結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第31297号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第2344855号商標(以下、「本件商標」という。)は、昭和63年8月16日に登録出願され、「SYSLEY」の欧文字よりなり、第32類「加工食料品、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成3年10月30日に設定の登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
1.請求の理由
本件商標は、その指定商品につき継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用された事実が存しないものであるから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
2.被請求人の答弁に対する弁駁
(1)標章「SISLEY」の使用について
商標法第50条括弧書きにより、登録商標の使用と認められる商標とは、「登録商標と社会通念上同一と認められる商標」のことであり、これは、登録商標を商品に付する場合、商品の具体的な性状に応じて商標を適宜に変更して使用する必要があること等を考慮し、登録商標と物理的に同一の商標のみならず、社会通念上同一と認められる商標の使用をも登録商標の使用と認めるべく規定されたものである(甲第2号証)。
本件の場合、「SISLEY」と「SYSLEY」は、ともに欧文字からなる商標であるところ、第2文字目において「I」と「Y」のスペルの相違がある。また、生じる可能性のある称呼が同じであるからといって、社会一般に、異なるスペルからなる欧文字商標が同一の商標として認識されているとは考えられない。
そして、本件商標及び同標章「SISLEY」は、ともに造語からなり、特定の観念を生じない。よって、これらは、互いに観念を同一にするものとは言えず、標章「SISLEY」は商標法第50条第1項括弧書きに挙げられている「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」の要件を満たすものではない。
したがって、標章「SISLEY」の使用を証明する被請求人提出にかかる証拠(乙第2号証ないし乙第4号証、乙第6号証ないし乙第13号証)は、本件商標「SYSLEY」の使用を証明するものではない。
(2)標章「シスレー」の使用について
本件商標「SYSLEY」は、「サイスレー」又は「シスリー」、「サイスリー」等、複数の称呼を生じる可能性があり、必ずしも片仮名「シスレー」と同一の称呼を生じるとはいえない。したがって、欧文字「SYSLEY」のみからなる本件商標の場合、「SYSLEY」の読みを「シスレー」に特定することはできず、社会一般において、「SYSLEY」と「シスレー」を同一のものと認識するのは困難である。
さらに、本件商標及び同標章「SISLEY」は、ともに造語であり、特定の観念を生じないため、互いに観念を同一にするものとは言えず、よって、標章「シスレー」は商標法第50条第1項括弧書きに挙げられている「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」の要件を満たすものではない。
したがって、標章「シスレー」が本件登録商標「SYSLEY」と社会通念上同一と認められる商標であるとの請求人の主張は認められるべきものではない。
(3)具体的証拠について
万が一、標章「SISLEY」及び「シスレー」が本件登録商標と社会通念上同一と認められる商標であると仮定しても、被請求人が提出する証拠は、審判請求の登録前3年以内における、本件商標の使用を立証するものではない。
(ア)乙第2号証ないし乙第4号証について
乙第2号証及び乙第3号証は、飲食物の提供を行う店の外観及びそのメニューの写真である。
企業において自社の事業に係る財産を写真におさめる場合には、事業記録として残すべく、その撮影年月日が確認できるように撮影するのが通常であると考えられる。しかしながら、乙第2号証及び乙第3号証には、その撮影年月日を確認することができるものがない。
また、乙第4号証は同店のメニューであるが.これはいつの時点のメニューであるか、特定できない。
(イ)乙第6号証及び乙第7号証について
乙第6号証は、その表紙から明らかな通り、「20万人が選んだ飲食店のランキング」を紹介する雑誌であり、その中で、被請求人の経営する店が、パイと紅茶を楽しめる店として紹介されているものである。そして、この中で、同店がかかる雑誌に選ばれ、ランキングに挙げられた趣旨が読者に理解できるように記述されている。すなわち、被請求人も述べているように、これは、雑誌編集者による同店の紹介記事にすぎず、被請求人が自ら行った広告ではない。
また、乙第7号証も、同様に雑誌の記事に同店がとりあげられているにすぎないものであって、その雑誌の発行日が本件審判請求の登録より後のものであるため、審判請求登録前3年以内の本件商標の使用を立証する証拠たりえない。
したがって、これらの記事の中に「SISLEY」及び「シスレー」の文字が表されていても、商標法第2条第3項に規定する使用行為に該当するものではない。
(ウ)乙第8号証について
乙第8号証の第1頁下の写真中の容器に、「消費期限 00.1.11」「製造日 00.1.11」と記載されている、この「00」は、西暦2000年を意味するものと理解でき、この写真が、本件審判請求の登録日より後の2000年1月11日以降に撮影されたことがうかがえる。
また、被請求人は、「直営店シスレー」がオープン時より継続して乙第3号証及び乙第4号証の「メニュー」に示す商品を全て持帰り(テイクアウト)用の商品として販売していると主張するが、係る主張を証する証拠は一切見られない。
したがって、同写真は、審判請求の登録前3年以内の本件商標の使用を証する証拠たり得ない。
(エ)乙第9号証について
乙第9号証として提出される写真は、その撮影日が不明である。したがって、乙第2号証及び乙第3号証と同様、同写真は、本件商標が審判請求の登録前3年以内に使用されていたことを示す証拠とは認められない。
(オ)乙第10号証及び乙第11号証について
乙第10号証及び乙第11号証として提出される「証明願」は、双方とも「貴殿は、添付(1)の写真に表示されているように・・・持ち帰られたことに間違いないことをご証明願います。」という型の文章の下部に日付、住所及び名前を記入する形式であり、それはいわば一種の署名であるに過ぎないので、客観性、信懲性を著しく欠くものである
(カ)乙第12号証及び乙第13号証について
乙第12号証及び乙第13号証からは、証拠として提出されている包装用袋が、各種パイ・ポケットサンドイッチ等の持ち帰り用に用いられていたかどうかは確認できない。
(キ)ホームページにおける「直営店シスレー」の紹介について
被請求人は、種々のホームページにおいて「直営店シスレー」が紹介されている旨述べ、平成11年審判第31301号にて提出された証拠資料に言及しているが、同証拠資料は、パイや紅茶を楽しめる飲食店として同店を記述しているに過ぎず、何ら本件商標の使用を証明するものではない。
以上のとおり、被請求人が提出した証拠は、本件商標「SYSLEY」と社会通念上同一の商標とは言い得ない全く別の標章「SISLEY」又は「シスレー」の使用を示したに過ぎず、しかも、係る標章の過去3年間の使用の証明にも不十分である。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。
1.被請求人は、本件商標を商標権者が経営する ファースト フード ショップにおいて、本件審判の請求前より、請求に係る商品に使用されているものである。また、ファースト フード ショップは、店内で飲食のための各種の飲食物の提供及び持帰り(テイクアウト)用の商品を販売していることで広く知られ、一般に利用されているところである。
2.本件商標は、本件商標の商標権者の直営店であるファースト フード ショップの「SISLEY」(シスレー)(東京都渋谷区神宮前6−3−7 所在)」(以下、「直営店シスレー」という。)が、本件審判の請求前の3年以内は勿論のこと、昭和63年12月23日の同店のオープンから継続して現在においても、指定商品に包含されている持帰り(テイクアウト)用の各種のサンドイッチ類・スープ類・サラダ類等の商品について使用している。
3.直営店シスレーは、昭和63年12月23日のオープンより継続して現在まで、パイ・紅茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料・スープ・サラダ・ビール等の各種の飲食物を店内において飲食するために提供し、また、これらの各種の飲食物を持帰り(テイクアウト)用の商品としても販売していることでも一般に知られているところである。
登録商標を表示する紙袋に持帰り(テイクアウト)用の指定商品を入れて販売する行為は、商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為に該当し、登録商標の使用であることは、東京高等裁判所の昭和63年(行ケ)163号及び平成3年(行ケ)44号の判決によっても明らかである。
4.そこで、本件商標の指定商品についての具体的な使用状態を示すと、
乙第2号証は、直営店シスレーの正面及びその一部を拡大した写真でもある。
乙第3号証は、店内においての飲食または持帰り(テイクアウト)用のために店内に掲げてある各種飲食物のメニューの写真であり、持帰りができる旨明記してある。
乙第4号証は、店内においての飲食または持帰り(テイクアウト)のため各種飲食物のメニューである。
乙第5号証は、更新された現在の「直営店シスレー」の「営業許可書」である。
乙第6号証は、「直営店シスレー」を紹介している「ぴあランキン’グルまめ版’98年版青山・表参道・赤坂」(1998年4月25日 ぴあ株式会社発行)の書籍であり、これによっても本件審判の請求前3年以内においても、直営店シスレーが業務を行っていたことが証明されている。
乙第7号証は、「直営店シスレー」を紹介している「Hanako l・26NO.574」(2000年1月26日マガジンハウス発行)の雑誌であり、これによっても現在においても継続して直営店シスレーが業務を行っていたことが証明されている。
乙第8号証は、直営店シスレーがオープン時より継続して乙第3号証及び乙第4号証の「メニュー」に示す商品が全て特帰り(テイクアウト)用の商品として販売しており、当然に本件審判の請求に係る指定商品中の商品も含まれていることが明らかであり、その中の一例としての商品「ポテトサラダ」の写真である。
乙第9号証は、同じく商品「ビーフチリパイ」の写真である。
乙第10号証は、株式会社アモウディレクションが1988年12月23日から現在に至るまで度々直営店シスレーにおいて持帰り用の商品「サラダ」を購入したことのある旨の証明書である。
乙第11号証は、株式会社エム.ディが1988年12月23日から現在に至るまで度々直営店シスレーにおいて持帰り用の商品「サラダ」を購入したことのある旨の証明書である。
乙第12号証は、持帰り用(テイクアウト)の各種のパイ・ポケットサンドイッチ用の包装用袋である。
乙第13号証は、持帰り用(テイクアウト)の飲食物の商品用の包装用袋である。
なお、種々のホームページにおいても「直営店シスレー」が紹介されている事実がある(平成11審判第31301号の審判事件答弁書にその事実を示す資料を添付してある。)。
更に、使用に係る「SISLEY」及び「シスレー」の商標は、本件商標の「SYSLEY」と称呼を全く同一にすること、また、東京高等裁判所の昭和63年(行ケ)269号の判決に徴しても、使用に係る商標と本件商標が商標法第50条の括弧書きに示す社会通念上同一と認められることから、本件商標がその指定商品に使用しているといえることが明らかである。
したがって、本件商標が請求に係る商品について、請求前3年以内に使用していることが明らかである。
1.被請求人提出の乙第2号証ないし乙第13号証によれば、被請求人の直営店であるファースト フード ショップの「SISLEY」(シスレー)(東京都渋谷区神宮前6−3−7所在)」において、昭和63年12月23日のオープンから継続して現在まで、持帰り(テイクアウト)用のパイ・紅茶・コーヒー・スープ・サラダ・ビール等の商品を販売していることが認められる。そして、その販売に際し「SISLEY」或いは「シスレー」の標章が使用されていたことは、各種飲食物のメニュー(乙第3号証及び乙第4号証)、持帰り用のための紙製包装用袋(乙第13号証)等により確認できるものである。
2.本件商標はその構成前記のとおり、「SYSLEY」の欧文字よりなるものであるのに対して、被請求人が商品「パイ・紅茶・コーヒー・スープ・サラダ・ビール等の飲食物」に使用している標章は「SISLEY」或いは「シスレー」の文字よりなるものである。
(1)そこで、「SISLEY」或いは「シスレー」の標章の使用が本件商標「SYSLEY」の使用に当たるか否かを検討するに、平成8年法律第68号により改正された商標法は、不使用取消審判における登録商標の使用と認める範囲を同法第50条第1項において「社会通念上同一と認められる商標を含む。」と明記し、その例示として、1)書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、2)平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、3)外観において同視される図形からなる商標を挙げているものである。
(2)これを本件についてみるに、本件商標及び使用各標章からは共に「シスレー」の称呼が生ずるものではあるが、両者は何ら特定の意味を有しない造語と認められるものであって、いずれを比較した場合であっても両者間に観念的な相互連想作用はなく、故に両者が同一の観念を生ずるものとは言えない。そして、本件商標と使用する欧文字標章とを比較するに、両者はその文字綴りの左から2番目の「Y」と「I」とを異にする点で外観上相違し、また、本件商標と片仮名文字標章とを比較するに、両者は欧文字(ローマ字)と片仮名文字という点でその外観を著しく異にするものである。
そうとすれば、両者は外観の差異が顕著である点に加え、同一の観念を生ずるものとはいい難いことから、たとえ、同一の称呼を生ずるものとしても、外観、観念の点を考慮に入れる余地はないから、社会通念上同一性を有する商標とは言い得ないものとみるのが相当である。
被請求人は、使用に係る標章及び本件商標がその称呼を全く同一にすることをもって社会通念上同一と認められるものである旨述べ、昭和63年(行ケ)269号の判決を挙げているが、該事例は外観が酷似し、同一の称呼、観念を生ずる点で社会通念上同一の範囲を出ないとされた事例であって、商標の具体的構成において本件商標とは事案を異にするものであり、必ずしも前記判断に影響を及ぼすものでないから、その主張は採用できない。
3.してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品について使用されていたとはいえないから、本件商標は商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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