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Trademark Appeal Case

原材料名の普通名称性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35476(T2000−35476/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2724255号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2724255号商標(以下、「本件商標」という。)は、「タヒボ」と「TAHEEBO」の文字を二段に併記してなり、平成1年12月12日に登録出願、第29類「清涼飲料、その他本類に属する商品」を指定商品として、同10年12月25日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論と同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第12号証(枝番を含む。)を提出した。

1.本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項により無効とされるべきものである。

2.請求の利益

請求人と被請求人との間には、本件商標に基づく大阪高裁 平成11年(ネ)第473号不正競争行為差止等請求控訴事件(以下、単に「大阪高裁控訴事件」という。)が存在していた。よって、請求人は、本件審判請求に関し利害関係を有する。

3.請求の理由

(1)本件商標「タヒボ TAHEEBO」は、「茶」の取引業界において商品「茶」の原材料、あるいは原材料としての樹木の名称を示すものであり、指定商品中の「茶」に使用した場合には一般需要者・取引者をして、「タヒボを原料とする茶」「タヒボ入りの茶」と認識・把握されるものであって、指定商品「茶」との関係において、茶の「品質・原材料」を表示するものと認識されるに至っており、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、上記以外の商品について使用する場合は商品の品質の誤認を生じるものであり、同法第4条第1項第16号に該当する。

(2)「タヒボ」を原材料とする清涼飲料においても、「茶」と同様に原材料を示す普通名称として認識されるものであり、「タヒボを原料とする清涼飲料」「タヒボ入りの清涼飲料」と認識・把握されるものであって、指定商品「清涼飲料」との関係において、清涼飲料の「品質・原材料」を表示するものと認識されるに至っており、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、上記以外の商品について使用する場合は商品の品質の誤認を生じるものであり、同法第4条第1項第16号に該当する。

(3)大阪高裁の確定判決の判示事項

請求人と被請求人との間には、請求人使用に係る商標「タヒボの精」を使用した「タヒボの樹皮を原料とする茶」の販売に関し、被請求人の提起した大阪高裁控訴事件が存在した。

該訴訟事件については、平成11年10月14日に、控訴人(請求人)の主張を認め、「原判決を取り消す。被控訴人の請求を棄却する。」旨の判決が行われた(甲第10号証)。

その理由として、該判決文の「第三 当裁判所の判断」に次のように判示されている。

「ところで、不正競争防止法11条1項1号にいう『商品若しくは営業の普通名称』とは、取引者・需要者において特定の商品又は役務を指す一般的名称として認識され通用しているものをいい、その名称が原産地あるいは原材料名で表示されているときは、それが特定の原産地や原材料を指すものと一般に認識される程度に表示されていれば足りるものと解すべきであり、当該商品が新商品として開発されたものであるときは、名称の表示が必ずしも正確な地名や学名を用いていない場合であっても、それを普通名称と認める妨げにはならないものというべきである。 〜中略〜

したがって、原告商品の『タヒボ』なる名称は、商品の種類である茶の原材料を原産地での俗称に倣って表示したものと認められ、タヒボ茶というのは、我が国の従来茶である『鳩麦茶』『どくだみ茶』『アロエ茶』等と同種類の表示ということができる。 〜中略〜

そうであれば、『タヒボ』茶はブラジル北部を中心に生育する樹木の内部樹皮を原材料とする樹木茶の一種であり、『タヒボ』はその原材料を指す名称として使用されていることが、遅くとも被告商品が発売された平成6年9月頃までには、健康食品に関心のある需要者一般に認識され、それに伴い取引者にも一般に同様の認識が広がっていたものと推認される。

してみると、原告商品の『タヒボ』なる名称は、南米産の樹木茶の原材料を指す普通名称であると認めるのが相当である。」

なお、前記した大阪高裁控訴事件は最高裁に上告されたが、該上告は「上告棄却及び上告不受理」とされ、控訴審判決は確定している。

(4)タヒボの語はブラジル原産の薬用植物(樹木)の名称であって、古代インカ帝国の時代より優れた薬効を有するものとして知られ、現在に到るまで煎じ薬(茶),抽出剤,チンキ剤,軟膏等の原材料として知られているものである。このタヒボの歴史的沿革、生理作用、研究経過等はタヒボの研究者であるサンパウロ大学農学部のウオルター・ラダメス・アコーシ名誉教授の日本における著書≪奇跡の薬木「タヒボ」≫(ゼロ・プランニング発行)に詳細に述べられている。

(5)このタヒボは分類学上はノウゼンカズラ科タべブイア属に属するものであって、一般に「紫イペー」「パウデアルコ」「ラパチョ」「タヒボ」等として知られているものであり、黄色の花を咲かせるタヒボはブラジルのシンボル、つまり国の花にもなっているものである。これらブラジル北部では「パウダルコ」と呼ばれ、南部では「イペー」、広く民間では「タヒボ」と呼ばれている薬木は全て同一のものである。

(6)また、「ブラジル産薬用植物事典」(橋本梧郎著)には、ノウゼンカズラ科タべブイア属に属する植物が掲載されており、第159頁にタヒボが樹木又は樹皮の名称として記載されている。

(7)登録要件の判断時期

商標法第3条第1項第1号の規定及び同第3号の規定の判断時期は共に「査定時」である。してみれば、商標権者自らが「タヒボ TAHEEBO」を「タヒボを原料とする茶」の品質・原材料表示として一般的に使用していた査定当時においては、本件商標「タヒボ TAHEEBO」は正に商品の品質・原材料表示として取引者は勿論、需要者にも知られており前記規定に該当し、登録適格性を有しないものである。

(8)以上のように、本件商標は商品を流通過程に置く場合に商品の一般的名称として表示する必要があり、かつ、本来何人も自由に使用することができる独占に適さない商標であるため、その登録を無効とすべきである。

4.答弁に対する弁駁

(1)被請求人は、当事者間に存在する訴訟事件が既に確定しているため、請求人適格を欠く旨を主張している。

確かに、当事者間の大阪高裁控訴事件は確定しているが、該確定判決により、本件商標「タヒボ TAHEEBO」が、指定商品「茶」との関係において、茶の「品質・原材料」を表示するものと認識されるとの裁判所の判断は確定しており、何人も原材料表示として使用できるものである。すなわち、商標権としては実質的に効力を失っている。

一方において、商標登録そのものが存在していることも事実であるため、これを無効として上記確定判決の内容に合致させることについて、請求人は利害関係を有することは論をまたない。

(2)被請求人は、前記大阪高裁の確定判決は事実認識において誤りがあると主張し、その根拠として乙第1号証乃至同4号証を提出している。

しかしながら、これらの書証は既に大阪高裁において審理が尽くされたものであり、その結果判決が行われているものである。

このことは、乙第1号証のアコーシ氏の説明書が「大阪地裁」宛となっており、乙第4号証の大山武司氏の陳述書が「大阪地裁第21民事部」宛となっていることから明瞭である。

さらに、被請求人は乙第8号証乃至同23号証として、本件商標の使用の事実を提出しているが、これら同様の使用証拠は前記控訴審においても多数提出され、大阪高裁において審理を尽くされているものである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証乃至乙第24号証(枝番を含む。)を提出した。

1.請求人は、請求人と被請求人の間には大阪高裁控訴事件が存在していたため、本件審判請求に関し利害関係を有すると主張する。

しかし、該控訴事件は既に終結しており、本件審判請求時には両者間に係争は存在していない。つまり、請求人は、単に過去に訴訟があったということを根拠に本件審判を請求しており、これは明らかに「請求人は、利害関係人でなければならない」とする審判請求の要件を欠くものである。

よって、本件審判請求は、民事訴訟における「利益なければ訴権なし」の原則を適用し、審決をもって却下されるべきである。

2.請求人は、前記大阪高裁控訴事件において、「原告商品の『タヒボ』なる名称は、南米産の樹木茶の原材料を指す普通名称であると認めるのが相当である。」と判示されたことを根拠に、本件商標は無効とされるべきであると主張する。

しかし、該控訴審の指摘は、請求人が甲第2乃至同9号証として提出している「奇跡の薬木『タヒボ」」「ブラジル産薬用植物事典」「医薬・健康ニュース」等の記載を根拠として「タヒボ」を普通名称であると認定しており、これは事実認識において誤りがあるものである。

その根拠として、被請求人は乙第1乃至同4号証(説明書・陳述書)を提出する。これらの説明書・陳述書を見れば明らかな通り、「奇跡の薬木『タヒボ』」「ブラジル産薬用植物辞典」「医薬・健康ニュース」の各著者・発行人・執筆者は、「タヒボ」が被請求人「タヒボジャパン株式会社」の商標であり、商品の原材料名等でないことを明確に認識していたものである。

つまり、これらの著者・発行人・執筆者は、「タヒボ」を商品名(商標)であると認識しつつも、読者の理解を得やすくするために、あるいは宣伝効果を考慮して、意図的に「タヒボ」を原材料名であるかの如く使用していたにすぎないものである。

実際、甲第2号証「奇跡の薬木『タヒボ』」は、平成6年(1994年)の改訂版からは既に題名を「奇跡の薬木『タべブイア・アベラネダエ』」と変更しており(乙第5号証)、甲第6乃至7号証の「健康産業新聞」にも、従来から「TAHEEBO」は被請求人の登録商標であると明記した広告が掲載されていたものである(乙第6号証)。

なお、乙第5号証の「奇跡の薬木『タべブイア・アベラネダエ』」においても副題として「TAHEEBO」の文字が記載されているが、これは奥付前頁の説明にもある通り、読者への宣伝効果を考えて意図的に使用されているものである。

更に、該控訴審では、「原告商品の『タヒボ』」なる名称は、商品の種類である茶の原材料を原産地での俗称に倣って表示したものと認められ......」

(甲第11号証の判決文第13頁9乃至10行目)と指摘されているが、この認識も乙第7号証として提出するブラジル農務省からの書簡に照らせば、明らかに誤りと言えるものである。

すなわち、該書簡にもある通り、「TAHEEB0(タヒボ)」という名称は、通俗的・科学的を問わず、現地ブラジルに於いてさえ使用されておらず、使用されていない以上、当然に原産地での俗称になり得ない言葉なのである。

よって、乙第1乃至同7号証に照らして考察すれば、該控訴審の判断は、その根拠となった事実の認識において誤りがあると解さざるを得ないものである。

3.ここで「タヒボ」「TAHEEBO」の名称が日本において広まり、認識されてきた経緯を若干説明する。

「タヒボ」「TAHEEBO」は、昭和60年頃から被請求人の代表者である畠中平八によって販売が開始され、昭和60年12月にタヒボジャパン株式会社が設立されてからは、販売活動と共に宣伝活動も積極的に行われ、現在では取引者のみならず一般需要者にもこの名称が認識されるに至っているものである。

もっとも、その過程においては、取材を受けた新聞編集者の認識不足から商標名とも普通名称とも区別されずに「タヒボ」が使用されるといった事件(甲第4号証の「医薬・健康ニュース」)も起きているが、このあたりの事情は、乙第3号証中の「正確な事実を知らなかった」旨の証言により納得戴けるものと思料する。

ともかく、昭和60年代には全く世の中に知られていなかった「タヒボ」「Taheebo」の名称が、これだけ取引者及び一般需要者にも認識されるに至ったのは、商品として高品質であることのみならず、被請求人が商品名(商標)として「タヒボ」「TAHEEBO」の販売・宣伝活動を行ってきたことによるものであり、決して普通名称として浸透してきたものでないことは明らかである。

被請求人が、本件商標の登録以前から、「TAHEEBO」を商標として(普通名称としてではなく)使用し続けてきたことを証する為に、乙第8乃至同23号証を提出する。

乙第8乃至同23号証は、本件商標の登録日以前から新聞・雑誌に掲載してきた被請求人の商品広告であり、これらの広告中には、「TAHEEBO」は被請求人の登録商標である旨の一文が明記されている。

なお、該広告において「TAHEEBO」を登録商標としているのは、本件商標登録以前から被請求人が所有している商標登録第2101823号(乙第24号証)の権利に基づくものである。

以上、これらの事情を考慮すれば、事実認識において誤った前記控訴審判決を根拠に、本件商標が無効理由を有するか否か判断されるべきではないことは明らかである。

4.上記の各理由に拠り、本件商標はいずれの指定商品に使用しても充分に自他商品識別力を有するものであり、また、商品の品質について誤認を生ずるおそれもない商標である。

よって、請求人の主張は不当なものであり、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の規定に該当せず、同法第46条第1項の無効理由を有しないものである。

第4 当審の判断

1.本件審判請求に関し、当事者間において利害関係の有無につき争いがあるので、この点について判断する。

無効審判を請求する者は、当該審判請求をするについて法律上の利益を有することを要すると解され、また、商標法第46条(商標登録の無効審判)の立法趣旨は、過誤による商標登録を存続させておくことは、本来権利として存在することができないものに排他独占的な権利の行使を認める結果となるので妥当ではないという点にあるものと解される。

そして、それに該当すれば商標登録の無効事由である商標法第3条第1項第3号は、自他商品の識別力という商標の本質的機能に係り、商標登録にあたっての一般的・普遍的な適格性を問題とする条項である。これに該当し本来登録されるべきでないものが登録商標として存在している場合に、この商標権に基づく権利の行使によって、取引社会において直接かつ具体的に不利益を受ける者があるといわなければならないから、かかる者は無効審判請求の利益を有するとし本案審理をすることが、商標登録の無効審判の制度趣旨に合致するものというべきである。

しかるところ、請求人は自己の使用商標との関係において、「タヒボ」の語について自他商品の識別力の有無が争われた訴訟事件の当事者であり、「タヒボ」をその構成中に有する本件商標の登録の存在によって、商標の使用者としての地位に直接かつ具体的な影響を受け得る者と言うべきであるから、請求人は、本件審判請求について利益を有する者である。

2.そこで、本案に入って審理する。

(1)請求人提出の甲第2号証は、1988年(昭和63年)9月25日ゼロプラニング発行の著書「奇跡の薬木『タヒボ』」(著者ウオルター・ラダメス・アコーシ)であるところ、同書の表紙には「タヒボ」と共に「TAHEEBO」の文字が表示されていること、「薬用植物タヒボの研究にあたっての基礎知識」「薬木としてのタヒボの有効成分」等の標題のもとで随所にタヒボについての記述がなされていることが認められる。

同じく甲第3号証は、1996年(平成8年)4月27日株式会社アボック社出版局発行の「ブラジル産薬用植物事典」(著者橋本梧郎、共著者西本喜重)であるところ、同書159頁の「ノウゼンカズラ科」の「追記」に「タヒボの名で、制癌剤として広く知られたものは、この仲間の樹皮を細粉したものである。」との記述が認められる。

同じく甲第4号証によれば、昭和60年1月1日付けの「医薬・健康ニュース」には、「インカ帝国から受け継がれてきた・・神からの恵みの木タヒボ」の見出しのもと、樹木等の写真とともに、「タヒボとは、・・・アンデス山脈に至るジャングル地帯に生育している樹木です。」(最上段)、「さらにタヒボの中には他の動植物にはみられない・・・の特殊成分が含まれていることです。」(最下段)等、タヒボに係る記事が掲載されたことが認められる。

同じく甲第5号証によれば、平成6年8月1日発行の健康情報誌「さわやか元気」に、大山泌尿器科院長・大阪市立大学講師の大山武司氏による「南米アマゾンに自生する『奇跡の木』タヒボの有効成分」なる記事が掲載されており、その中で、「タヒボがアマゾンに自生する薬用植物」「ブラジルの民間療法として珍重されていたタヒボ」との記述のほか、タヒボの有効成分等について詳細な紹介を行ったことが認められる。

(2)さらに、甲第8号証によれば、昭和63年5月1日発行の「健康情報誌 La Vie(ラビエ)」中に「タヒボ茶を飲む人たち」という特別取材が掲載されたこと、同誌中の広告において「人工育生が絶対できないタヒボには、六十数種類のミネラルと各種栄養素が含まれており」との記述があることが認められる。また、甲第9号証によれば、1989年(昭和63年)10月1日発行の「健康ファミリー10月号」の目次「ヘルス」欄に「タヒボ茶で体が軽くなる」との記載があること、同誌中の広告において「この樹木を尊敬の意味をこめて・・タヒボと名づけ・・」との記述があることが認められる。そして、これらの発行は、本件商標の出願日より前であり、また、登録商標であることを明記したとして提出された乙第8号証乃至同第23号証及び同第6号証の各年月日よりも前である。

(3)(イ)また、甲第10号証によれば、大阪高裁控訴事件について平成11年10月14日に判決の言渡がなされたことが認められ、その判決では、「......右検討のとおり、被告商標『タヒボの精』及び被告表示『タヒボ茶』のうちいずれも『タヒボ』なる名称は南米産の樹木茶の原材料を示す普通名称であり、被告商品にはこれを通常の書体で表示しているのであるから、普通名称を『普通に用いられる方法で表示した』ものと認められ、結局、被告商標及び被告表示を使用することが不正競争に当たるということはできない。(第18頁右から4行目乃至同9行目)」と判示されている。そして、同第11号証によれば、該判決に対して被請求人が上告を行ったが、「上告を棄却する、上告審として受理しない」旨の決定がなされ、同第12号証によれば、平成12年3月21日該判決が確定したことが認められる。

(ロ)被請求人は、「前記大阪高裁の控訴審判決の指摘は、『奇跡の薬木・タヒボ』、『ブラジル産薬用植物辞典』、『医薬・健康ニュース』等の記載を根拠として『タヒボ』を普通名称であると認定しており、これは事実認識において誤りがあるものである」旨主張し乙第1乃至同7号証を提出している。

(ハ)しかるところ、乙第1号証(「奇跡の薬木『タヒボ』の著者 ウオルター・ラダメス・アコーシ サンパウロ大学教授の説明書)と乙第4号証(「南米アマゾンに自生する『奇跡の木』タヒボの有効成分」の執筆者 大山武司氏の陳述書)は、原審である大阪地裁に提出された証拠資料であることが、これらの書証の左上に「大阪地方裁裁判所 殿」、あるいは「大阪地裁第21民事部 御中」との宛先が書されていることからも窺われるところである。

(ニ)そうとすれば、これらの証拠資料は、上級審である大阪高裁の審理の過程で検討を経ているとみるべきものであり、現に、大阪高裁の判決は、「......原告は、『タヒボ』が『ノウゼンカズラ科タベブイア属アベラネダエ種』の異名・別称であるとは植物の学術書には一切記載がないし、南米各国で一般にもその俗称として通用している事実もないとして普通名称であることを否定する。たしかに、熱帯植物研究会編『熱帯植物要覧』(第3版・平成3年9月発行)には『ノウゼンカズラ科タベブイア属アベラネダエ種』の異名としては『イペーロッショ』のみが挙げられていて、『タヒボ』なる俗称のあることは記載されていないが、他方、サンパウロ大学農学部名誉教授の前記著書や前記『ブラジル産薬用植物事典』には『アベラネダエ種』に『タヒボ』なる俗称のあることが記載されていることは前記のとおりである。(第15頁右から3行目乃至第16頁右から2行目)」と判示し、そのうえで、「なお、乙二の著者である右教授は、原告から指摘を受けて、ブラジルにおいて『タヒボ』なる名称の樹木の存在しないことを承認し、平成6年12月に発行された右著書の改訂版では『タヒボ』なる名称の使用を中止していることが認められるが、右初版本の記述が全くの誤りであったとまでを自認しているとも見られない上、『タヒボ』なる俗称が古代インカ帝国時代に『ノウゼンカズラ科タベブイア属アベラネダエ種』を指すものとしてインディオにより用いられていたことは同教授自身も認めているところである(第15頁右から3行目乃至第16頁右から2行目)」と判示している。そして、前記判示中の「乙二の著書」とは、ウオルター・ラダメス・アコーシ サンパウロ大学教授の著書である「奇跡の薬木『タヒボ』」であることは明らかであり、また、「ブラジル産薬用植物事典」とは、乙第2号証として説明書を提出した橋本梧郎氏の共著書であることも明らかである。

してみれば、「大阪高裁の控訴審判決の指摘は、事実認識において誤りがある」とする被請求人の主張は、乙各号証によっても、俄には認め難いものといわなければならない。

(4)以上を総合すれば、本件商標の登録(査定)時よりも前の時点において、「タヒボ」の語は南米産の樹木茶の原材料を示す名称(語)として、一般に開示され、健康食品に関心の高い需要者一般に認識されており、取引者にも認識されていたと認め得るものである。

また、「TAHEEBO」の語は前記「タヒボ」の原語とみるのが相当である。

そうとすれば、「タヒボ」と「TAHEEBO」の文字を普通に用いられる方法で二段に表示してなる本件商標を、その指定商品中の「茶」の範疇に属するものと認められる「タヒボ茶(タヒボを原材料とする茶)」について使用した場合は、これに接する取引者・需要者をして、単に商品の品質・原材料を表示する標章であると認識させるに過ぎないものであり、また、上記以外の商品について使用した場合には、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたといわざるを得ないものであるから、同法第46条第1項によりその登録を無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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