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Trademark Appeal Case

結合商標の要部抽出と混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年異議第90638号
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4081556号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1.本件商標

本件商標は、「ROYAL QUEEN'S POLO TEAM」の欧文字を横書きしてなり、第22類「はき物 その他本類に属する商品」を指定商品として、平成3年4月9日に商標登録出願、平成9年11月14日に設定登録されたものである。

2.登録異議の申立て理由

本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は取り消されるべきである。

3.本件商標に対する取消理由の要点

(1)異議申立人の提出に係る甲号各証の刊行物によれば、ラルフ・ローレンあるいは同人が創立したポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)は、被服等のファッション関連商品において、少なくとも本願商標の登録出願時である平成3年4月までにはファッション関連業者として広く知られ、著名といい得る状態になっていることが認められる。そして、これらの刊行物においては、ラルフ・ローレンあるいはポロ社に関係する商品はポロ・ブランドと称され、「POLO」、「Polo」又は「ポロ」と略称されていることが認められる。

(2)前述で認定した事実よりすれば、被服等のファッション関連商品に「POLO」、「Polo」、「ポロ」の文字を付して使用すると、これに接する取引者・需要者は、ラルフ・ローレンあるいはポロ社に関係する商品と認識するものである。そして、本件商標の指定商品は、ファッション(装身に関する流行)関連商品であるから、これに「POLO」の文字を付して使用したときも、これに接した取引者・需要者は、同様に、ラルフ・ローレンあるいはポロ社に関係する商品と認識するものである。

(3)本件商標は、「ROYAL」「QUEEN'S」「POLO」「TEAM」の4つの英単語からなるが、これらが全体として1つの観念を生ずるものと広く認識されている事実はないから、本件商標をその指定商品に使用すると、取引者・需要者は、上記4つの英単語の中から、前述のとおり周知著名である「POLO」の文字部分に特に注意を引かれ、その商品をラルフ・ローレンあるいはポロ社に関係する商品と認識するものと判断するのが相当である。

(4)そうとすれば、本件商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者・需要者は、その構成中の「POLO」の文字に注目し、周知になっているラルフ・ローレンに係る「POLO」標章を想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く出所の混同を生ずるおそれがある。

以上のとおりであるから、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。

4.商標権者の意見の要点

(1)「POLO」の語は、「ポロ競技」を意味する既存の英単語であり、また我が国において商品「被服」について自他商品の識別機能を果たし得ない普通名称であることから、商品「はき物」等のファッション関連商品についても強い自他商品識別力を認めることはできないというべきである。

(2)「POLO」の語は、米国および仏国においても商品「被服」について自他商品の識別機能を果たし得ない普通名称であり、商品「はき物」等のファッション関連商品についても「POLO」の語に強い自他商品識別力を認めることはできないというべきである。

(3)使用主義法制を採る米国において「POLO」を含む商標が「被服」「時計」「眼鏡」等を指定商品として、複数の第三者によって多数登録されており、ラルフ・ローレンに係る「POLO」標章の我が国商標法に基づく保護の軽重を判断する上で考慮すべき取引の実情の一つというべきである。

(4)ラルフ・ローレンは、我が国において「POLO」の語を「Polo by RALPH LAUREN」あるいは「POLO RALPH LAUREN」として、「RALPH LAUREN」の語と関連づけて長年に亘って商品「被服等」に使用することにより、「POLO」の語とラルフ・ローレンとの関連性を一般に強くアピールしており、「PoLo」の語にも強い自他商品識別力を認めることはできないのである。

また、現在、我が国において、「POLO」の語を含む結合商標「POLO CLUB」「WORLD POLO CHAMPIONSHIPS」「BEVERLY HILLS POLO CLUB」が、それぞれ第三者によって商品「被服等」に使用されており、それぞれ取引者・需要者から高い認知を得ているだけでなく、ラルフ.ローレンに係る「POLO」標章とは明確に区別して取引きされており、「POLO」の語に強い自他商品識別力を認めることはできないのである。

本件指定商品は「被服」そのものではないが、ファッション関連商品として取引者・需要者を共通にしていることから、商品「被服」におけると同様に「POLO」の語に強い自他商品識別力を認めることはできず、商品「被服」以外のファッション関連商品の分野においても、「POLO」の語を含む結合商標の全てについて、直ちにラルフ・ローレンを想起するという関係は成立していないというべきである。

(5)しかして、本件商標がラルフ・ローレンに係る「POLO」標章と商品の出所について混同を生ずるか否かを判断するにあたっては、上記(1)乃至(4)の事情を勘案して、本件商標中の「POLO」の文字部分が、取引の実際において、独立して自他商品の識別機能を発揮する部分として認識される外観上、観念上あるいは称呼上の要素(分離抽出要素)があるか否かによって判断しなければならない。

(i)外観上の要素について

本件商標の外観構成上、取引の実際において「POLO」の文字部分が独立して自他商品の識別機能を発揮する部分として分離抽出される要素は全く存在しない。

よって、本件商標は、ラルフ・ローレンに係る「POLO」標章とは商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。

(ii)観念上の要素について

本件商標からは「女王のポロチーム」の自然の観念が生じ、観念上、本件商標中の「POLO」の文字部分が独立して自他商品の識別機能を果たすと認識しなければならない要素は全く存在しない。

よって、本件商標は、ラルフ・ローレンに係る「POLO」標章と商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。

(iii)称呼上の要素について

本件商標からは「ロイヤルクイーンズポロチーム」の一連の称呼のみが生じるとみるのが相当であるから、「ポロ」の称呼を生ずるラルフ・ローレンに係る「POLO」標章とは商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。

(6)東京高裁平11(行ケ)253 平成12.1.27判決(乙第14号証)は、本件と同種の事案について、商標権者の主張と同趣旨の判断を示している。

以上のとおり、本件商標は、ラルフ・ローレンに係る「POLO」標章と商品の出所について混同を生ずるおそれがないものであり、商標法第4条第1項第15号には該当しないものと確信する。

5.当審の判断

登録異議申立人 ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップの提出に係る甲第2号証ないし甲第7号証、甲第10号証及び同第11号証並びにこれらの関連した以下にあげる各種雑誌、新聞等によれば、以下の事実が認められる。

(1)株式会社講談社(昭和53年7月20日)発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング(昭和58年9月28日)発行「舶来ブランド事典『'84 ザ・ブランド』」の記載によれば、アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、かばんなどのデザインをはじめ、紳士物全般に拡大し、1971年には婦人服の分野にも進出した。1970年と1973年に服飾業界で最も名誉とされる「コティ賞」を受賞し、1974年に、映画「華麗なるギャツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことからアメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。この頃から、その名前は我が国の服飾業界においても広く知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字とともに「by Ralph Lauren」、「by RALPH LAUREN」の文字及び「馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形」の各標章(以下「引用商標」という。)が使用され、これらは「Polo(ポロ)」の略称で呼ばれるようになった。

(2)株式会社洋品界(昭和55年4月15日)発行「月刊『アパレルファッション店』別冊、1980年版『海外ファッション・ブランド総覧』」、株式会社アパレルファッション(昭和57年1月10日)発行「月刊アパレルファッション2月号別冊海外ファッション・ブランド総覧」、ボイス情報株式会社(昭和59年9月25日)発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略'85」、昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事及び株式会社チャネラー(昭和53年9月20日)発行「別冊チャネラーファッション・ブランド年鑑'80年版」等によれば、我が国においては、西武百貨店等が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、販売を開始したことが認められる。

(3)また、ラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士用品等については、前出「男の一流品大図鑑」、「舶来ブランド事典『'84 ザ・ブランド』」をはじめ、株式会社スタイル社(1971(昭和46)年7月10日発行)「dansen男子専科」、株式会社講談社(昭和54年5月20日)発行「世界の一流品大図鑑'79年版」、同社(昭和55年11月15日第二刷)発行「世界の一流品大図鑑'80年版」、同社(昭和55年11月20日)発行「男の一流品大図鑑'81年版」、同社(昭和56年5月25日)発行「世界の一流品大図鑑'81年版」、婦人画報社「MENS'CLUB」1980(昭和55年)年12月号及び株式会社講談社(昭和60年6月25日第2刷)発行「FASHION SHOPPING BIBLE'85 流行ブランド図鑑」などの書籍において、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題のもとに広告又は紹介されている。さらに、新聞記事(例えば、1990年11月27日付、1991年12月5日付朝日新聞朝刊)においても、単に「ポロ」、「ポロのマーク」等として掲載されていることが認められる。

(4)なお、ラルフローレンの「POLO」・「Polo」・「ポロ」の標章について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定し、その周知性を認めた判決として、甲第7号証の判決を始め、東京高等裁判所平成11年(行ケ)第250号、同第251号、同第252号、同第267号、同第290号(以上平成11年12月16日言渡)、同第268号、同第289号(以上平成11年12月21日言渡)、同第288号(平成12年1月25日言渡)、同第298号、同第299号(以上平成12年2月1日言渡)、同第192号(平成12年2月29日言渡)、同第333号、同第334号(以上平成12年3月29日言渡)等の一連の判決がある。

(5)さらに、引用商標を模倣した偽ブランド商品が市場に出回り刑事摘発を受けた旨が、例えば、平成1年5月19日付朝日新聞夕刊、同4年9月23日付読売新聞(東京版)朝刊、同5年10月13日付読売新聞(大阪版)朝刊、同1O年6月8日付朝日新聞夕刊等において報道され、これらの記事中では引用商標が「ポロ」、「POLO」、「Polo」等と称されている。

(6)以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、引用商標は、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服類及び眼鏡製品に使用する標章として、遅くとも本件商標の登録出願時までには、既に我が国において取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。

(7)本件商標は、「ROYAL」「QUEEN'S」「POLO」「TEAM」の4つの英単語からなるが、これらが全体として不可分一体の既成の観念を示すものとして一般に広く認識されているものとはいい難いばかりでなく、その構成中に、引用商標と同一綴り文字よりなる「POLO」と文字を有しているものである。

また、本件商標の指定商品は、はき物、かさ等のファッション(装身に関する流行)に関連した商品であって、統一ブランドにファッションをまとめようとする昨今にあっては、被服、眼鏡製品等とは少なからず関連性を有するものというべきである。

このような事情の下において、本件商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者・需要者は、その構成中の「POLO」の文字に注目し、周知になっているラルフ・ローレンに係る引用商標を連想、想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く出所の混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。

以上のとおりであって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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