結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2000−35693(T2000−35693/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
(1)本件商標は、証拠から明らかなように、商標法第3条第1項第6号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効とされるべきである。
(2)具体的理由
本件商標中「ビール」は指定商品の普通名称であり、「館」は「やかた、泊まる所、公共の大きな建物」等を意味する語であるから(甲第2号証)、本件商標の如く「ビール」と「館」が結合した場合には、「ビールに関する営業施設」を指し示すものである。
かかる意味合いから「ビール館」の語は具体的には「ビールを主とする飲食物の提供をする店」を示すものであると共に、自己の店舗で提供しているビールの小売販売を兼業し、商品「ビール」を販売する場所を示すことは十分に考えられるところである。即ち、「ビール館」の語は「ビール販売店」の語と同義に理解されるものである。
上記の如く関連する異業種を兼業していると認識される商標に対する先審決例は以下の通りに認定している。
商標「さかな屋の寿司」,指定商品「寿司」...『本願商標は・・その構成文字からは「さかな屋で販売している寿司」の意味合いを容易に認識するのみであって、他に格別な意味合いは見出しえないというのが相当である。ところで、「さかな屋」が「魚介類その他の海産物を販売する店」であって、とりわけ素材の新鮮さを重視する業種であること、「寿司」には新鮮な魚介類を使うのが良いこと等は一般によく知られているところであり、このような認識のもとでは「さかな屋」が、自己の店舗で取り扱う新鮮な魚介類を使って寿司店を兼業し、そこにおいて商品としての「寿司」の販売をも行うことは十分考えられるところである。』(甲第3号証)
上記審決で示された商取引の実情に対する解釈は本件にも適合するものであって、ビールを飲ませる店で更にそのビールを販売することは十分にあり得ることであり、本件商標「ビール館」が飲食物の提供場所を示す語であることから、ビールの販売場所をも直接的・反射的に示すと考えるのが自然である。
また、「ビール館」等の語を含む名称のもとで「ビールを主とする飲食物の提供」をなすと共に「ビール」の販売をなす施設が全国に多数存在することが請求人の調査によって判明したのでその状況を甲第4号証の1乃至同第7号証の3として提示する。
尚、この調査はインターネット上の検索により発見されたものであるから、検索条件を満たすものに限られたものであって、実際には更に多く「〜ビール館」「〜麦酒館」若しくは「〜びいる館」等の商標を付した施設が全国に存在し、商品「ビール」の販売がなされていると考えられる。
また、商品「ビール風味の麦芽発泡酒」は製造方法においては「ビール」と変わらず、麦芽の使用率が67%未満のビールを酒税法上「発泡酒」と呼ぶことから係る表現となっているものであって、我が国以外の国ではビールと発泡酒の区別はなく(甲第8号証)、また、我が国一般の認識も単に販売価格の低いビールと理解されているものであって、実質的にビールと同義の商品である。
(3)商標法第3条第1項第6号該当について
上述のとおり、本件商標の「ビール館」の語は「ビールに関する営業施設」、具体的には「飲食物としてのビールを提供し、併せて商品としてのビールを販売する場所」を示す語であることは、現在の商取引の実情からして明らかである。
そうすると、本件商標はその指定商品「ビール風味の麦芽発泡酒,ビール」に使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することは到底できないものであるから、本件商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
(4)むすび
従って、本件商標登録は商標法第3条第1項第6号に違反してなされたものであるから、商標法第46条第1項第1号の規定により無効とされるべきである。
被請求人は、何ら答弁するところがない。
本件商標は、その商標の構成を「ビール館」とし、指定商品を「ビール風味の麦芽発泡酒、ビール」とすること前記のとおりである。
ところで、当節、地域産業の興隆のための各種経済活動(いわゆる村おこし、町おこし)が国内各地において活発に進められている状況下、酒税法改正によるビール製造量の緩和(下限枠の引き下げ)も起因して、いわゆる「地ビール」の製造が各地で行われる傾向にあり、当該地域においてこれを喧伝するとともに、併設レストラン等特定施設を設け、他の飲食物とともに顧客に対して提供している状況が屡々見受けられる。そして、この種の特定施設を「○○ビール館」、「○○麦酒館」の如く、「ビール館」または「麦酒館」等の文字に当該地域の名称を冠して呼称している例が少なくない。
請求人は、本件商標「ビール館」からは、「ビールを主とする飲食物の提供をする店」の意味合いを看取するとともに、商品「ビール」の販売場所の意味合いをも看取し得るから、「ビール販売店」の語と同義に理解されるものと主張し、地域産業に関連するいわゆるインターネット情報(甲第4号証の1乃至同第7号証の3)を提出している。
なるほど、それら証拠によれば、前記特定名称のビール館または麦酒館において屡々当該地ビールを商品として販売している例(瓶詰め等)のあることは否定し得ないとしても、それをもって、「○○ビール館」、「○○麦酒館」と呼ばれる施設が常態として、すなわち、一般の酒類販売店における場合と同様に専らビールの販売場所(店舗)として世人一般に理解され認識されているとみるのは些か疑問であって、提出証拠によっては該事実を客観的に認めるに十分なものとはいい難く、むしろ、実態としては、当該地場ビールのイメージを利用した飲食兼用施設ないしはそれら地域色イメージを標榜する一種テーマ施設とみるのが相当である。
そして、かかる場合、前記ビール館または麦酒館の施設ないしその名称は、専ら当該地場ビールに係る役務の提供場所を表示するに止まるとみるのが相当であって、それ以上に、市場一般に流通するビール類について、その品質、性状その他の点で直接的かつ具体的に関わっているとする事情は見出し難く、また、その証拠も見出せない。
そうすると、前記施設においてビール類の販売が行われる場合があるとしても、それは偶々前述したような主業務に付随して副次的に行われるに止まるものというべきであるから、その点のみを捉えて、それら施設を直ちにビールまたは酒類販売店と同義のものとみるのは妥当でなく、また、ほかに、前記施設又はその名称がビール類の取引事情に直接関わっているとする事情も見出せないから、これらの点を理由に本件商標の登録適格性の欠如を述べる請求人の主張は妥当でなく、採用の限りでない。その他、請求人の主張を認めるに足りる証拠はない。
してみれば、本件商標(「ビール館」)は、これをその指定商品(「ビール風味の麦芽発泡酒、ビール」)について使用したとしても、自他商品の識別機能を有しないものということはできないから、結局、その登録は商標法第3条第1項第6号に違反してされたものということはできない。
したがって、本件商標は、前記法条の規定に該当するものとはいえないから、その登録は、商標法第46条第1項により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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