結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2000−35161(T2000−35161/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件商標登録第4117128号に係る商標(以下「本件商標」という)は、後記に表示するとおりの構成よりなり、平成8年3月25日登録出願、第16類「観賞魚用水槽及びその附属品」を指定商品として、同10年2月20日に登録されたものである。
「商標登録第4117128号の登録は、無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、」旨の審決
本件商標は、請求人の著名な略称「GE」を含む商標であり、かつ、請求人の承諾を得ていないものであるから、商標法第4条第1項第8号の規定により登録を受けることができないものであり、その登録は商標法第46条第1項第1号の規定により無効とすべきである。
(1)本件商標は、塗り潰した楕円図形内に白抜きローマ字2文字のゴシック体GEと図案化したXからなり、その図案化したXは塗り潰した楕円図形内に文字GEと上下同じレベルで左上から右下に向かう斜めの白抜きの直線と、文字GEと同じ下のレベルから右斜め上方に向かい楕円を突き抜ける5本の白抜きの線から構成されている。この右斜め上方に向かい楕円を突き抜ける5本の白抜きの線は塗り潰した楕円図形の一部を構成している。
したがって、文字GEと図案化した他の部分とは著しく異なった外観を呈し、取引の実際における経験則に基準を置けば、文字GEが図案化した他の部分から分離独立して看取されるものである。
(2)請求人は、1892年に設立されたアメリカ合衆国ニューヨーク州法人であり、名称は「GENERAL ELECTRIC COMPANY」であるところ、通常、略して「GENERAL ELECTRIC」、また、その2語の頭文字をとって「GE」と称呼されている。日本国内において、新聞、雑誌等で請求人の活動を報道するに際し、請求人を指称するものとして、GE、GE社、アメリカのGE、米国GE(ゼネラル・エレクトリック)、米国ゼネラル・エレクトリック(GE)が平成8年3月25日(本件商標登録出願日)前から用いられている。
請求人の名称の略称「GE」が日本国内で周知著名であることは特許庁においても認められている。
(3)本件商標は、取引の実際における経験則に基準を置けば、文字GEが図案化した他の部分から分離独立して看取される。
したがって、本件商標は、請求人の名称「GENERAL ELECTRIC COMPANY」の著名な略称「GE」を含むものであり、本件商標の登録について当該他人たる請求人の承諾を得ていない。
請求人は、審判請求書に記載のとおり甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
結論掲記の審決
(1)本件商標について
本件商標は、以下のとおりの構成よりなるものである。
(ア)塗潰した楕円図形内に白抜きローマ字2文字のゴッシク体GEと図案
化したXとからなり、
(イ)その図案化した×は、塗潰した楕円図形内に文字GEと上下同じレベルで左上から右下に向かう斜めの白抜きの直線と、文字化したGEと同じ下のレベルから右斜め上方に向かい楕円の外郭に到達する5本の白抜きの線から構成、
(ウ)図案化した×の左上から右下に向かう斜めの白抜きの直線と、右斜め上方に向かい楕円の外郭に到達する5本の白抜きの線との交差角度は、通常の「×」における2本の直線の交差角度と大差のない交差角度に設定、
而して、近時のレタリング技術の進歩、発達、そして世間一般にレタリング文字が蔓延している状況に鑑みれば、一般需要者のレタリング文字、デザイン化された文字に対する観察力は数十年前に較べれば遥かにレベルアップしているものであり、通常の知識及び判断力を有するものであれば、本件商標の「図案化した×」は、まさに「×」としてしか認識しようのないものである。
しかもその「×」は、その片側の左上から右下に向かう斜め直線が、「GE」と同様に白抜きにされているものであるから、前記一般需要者の観察力及び取引の実際における経験則に基準を置けば、楕円図形内には、「GE×」が書き表されていると認識されるものであって、文字「GE」が「×」の文字部分を含む他の部分から分離独立して看取され、「ジーイー」と称呼されることはありえない。
仮に、「GE」を分離させた場合、残余の部分、すなわち図案化された「×」と楕円図形とによって構成される部分自体は、何も意味を有しない。
本件商標の商標権者は、ジェックス株式会社であって、その略称「ジェックス」を表記する文字として「GE×」を採用し、それをデザイン化したものが本件商標であるから、本件商標からは「ジェックス」の自然的称呼が生じる。もとより、「GE×」を一字一字称呼することにより、「ジーイーエックス」の称呼が生じる可能性も皆無とは言えないが、「ジーイーエックス」よりも称呼の短い「ジェックス」、しかも商標権者の略称である「ジェックス」の方が圧倒的優位な称呼であるというべきであり、このような称呼の仕方が取引の経験則に従ったものである。
(2)請求人の著名な略称
「GE」が、請求人「GENERAL ELECTRIC CONPANY」の著名な略称であることは本件商標権者も首肯する。
しかしながら、「GE」は、確かに請求人の著名な略称であるが、それ自体が極めて個性的、創造的な性格を有するものではなく、ありふれた欧文字の2字、すなわち、世間一般には商品記号として普通に使用されうる単なる欧文字2文字にすぎない。
また、該略称「GE」が、請求人の多角的な事業活動によって著名性を獲得するに至ったものであることを認めるとしても、本件商標の指定商品である「観賞魚用水槽及びその附属品」について使用された事実はないし、これらの商品と販売場所を同じくする、観賞魚を含むいわゆるペット及びそれらの餌(飼料)について使用された事実はない。仮に、それは本件商標権者のみが認識不足であるものとしても、本件審判においてそのような事実があることを証明する証拠が示されているわけではない。
しかも、請求人の多角的な事業活動において取り扱う商品を産業用と民生用とに大別するならば、産業用が大半であって、民生用の商品はほとんど見受けられない。
そうであれば、請求人の著名な略称「GE」と商品「観賞魚用水槽及びその附属品」との関係性は極めて希薄である。
そもそも略称とは、「正式の呼び名の代わりに使う、簡単な通称。」(乙第1号証)であるから、単なる表記ではなく称呼を伴うものでなければならず、略称「GE」は、「ジーイー」と称呼されてこそ始めて、請求人の著名な略称であると認識されるものである。
(3)商標法第4条第1項第8号の適用について
本号が、人格権保護を目的として設けられた規定であることは、逐条解説によって明らかにされているところであるが(乙第2号証)、その保護が行き過ぎ、権利の濫用にならないように、審査基準も設けられているところである(乙第3号証)。すなわち、「本号でいう『著名』の程度の判断については、商品又は役務との関係を考慮するものとする。」とされている。
また、自己の著名な略称が他人によりその商品の商標として使用され、それによって世人が著名な略称と当該商品との間に、なんらかの関係があるかのように認識し、そのために著名な略称を有するものがこれを不快とし、その人格権を毀損されたものであると感ずるであろうことが、社会通念上客観的に明らかであると認められるような場合において、初めて本号の適用があるべきであるとの趣旨の判例も見受けられる(乙第4号証)。
そこで、上記のような法的性格、審査基準及び判例を踏まえた上で、本件商標が、請求人の著名な略称を含むものであるか否かについて検討してみると、
(ア)本件商標中の文字「GE」は、請求人の主張するように、図案化した他の部分から分離独立して看取されるものではなく、むしろ、それとは逆に、「GE」に続く図案化された「×」との不離一体性を感じさせる。
(イ)「GE」は、確かに請求人の著名な略称であるとしても、それ自体
が極めて個性的、創造的な性格を有するものではなく、ありふれた欧文字の2字、すなわち、世間一般には商品記号として普通に使用されうる単なる欧文字2文字にすぎない。
(ウ)本件商標の指定商品である「観賞魚用水槽及びその附属品」はもとより、その周辺の商品である観賞魚を含むいわゆるペット及びそれらの餌(飼料)についても、請求人の著名な略称「GE」が使用されている事実は存しない。
(エ)請求人の取り扱う商品は、産業用が大半であって、民生用の商品はほとんど見受けられない。
(オ)「GE」は、「ジーイー」と称呼されてこそ初めて請求人の著名な略称「GE」が想起されるものであるが、「ジェックス」を自然的称呼とする本件商標における「GE」の文字部分を、あえて「ジ」イー」と称呼することは、簡易迅速を尊ぶ取引界の実情に反する。
そうであれば、通常の判断力を有する取引者、需要者が本件商標を観察した場合、本件商標の構成中に「GE」の文字が存在することを認識することがあるとしても、そこから直ちに「GE」の文字が請求人の著名な略称であることを想起することは有り得ない。すなわち、本件商標がその指定商品「観賞魚用水槽及びその附属品」の商標として使用されても、世人が当該商品と請求人の著名な略称との間に、何らかの関係があるかのように認識することは有り得ない。
従って、請求人が不快と感じるような事態が起こり得ないのであるから、請求人がその人格権を殿損されたと感じることは、社会通念上客観性を有しない。
(4)結び
上述の次第で、本件商標は商標法第4条第1項第8号に該当しない商標であるから、その登録は無効とされるべきものではない。
被請求人は、答弁書に記載のとおり乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。
(1)請求人の著名な略称
「GE」が、我が国において、請求人「GENERAL ELECTRIC CONPANY」の著名な略称であることは、当事者間に争いがない。
(2)本件商標の構成
本件商標は、後記のとおり、黒く塗り潰した楕円内に白抜きローマ字2文字のゴシック体「GE」と図案化した「X」からなり、「X」は「GE」と上下同じレベルで、左上から右下に向かう斜めの白抜きの直線と、「GE」と同じ下のレベルから、右斜め上方に向かい楕円の外郭に達する5本の白抜きの線から構成されているものである。
本件商標は、その全体の構成態様よりみて、黒塗りの楕円内に欧文字3文字「GE×」がほぼ等間隔に表示されているとの印象を与えるものであり、その具体的構成態様において、「×」の文字の右の斜線のみ他の文字と表示態様が異なり、5本の白抜きの線で表され、かつ、楕円の外郭に達するように長く表示されており、「×」の文字のみが図案化した態様であるとの印象を与えるが、近時のレタリング技術の進歩、発達、そして、レタリング文字が商標に数多く採択使用されている状況に鑑みれば、この程度の図案化は、外観上「GE×」の文字がまとまりよく表示されているという全体の印象を妨げる事由にはならないものというべきである。
そうすると、本件商標は、これに接する取引者、需要者をして、楕円内に「GE×」の文字を表示した商標と認識され、「ジーイーエックス」の一連の称呼をもって、取引に用いられるものである。
(3)本件商標の指定商品
本件商標の指定商品は「観賞魚用水槽及びその附属品」であるところ、請求人がこれらの商品について請求人の著名な略称である「GE」が使用されている事実は存しない。
(4)商標法第4条第1項第8号該当性
本件商標は、前示(1)で認定したとおり、楕円内に「GE×」の文字を一体として表示した商標と認識されるものであり、そして、その指定商品が請求人が使用しているものとは認められない「観賞魚用水槽及びその附属品」であることを併せ考えると、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が請求人の著名な略称である「GE」を想起することはないというべきである。
以上のとおりであり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号の規定に違反して登録されたものではなく、同法第46条第1項第1号に該当しないから、その商標登録を無効とすべきものではない。
よって、本件審判請求は、成り立たないものととし、審判費用の負担について商標法第56条第1項、特許法第169条第2項、民事訴訟法第61条を適用して、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。