Trademark Appeal Case
著名商標の混同のおそれ
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成6年審判第21765号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別紙に表示した構成よりなり、第18類「毛皮,革ひも,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」を指定商品として、平成4年7月28日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、その構成中に、アメリカ合衆国ニューヨーク州に所在する『ザ ポロ/ローレン カンパニー』が商品『被服』に使用して世界的に著名となっている商標『POLO』及び『ポロ競技の馬の図形』に類似する『POLO』の文字及び『ポロ競技の馬の図形』を有してなるものであるから、これを本願の指定商品に使用するときには、これが、あたかも上記会社あるいはこれとなんらかの関係を有する者の取扱に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認められる。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨の理由で本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)引用商標(「POLO」の文字からなる商標及び「馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形」からなる商標)について
▲1▼ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)と「ポロ・ファッションズ社」について
「男の一流品 大図鑑」(株式会社講談社昭和53年7月20日発行)、及び、「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」(サンケイマーケティング(サンケイ新聞データシステムマーケティング事業部)昭和58年9月28日発行)によれば、以下の事実が指摘できる。
(ア)ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)は、1967ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして迎えられ、幅が広いネクタイをデザインし、これが若者に支持され、世界に広まったこと。
(イ)ラルフ・ローレンは、翌年独立し、社名を「ポロ・ファッションズ」として、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、カバンなどのデザイン製作を開始し、1971年には婦人服デザインにも進出したこと。
(ウ)ラルフ・ローレンは、アメリカのファッション界では最も権威のある「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、他にも賞を受賞し高い評価を受け、そのブランドを世界に通用させたこと。
(エ)そして、ラルフ・ローレンは、自己の取り扱いに係る商品に使用する商標を「ポロ競技」にヒントを得て採択したこと。
(なお、当審が職権を持って調査したところ、ラルフ・ローレンが関係する会社は、現在では、原査定が引用した「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」であることが認められる。)
▲2▼「POLO」及び「Polo」の文字からなる商標について
原査定が引用した商標のうち「POLO」の文字からなる商標は、その配列すべてを大文字で表示したものであるところ、前掲の「男の一流品 大図鑑」、「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、及び、「世界の一流品大図鑑’80年版」(株式会社講談社昭和55年6月20日第二刷発行)、によれば、「Polo」と、第2文字目以降を小文字で表示した商標が、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして使用されていることが認められ、これは、「POLO」の文字からなる商標と、相互に同一の称呼(「ポロ」)及び観念(「ポロ競技」)が生ずるものと認められ、本願の出願時においても、両者は社会通念上同一の商標であったとみなして差し支えないといえるものである。
▲3▼「馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形」からなる商標について
前掲の、「男の一流品 大図鑑」、「世界の一流品大図鑑’80年版」、「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」の外、昭和53年2月16日付及び同年9月21日付の日本経済新聞(夕刊)の「全面広告」欄には、「Polo」の文字からなる商標及び「by RALPH LAUREN(あるいは、by Ralph Lauren)」の商標とともに、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形」(以下、「引用ポロ図形商標」という。)が表示されており、当該「引用ポロ図形商標」は、別紙に表示した構成よりなるものである。
そして、前記「▲1▼のエ」で、「ラルフ・ローレンの使用する商標は、その採択が『ポロ競技』に由来したものである」との指摘をしたが、「引用ポロ図形商標」は、ポロ競技を行っている馬に乗ったプレーヤーの図形を表してなるものであることから、「POLO」の文字からなる商標及び「Polo」の文字からなる商標と、「引用ポロ図形商標」は互いに関連するといえるものである。
▲4▼そこで、以下、本件審判請求事件を審理するにあたり、「POLO」、「Polo」の文字からなる商標及び「引用ポロ図形商標」を一括して「POLO商標」という。
▲5▼「POLO商標」の我が国での使用・紹介について
「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」(株式会社洋品界昭和55年4月15日発行)の「ポロ」の項、「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」(ボイス情報株式会社昭和59年9月25日発行)の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項、及び、昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事を総合すれば、我が国においては、ポロ・ファッションズ社(あるいは、ラルフ・ローレン)との契約に基づき、西武百貨店が昭和52年にラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴の取り扱いを、同53年からは婦人服の取り扱いを開始したことが認められる。
また、前掲の書籍・新聞の外、「別冊チャネラー ファッション・ブランド年鑑’80」(株式会社チャネラー昭和54年9月20日発行)、「男の一流品大図鑑’81年版」(株式会社講談社昭和56年4月25日第二刷発行)、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年6月20日第二刷発行)、「流行ブランド図鑑」(株式会社講談社昭和60年6月25日第2刷発行)によれば、ラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、ジャケット、シャツ、ネクタイ、眼鏡に「POLO商標」が使用されていることが認められる。
▲6▼「POLO商標」の著名性について
以上、認定の事実を総合して検討すれば、「POLO商標」は、我が国においては、遅くとも本願出願時までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するもの、あるいは、ポロ・ファッションズ社の取り扱いに係る商品に使用する商標として、被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識され、かつ、著名になっていたものと判断され、その状態は現在もなお継続しているというのが相当である。そして、他にこの判断を覆すに足りる証拠はない。
(2)本願商標の構成について
本願商標は、前記のとおり、上段に、馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形を表してなり、下段に「POLO LEAGUE」の文字を横書きしてなるものである。
そして、「POLO」の文字は「ポロ競技」を、「LEAGUE」の文字は、「連盟」の意味を有する既成語であることから、これらの語の結合よりなる構成文字全体をもって「ポロ競技連盟」の意味合いが認識される場合があるとしても、我が国において「ポロ競技」が盛んに行われて一般に親しまれているとはいえないばかりでなく、「POLO LEAGUE」の文字が、特定のポロ競技連盟などを表示するものとして具体的に知られているとの証左は認められない。
(3)出所の混同について
本願商標は、その構成中に「馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形」及び「POLO」の文字を有するものである。
一方、前記認定のとおり、「POLO商標」が我が国において、遅くとも本願商標の登録出願前である本願出願時までには、「ラルフ・ローレン」のデザインに係る商品、あるいは、「ザ ポロ/ローレン カンパニー(リミテッド パートナーシップ)」の取り扱いに係る商品である被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品を表示するものとして、当該商品に関する取引者、需要者の間において著名となっていたといい得るものである。
しかして、本願指定商品もファッション性を有する商品といえることから、これに係わる取引者、需要者が、本願商標に接した場合には、「POLO商標」との構成上の相違があったとしても、その著名性ゆえ「POLO」の文字部分と「馬に乗ったボロ競技のプレーヤーの図形」部分に着目することで、「POLO商標」を連想・想起し、それがあたかも、「ラルフ・ローレン(あるいは、「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ)」の事業と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
なお、請求人は、本願商標を構成する「POLO LEAGUE」の文字部分は、「ポロの競技連盟」との特定の観念を有し、「POLO ポロ」とはまた異なった熟語を形成して不可分一体の語と理解・認識されるから、本願商標は「POLO商標」とは非類似である旨述べるとともに、「POLO」「Polo」の文字を含む商標の登録例を提示し、また、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形」部分については、「同種の図形が多数登録されており、これらの図形から、称呼、観念のみを抽象的に取り出して取引のよすがとしているのではなく、図形中の特徴点を視覚的に捉えて取引されているのが現状であって、本願商標中の図形部分と、『引用ポロ図形商標』との類否は、各々個性化された図形の特徴点が似ているか否かで決せられるべきであり、両図形は視覚的に充分区別し得るものである」旨述べて証拠方法を提出してる。
しかしながら、本願商標は、これをその指定商品に使用するときには、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標と判断されること前記のとおりであって、さらに、「ラルフ・ロ一レン」の「POLO」、「Polo」の商標について、本件判断とほぼ同様の東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡)もあり、この判決における認定の内容をもあわせみれば、提示の事例が本件の結論を左右するものとは認められない。したがって、請求人の主張は採用できない。
4 結 語
以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものといわざるを得ないから、この理由をもって本願を拒絶した原査定の内容は妥当なものであって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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