sokuhyo

Trademark Appeal Case

著名商標と混同のおそれ

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35758号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第4249164号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ワイショック」の片仮名文字と「Y SHOCK」(YとSHOCKの間には半文字程度の空白を有する。)の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、平成9年9月26日に登録出願され、第12類「船舶並びにその部品及び附属品(「エアクッション艇」を除く。),鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車,自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,車いす,陸上の乗物用の動力機械器具,軸,軸受け,軸継ぎ手,ベアリング,動力伝導装置,緩衝器,ばね,制動装置,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片,乗物用盗難警報器」を指定商品として、平成11年3月12日に設定登録されたものである。

2.請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求める。」と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第9号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)審判請求の利益について

(イ)請求人は、商標「G−SHOCK」「Gショック」を時計について大々的に使用し、国際的に著名な商標として人気を博している。これと類似する本件商標をその指定商品について使用されると、商品の出所について混同を生ずるおそれが多分にあるので、本件審判請求について利害関係を有するものである。

(ロ)請求人は、上記(イ)の商標の商標権者であり、使用者でもあるので、本件商標の存在及びその権利行使としての使用により、多大の影響を受けることは明白である。

本件商標は請求人の商標に類似しないから本件審判の請求について利益があるとは認められない旨の答弁書における被請求人の主張は、全く理由がない。

(2)無効理由について

本件商標は、以下に述べるとおり、請求人の商標「G−SHOCK」との関係で商品の出所の混同を生じさせるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第46条第1項の規定により無効とすべきである。

(イ) 請求人の商標「Gショック」及び「G−SHOCK」について

i)請求人は、国内外に100か所を超す生産工場、事業所、営業所等を置き、情報機器、電子時計、電子楽器、通信・映像機器、デバイス等のハード及びソフトの製造販売事業を行っており、デジタル時計では業界1位、いわゆる電卓は、シヤープと並びデジタルカメラ・HPC等も急成長するなど、取扱い品目等も拡大し、多角化している状況にある(甲第2号証)。

請求人は、昭和58年(1983年)4月に「Gショック」「G−SHOCK」なる商標による腕時計を発売し、当初年間1万本程度であったものが、米国において人気となり、これが逆輸入現象となり、また、機能追加等による機種の増加もあって、91年3万、93年50万、96年には100万本というように売り上げは急上昇した。

新機能種の販売は、大々的に宣伝広告すると共に、次々に各新聞、雑誌等にも報道、紹介され(甲第3号証の1乃至21)、異常な人気となり、その人気は今日に至るまで継続している。その状況から、現在でも「たまごっち」等と並ぶヒット商品として紹介されているほどのものであり(甲第4号証の1乃至3)、国内外のあらゆる層に浸透している。

具体的な使用例は、時計の総合カタログ(甲第5号証)にも示すような態様による表示であり、広告あるいは新聞等の紹介記事では、「Gショック」のようにも表示される。このような人気にあやかり、「G−SHOCK」がコカコーラ等のキャンペーン用のプレミアム品に採用されたりして(甲第6号証の1及び2)、ブームを引き起こしている。

ii)このように、請求人の「Gショック」「G−SHOCK」は、斬新なデザインと確かな機能とにより、国内外で人気を博し、一種のファッション的なブームを巻き起こす現象となっているが、その異例な状況は、甲第7号証の1乃至3として提出するような刊行物が発行されていることからも確認できることである。これらの刊行物は、1997年、1998年刊行のものであるが、「Gショック」「G−SHOCK」の誕生から今日までの事情をつぶさに紹介している。これらの刊行物でも分かるように、「Gショック」「G−SHOCK」の人気の程度は予想もしなかったほどに内外国において高まっているもので、若者を中心として知名度も抜群であり、「Gショック」「G−SHOCK」を見聞きすれば、直ちに請求人、請求人の扱いに係る商品を想起することになるのは明白である。

(ロ)本件商標について

本件商標は、請求人の前記著名な商標と類似する。本件商標は、前記構成から「ワイ」「Y」と「ショック」「SHOCK」との結合からなるものとして把握されるものであり、「ワイ」「Y」が、一般的に商品の記号、符号として用いられることのあるものであるところから、「ショック」「SHOCK」の部分をもって自他商品の識別機能を果たすものと見られ、これに相応する「ショック」の称呼によって取引に当たることのあるものである。

(ハ)本件商標と請求人の商標「G−SHOCK」との比較

請求人の商標「G−SHOCK」も同様に「ショック」の称呼によって取引に当たられることのあるものである。したがって、本件商標と請求人の前記商標「G−SHOCK」とは、共に「ショック」の称呼を生ずるものであるから、両者は、称呼上類似するものである。

そして、本件商標の指定商品と請求人が商標「G−SHOCK」を使用する時計とは、同一又は類似の関係にはないとしても、請求人が「G−SHOCK」「Gショック」として販売している時計は、アウトドアレジャー用として使われ、スポーツウオッチと呼ばれることもある程のものであるから(甲第6号証の1及び2)、本件商標の指定商品である「二輪自動車・自転車」などの利用時に一緒に使われるいわば必需品的なものであるといっても過言でなく、その他の商品についても、商標「G−SHOCK」の著名性から、無関係のものと見られることはない。

したがって、これと類似する本件商標をその指定商品について使用した場合には、少なくとも、それが請求人又は請求人と関連がある者の取扱に係る商品であるかのように誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

(ニ)商標「G−SHOCK」の防護標章の登録等

請求人は、国内外において時計のほか、他の商品についても商標登録を受けており、最近、模倣出願的なものも現れてきたことから、全類に亘って防護標章の出願をし、防衛手段を講じることとし、第12類をはじめほとんどの類において防護標章の登録をを受けている(甲第8号証)。このように、商標「G−SHOCK」の著名性を認められているものである。

また、本件商標と構成の似通った商標「C−SHOCK」「J−SHOCK」「X−SHOCK」「D−SHOCK」及び「S−SHOCK」がそれぞれ「G−SHOCK」と類似するものであるとの判定も得ている(甲第9号証の1乃至4)。

被請求人は、当然に請求人商標「G−SHOCK」のこのような著名性を知りながら、出願し、登録を受けているものであることは明らかであり、本件商標の登録も不正競争的な意図の下に行われたものといわざるを得ない。

(3)答弁に対する弁駁

(イ)「Gショック」自体を引用としては挙げていない。いわば、「G−SHOCK」と同一性のある使用例として挙げているものである。なお、本件商標が「Gショック」とも類似することはいうまでもない。

(ロ)請求人の商標の著名性について立証されたとしても、本件商標は請求人の使用する商標と非類似商標であり、非類似商標に係る商品が商品の出所の混同を生じさせないという。

しかし、商標法第4条第1項第15号は、「混同を生ずるおそれが」あれば足り、商標の同一又は類似とか、具体的混同を要件とするものではない。

そして、その他人の業務に係る商品であると誤認し、その商品の需要者が商品の出所について混同するおそれがある場合のみならず、その他人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その需要者が商品の出所について混同するおそれがある場合をもいうものと解されている。また、「混同を生ずるおそれがある商標」であるかについては、周知度その他の事情を総合的に考慮して判断されるものである。

(ハ)第12類の商品においては、「SHOCK」が要部とならないから、「Y SHOCK」と「G−SHOCK」とは類似しないといい、その根拠として、「ショックアプソーバー」が「ショック」と称されている資料を提出しているが、本件商標は、「ショックアプソーバー」を指定商品とするものではなく、これと関連する商品に限定されているものでもない。

(ニ)取引者又は需要者は、常にその商標の採択の意図を詮索して称呼観念し、取引に当たるとする経験則はなく、この点を挙げて混同を生ずるおそれがないとする主張は理由がない。

また、時計と自転車の相違性から、同じように高品質であると認識するかという点では全く期待できず、混同することは全くないとの主張は、理解できず、理由があるものとはいえない。

(ホ)判定の対象商標が本件商標とは事案を異にするというが、これらの事案にあっても、外観類似を問題にしている訳ではないので、「G−SHOCK」との比較において、その構成の差で類否判断が変わるという性質のものではない。本件商標が「Y」と「SHOCK」の結合からなることは明らかである。

3.被請求人の主張

被請求人は、結論と同旨の審決を求めると申し立て、その理由を以下のように述べ、乙第1号証乃至同第3号証を提出した。

(1)請求の利益について

請求人は、同人の著名な商標と類似する本件商標をその指定商品について使用されると、商品の出所について混同を生ずるおそれが多分にあるので、本件審判請求について利害関係を有する旨主張する。

しかしながら、本件商標は、請求人の商標「G−SHOCK」「Gショック」に類似しないから、この点に関する主張は認められない。

(2)請求人が主張する無効理由について

(イ)請求人は、本件商標は請求人の商標「G−SHOCK」との関係で商品の出所の混同を生じさせるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当するものであると明確に主張する。そこで、この理由によって請求の趣旨の通り審決を求めるものである。よって、請求人は、「Gショック」については、無効理由の主張をしていないことを、被請求人は、念の為指摘する。なお、本件商標は「Gショック」と非類似商標であることはいうまでもない。

(ロ)請求人は、甲第2号証乃至甲第7号証により請求人の商標「G−SHOCK」「Gショック」の著名性について立証している。この資料は、請求人が商標登録第2424099号について防護標章の登録を受ける出願において添付した資料と同一または同一の立証力のある資料と推測され、既に庁において認定ずみのことと思われる。しかし、請求人の商標の著名性について立証されたとしても、そのことが直ちに、本件商標に係る商品と、商品の出所の混同を生じさせることを立証するものでないこと明らかである。本件商標は、請求人の使用商標と非類似商標であり、非類似商標に係る商品が商品の出所の混同を生じさせないことは自明のことである。

(ハ)請求人は、本件商標が請求人の著名な商標「G−SHOCK」と類似すると主張するが、類似しないものである。すなわち、本件商標は、上段に片仮名文字で「ワイショック」と一連に横書きするものであり、また下段に欧文字で、その「Y」と「S」とは半字の間隔があるが、「Y SHOCK」と横書きするものであるから、全体が結合されて認識されるものである。そして商標の要部が「ショック」「SHOCK」にあるとする主張は、商品区分第12類の商品の実態(乙第2号証・乙第3号証)から品質表示となり、論拠を欠くものである。

(ニ)甲第7号証の1第23頁によると、商標「G−SHOCK」の採択の由来を、「自由落下=重力 その衝撃=ショックに耐える。そういう時計を作る。そのコンセプトをダイレクトに反映したネーミング。そうして考えられた商品名、それが『G−SHOCK』。まさにコンセプトを100%反映した名前だった」としている。また、同頁において、「G−SHOCK」の「G」が重力を意味する「GRAVITY」の頭文字の「G」であるとしている。それゆえに「G」は、無意味な文字ではなく、他に変えることができる単なる商品記号ではないのである。このことは、需要者においてもよく認識しており、かかる如く、明確な商品コンセプトを持ち、そのコンセプトに相応しい高性能、高品質な商品だから人気がでたものと推測する。そして、甲第5号証のカタログにおいても、「G」を語頭に、また語尾に配備した商標を主力に、商品を展開していることからも明らかである。

次に、請求人は、「G−SHOCK」として販売している時計は、アウトドアレジャー用として使われ、スポーツウオッチと呼ばれることもある程のものであるから、「二輪自動車・自転車」などの利用時に一緒に使われるいわば必需品的なものと言っても過言でないと主張する。

自転車の需要者である若者が、時計を使用しないということはないから、需要者が同一ということはあり得る。しかし、被請求人が販売する「Y SHOCK」の商標を付した自転車をみて、「G−SHOCK」の時計の商品がよいから、これと同じように高品質であると認識するかという点では、時計と自転車との商品の相違性から、また、販売場所も異なることから、全く期待することはできないことは自明の理である。特に、最近の若者は、ブランド志向が強く、請求人のカシオ計算機の商品をよく認識し、「G」の何たるかも、老舗のミヤタ自転車(ギヤエム印、miyata)の「Y」の何たるかも当然に理解しているので、「Y SHOCK」と「G−SHOCK」を混同することは全くない。

被請求人は、本件商標をフレームがY型で高性能のサスペンションをもつ自転車の商品商標として使用している(乙第1号証)が、その商標の表示も「Y」と「SHOCK」が「ー」(ハイフン)で結合されておらず、「Y SHOCK」と一連に表示されており、また、商品技術の説明からも、「MIYATA」の独自性を強調するものであり、「G−SHOCK」と混同を生じさせるものは微塵のかけらもない。

(ホ)請求人の使用商標が著名性を獲得し、自己の経済活動を守るため全類に防護標章登録を受けることは自由である。しかし、そのことによって受けられる効力は、商標としてのものだけであり、「G」の欧文字、「SHOCK」の語の使用をあらゆる経済活動の場面で、他人が使用することを禁止できる権利ではないものであり、権利の乱用に他ならないのである。

請求人は「C−SHOCK」等につき請求人の使用商標に類似するとの判定を得ていると主張するが、これらの商標は、模造品対策として、商品「時計」についての判定を求めたものであり、証拠に照らし、商品「時計」において、請求人が商標「G−SHOCK」を使用している事実を踏まえた上で、欧文字1字と、欧文字「SHOCK」を「一」(ハイフン)により結合させる商標の構成、時計という商品の特殊性等を総合的に勘案して類似商標と判定したものである。したがって、指定商品が異なり、また商標が異なる本件商標の類似性については事案を異にするものであり、その判定の結果が、無条件でそのまま全て適用されるべきではない。

(4) 以上、本件商標は、請求人の使用商標「G−SHOCK」との関係で、商品の出所の混同を生じさせるおそれは全くなく、商標法第4条第1項第15号に該当しないものである。よって、「被請求人は当然に請求人の使用商標の著名性を知りながら出願し、登録を受けていることは明らかであり、その登録も不正競争的な意図の下に行われたものといわざるを得ない」との主張は、根拠が無く事実に反する。

4.当審の判断

(1)当事者間において、本件審判を請求することの利害関係について争いがあるので、まず、これについて判断する。

商標登録の無効を請求する者は、当該審判請求をするについて法律上の利益を有することを要すると解されるところ、本件請求人は、本件商標との間で商品の出所について混同を生じさせるおそれがあると思量する商標の所有者・使用者であり、本件商標の商標登録の有無によつて、商標の所有者としての地位に関して法律上の利害を有するとみられるから、本件審判請求について法律上の利益を有する者と判断される。

(2)そこで本案に入り、無効理由の有無について以下のとおり判断する。

(イ)請求人の使用に係る商標について

請求人提出の証拠によれば、1998年(平成10年)1月1日集英社発行の「imidas’98」の「新語ファイル」欄の「G−SHOCK(ジーショック)」の項に、「カシオ計算機が83年に発売したデジタル腕時計で、・・・・発売当初の売り上げは年間1万本だつたが、91年3万、93年50万、96年100万本と急上昇。限定モデル発売日には店頭に数千人が並んであっという間に売り切れ」との記載がある(甲第4号証の3)。また、平成10年2月20日ベストセラーズ発行の「BEST SUPER GOODS SERIES1」で「G−SHOCK完結本」として特集が組まれ、そこには、発売の当初(1983年)から1998年に至る間の「G−SHOCK」からなる商標(以下、単に「請求人の使用商標」という。)を使用した腕時計の写真や紹介記事が掲載されている事実が認められ(甲第7号証の3)、その他、雑誌や各種の新聞において紹介記事が頻繁に掲載されたことが認められ、また、この紹介記事等において、上記腕時計を指称するために、「Gショック」又は「G−ショック」の表記が使われていることが認められる(甲第3号証の1乃至21、同第4号証の1乃至2、同第6号証の1乃至2、甲第7号証の2)。

これらを総合すれば、本件請求人の使用商標は、商品「腕時計(デジタル式腕時計)」に使用された結果、本件商標の出願の日前において、時計の需要者の間において広く認識されるに至っていたと認められ、腕時計の商標として著名なものとなっていたということができ、それは本件商標の登録(査定)時においても認め得るところである。

(ロ)混同のおそれの有無について

本件商標と請求人の使用商標との類否についてみるに、本件商標は、前述のとおり、「ワイショック」の片仮名文字を上段に「Y SHOCK」(YとSHOCKの間には半文字程度の空白を有する。)の欧文字を下段に横書きしてなるものである。

他方、請求人の使用商標は、「G」と「SHOCK」の各欧文字の間にハイフンを配し「G−SHOCK」と表してなるものである。

両商標の構成及び態様は前記のとおりであるから、外観上においては明らかに異なり判然と区別し得るものである。

また、いずれも特定の観念を生じさせない一連の造語よりなるものとして把握・認識されるとみるのが相当であるから、その観念においては、比較すべきもないものである。

請求人の使用商標はその構成に相応し「ジーショック」の称呼を生じるものであり、他方、本件商標はその構成に相応して「ワイショック」の称呼を生じるものである。そして、「ジーショック」と「ワイショック」の両称呼においては、語頭部分における「ジー」と「ワイ」との明らかな差異によって、これらを一連に称呼しても互いに相紛れる余地は認められないものである。

そして、請求人の使用商標は、「G」の欧文字と「SHOCK」の欧文字とを軽重の差なくハイフンによって結合したものとみるのを相当とし、また、かかる商標として、これに伴う「ジーショック」の称呼(前記(イ)で述べたように、当該称呼は「Gショック」と表記される場合がある。)とをもって、取引上において看取され記憶されて、需要者の間に広く認識されるに至ったものと認められるところである。しかし、全証拠によっても、これが構成中の「SHOCK」の文字部分に限定着目し、この文字部分に相応した「ショック」の称呼において取引に資されてきたことを認めることができる証拠は見いだせず、また、「Gショック」なる商標が商品(時計等)に現実に使用されたと認め得る証拠はない。むしろ、単に「G」と略称される事実(甲第7号証の1、同2、同3)や、「G−COOL」や「baby−G」、「MR−G」といった「G」を前後に結合してなり、いわば「G」シリーズとでもいうべき請求人の商標が使用されている事実を見出すことができる(甲第5号証、甲第7号証の1、同2、同3、)。しかして、これは、「G」と「SHOCK」とがハイフンを介して不可分一体的に結合されたものとして、かつ、「ジーショック」の称呼をもって、固有の識別力を発揮している商標というのが相当である。

他方、本件商標は、その構成中の「ショック」および「SHOCK」の文字が、乙第2号証乃至同第3号証によるも、必ずしもその全ての指定商品について品質等を表示するものとは言い切れず、本件商標の構成中「Y」の文字が記号・符号を付加したものとして認識される余地があり、その場合には主要部である「SHOCK」に相応して「ショック」の称呼をも生ずるというのを相当とするけれども、両商標が「ショック」の称呼を共通にするものであるとまでは認められない。

してみれば、両商標は、その構成において、欧文字1字と「SHOCK」の文字との結合した標章を構成要素としているという点では共通する部分があるといえるけれども、外観、観念及び称呼のいずれからみても、類似する商標とは認められない。

さらに、請求人の使用商標に係る商品と本件商標の指定商品についてみると、使用商標に係る商品「腕時計」は、時刻を示し又は時間を測定する器械で、腕首に巻いて携帯するものであるのに対し、本件商標の指定商品は、輸送のための機器あるいはその部品や付属品の類である。そして、両者は、その用途や機能を異にし、製造者や販売者(販売場所)を共通にすることもなく、取引系統を全く異にしているばかりか、たとえば、共にファッション関係の商品であるとか、その商品を使用する際の必需品であるというような、関連性を有するとは言い難いものである。また、その通常の取引において需要者を共通にするものとはいえないとするのが相当である。

しかして、両商標は、外観を明らかに異にし、観念及び称呼上で紛れる余地があるとは言い難く、「ショック」の称呼をもって取引に資されるもの同士であるとはいえず、欧文字1字と「SHOCK」の文字との結合した標章を構成要素としているとの点では共通性を認め得るとしても、ハイフンと空白(スペース)の差異及び「G」と「Y」との差異により、看者をして、両商標を関連づけて認識するとみるまでに、類似の程度・関連性が強いものとはいえない。これらに併せて、それぞれが使用される商品間に関連性を認め難いこと及び需要者を共通にするとはいい難いことを勘案すると、本件商標に接する需要者が、前記腕時計の商標として著名な請求人の使用商標を想起・連想して、その出所を同じにするとか、関係を有する者に係る商品のように混同するおそれがあるとは認められない。本件商標は、結局、請求人の使用商標とは別異の出所を表すものとして認識されると判断するのが相当である。

したがって、本件商標をその指定商品に使用しても、その需要者をして、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものとは認められない。

(ハ)なお、請求人の使用商標に関連して4件の判定請求があり、いずれも「商標権の効力の範囲に属する」旨を結論とする判定がなされていることが認められる。しかし、当該判定は、いずれも使用商品(腕時計)を共通にする商標に関するものであり、本件商標とは、商標の構成態様が相違するばかりか、指定商品及び使用に係る商品が異なるものであって、事案を異にするといわざるを得ないものである。

また、請求人の使用商標について、本件商標の指定商品とほぼ同じ商品を指定商品として防護標章登録を受けていることが認められるが、「G−SHOCK」標章そのものについての著名性が認められたこと、当該標章の保護を拡大する手だてが講じられたことを認め得るものではあつても、必ずしもそれをもって、本件商標が請求人の使用商標との間で商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるとはいえないとした前記判断を覆えし得るものとはならない。

さらに、本件商標の登録が不正競争的な意図の下になされた旨の請求人の主張は、これを認めるに足りる証拠を見いだせない。

(3)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものとはいえないから、同法第46条第1項の規定によってその登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。