sokuhyo

Trademark Appeal Case

不使用取消と指定商品の使用範囲

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第31087号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第1353824号商標の指定商品中「化学品」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第1353824号商標(以下、「本件商標」という。」)は、「ISOTON」の欧文字を書してなり、第1類「血球測定用血液希釈液、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和47年1月13日に登録出願、同53年10月31日に設定登録されたものであるが、その後、昭和63年12月21日及び平成10年11月17日の2回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張

請求人は、「登録第1353824号商標の登録は、その指定商品中『化学品』についてこれを取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求める。」と申し立て、その理由を概略次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証乃至甲第3号証を提出している。

(1)本件商標は「ISOTON」の欧文字を横書きしてなり、昭和47年1月13日に登録出願され、商品の区分第1類「血球測定用血液稀釈液、その他本類に属する商品」を指定商品として昭和53年10月31日その設定登録がなされたものである。

(2)請求人の調査によれば、本件商標は上記指定商品中「化学品」につき継続して3年以上日本国内において使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何等正当な理由が存することも認められない。加えて、本件商標について専用使用権の設定又は通常使用権許諾の登録もないから、使用権者による使用ということも問題にならないので、請求人は、商標法第50条第1項の規定に基づき本件商標の指定商品中、上記商品につき登録取消審判を請求する。

(2)平成11年3月31日付け答弁に対する弁駁

(イ)被請求人は答弁書において、「本件商標は約30年もの間、クールター血球カウンタ用の希釈液として使用され、商品名『ISOTON II』として特定の業者間で広く取引されていたものである。」、「前記クールター血球測定用希釈液は『コールター・カウンターII試薬』の名称をもって対外診断用医薬品としての承認を受けている。」、「その主要成分は次の如く、塩化ナトリウム0.75%、燐酸2水素ナトリウム0.2%、抗凝固剤適量、保存剤適量よりなる無機化学品である。」、「本商品、すなわち純粋な無機化学製品の水溶液は、粒子・粉体の物性測定装置に希釈溶液として極めて好成績を上げているのでいるので印刷用のインキの製造、写真フィルムの製造等の多くの分野の研究用に極めて大なる需要があり、・・・」と述べ、「以上述べた粒子・粒度分布アナライザー(測定装置)の希釈液率は純然たる化学品の試薬であることに疑問の余地はなく、本件商品がその商標“ISOTON“ を付して販売されていることを立証するものである。」と結論づけている。

しかしながら、提出された乙第2号証乃至乙第5号証には、血球測定用希釈液の他に、印刷用のインキの製造、写真フィルムの製造等の検査あるいは研究用としての、いわゆる化学品の試薬としての用途表示は一切皆無である。以下具体的に乙第2号証乃至乙第5号証について検討する。

(a)乙第2号証は、「粒子・粉体物性測定装置 コールター総合カタログ」のタイトルから明らかな如く、あくまでコールター社取扱の全商品を紹介したものであり、かつ裏表紙記載の「アイソトンII」は「試薬」以外の表示は存在しない。したがって、これが対外診断用医薬品としての血球測定用希釈液(試薬)以外の化学品の試薬の使用を立証したものではないこと明白である。なお、乙第2号証は、作成年月日が不明であることから、本件審判の予告登録日(平成10年11月18日)から過去3年以内のものか定かでない。

(b)乙第3号証の納入先一覧表は、乙第2号証の項で述べた如く、対外診断用医薬品としての血球測定用希釈液(試薬)以外の化学品の試薬の使用を立証した商品名の表示もなく、かつ被請求人が一方的に作成したものである。さらに、乙第3号証は、納入を立証する販売先の商品名を記載した受領証の提出もないことから、その信憑性が欠如すること明白である。

(c)乙第4号証は、「Scientific Instruments/Price List l994年6月1日」のタイトルから明らかな如く、本件審判の予告登録日(平成10年11月18日)から過去3年以上前のものであり、証拠として採用できない。なお、乙第4号証は、乙第2号証及び乙第3号証同様、化学品の試薬の使用を立証したものではない。

(d)乙第5号証は、被請求人の説明によれば、「化学品の試薬の出荷用梱包の写真とのことである。しかしながら、請求人が乙第5号証の「化学品の試薬の出荷用梱包の写真」を子細に観察するも、左側面下段には、「コールター・カウンターII試薬」、「アイソトンII」、「等張性血球計算用希釈液」以外の表示は見当たらない。したがって、乙第5号証は、化学品の試薬の使用を立証したものではないこと明白である。

以上の通り、被請求人の提出した使用を立証する上記各書面(乙第1号証乃至乙第5号証)は、商標法第50条の要件を具備しておらず、これらの証拠書類により、本件商標を使用しているとは認められない。

3 被請求人の答弁

被請求人は本件商標を使用している理由を次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証乃至乙第6号証の1及び2を提出した。

理由

(1)請求人は、本件商標と商品については熟知していて本請求を提起したものと考えられるが、本件商標は約30年もの間、クールター血球カウンター用の血球希釈液として使用され、商品名「ISOTON II」として特定の業者間で広く取引されていたものである。日本側の総代理店は初め「(株)日科機」であり、その後社名変更により「コールター株式会社」となり、さらに1998年(平成10年)に合併により、「ベックマン・コールター株式会社」となったが、何れも本件権利者の日本側総代理店としての主体及び地位は変わらない。

(2)前記クールター血球測定用希釈液は「コールター・カウンターII試薬」の名称をもって対外診断用医薬品としての承認を受けている(乙第1号証)。その主要成分は塩化ナトリウム0.75%、燐酸2水素ナトリウム0.2%、抗凝固剤適量、保存剤適量よりなる無機化学品である。

(3)然し乍ら、本商品、すなわち純粋な無機化学製品の水溶液は、粒子粉体の物性測定装置にも希釈用溶液として使用して極めて好成績を上げているので、印刷用のインキの製造、写真フィルムの製造等の多くの分野の検査あるいは研究用に極めて大なる需要があり、1997年度にも約100社に納入している。乙第3号証は、1997年の各月日入りの納入先一覧表を示す。尚納入数量は得意先の企業秘密に属するとも思われるので秘匿してある。

乙第2号証は、粒子粉体物性測定装置及び試薬「ISOTON II」に関するカタログであり、コールター株式会社が1997年以前まで継続して配布していたものである。乙第4号証は、粒子数・粒度分布アナライザーの価格表で(株)日科機当時のものである。本件商品はアイソトンIIの名で表示されているが、商品現品には商標ISOTON IIが併記されている。

以上述べた粒子・粒度分布アナライザー(測定装置)の希釈液は純然たる化学品の試薬であることに疑問の余地はなく、本件商品がその商標”ISOTON“ を付して販売されていることを立証するものである。

乙第5号証はその出荷用梱包の写真である。尚、この商品は新社名、ベックマン・コールター株式会社になっても新社名で同様のカタログ等が発行されていることを申し添える。

(4)尚、米国クールター本社の統計によれば日本国への総輸出金額は日本円で次の表(略)の通りである。

(5)以上の如く本件商標は商品「化学品」について日本国内において本請求前の3年の間はもとより長期間継続して極めて広範に使用されているものである。

(6)平成12年12月26日付け第2答弁

本件のカタログ或いは包装容器の表示はあくまでも主たる用途を表示しているもので、その内容は純粋な化学品であることに変わりはない。さらに、”ISOTON”の商標名で販売された本件商品の販売先の使用の実態を示す証として、顧客先よりの証明書を乙第6号証の1及び2として提出する。

4 当審の判断

被請求人は、本件商標を使用している証拠として、乙第1号証乃至同6号証の1及び2までを提出している。

しかしながら、(1)乙第1号証はコールター・カウンターII試薬が「体外診断用医薬品」として承認されていることを証するものであつて、化学品に関するものではない。(2)乙第2号証は、「粒子・粉体物性測定装置 コールター総合カタログ」であるが、裏表紙記載の「アイソトンII」は「試薬」として使用されるものであることを表示し、対外診断用医薬品としての血球測定用希釈液(試薬)以外の化学品の試薬の使用を立証したものではない。なお、該カタログは、作成年月日が不明であり、本件取消審判請求前3年以内に使用されたものとは特定できない。(3)乙第3号証の「商品の納入先一覧表」は、対外診断用医薬品として納品先一覧表と認められるものであるが、化学品の試薬の使用を立証したものではない。(4)乙第4号証の「Scientific Instruments/Price List l994年6月1日」は、本件審判の予告登録日(平成10年11月18日)の6年も前のものであり、かつ、化学品の試薬の使用を立証したものではない。(5)乙第5号証は「アイソトンII」の包装用外箱と認められるものであるが、左側面下段には、「コールター・カウンターII試薬」、「アイソトンII」、「等張性血球計算用希釈液」とのみ表示されており、化学品の包装用外箱とは認め難い。(6)乙第6号証の1及び2は、顧客先の企業が被請求人の求めに応じて「アイソトン」の用途の可能性を一律に証明しているだけで、果たして同人がそこに記載している商品を実際に製造しているか否か疑問である。

以上、被請求人の提出した乙第各号証によっては、本件商標を化学品に使用している事実をどこにもみることができない。

してみれば、本件商標は、審判請求に係る商品について、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、被請求人、専用使用権者、通常使用権者のいずれによっても使用されていないものと認められるものであるから、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中の「化学品」についての登録は取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。