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Trademark Appeal Case

著名商標の類否と出所混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35227号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4015851号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4015851号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成2年2月7日に登録出願、別掲(1)に示すとおり、「Intelbee」の欧文字を横書きしてなり、旧第12類「輸送機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成9年6月20日に設定の登録がされたものである。

2 引用商標

請求人が本件商標の登録無効を述べる理由に引用する各登録商標(以下、「引用各商標」という。)は、次のものである。

(1)昭和46年1月6日に登録出願、「INTEL」の欧文字を横書きしてなり、旧第11類「電子応用機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和54年2月27日に設定の登録がされ、その後、平成1年2月27日及び同11年2月16日に商標権存続期間の更新登録がされている登録第1373591号商標(以下、「引用1商標」という。)

(2)昭和51年3月22日に登録出願、「INTEL」の欧文字を横書きしてなり、旧第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、昭和55年4月30日に設定の登録がされ、その後、平成2年8月29日及び同12年4月18日に商標権存続期間の更新登録がされている登録第1415771号商標(以下、「引用2商標」という。)

(3)昭和51年3月22日に登録出願、「インテル」の仮名文字を横書きしてなり、旧第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、昭和55年4月30日に設定の登録がされ、その後、平成2年8月29日及び同12年4月18日に商標権存続期間の更新登録がされている登録第1415772号商標(以下、「引用3商標」という。)

(4)昭和63年8月19日に登録出願、別掲(2)に示すとおり「intel」(「e」の文字部分のみを他の文字の並びよりやや下段に表してなる。)の文字を横書きした構成よりなり、旧第11類「電子応用機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成3年8月30日に設定の登録がされた登録第2332545号商標(以下、「引用4商標」という。)

3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第117号証(枝番号を含む。)を提示している。

<本件商標の無効理由>

本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号、同第8号及び同第7号の各規定に違反してされたものである。

(1)利害関係について

請求人Intel Corporation(インテルコーポレーション)は、その名称の略称を「Intel」「インテル」といい、商標「Intel」「インテル」の表示の下にマイクロプロセッサ,マイクロコントローラ等のマイクロチップの製造販売を行っている。この請求人の名称の略称「Intel」「インテル」は、請求人が所有しハウスマークとして使用している引用各商標とも同一であり、請求人の製造販売に係るマイクロプロセッサ,マイクロコントローラ等のマイクロチップについて使用されて世界的に著名な商標である。

これに対して、本件商標の登録に係る商品(以下、「本件商品」という)は、上記マイクロチップを部品中に内蔵され、マイコンによって制御されることが極めて一般的な「輸送機械器具、その他本類に属する商品」を内容とするものであるから、「Intel」の表示を構成中に含む本件商標が本件商品について使用された場合には、本件商標に接した一般世人が請求人を認識理解することにより請求人の人格権が毀損されるのみならず、請求人の業務に係る商品との間で出所混同を生じ、請求人に精神的かつ経済的損害を与えることが明らかである。また、著名商標「Intel」を含む本件商標の登録および使用は、著名商標「Intel」が獲得した強力な出所表示力を稀釈化し、その名声にただ乗りするものであるから、請求人がこれにより精神的かつ経済的損害を被ることも明らかである。

従って、請求人は本件商標の登録無効審判の請求について明らかに利害関係を有する。

(2)商標法第4条第1項第15号該当について

請求人Intel Corporation の名称の略称「Intel」は、請求人がハウスマークとして使用している引用1商標ないし引用4商標(甲第2号証ないし甲第5号証)とも同一であり、本件商標の出願日前より日本国内のみならず世界的規模で著名性を獲得しているものである(甲第6号証乃至甲第50号証)。

本件商標は、その出願日前より著名な引用各商標と同一の文字「Intel」を需要者の印象および記憶に最も残りやすい語頭に含んでいる。また、引用各商標が世界的著名性を獲得しているマイクロプロセッサ,マイクロコントローラ等のマイクロチップが自動車,船舶,航空機,鉄道車両等に使用されることは本件商標の出願前から既に一般的に行われており、商品として販売される「輸送機械器具」の需要者の範囲と重なり合うから、引用各商標は本件商品の需要者においても本件商標の出願日前から著名であったと認められるものである。

従って、本件商標が本件商品に使用されたときには、需要者は、本件商標に含まれる「Intel」の表示から、著名な引用各商標並びにこれら引用各商標が表示する商品の出所源である「Intel社」を認識理解し、本件商標が「Intel社」あるいはインテル社の関連会社等、少なくともインテル社と何らかの組織的経済的関係を有する者の製造販売に係る商品であると認識する結果、請求人の業務に係る商品と出所混同を生ずるおそれがある。

よって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。

(3)商標法第4条第1項第8号該当について

本件商標(甲第1号証)は、看者に最も鮮明な印象を与え、看者の記憶に最も残りやすい語頭に請求人の著名な略称「Intel」と同一の表示を含むものである。本件商品は「輸送機械器具、その他本類に属する商品」であり、「輸送機械器具」のエンジン、変速機等はマイクロコンピュータによって制御されているのが実情である。請求人の業務に係るマイクロチップは自動車,船舶,航空機,鉄道車両等の輸送機械器具の主要制御部中に内蔵されているものであるから、本件商品と請求人の略称「Intel」が著名性を獲得しているマイクロプロセッサ等のマイクロチップとは極めて密接な関係を有することが明らかである。

本件商標の出願日より遙か以前より、マイクロコントローラ等のマイクロチップは自動車等のエンジンの制御に使用されており、自動車のマイコン制御は「輸送機械器具」の需要者において周知な事項であったから、請求人の略称「lntel」は、本件商標の出願日前から本件商品の需要者においても著名性を獲得していたことは明らかである。

上記観点より、本件商標は、本件商品との関係に照らして請求人の著名な略称「Intel」を含んでいると認められ、これについて請求人の承諾を得ていないから、請求人の人格権を毀損するものである。

よって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号に違反してされたものである。

(4)商標法第4条第1項第7号該当について

本件商標は、請求人の創造標章であり、かつ、請求人のハウスマークとして世界的な名声を獲得している引用各商標と同一の「Intel」の表示およびその称呼[インテル]を語頭に顕著に含み、これにより、本件商標は引用各商標が獲得した強力な出所表示機能を希釈化し、さらに、引用各商標の顧客吸引力・名声にただ乗りするものである。また、本件商品と引用各商標が著名性を獲得している商品との密接な関係、並びに引用各商標が請求人による創造語であるという観点に照らせば、本件商標の出願時において被請求人が引用各商標の名声について不知で、偶然に「Intel」の表示を含む本件商標を案出したとは考え難く、本件商標は故意に引用各商標を含むべく構成された悪意による出願を窺わせるものである。引用各商標の世界的名声およびそのブランド価値に照らし、本件商標の登録は明らかに国際信義に反するものである。

よって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものである。

(5)以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号、同第8号及び同第7号の各規定に違反してされたものであるから、無効とされるべきである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、何ら答弁していない。

5 当審の判断

請求人は、本件商標の登録が商標法第4条第1項第15号、同第8号及び同第7号の各規定に違反してされたものであるとして、その登録の無効の理由を述べているので、先ず、商標法第4条第1項第8号該当の当否について検討する。

請求人の提示に係る甲各号証によれば、請求人会社「Intel Corporation」(インテルコーポレーション)(以下、「インテル社」という。)」は、米国にあって早くからマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ,マイクロコンピュータを含む各種半導体製品・コンピュータ関連製品の製造メーカーとして知られる者であって、1970年に世界初のICメモリ1103を開発し、次いで、1971年には世界初のマイクロプロセッサ4004を開発したのを手始めに、1978年には業界標準となる8ビット・マイクロプロセッサ8080を、1982年には16ビット・マイクロプロセッサを、1985年には32ビット・マイクロプロセッサを順次開発するなどして(甲第6号証)、1995年には、パンコンの心臓部であるマイクロプロセッサ(MPU)における全世界の市場シェアの約80%を占めるに至り(甲第7号証)、また、世界半導体市場におけるインテル社のランキングは、1989年には第8位であったものが1990年には第5位に上昇し、翌年の1991年には第3位、そして、1992年には第1位となり、以降、業界トップを維持しているように(甲第8号証)、世界的名声を獲得した者であることが認められる。

そして、インテル社がその取扱いに係る「マイクロプロセッサ、マイクロコントローラー」等の「マイクロチップ」について前記発展過程の頃より一貫して使用している「INTEL」(インテル)または「intel」の標章よりなる引用各商標は、本件商標登録出願時の1990年には当該製品が世界の半導体市場において第5位を占めていた状況よりして、当時すでにわが国の取引者、需要者間において広く認識せられていたことを推認するのに十分であって、現在もなおその著名性を堅持している状況は顕著な事実と認められる。

また、請求人提出の甲各号証によれば、インテル社の名称の略称である「Intel」(インテル)の標章は、その取り扱いに係る各製品の製造・販売等の事業を表彰する代表的出所表示として、あるいはその事業全体を表彰するいわゆるハウスマークとして営々と使用されてきた状況と相俟って、該標章(略称)は本件商標登録出願時の1990年(平成2年)当時すでにわが国のコンピュータ業界及びこの種コンピュータ関連各商品の取引者、需要者間において広く認識せられるに至った著名な略称であったことを認めるに十分であって、しかも、該標章は、それ自体が創造語であって前記呼称名とともに看者の記憶印象に強く残るものといえる。

さらに、近時、自動車に組み込まれる「マイクロコンピュータ」の利用についてコンピュータ業界と自動車業界との共同開発などにより研究・開発が進められている状況下、インテル社に係る自動車用「マイクロチップ」が1988年にわが国の自動車メーカーにより採用されたように(甲第70号証)、この種コンピュータ関連商品と自動車産業(界)とは、需給関係その他において今や密接に関連しているのが実情である。

以上によれば、「Intel」(インテル)の標章は、インテル社の会社名称の略称として、本件商標の登録出願の当時よりすでにその指定商品の分野における取引者、需要者間において広く認識せられた著名な略称であったとみるのが相当である。そして、ほかに、この認定を左右するに足りる証拠はなく、また、被請求人は、何ら答弁するところがない。

そうすると、「Intelbee」の文字よりなる本件商標は、構成中にインテル社の会社名称の著名な略称を含むことが明らかであり、かつ、請求人主張の全趣旨に照らし本件商標の商標登録に関し請求人の同意があったものということはできないから、結局、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものというべく、その登録は、同法条の規定に違反してされたものといわなければならない。

したがって、請求人の述べる他の無効理由の当否について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第46条第1項の規定により、前記理由をもって無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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