結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第30849号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第2107616号商標(以下、「本件商標」という。)は、昭和61年12月26日に登録出願、「WOLY」の欧文字を横書きしてなり、第3類「染料、顔料、塗料、印刷インキ、くつずみ、つや出し剤」を指定商品として、平成1年1月23日に設定登録され、同10年9月1日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
請求人は、「本件商標は商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中『つや出し剤』について、これを取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由および被請求人の答弁に対する弁駁を概要以下のように述べた。
(1)本件商標は、その指定商品中「つや出し剤」について、過去3年間継続して、わが国において、被請求人により使用されていない。また、登録原簿上、本件商標について専用使用権者あるいは通常使用権者は存在しないから、本件商標が専用使用権者あるいは通常使用権者によって上記商品について使用された事実もないというべきである。
したがって、本件商標はその指定商品中「つや出し剤」について商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても3年以上わが国で使用されていないから、その登録は上記商品について商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)弁駁
被請求人は、平成11年11月29日付け答弁書において、本件商標が使用されている「皮、革用つや出し剤、保革油」が平成9年(1997年)10月からわが国で販売されているから、本件商標は上記商品についてそれ以降現在まで継続して日本国内で使用されていると主張している。
被請求人の主張及び乙各号証によれば、平成9年10月からわが国で販売されていたとする本件商標が使用された「皮革用つや出し剤、保革油」は、(ア)スイス国で製造され、(イ)メルボ フエルトリープス ゲーエムベーハーを通じて、(ウ)シゲマツインターナショナル株式会社によって輸入され、(エ)株式会社アールアンドデーによって販売されているとのことである。
しかしながら、本件商標の権利者、すなわち、被請求人はドイツ国 ディー 7014 コーンヴェストハイム スタムハイマーシュトラッセ 10のザラマンダー アーゲーであり、登録原簿上本件商標について専用使用権者もしくは通常使用権者は存在しない。しかるに、上記(ア)ないし(エ)に示す商品の流通に係わっている会社は、被請求人本人ではなく、また、本件商標の専用使用権者でもない。さらに、それらの会社が、被請求人から、本件商標の指定商品中「つや出し剤」に関し、通常使用権を許諾されていることについて被請求人は何ら立証していない。
すなわち、本件商標が被請求人の主張するように「皮革用つや出し剤、保革油」について平成9年10月からわが国で使用されていたとしても、その使用は本件商標の商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれかによってなされたものではなく、本件商標を使用する権限を有しない全く無関係な者によってなされていたというべきである。
さらに、被請求人の提出に係わる乙各号証を詳細に検討しても、当該取引に関する商品自体及び取引書類には、本件商標権者と同一人と認められる表示は一切見い出せない。
したがって、それらの商品は被請求人が製造販売する商品とはいえず、また、乙各号証は、本件商標が被請求人、専用使用権者あるいは通常使用権者により「皮革用つや出し剤、保革油」について本件審判請求の予告登録前3年間に、わが国で使用されたことを証明するものではないから、本件商標が「つや出し剤」について本件審判の予告登録日である平成11年7月21日前3年間にわが国で使用されていなかったことは明らかである。
よって、上記商品について本件商標の登録は取消されるべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を概要以下のように答弁し、証拠方法として乙第1号証ないし同第9号証(枝番を含む)を提出した。
(1)本件商標は日本国内において平成9(1997)年10月から乙第1号証(枝番を含む)及び乙第2号証に示すように、商品「皮革用つや出し剤、保革油」について使用されており、現在も継続して使用されている。なお、乙第1号証の2は商品の包装用外箱を展開したものである。
乙第1号証(枝番を含む)及び乙第2号証に示す商品は、スイス国で製造され、メルボ フエルトリープス ゲーエムベーハー(Melvo Vertriebs GmbH)を通じてシゲマツインターナショナル株式会社によって輸入され、さらに株式会社アールアンドデーによって日本国内において販売されている。
乙第3号証ないし同第5号証(いずれも枝番を含む)はその取引の事実を示す取引書類の写しである。
以上のとおり、本件商標は審判請求の予告登録前から日本国内において指定商品中「皮革用つや出し剤、保革油」について使用されているものである。
(2)請求人の弁駁に対する再答弁
商品「皮革用つや出し剤、保革油」は、本件商標の通常使用権者であるメルボ フエルトリープス ゲーエムベーハ−から日本の輸入業者であるシゲマツインターナショナル株式会社によって日本国内に輸入され、さらに販売業者である株式会社アールアンドデーによって日本国内で販売されている。
メルボ フエルトリープス ゲーエムベーハーが本件商標の通常使用権を有していること、同社が本件商標を付した「皮革用つや出し剤、保革油」を日本のシゲマツインターナショナル株式会社に輸出していることは、乙第6号証の1として提出した宣誓書によって証明する。なお、乙第6号証の2はその訳文である。
以上のとおり、本件商標は審判請求の予告登録前から日本国内において指定商品中「皮革用つや出し剤、保革油」について使用されているものである。
本件審判の請求に対して被請求人は本件商標の使用を主張・立証するものとして乙第1号証ないし同第9号証(枝番を含む)提出しているので、その当否について判断する。
(1)乙各号証についての検討
(A)乙第1号証の1の写真および同号証の2の展開された商品の包装箱の写しによれば、本件商標が「R&D Co.,LTD.」により、「保革油」と認め得る商品に使用されていることが認められる。また、乙第2号証の写真によれば、本件商標が、「R&D Co.,LTD.」と認め得る会社により、商品「つや出し剤」に使用されていることが認められる。
(B)乙第3号証の1および同号証の3の納品書・伝票(控)の写しは、乙第1号証(枝番を含む)の商品に対応するものと認められ、また、乙第3号証の2および同号証の4の納品書(控)の写しは、乙第2号証の商品に対応するものと認められ、これら納品書伝票(控)は、「株式会社アールアンドデー(株式会社R&D)」(前記「R&D Co.,LTD.」と同一の会社とみて差し支えないものである。)の納品に係り、本件審判の請求の登録前3年以内に作成されたものであることが認められる。
(C)乙第4号証の1は、乙第3号証の1および同号証の2についての支払明細書(写)と認められ、乙第4号証の2は、乙第3号証の3についての支払明細書(写)と認められる。
(D)乙第5号証(枝番を含む)は、「Melvo Vertriebs GmbH社(メルボ フエルトリープス ゲーエムベーハー社)」が「シゲマツインターナショナル株式会社」へ宛てた請求書(商品送り状、本件審判の請求の登録前3年以内のもの)と認められる。
(2)以上の事実によれば、本件商標は、「シゲマツインターナショナル株式会社」が「メルボ フエルトリープス ゲーエムベーハ−」社から日本に輸入し、「株式会社アールアンドデー」により日本国内で販売された、本件取消対象に係る商品「つや出し剤」および「保革油」について本件審判の請求の登録前3年以内に使用されていたことが客観的に明らかといい得るものである。
(3)請求人は、前記の、商品の流通に係わっている「メルボ フエルトリープス ゲーエムベーハ−」社、「シゲマツインターナショナル株式会社」、「株式会社アールアンドデー」は、被請求人本人ではなく、また、本件商標の専用使用権者あるいは通常使用権者ではないと主張しているので、以下この点について検討する。
被請求人が、請求人の上記主張に関して提出した乙第6号証(枝番を含む)は「メルボ フエルトリープス ゲーエムベーハ−」社による宣誓書および公証人の認証と認められ、これによれば、「メルボ フエルトリープス ゲーエムベーハ−」社は被請求人の全額出資の子会社であること、同社は本件商標の通常使用権者であって、商品「つや出し剤」ほかの「WOLY」製品を日本の「シゲマツインターナショナル株式会社」に輸出していることを同社代表者が宣誓し、また、同宣誓書へ署名したことが公証人により認証されているものである。
しかして、この宣誓の内容を否定すべき証左は認められず、その内容は信用するに足るとみて差し支えないものである。
さらに、乙第7号証の1および同号証の2によれば、「シゲマツインターナショナル株式会社」が、乙第1号証(枝番を含む)および同第2号証に係る商品「つや出し剤」、「保革油」を「株式会社アールアンドデー」に対し、本件審判の請求の登録前3年以内に納品していることが認められるものである。
そして、被請求人の答弁の全趣旨および乙各号証(枝番を含む)を総合すれば、「シゲマツインターナショナル株式会社」および「株式会社アールアンドデー」も事実上本件商標に係る通常使用権者であるとみて差し支えないものである。
したがって、この点に関する請求人の主張は採用できない。
(4)してみれば、本件商標は、その通常使用権者と認め得る者により、日本国内において、本件取消対象に係る商品「つや出し剤」および「保革油」に付され、本件審判の請求の登録前3年以内に使用されていたものであって、被請求人はその使用を主張・立証し得たものというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定によっては取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。