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Trademark Appeal Case

称呼類似性:中間音の相違

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35384(T2000−35384/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第4314561号商標(以下、「本件商標」という。)は、「TROBEN」と「トロベン」の文字を二段に併記してなり、平成10年10月23日に登録出願、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,耳帯,眼帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,医療用腕環,失禁用おしめ,人工受精用精液,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,防虫紙,胸当てパッド」を指定商品として、同11年9月10日に設定登録されたものである。

2.請求人の引用商標

請求人が引用する商願平9−168823号商標(以下、「引用商標」という。)は、「TROVAN」と「トロバン」の文字を二段に併記してなり、平成9年10月17日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同12年12月1日に商標登録第4436129号として設定登録されたものである。

3.請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品中「薬剤」についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第12号証を提出した。

本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定により無効とされるべきものである。

(1)本件商標と引用商標とを比較すると、本件商標から生ずる称呼は、「トロベン」であるのに対し、引用商標から生ずる称呼は「トロバン」である。

4音の音構成中、第1音「ト」、第2音「ロ」及び第4音「ン」を共通にし、明瞭に聴取されにくい中間に位置する第3音が「べ」と「バ」において相違するにすぎない。しかも、この相違音は、ともにバ行音に属するばかりでなく、「べ」音は、開口音「バ」音と狭口音「ビ」音の中間に位置する音である。

したがって、両商標を一連に称呼するときは、語調、語感が近似し、彼此相紛れ易い類似のものというべきである。また、本件商標の指定商品中の「薬剤」は引用商標の指定商品である「薬剤」と同一のものである。

(2)答弁に対する弁駁

被請求人は、本件商標登録の無効審判を請求することの利害関係について、引用商標が本件商標の先願である以上、引用商標が本件商標の存在を理由に拒絶されることはないから、本件商標が引用商標の登録の上で障害になっていることはあり得ない、と主張している。

しかし、本件審判は、本件商標が引用商標の登録上、障害になっているから、請求しているのではなく、請求人の出願に係る引用商標に類似する本件商標が、後願であるにもかかわらず登録されているから、審判請求しているのである。商標法第46条第1項第1号において、同法第4条第1項第11号以外に、同法第8条第1項に基づく無効審判請求を認めているのはこの趣旨である。

また、被請求人は、請求人が本件商標に対して登録無効の審判を請求することができるのは引用商標について登録を受けた後に限られる、と解すべきである旨、主張しているが、商標法第46条第1項第1号により、商標法第8条第1項の規定に違反して登録された場合に無効審判が請求できるのであるから、先願未登録の状態であっても、請求適格はあるものと解すべきである。

4.被請求人の主張

被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べた。

(1)商標法第46条による商標登録の無効の審判を請求するについては、法律上の利害関係を有することを必要とすると解されるところ、請求人は利害関係を有することにつき何ら立証していないから、本件審判の請求人適格を欠くものである。

すなわち、請求人は本件商標の先願に係る引用商標が未だ特許庁において審判に係属していることを本件審判請求の利害関係であるとするが、引用商標が本件商標の先願である以上、引用商標が本件商標の存在を理由に拒絶されることはないから(商標法第4条第1項第11号)、本件商標が引用商標の登録の上で障害になっているということはあり得ない。そうであれば、請求人が本件商標に対して登録無効の審判を請求することができるのは、引用商標についての登録を受けた後に限られると解すべきである。

(2)請求人に本件審判の請求につき利害関係が存するとしても、本件商標から生ずる称呼「トロベン」と、引用商標から生ずる称呼「トロバン」とを比較すると、両者は4音という短い音構成中、強音部である第3音において「べ」と「バ」という明確な相違を有するものであり、この相違音が両商標の称呼識別に与える影響は大きく、両商標はたとえ時と処を異にして称呼する場合といえども、聴感を異にし、称呼識別上相紛れるおそれのないものである。

したがって、本件商標は商標法第8条第1項に違反して登録されたものではない。

5.当審の判断

(1)先ず、本件審判請求に関し、当事者間において利害関係の有無につき争いがあるので、この点について判断する。

商標法第46条(商標登録の無効審判)の立法趣旨は、過誤による商標登録を存続させておくことは、本来権利として存在することができないものに排他独占的な権利を認める結果となり妥当ではないからという点にある。

そして、請求人は、引用商標が本件商標の先願であり、かつ、両者は類似する商標であり、その指定商品も抵触し、商標法第46条第1項の無効理由に該当する同法第8条第1項を根拠に、無効審判を請求しているものであるから、本件商標が上記の無効理由に該当するか否かの実体判断をするのが、商標法の定める無効審判制度の趣旨に合致するものというべきである。

したがつて、請求人は、本件無効審判に対し請求適格(利害関係)を有しているものと判断するのが相当である。

(2)そこで、本案に入って審理するに、本件商標は、「TROBEN」、「トロベン」の文字に相応し「トロベン」の称呼を生じ、他方、引用商標は、「TROVAN」、「トロバン」の文字に相応し「トロバン」の称呼を生ずること明らかである。

そこで、本件商標から生ずる「トロベン」の称呼と引用商標から生ずる「トロバン」の称呼とを比較すると、両者は共に4音構成よりなり、第3音において「ベ」と「バ」の音の差異を有し他の音を共通にするものである。

しかして、その差異音である「ベ(be)」と「バ(ba)」の音は、共に明確に発音、聴取される有声の破裂音であって、比較的弱く響く「ロ」と撥音の間に位置するものであり、短い4音構成であることと相俟って、該差異音「ベ」と「バ」は、強く明瞭に聴取される関係にあるから、この差異が全体の称呼に与える影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼するとしても、その語調、語感も相違し、相紛れるおそれのないものというのが相当である。

さらに、本件商標と引用商標は共に特定の観念を有しない造語よりなるものであるから、観念においては比較できない。また、それぞれの構成よりみて外観上区別し得る差異を有するものである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれにおいても非類似の商標というべきである。

したがって、本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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