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Trademark Appeal Case

商標不使用取消の立証要件

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2000−30297(T2000−30297/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2583178号商標(以下、「本件商標」という。)は、「TOYO」の欧文字を横書きした構成よりなり、第33類「穀物、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成3年3月5日に登録出願、同5年9月30日に設定の登録がされたものである。

2 請求人の主張

請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中「獣,鳥,魚,虫」についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証ないし証拠補充書により件外不使用取消審判事件の審決書(写し)を提出している。

(1)請求の理由

本件商標は、その指定商品中「獣,鳥,魚,虫」について継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

(2)答弁書に対する弁駁

被請求人は、米穀小売業を営む「株式会社ライスカンパニー」及び「株式会社トーホー」に対し、平成10年6月25日に「コクゾウ虫」を販売していると主張し、乙第1号証ないし乙第7号証として納品書・請求書・領収書等を提出している。

しかしながら、これらの納品書・請求書・領収書は、平成10年6月25日付けの唯一回限りのものであり、被請求人が業として継続反復して商取引を行ったものではない。また、「コクゾウ虫」自体が独立した商品として取引者に理解され、取引されているものとは到底認めることはできない。さらに、商品「コクゾウ虫」の数量・取引単位が不明確で使用に係る本件商標の使用態様も不明であるばかりでなく、社内決済及び担当者の決済と押印がなく、商品コードも未記載であり、コンピュター処理の納品書・請求書・領収書及び入金伝票にしては不備で不自然である。

(3)被請求人は、前記の米穀小売業者の陳述書を乙第8号証及び乙第9号証として提出し、平成10年6月25日に株式会社東洋精米機製作所から残留農薬判定用として用いる「コクゾウ虫」を、525円で1瓶購入し、瓶本体に貼られたラベルに「TOYO」の商標が付されている旨、陳述しているが、商品自体あるいは商品に付されたラベル若しくは写真等の客観的立証がないので、本陳述書をもって、商品「コクゾウ虫」に「TOYO」なる商標が使用されていたと認めることは出来ない。

(4)被請求人は、乙第10号証及び同第11号証の商品パンフレット及び商品写真をもって、はじめて商品「コクゾウ虫」の商品形態(瓶)及び該容器(瓶)に添付されたラベルを認識可能な資料として提出しているが、いずれも商品「コクゾウ虫」のパンフレット及び写真ではないから、これを認めることはできない。

すなわち、乙第10号証は、パンフレットの記載文字、「簡単に安価で安全性のチェックが可能」「特殊な検査装置は不要」「特定な場所は選びません」「現場で簡単に判定ができます」に加え、「サンプル米(50g)にコクゾウ虫(25匹)を入れ、室温で放置するだけで結果がでます、放置時間は、5日です」等、該パンフレットの大方の紙面を費やし、かつ、記載内容から明らかな通り、簡易な米の残留農薬判定方法として、「コクゾウ虫」を使用することが明記されている。また、乙第10号証パンフレット中央部の三瓶の図形及び乙第11号証添付の写真二枚は、いずれも、容器「瓶」の中に米、半分程度とこれに「コクゾウ虫」が混入されていることが看取できるが、これらはいずれも、前記米の残留農薬判定方法の記載と相俟って、「コクゾウ虫」を使用した「米の残留農薬判定方法」そのもの又は「検査方法」を記載又は図示したものであって、「コクゾウ虫」自体が独立した商品として商取引の対象とされているものではないから、「コクゾウ虫」が商品として使用された事実を示す証拠とはならない。

(5)証拠補充書により提出した不使用取消審判事件の審決書は、請求人が被請求人の所有する登録第2583177号商標に対しての不使用取消審判を請求したものであって、被請求人が答弁書において「トーヨ」の連合商標(TOYO)の使用を立証をもってした該審判事件に係る審決は、全証拠を総合勘案しても、連合商標(TOYO)を商品「コクゾウ虫」に使用していたものとは認めることはできない、と認定した。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第11号証を提出している。

(1)被請求人は、大阪府堺市で米穀小売業を営んでいる「株式会社ライスカンパニー」と、和歌山市で米穀小売業を営んでいる「株式会社トーホー」に、本件商標「TOYO」を付した「コクゾウ虫」を平成10年6月25日に販売している実績を有するものである(乙第1号証ないし乙第9号証)。

(2)本件商品である「コクゾウ虫」は、平成10年3月に印刷されたパンフレット(乙第10号証)に掲載されているものであって、瓶本体の中央に貼られたラベルに「TOYO」の商標が付されており、米の残存農薬判定用として使用するものである(乙第11号証)。

(3)以上により、本件商標を本件審判請求に係る指定商品である「獣,鳥,魚,虫」の内、「虫」に該当する「コクゾウ虫」について、本件審判請求前3年以内に被請求人は「株式会社ライスカンパニー」並びに「株式会社トーホー」に販売していた事実を立証するものである。

4 当審の判断

(1)被請求人が、本件商標を本件審判の取消対象商品について所定の時期において使用していた事実を証明するものとして提出した本件使用商品(乙第1号証ないし乙第11号証)は、「米の残留農薬判定用のコクゾウ虫」とするものである。

(2)そこで、被請求人の提出に係るリーフレット(甲第10号証)をみると、右下部には、「株式会社東洋精米機製作所」の表示及びその右隅の数字「98.03」の記載があるところから、該リーフレットは1998年(平成10年)3月に被請求人(商標権者)が作成したものと推認できる。

そして、該リーフレットには、本件商標とその構成態様を同じくする標章「TOYO」が最上部並びに中央部の三つの瓶の図形(写真)のラベルに付されているものであり、かつ、該三つの瓶の右側に「一瓶200匹入・定価500円」の記載が認められるものである。

それから、該リーフレットの掲載内容とするところは「簡単に安価で安全性のチェックが可能」「特殊な検査装置は不要」「特定な場所は選びません」「現場で簡単に判定ができます」に加え、「サンプル米(50g)にコクゾウ虫(25匹)を入れ、室温で放置するだけで結果がでます、放置時間は、5日です」等、その記載内容から明らかなとおり、簡易な米の残留農薬判定方法として、「コクゾウ虫」を使用することが明記されている。また、該リーフレット中央部の三つの瓶の図形(写真)は、乙第11号証の写真二枚と同じくするものであって、瓶容器の中に「米」を半分程度と「コクゾウ虫」が混入されていることが看取できる。

してみると、これらの記載事項等はいずれも、穀物を食いあらすところの「コクゾウ虫」の性質を利用し、サンプル米(50g)にコクゾウ虫(25匹)を入れ、その生態を観察して米の残留農薬を簡易に判定することを目的とするもの、すなわち、「コクゾウ虫」を残留農薬判定の検査装置に代替させるものとみて差し支えないものであるから、該リーフレットは、標章「TOYO」の下に米の残留農薬判定用の商品「コクゾウ虫」を販売するための宣伝・説明などを内容とするものといわなければならない。

したがって、該リーフレットについて、「米の残留農薬判定方法」そのもの又は「検査方法」を記載又は図示したものとし、商品の独立性について疑義を述べる請求人の主張は妥当性を欠くものであるから、この主張は採用できない。

(3)つぎに、取引書類(乙第1号証ないし乙第7号証)及び陳述書(乙第8号証及び乙第9号証)についてみるに、乙第1号証ないし乙第3号証は、被請求人(商標権者)が株式会社ライスカンパニーに対し、平成10年6月25日に商品名「TOYOコクゾウ虫」とする商品を納品したとする納品書(控)、請求書(控)及び領収書である。また、同様に乙第4号証ないし乙第6号証は、被請求人(商標権者)が株式会社トーホーに対し、平成10年6月25日に商品名「TOYOコクゾウ虫」とする商品を納品したとする納品書(控)、請求書(控)及び領収書である。そして、乙第7号証は、同日付でこれらの商品の売り上げが計上されている入金伝票とするものである。

さらに、乙第8号証及び乙第9号証は、「株式会社ライスカンパニー」「株式会社トーホー」に係る両社からの陳述書と題するもので、両社と被請求人(商標権者)との上記各取引書類にある「コクゾウ虫」の取引事実を申し述べているものである。

この点について、請求人は、該取引書類には決済、押印及び記載内容の不備等があり、また、該陳述書には写真等の客観的立証がない等、これら乙各号証からは、商品「コクゾウ虫」に「TOYO」なる商標が使用されていたと認めることは出来ない旨述べ主張している。

しかしながら、各々の納品書(控)及び請求書(控)には、「商品名 備考」の欄に「TOYOコクゾウ虫」、「数量」の欄に「1」、「単価」及び「金額」の欄に「500」の記載があるほか、作成ないしは取引の年月日、販売元及び取引先の表示等が記載されているものであるから、これら記載をもって納品書(控)及び請求書(控)等の各取引書類の体裁はとられているというべきであり、担当者、決済及び商品コードの各欄が未記載又は押印がないことをもって、該取引書類が不備、不自然のものであるとして取引の事実を証明し得ないものとすることはできない。また、取引先の作成した該陳述書は、商品自体あるいは商品に付されたラベル若しくは写真等の客観的立証がないとしても、上記の係る取引事実を補完的に追認したという記載内容を認められるものであるから、これらの疑義を述べる請求人の主張は採用の限りでない。

そうすると、これらの取引書類及び陳述書を勘案すれば、被請求人(商標権者)と該両社とは、それぞれ、(2)において述べた該リーフレットの「米の残留農薬判定用のコクゾウ虫」について、平成10年6月25日に取引が行われたことを充分窺わせるものである。

(4)以上にして、上記(2)及び(3)において認定したとおり、被請求人の提出に係る証拠(乙第1号証ないし乙第11号証)を総合勘案するに、被請求人(商標権者)は、本件審判請求の登録前3年以内(平成9年4月19日ないし同12年4月19日)に、日本国内において本件商標と社会通念上同一と認められる標章をもって、本件取消請求に係る商品「獣,鳥,魚,虫」の範疇に属する「(米の残留農薬判定用の)コクゾウ虫」について使用してたと認め得るものである。

なお、請求人が密接な関係があるとする件外不使用取消審判事件の審決書をみる限りにおいて、その使用の事実を証明するものとして提出された証拠(乙第1号証ないし乙第9号証)は、本件審判請求事件において被請求人の提出に係る証拠(乙第1号証ないし乙第11号証)とその号証を異にするものであり、件外不使用取消審判事件にかかる主張・立証(証拠)は不明というほかなく、かつ、これを参酌する故ない。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、本件審判の取消請求に係る指定商品について、その登録を取り消すことができない。

よって、結論のとおり審決する。

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