Trademark Appeal Case
使用による識別力と商標の同一性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第1953号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1.本願商標
本願商標は、「SG」のローマ文字を横書きしてなり、第7類「プランジャーポンプ」を指定商品として、平成8年2月19日に登録出願されたものである。
2.原査定の理由
原査定は、「本願商標は、商品の規格、品番等を表わす記号、符号として類型的に用いられているローマ文字2文字である「SG」の文字を普通に用いられる方法をもって書してなるにすぎないから、極めて簡単でありふれた標章のみからなるものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。なお、提出された資料をもっては、本願商標が使用によってユーザーの間で広く認識され顕著性を獲得するに至っているとは認めることはできない。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。
3.請求人の主張
請求人は、原審において、甲第1号証ないし甲第5号証(枝番を含む。)を提出し、原審の意見書及び当審の請求の理由において要旨次のように述べて、本願商標は、使用による顕著性を獲得していると主張している。
1)本願商標は、請求人により、「プランジャ型ポンプ」に永年、継続使用をし、ユーザーによく知られているものである。
2)需要者が大企業などの法人であるこの分野では、品番・規格そのものが商品そのものを示すように作用して商標としての機能を持ち始めることは普通の現象であり、本願商標は、当初は、品番として使用されていたが、その後、本願出願人の「プランジャ型往復動ポンプ」を言い表すようになった。
3)出願人の主たる業務は、全世界にまたがるボーリング工事であり、地盤改良のためのものも含み、該工事の効率をあげるために、本願ポンプが重要な役割を果たしている。
4)総合カタログ表紙の「SG」の使用は、そのカタログの全ページに示される高圧プランジャについて使用されているものである。カタログ中のハイフン以下の「100III」「100SV」は「SG」にぶら下がって品番商標化、等級商標化しているものであり、各ページの「SG−15V11」「SG−100III」など極めて多い態様による使用回数だけ、「SG」についても使用されている。
5)数社のレンタルカタログ(甲第4号証の1ないし5)には、例えば出願人の超高圧ポンプのSG−75MKIII、グラウトポンプのSG−30Vが品番としてでなく商品名称として掲載されており、この品番により商品が特定されている。
6)各種新聞記事(甲第4号証の6ないし13)、各種専門誌(甲第4号証の14ないし120)に見られるように、出願人ポンプのSJ及びSGシリーズが出願人の製品として宣伝及び報道され、「SG−N」「SG−PQ」のN、PQがさまざまに変化し、甲第4号証の80のように「SG&SJシリーズの「SG」で括られ、集合化されている。
4.当審の判断
1)本願商標は、「SG」のローマ文字を普通に用いる方法で横書きしてなり、全体として特定の意味合いを有するとは認められないものである。
そして、ローマ文字の2文字及びこれに数字やローマ文字をハイフンで連結させた表示は、本願商標の指定商品においては、商品の規格・型式及び品番を表示する記号・符号として一般に使用されているものと認められる。そうすると、ローマ文字2文字からなる本願商標に接する取引者・需要者は、これを商品の規格・型式及び品番を表示する記号・符号の一類型として認識するというのが相当であるから、本願商標は極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標といわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する商標である。
2)請求人は、前記3.のとおり、本願商標は使用による顕著性を獲得している旨を主張しているが、使用による識別力(顕著性)を有するに至った商標として登録が認められるのは、その商標と同一の商標及びその商標を使用していた商品と同一のものに限られると解される(商標審査基準改訂第7版15頁、発明協会発行、特許庁商標課編集)。したがって、出願に係る商標が、実際の使用に係る商標(以下「使用商標」という。)と同一でなくその一部に含まれる場合は、出願に係る商標については、原則として使用により識別力を有するに至った商標と認めることができない。
3)そこで、本願商標と使用商標との同一性についてみるに、本願商標は、ゴシック体で書された「SG」の文字であるのに対し、請求人が提出した使用商標のひとつである甲第5号証のカタログ表紙右上に表示されている「SG」の文字は、両文字の横中央部分の配色を変えた籠字で表したものであって、両商標は同一とは認められないものである。
また、このほか請求人提出の甲第3ないし4号証の使用商標は、「SG−150」「SG−75SV」のように「SG」の文字とハイフンと数字又はハイフンと数字及びローマ文字を組み合わせたものとなっているから、これらは、本願商標と同一とは認められないものである。そして、これらの表示において、「SG」の文字が格別強調されているとは認められず、これらは、むしろ、請求人に係る製品の型式・品番表示としてそれぞれ認識される使用方法及び構成態様といえるものである。
4)以上のとおり、請求人の提出した証拠によっては、本願商標と同一の商標が使用されている事実を認めることはできないものであり、他に、請求人の主張を認めるに足る同業組合又は同業者等による客観的な証明等もないから、本願商標それ自体が使用による識別性を有するに至っているものとすることはできない。
5)したがって、本願商標は商標法第3条第1項第5号に該当し、同法第3条2項には該当しないとした原査定の認定、判断は妥当なものであって取り消すべき理由はない。
よって、結論のとおり審決する。
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