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Trademark Appeal Case

称呼類似性:清濁音と長音

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35712(T2000−35712/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4114742号商標(以下「本件商標」という。)は、「WIESE」の文字と「ヴィーゼ」の文字を二段に横書きしてなり、平成4年11月20日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品」を指定商品として、同10年2月13日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用する商標

請求人が本件商標の登録無効に引用する登録第1736589商標(以下「引用A商標」という。)は「美精」の文字を縦書きしてなり、昭和56年4月24日に登録出願、第4類「せつけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、同59年12月20日に設定登録されたものである。

同じく、第3137661号商標(以下「引用B商標」という。)は、「ビィセー」の文字と「BISSER」の文字を二段に横書きしてなり、平成4年5月1日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品」を指定商品として、同8年3月29日に設定登録されたものである。

同じく、第3205113号商標(以下「引用C商標」という。)は、「ヴィセ」の文字と「VISEE」(4番目のEの文字にはアクサンテギュが付されている。)の文字を二段に横書きしてなり、平成5年5月14日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同8年9月30日に設定登録されたものである(以下、これらをまとめていう場合は「引用各商標」という。)。

3 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第5号証を提出した。

本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであることについて

(1)本件商標と引用A商標の称呼の類否

本件商標が「ヴィーゼ」の称呼を生ずるものであることは明らかではあるが、この称呼における「ヴィ」の音は、外国人であればともかく、日本人はこれを「ビ」に極めて近いか、「ビ」と発音するのが通常ということができるので、「ヴィーゼ」は、実際には「ビーゼ」と発音され、また、そのように聴取されるとみるのが自然である。そうすると、本件商標は、「ビーゼ」の称呼も生ずるものというべきである。

一方、引用A商標は、「美精」の文字よりなるものであるから、これが「ビセイ」と称呼されるものであることは否定し得ないところである。しかしながら、この「ビセイ」における「セイ」の音の部分は、「セ」の母音(エ)〔e〕とこれに続く(イ)〔i〕が〔ei〕という二重母音となるところ、この二重母音は、(エ)〔e〕の長母音(エー)〔e:〕と発音される傾向が極めて顕著であるとされているから(甲第5号証)、「ビセイ」は、実際には「ビセー」と発音される場合がむしろ多いとみるのが自然である。

してみれば、引用A商標は,「ビセー」の称呼も生ずるものというべきである。

そこで、「ビーゼ」と「ビセー」の称呼の類否についてみると、両者は商標の称呼の類否を判断する場合に、そこにおける異同は極めて重要な要素を占めるとされる冒頭音を同じくし、異なるところは、称呼及び聴取の際に、やや明確さを欠く中間音、末尾音における長音の有無及び「ゼ」と「セ」の濁音と清音の差異であって、これらの差異は、決して大きいとはいえないものである。してみると、両者は,それぞれを全体として称呼したときは、いずれをいずれとも明確には識別し難い場合も少なからずあるとみるのが相当である。

そうすると、本件商標と引用A商標は、その称呼において紛らわしい類似のものというべきである。

(2)本件商標と引用B商標の称呼の類否

引用B商標は、「ビィセー」と「BISSER」の文字を二段に書してなるものであるから、これに接する取引者、需要者が「ビィセー」の文字を把え、これより生ずる「ビイセー」の称呼によって取引に当る場合もあることは否定し得ないところである。しかして、この「ビィセー」における「ビィ」は、「ビ」の母音(イ)〔i〕とこれに続く(イ)〔i〕が〔ii〕の二重母音となる結果、あたかも〔i〕の長母音〔i:〕のごとくに発音されることも否定し得ないところである。

してみれば、引用B商標は、「ビーセー」に極めて近似した発音で称呼されるものとみるのが相当である。

そこで、この「ビーセー」と本件商標より生する「ビーゼ」の称呼の類否についてみると、両者は、商標の称呼の類否を判断する場合に、そこにおける異同は極めて重要な判断要素となるとされる冒頭音の「ビー」を同じくし、異なるところは、称呼の際のみならず聴取の際にも明確さを欠く末尾における長音の有無及び「セ」と「ゼ」という清音と濁音の差異であって、この差異は僅かなものというべきである。

してみると、両者は、それぞれを全体として称呼したときは、互いに粉らって聴取されるおそれがあるものとみるのが相当である。

(3)そうすると、本件商標と引用C商標もまた、その称呼において紛らわしいものというべきである。

また、本件商標と引用各商標の指定商品は、「せっけん類,化粧品」において同一である。

以上によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第46条第1項の規定により無効とされるべきである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、請求人の請求の理由に対し、何ら答弁するところがない。

5 当審の判断

本件商標と引用商標とが類似するか否かについて、検討する。

(1)本件商標と引用A商標の称呼の類否

本件商標は、上記のとおり「WIESE」と「ヴィーゼ」の両文字よりなるところ、一般に欧文字と片仮名文字とを併記した構成の商標において、その片仮名文字が欧文字部分の称呼を特定すべき役割を果たすものと無理なく認識し得るときは、片仮名文字部分より生ずる称呼がその商標より生ずる自然の称呼といえる。これを本件商標についてみるに、本件指定商品は前記のとおりであり、この種業界では、商標を称呼するに当たってはフランス語風の読みをもって称呼することが少なくないことからすれば、下段の「ヴィーゼ」の片仮名文字は「WIESE」の欧文字の読みを特定したものと認識されるものであるから、本件商標は、片仮名文字に相応して「ヴィーゼ」の称呼を生ずるものと認められる。

ところで、前記「ヴィーゼ」の称呼は、請求人も説示するように「ヴィ」の音が日本人には正確に発音されず、殆ど「ビ」の音に近似した音として発音するのが通常であるから、「ヴィーゼ」は、実際には「ビーゼ」と発音されるものというのが相当である。

そうすると、本件商標は、「ビーゼ」の称呼が生ずるものというべきである。

次に、引用A商標は、上記のとおり「美精」の文字よりなるものであるから、該文字に相応して「ビセイ」の称呼を生ずるものであるが、この「ビセイ」の称呼における「セイ」の音の部分が二重母音を形成していることから、このような場合には、しばしば「イ」の音が前音「セ」の母音「エ」の長音と化し、「ビセー」の称呼を以て取引に資される場合も決して少なくないものである。

そうすると、引用A商標は、「ビセー」の称呼をも生ずるものである。

そこで、本願商標より生ずる「ビーゼ」と引用A商標より生ずる「ビセイ」及び「ビセー」の称呼とを対比する。

まず、「ビーゼ」と「ビセイ」の称呼についてみるに、両称呼は、語頭における「ビ」の音を同じくしているとしても、相違するところは、語頭における「ビ」の母音「イ」を力強く引くことにより、1音の如く発音、聴取される長音「ー」の有無と、また第2音において「ゼ」の濁音と「セ」の清音の差異を有し、そして、この「ゼ」の音は力強い響きもって発音、聴取される音質であるのに対し、「セ」の音は軽く発音し、澄んだ音として聴取される音質であり、さらに末尾において「イ」の音の有無に差異を有するものであるから、短い称呼においては、これらの差異によりこれを一連に称呼しても、その音調、音感が異なって聴取され、十分区別し得るものである。

次に、「ビーゼ」と「ビセー」の称呼についてみるに、両称呼は、前記の称呼の対比における「ビセイ」の称呼の「イ」の音の有無が「セ」の音の母音「エ」を延ばす長音「ー」の有無に置き換わっていることの違いであって、短い称呼においては、これらの差異によりこれを一連に称呼しても、その音調、音感が異なって聴取され、十分区別し得るものである。

したがって、本件商標と引用A商標とは、称呼上非類似のものと認められる。。

(2)本件商標と引用B商標の称呼の類否

引用B商標は、上記のとおり「ビィセー」と「BISSER」の両文字よりなるところ、その構成は片仮名文字と欧文字とからなるものであり、その場合に生ずる自然の称呼は上記(1)の本件商標と同様の視点から考察すると、構成中の「ビィセー」の片仮名文字は「BISSER」の欧文字より生ずる称呼を特定したものと認識し得るものであるから、引用B商標は、片仮名文字に相応して「ビィセー」の称呼を生ずるものと認められる。そして、「ビィセー」の称呼における「ビィ」の音は、平常、片仮名に添えて用いることによりそれが一拍の一部であることを示す場合もあるが、実際の発音では独立した一拍であることが多いし、「ビ」の母音(イ)と(ィ)の音が二重母音を形成しことから、殆ど「ビー」と発音され、全体としては「ビーセー」と発音、聴取されるというのが相当である。

そうすると、引用B商標は、「ビーセー」の称呼が生ずるものというべきである。

そこで、本件商標より生ずる「ビーゼ」の称呼と引用B商標より生ずる「ビーセー」の称呼を対比するに、両称呼は、語頭音「ビー」を同じくするとしても、相違するところは、第2音において、「ゼ」の濁音と「セ」の清音の差異を有し、そして、この「ゼ」の音は力強い響きをもって発音、聴取される音質であるのに対し、「セ」の音は軽く発音し、澄んだ音として聴取される音質であり、加えて「セ」の音の母音「エ」を延ばす長音「ー」の有無の差異を有するものであることからすれば、短い称呼においては、これらの差異が称呼の全体に及ぼす影響は大きく、両称呼を一連に称呼しても、その後半部に著しい称呼の変化が生ずるものであって、その音調、音感が異なって聴取され、十分区別し得るものであるというのが相当である。

したがって、本件商標と引用B商標とは、称呼上非類似のものと認められる。。

(3)本件商標と引用C商標の称呼の類否

引用C商標は、前記のとおり「ヴィセ」と「VISEE」の両文字を書してなるところ、その構成は片仮名文字と欧文字とからなるものであり、その場合に生ずる自然の称呼は上記(1)の本件商標と同様の視点から考察すると、構成中の「ヴィセ」の片仮名文字は「VISEE」の欧文字より生ずる称呼を特定したものと認識し得るものであるから、引用C商標は、片仮名文字に相応して「ヴィセ」の称呼を生ずるものというべきである。

しかして、前記「ヴィセ」の称呼は、上記(1)で説示したように「ヴィ」の音が日本人には正確には発音されず、殆ど「ビ」の音に近似した音として発音するのが通常であるから、「ヴィセ」は、実際には「ビセ」と発音されるものというのが相当である。

そうすると、本件商標は、「ビセ」の称呼が生ずるものというべきである。

そこで、本件商標より生する「ビーゼ」と引用C商標より生ずる「ビセ」の称呼を対比するに、両称呼は、語頭における「ビ」の音を同じくするものであるとしても、相違するところは、語頭の「ビ」の母音「イ」を力強く引き延ばすことにより1音の如く発音、聴取される長音「ー」の有無と、第2音において「ゼ」の濁音と「セ」の清音の差異を有し、そして、この「ゼ」の音は力強い響きをもって発音、聴取される音質であるのに対し、「セ」の音は軽く発音し、澄んだ音として聴取される音質であるから、短い称呼においては、両称呼を一連に称呼しても長音「ー」の有無と、「ゼ」の濁音と「セ」の清音の違いが顕著に認識し得るものであって、その音調、音感が異なって聴取され、十分区別し得るものである。

したがって、本件商標と引用C商標とは、称呼上非類似のものと認められる。

(4)本件商標と引用各商標の外観と観念の類否

本件商標と引用各商標とは、その構成からみて、外観上区別できるものであり、観念については本件商標、また引用各商標のいずれもが造語よりなるものであるから比較し得ないものである。

してみれば、本件商標は、引用各商標とは称呼、外観、観念のいずれにおいても十分区別できる非類似の商標と認められる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものでないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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