、フランス大使館が1995年7月19日に発行した「PROMOD」が著名なフランスの商標であることの証明書である。

乙第8号証ないし乙第18号証に示すとおり、被請求人は日本のみならず、フランスをはじめとする世界の各国において本件商標と同一の商標を「被服」につき出願し登録を得ている。

乙第19号証及び乙第20号証は、被請求人が世界中で発行しているPROMOD製品のカタログである。このように被請求人は、世界中でPROMOD製品を販売し、その宣伝広報に莫大な投資をしている。

また、乙第21ないし36号証は、被請求人を紹介する雑誌、新聞記事である。

他方、審判請求人であるユニチカ株式会社は乙第37号証の同人のホームページに明らかなごとく、引用各商標「プロモード/Promde」「プロモード/PROMODE」をその製品に一切使用していない。

よって、本件商標が引用各商標と外観、観念、称呼において相違することに加え、上記取引の実情を考慮すれば、本件商標を付した商品と引用各商標を付した商品とで出所について誤認混同を生ずる虞れは、尚更無いものである。

よって、本件商標は、引用各商標と非類似の商標であり、商標法4条1項11号に該当しない。

5 当審の判断

本件商標と引用各商標との類否について検討するに、本件商標は、前記したとおり「PROMOD」の欧文字を書してなるものであって、これが特定の意味合いを有する成語とは認められない故に、これを称呼する場合、わが国において最も一般的に親しまれている英語風の読み方をもって称呼されるとみるのが自然であるから、本件商標からは「PROMOD」の欧文字に相応して「プロモド」または「プロモッド」の自然的称呼が生ずるというべきである。

一方、引用各商標の構成は、前記したとおりの構成であって、上段部の「プロモード」の片仮名文字は、下段部の欧文字の自然的称呼を表したものとみられることから、引用各商標からは、その構成文字に相応して「プロモード」の称呼が生ずるとともに、該「プロモード」の片仮名文字部分については、一般的に親しまれて使用されている外来語である「プロ」(プロフェッショナル(専門家))と「モード」(服装などの流行)の各語の結合よりなる一種の造語との印象・認識を与えるものというべきである。

そこで、まず、本件商標より生ずる「プロモド」の称呼と引用各商標より生ずる「プロモード」の称呼を比較するに、両者は第3音目の「モ」の音が長音を伴うか否かの差異を有するものである。

しかして、前者は「プロモド」と簡潔に一気に称呼し得る短い音構成であるのに対し、後者の「プロモード」は、上記した外来語の結合語との印象・認識から「プロ」と「モード」との間に息の段落を生じ易く全体として抑揚を伴って称呼されるとみるのが相当であり、両者をそれぞれ一連に称呼するときには、この差によりそれぞれの語調、語感が異なり互いに相紛れるおそれはないというべきである。

次に、本件商標より生ずる「プロモッド」の称呼と引用各商標より生ずる「プロモード」の称呼を比較するに、両者は第3音目の「モ」の音が長音を伴うか促音を伴うかの差異を有するものである。

そして、前者は促音を伴うことで全体が詰まるように強弱を伴って発音されるのに対して、後者の「プロモード」は、上記したとおり全体が抑揚を伴ってよどみなく発音されることから両者をそれぞれ一連に称呼するときには、この差により互いの語調、語感が相違し相紛れるおそれはないというべきである。

してみれば、本件商標と引用各商標とは称呼上類似するものということはできない。

請求人は、本件商標から「プロモード」の称呼をも生ずる旨主張するが、本件商標を構成する「PROMOD」の欧文字からは、「プロモド」または「プロモッド」の称呼を自然とすること前記認定のとおりであって、たとえ、甲第6号証(被請求人会社代理人作成に係る請求人会社宛書面)の書面中に被請求人会社を「プロモード」とする表記が見受けられるとしても、それをもって直ちに本件商標が取引者・需要者間で、専ら「プロモード」の称呼をもって取引に資されるとするにはいささか不十分であって、ほかに本件商標が取引者・需要者間で「プロモード」の称呼をもって親しまれ、取引に資されているとする証左も認められないから、この点を述べる請求人の主張は採用の限りでない。

また、本件商標と引用各商標の外観および、印象・認識の違いをも併せ考慮して総合的に検討すれば、本件商標と引用各商標とは必ずしも紛れ得るおそれはなく、互いに類似する商標ということはできないものと判断するのが相当である。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとはいえないから、同法第46条第1項第1号によって、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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