Trademark Appeal Case
SILICONGYROの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第7682号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本出願に係る商標(以下、「本願商標」という。)は、後掲したとおり「SILICONGYRO」の欧文字よりなり、第9類に属する商品を指定商品として平成8年8月9日登録出願、その後、指定商品については、当審において提出した平成10年6月5日付手続補正書をもって、「平板型3軸加速度センサー及びその部品」とする補正がされたものである。
2 原査定における拒絶の理由 原査定は、「本願商標は、『シリコン製のジャイロコンパス』の意を容易に認識する『SILICONGYRO』の文字を書してなるものであるから、これをその指定商品中、『シリコンを材料としたジャイロコンパス』等の上記文字に照応する商品に使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」として、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、その構成前記のとおり、「SILICONGYRO」の欧文字よりなるところ、構成中前半の「SILICON」の文字部分は、一般に「ケイ素(非金属元素の一、記号Si.)、シリコン」を意味し、近時においては、トランジスター(transistor)、ダイオード(diode)、集積回路等に用いられる半導体素材の一つであることはすでに広く知られるところであり、また、同後半の「GYRO」の文字部分は、一般に、船舶、航空機等の基準方向を維持しまたは物体の基準方向角度を維持するために用いられる「ジャイロコンパス(gyrocompass)(転輪羅針盤)」あるいは「ジャイロスコープ(gyroscope)(回転儀)」の略語と理解されるもので、物体の回転原理を利用した方向維持(安定)・検知装置ないしはそれら関連技術一般を意味し指称するものであるから、本願商標は、これら各語の結合よりなるものと容易に認識し理解されるものといえる。
ところで、昨今の電子技術、航行技術、マイクロマシニング(半導体微細加工)技術またはジャイロスコープ関連の製品事情ないしは業界事情について、たとえば、日刊紙、業界紙等の関連記事をみると、次の状況が認められる。
(1)「日本航空電子、新製品開発力を強化、・・・一般産業用のシリコンセンサーやシリコンジャイロは同社が長年培ってきた航空宇宙分野の技術を駆使して一般産業機器や民生機器向けに開発を急ぐ。・・・」(1998.7.15付日経産業新聞)
(2)「姫路工業大学、最小8ミリ角の角速度センサー開発に目途。・・・シリコンマイクロマシニング技術を使って最小8ミリ角の角速度センサー(ジャイロスコープ)の開発に目途をつけた。93年以来研究を続けてきた片持ち梁(はり)構造のシリコンジャイロで、構造がシンプルで量産化にも適しているのが特徴。・・・片持ち梁(はり)構造のシリコンジャイロは(a)シリコンをエッチングして形成した梁部にビエゾ(圧電)素子で振動を付与(b)この状態で回転角速度がかかると振動部分の揺れ方向が変化する−ことを利用、・・・」(1995.10.4付日刊工業新聞)
また、これに関連して、いわゆるパソコン通信を介して得られるインターネット・ホームページ上の製品紹介情報をみると、例えば、その製品名、特徴及び製品概要・用途・応用例等について、「3軸ダイナミカル角度センサー」、「従来の3軸角度センサのセンサ・制御部一体型,ジャイロにシリコンジャイロを使用」、「本製品は、高精度シリコンジャイロおよび高精度加速度計を各々3つ使用することにより、運動する物体の3次元角度の計測することを目的としたセンサです。」、「水平角度計測,角度および曲面検査,建設・土木機械や農耕車両など姿勢制御,クレーンのゆれ防止,無人搬送車・無人ロボット等」とする旨紹介されている状況があり(「株式会社データテック」に係る当該製品情報より)、また、このほか、半導体または電子機器メーカー各社ないし大学等の研究機関、さらには半導体微細加工技術(マイクロマシニング技術)関連企業等に係る関連情報をみると、産業界のこの種「シリコンジャイロ」、「ジャイロスコープ」またはその利用・応用分野に係る技術研究、製品開発が各方面において活発に行われている状況が窺われる。
以上によれば、本願商標(「SILICONGYRO」)は、この種ジャイロスコープ、関連電子部品またはこれらを利用するマイクロマシニング技術ないし関連技術分野においては、シリコン(チップ)を素材とするジャイロスコープまたは関連電子部品等、当該構造・検知(センサー)機能を備えた機器類の原材料、構造(機構)または機能を表示するもの(語)として容易に理解され、かつ、当業界において取引上普通に使用されているものとみるのが相当である。
そして、本願商標の指定商品は「平板型3軸加速度センサー及びその部品」とするものであって、請求人提出の「振動ジャイロ,シリコンVSG」とする表題の当該製品パンフレット(請求の理由添付書類)中の「コリオリの力を応用した角速度センサです。世界初のシリコンマイクロマシニングリング型振動子の採用により・・・。」旨の記述・紹介にみられるように、前記シリコン(チップ)を素材とするジャイロスコープまたはその関連電子部品ないしは当該検知(センサー)機能を備えた工業用機器類の一つと認め得るものである。
そうすると、本願商標をその指定商品について使用した場合、取引者、需要者は、前記各事情よりして、当該商品の原材料、構造(機構)または機能(品質)を表示したものと理解するに止まり、それをもって自他商品の識別標識とは認識し得ないものであり、また、これをその指定商品中の前記原材料、構造(機構)または機能(品質)を有しない型式の商品及び同関連部品について使用するときは、その品質を誤認させるおそれがあるというべきである。
請求人は、請求の理由において、本願商標に係る商品は世界で初めてのタイプのものであって在来の機械的なジャイロコンパス、ジャイロスコープとは全く異なる原理、構成からなる新規なセンサーであり、シリコン製のジャイロコンパスを意図するものではないから、本願商標は十分自他識別力を有しかつその品質を誤認させることもない旨主張している。
しかしながら、同時に請求人が請求の理由において述べているように、本願指定商品が「シリコン基盤に形成した3軸加速度センサー」であり、また「自動車などへの搭載に最適な薄型、軽量、高耐航性を備えたもの」とするものであるから、その構造(機構)、機能または用途並びにその生産・流通または取引系統よりみて、請求人商品は、少なくとも、シリコン(チップ)を素材とするジャイロスコープまたは関連電子部品あるいは当該検知(センサー)機能を備えた産業用機器類の範疇の商品といえるものであって、前出新聞または製品情報掲出の商品と同種の商品とみて差し支えなく、また、それら商品に関し本願商標が登録適格性を有しないこと前示認定のとおりであるから、請求人の主張は採用の限りでない。このほか述べる請求人の主張をもって前記認定を覆すことはできない。
してみれば、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものといわざるを得ないから、同旨の理由をもって本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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