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Trademark Appeal Case

Virgin商標の要部と称呼類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35478号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4073391号商標(以下「本件商標」という。)は、「Virgin & Pink」の欧文字を横書きしてなり、平成8年5月14日登録出願、第3類「化粧品」を指定商品として、平成9年10月24日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用商標

請求人の引用する登録第2126676号商標(以下「引用A商標」という。)は、「バージンウォーター」の片仮名文字と「VIRGIN WATER」の欧文字を横書きしてなり、昭和61年10月23日登録出願、第4類「せっけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき 化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、平成1年3月27日に設定登録され、その後、平成11年4月20日に商標権存続期間の更新の登録がなされたものである。同じく、登録第2356430号商標(以下「引用B商標」という。)は、「VIRGING」の欧文字と「バージング」の片仮名文字を横書きしてなり、平成1年2月17日登録出願、第4類「せっけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、平成3年11月29日に設定登録されたものである。同じく、登録第4000800号商標(以下「引用C商標」という。)は、「バージンホワイター」の片仮名文字を横書きしてなり、平成7年12月11日登録出願、第3類「歯磨き,化粧品,せっけん類」を指定商品として、平成9年5月9日に設定登録されたものである。同じく、登録第4058986号商標(以下「引用D商標」という。)は、「ヴァージンピュアー」の片仮名文字と「VIRGINPURE」の欧文字を横書きしてなり、第3類「化粧品,せっけん類,香料類,歯磨き」を指定商品として、平成9年9月19日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第6号証(枝番を含む)を提出している。

(1)本件商標は、上記の他人の登録商標と類似する商標であって、これらの登録商標の指定商品と同一又は類似の指定商品について使用するものであるため、商標法第4条第1項第11号の規定により商標登録を受けることができないものであり、その商標登録は商標法第46条第1項第1号により無効とすべきである。

(2)本件商標は、その構成から、「Virgin」なる文字、「&」なる記号、及び「Pink」なる文字の結合商標である。ここで、「&」なる記号は、きわめて簡単で、かつ、ありふれた記号であり、かかる記号は、自他商品の識別力を有しないものと考えられる。また、「Pink」なる文字は、単なる色彩表示であり、かかる文字も自他商品の識別力を有しないものと考えられる。

従って、本件商標の自他商品識別機能を発揮し得る部分は、「Virgin」なる文字部分であると考えられる。加えて、我が国国民の一般的な英語力からすれば、「&」なる記号が、「・・・と・・・」なる意味を有することはきわめて容易に認識することができる。してみれば、本件商標の構成上、「Virgin」なる文字と「Pink」なる文字とは、並列の関係にあり、いずれか一方が他方を修飾するという従属関係にはなく、それぞれの文字がそれぞれ個別独立した関係にあることがわかる。

即ち、本件商標においては、「Virgin & Pink」が全体として称呼又は観念されることがあるとしても、その全体として称呼又は観念しなければならない必然性はなく、「Virgin」なる文字が独立して自他商品の識別機能を発揮するものと考えられる。

しかも、本件商標の商標権者である株式会社リバティーが、本件商標である「Virgin & Pink」について商標登録を受けた経緯について説明すると、まず、株式会社リバティーは「バージン ピンク」なる商標登録出願をしたところ(甲第2号証の1)、鐘紡株式会社が所有する先願登録商標「バージンフェース VIRGIN FACE」と「ヴァージン」なる称呼において類似する旨の拒絶査定を受けた(甲第2号証の2、甲第2号証の3)。そこで、株式会社リバティーは、該「バージンフェース VIRGIN FACE」なる登録商標の商標権を鐘紡株式会社から承継し(甲第2号証の4)、本件商標たる「Virgin & Pi nk」について商標登録を受けている。

以上本件商標の出願過程を考慮すれば、本件商標の商標権者である株式会社リバティー自身において、本件商標である「Virgin & Pink」においては、「Virgin」なる文字部分が自他商品の識別機能を有する部分であることを認め、該先願登録商標「バージンフェース VIRGIN FACE」と「バージン」なる称呼において類似することを前提として、前記のような出願手続きをとったものと考えるのが妥当である。

前記のように、本件商標の出願経過を参酌しても、本件商標においては、「Virgin」の文字部分において自他商品の識別力が認められるものと考えるべきである。

(3)引用A商標の、「ウォーター」及び「WATER」の文字部分については、前記指定商品についての原材料等の品質・特性表示として世上一般的に用いられているため、自他商品識別力は認められず、引例商標Aは、「バージン」又は「VIRGIN」の文字部分において自他商品識別力が認められる。従って、「Virgin」の部分に自他商品の識別力を有する本件商標と「バージン」ないしは「VIRGIN」の部分に自他商品の識別力を有する引用A商標とは、「バージン」ないしは「ヴァージン」なる称呼及び「まじり気のない、きれいな」なる観念を生じ両商標は類似するものと考えられ、両商標は同一または類似の商品について使用するものであるから、本件商標登録は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(4)引用B商標における「VIRGING」ないしは「バージング」なる文字は、何ら特別の意味内容を有せず、また、一般的に語尾音は比較的弱く発音されることから、「VIRGIN」の部分に識別力を有し「バージン」ないしは「ヴァージン」の称呼を生ずる本件商標と「バージング」の称呼を生ずる引用B商標とは、その音感が非常に近似しており、その称呼において類似するものと考えられる。また、本件商標と引用B商標とは、同一または類似の商品について使用するものであるため、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(5)引用C商標の「ホワイター」なる片仮名文字は、我が国国民の一般に有する英語力からすれば、「より白い」なる意味を有する欧文字であると容易に認識することができるため、引用C商標の「ホワイター」なる部分は、引用C商標の指定商品における色彩ないしは効能を表示するものであり、取引社会における一般的な経験則からすれば、自他商品の識別力を発揮し得ない。即ち、引用C商標の識別力を有する部分は、「バージン」なる部分であり、本件商標の自他商品識別力を有する部分である「VIRGIN」とは、その称呼および観念において類似し、また、本件商標と引用C商標とは、同一または類似の商品について使用するものであるため、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(6)引用D商標の「ピュア一」ないしは「PURE」の部分は、我が国国民の一般に有する英語力からすれば、「まじり気のない、きれいな」なる意味内容を有すると容易に認識し得るものと考えられる。この点、引用D商標の「ピュア一」ないしは「PURE」の部分は、引用D商標の指定商品の品質または効能を表示するものであり、自他商品の識別機能を発揮し得ない。 従って、本件商標の自他商品識別力を有する部分である「VIRGIN」と引用D商標の自他商品識別力を有する部分である「VIRGIN」ないしは「ヴァージン」の部分は、その称呼および観念において類似し、両者は類似する。また、本件商標と引用D商標とは、同一または類似の商品について使用するものであるため、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

被請求人の答弁に対する弁駁

被請求人は、平成11年11月19日付で提出した答弁書において、(1)請求人は本件商標登録を無効にすることについて利害関係を有しないこと、(2)本件商標に係る商標 「Virgin & Pink」における「Virgin」の部分から独立した識別力が生じないこと及び(3)請求人が平成11年9月6日に提出した請求書に添付した甲第3号証から6号証までに表された引例と本件商標は類似しないこと、を述べている。以下、これらの点につき、反論する。

(1)請求人の利害関係について

請求人は、化粧品の製造販売業を営んでおり、「Virgin Pink」ないしは「バージン & ピンク」なる商標の使用を予定している。

即ち、請求人は、被請求人から商標権の侵害訴訟の提起等の可能性があるため、これらの商標の使用を開始する前に、予め、本件商標を無効としておく必要がある。

従って、請求人は、本件商標登録を無効とすることについて利害関係を有している。

なお、現行法上、商標登録無効審判の請求人適格については、何等規定なく、利害関係人であるか否かについて特に争う必要性はない。

あえてこれを争うのは、いたずらに審理の遅延を招くだけである。

(2)「Virgin」の部分から独立した識別力が生ずる点について被請求人は、答弁書において、『本件登録商標は、「Virgin」及び「Pink」の各語を「&」記号を用いて一体的に結合せしめて構成した一種の造語商標であり、各語間には請求人も認める如く、従属関係は全く認められず、一部の語を要部とするものではない。』(第3頁第4行目〜第7行目まで)旨述べている。

しかしながら、請求人が請求書において述べているように、「&」なる記号は極めてありふれた記号であり、また、「Pink」なる語は単なる色彩表示であるため、本件商標において識別力を有する部分は「Virgin」の部分であると考えるのが相当である。

しかも、「Virgin」と「Pink」なる語は、何ら関連性を有しない語であり、これを「&」で結合させたからといって、全体として一体不可分の関係にあるとは言い得ない。特に、「&」なる記号は、「〜と〜」なる意味を有することは容易に認識し得るので、本件商標に係る商標は「Virgin」と「Pink」の文字が独立した存在として認識される。即ち、本件商標の構成上、「Virgin」と「Pink」の文字部分に対応した称呼・観念が生じ得るが、上述したように、本件商標に係る商標については、「Pink」の部分が識別力を有しない単なる色彩表示であり、「Virgin」の部分が存在することにより、初めて、自他商品の識別力が生じ得るものと考えるのが妥当である。なお、被請求人は、本件商標につき、造語商標である旨述べているが、「Virgin」及び「Pink」の語は、造語ではなく、「Virgin」の部分に対応した観念は生じ得る。

さらに、被請求人は、答弁書において『尚、請求人は、被請求人の出願に係る商願平5−13587号について云々するが、本件商標とは明らかに構成を異にする商標であり、本件に何ら関係するものではない。』(第3頁第16行〜第18行)旨述べているが、請求人は、商願平5−13587号の商標登録出願について述べているのではなく、商願平5−13587号の商標出願を含めた本件商標の出願経過を述べているのであって、本件と無関係ではあり得ない。

(3)本件商標に係る商標と引例との類似について

被請求人は、本件商標「Virgin & Pink」が一体不可分に結合していることを前提として、請求書で述べた引例との非類似性を述べているが、上述のように、本件商標は、「Virgin」なる部分から独立した識別力が認められるため、該引例と本件商標は類似の関係にあると考えるのが相当である。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判請求を却下する、審判費用は請求人の負担とする、との審決、又は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べた。

(1)請求人の利害関係について、

本件商標に類似するとして請求人が引用している甲第3〜6号証の登録商標は、何れも第3者の所有に係るものであって、請求人の所有するものでないことは当該甲各号証によって極めて明らかなところである。

してみれば、本件無効審判を請求することについて、請求人には何ら法律上の利害関係が認められず、自ずと本件審判請求は商標法第56条で準用する特許法第135条の規定により、不適法なものとして直ちに審決却下されるべきものである。

(2)商標法第4条第1項第11号について、

i)仮に百歩を譲り、請求人に法的利害関係が認められた場合であっても、本件商標は何ら商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものではない。以下その理由を明らかにする。

ii)本件商標は、欧文字及び「&」記号を用い、「Virgin & Pink」と左横書して構成されるものである。

然るところ、請求人は、本件商標に於ては「Virgin」なる文字が独立して自他商品の識別機能を発揮するから、本件商標から「バージン」ないしは「ヴァージン」なる称呼及び「まじり気のない、きれいな」なる観念が生じる旨主張する。

然しなから、請求人の斯かる主張は本件商標の商標構成及び商取引の経験則を無視した全くの空論と云うの外ない。すなわち、本件商標は、「Virgin」及び「Pink」の各語を「&」記号を用いて一体的に結合せしめて構成した一種の造語商標であり、各語間には請求人も認める如く従属関係は全く認められず、一部の語を要部とするものではない。してみれば商取引上「&」及び「Pink」の語の存在を無視し、これを排除しなければならない合理的根拠は全く見い出し得ず、自ずと本件商標は、取引者・需要者に「Virgin & Pink」 全体で識別標識として明確に把握認識され、一部の語のみを以って商取引されることはない。

従って、本件商標から商取引上自然に生じる称呼は「バージンエンドピンク」唯だ一つであり、他には如何なる称呼も生じ得ないものである。また、本件商標は造語商標であるため、特定の観念を生じせしめることもない。

尚、請求人は、被請求人の出願に係る商願平5−13587号について云々するが、本件商標とは明らかに構成を異にする商標であり、本件に何ら関係するものではない。

他方、請求人の引用する4商標は、「バージンウォーター/VIRGINWATER」(甲第3号証)、「VIRGING/パージング」(甲第4号証)、「バージンホワイター」(甲第5号証)及び「ヴァージンピュア−/VIRGINPURE」(甲第6号証)であり、それぞれ「バージンウォーター」、「パージング」、「バージンホワイター」、「バージンピュア」なる自然称呼の生じることは極めて明らかである。

そこで、本件商標の自然称呼「バージンエンドピンク」と引用の4商標の各称呼「バージンウォーター」、「パージング」、「バージンホワイター」、「バージンピュア」とを比較検討するに、本件商標の称呼と引用の4商標の各称呼が彼此明瞭に区別聴取し得る全く非類似の称呼であることは挿疑の余地なく自明である。

因に、このことは引用の4商標自体、相互に非類似の商標として併存登録されている事実によって、むしろ明確に裏付けられているものである。

iii)以上説述した如く、本件商標と引用の4商標とは称呼上明瞭に聴別し得る全く非類似の商標であり、また外観・観念上類似するものでないことは論を挨つまでもなく極めて明らかであるから、本件商標は何ら商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものではない。

第5 当審の判断

請求人が本件審判の請求をするについて当事者間に利害関係の争いがあるので判断するに、請求人は化粧品の製造販売業を営んでおり、請求人が使用を予定している商標について被請求人から商標権の侵害訴訟の提起等を受ける可能性がある為に予め本件商標を無効としておく必要がある旨主張している。そして、本件商標の存在は請求人に何らかの法的影響を与えるものであることが認められるものであるから、請求人は、本件審判を請求することについて法律上の利益を有するものと認め得るものである。

そこで本案に入って判断するに、本件商標の構成は前記のとおりであるところ、本件商標を構成する「&」の記号は、英語表現において一般的に広く用いられる記号であり、該記号を挟んで、前半部に表された文字と後半部に表された文字とを繋ぐ場合に用いられるものである。そして、「&」記号単独で表された場合においては、該記号は、請求人主張の如くきわめて簡単、かつ、ありふれた記号とみられることがあるとしても、本件商標における構成においては、請求人の主張を採用することはできない。

本件商標は、「&」の記号を挟んで「Virgin」の語と「Pink」の語が表されてなるものであり、これよりは、「バージンアンドピンク」の称呼が生ずるものである。また、「Virgin」の語と「Pink」の語がそれぞれ一定の意味合いを有する語であるとしても「Virgin & Pink」の表現をもって特定の意味合いを有するものとは認められないものであり、本件商標は、「バージンアンドピンク」の称呼のみを生ずる、一種の造語よりなる商標とみるのが相当である。

そうとすれば、本件商標中の「Virgin」の語より「バージン」の称呼及び観念が生ずるものとして、引用各商標との類否について判断すべきとする請求人の主張は認めることができない。

また、本件商標と引用各商標は、外観においては十分に区別し得る差異を有するものである。

してみれば、本件商標と引用各商標とは、その外観、称呼、観念のいずれにおいても非類似の商標とみるのが相当といえる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとはいえないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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