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Trademark Appeal Case

先行周知商標の取消

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35093号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2277191号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第2277191号商標(以下「本件商標」という。)は、「SPORT MAX」及び「スポーツマックス」の文字を二段に併記してなり、昭和63年6月9日に登録出願、第22類「はき物、かさ、つえ、これらの部品および附属品」を指定商品として、平成2年10月31日に設定登録がなされたものであるが、その後、商標登録の取消の審判により、本件商標の登録を取り消すべき旨の審決がされ、その確定審決の登録が同13年2月27日にされているものである。

2.請求人の主張の要旨

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨つぎのように述べ、証拠方法として甲第1ないし第86号証(枝番号を含む)を提出している。

(1)請求人は、19世紀より始まる裁断の学校に由来し、1951年(昭和26年)、アキーレ・マラモッテイにより創立され、当時すべてを手作業により行っていたオートクチュール的な服作りを、工場生産システムによる合理的、大規模に展開すべく革新的な手法でその事業を開始し、最初のマックスマーラコレクションを発表、1960年代(昭和35年以降)「MAXMARA」に続く基本的なブランドとして「SPORTMAX」が誕生した(甲第4号証)。

請求人は、他のデザイナーブランドのように製品にデザイナー名を冠することは一切行なわず全ての製品をマックスマーラ社のものとして展開し、高品質の商品の供給を長期に渡り継続しており、同社の各種ファッション製品は、同社の商号商標として国際的に著名になっている「MAXMARA」を基本に「SPORTMAX」「I BLUES」「WEEKEND LINE」など統一した多くのブランドラインにより、いずれも請求人のもとに一貫した基本ラインを維持しつつ、自ら責任を有する自社ブランド製品として製造、販売を行い、世界40ケ国に360の販売拠点を有し、イタリーを中心としてヨーロッパ各国はもとより、米国、カナダなどで積極的に展開し、我が国を含む香港などアジア各国においても広範な展開を行い、現在では、請求人は婦人服の製造、卸、小売ではイタリア最大の企業に成長し、同社の従業員は2,480名、年商は1兆3120億リラ(平成7年12月)に達している(甲第4号証)。

(2)「SPORTMAX」の我が国への展開のため、昭和53年8月、株式会社インターモード(東京都港区西麻布在、現在の東レ・ディプロモード社、以下「インターモード」という。)が、請求人製品の輸入販売のための提携を行い(甲第12号証)、この提携は、同年10月に発表され、「インターモード、伊マーラ社と提携、『スポーツマックス』を輸入」の見出しとともに「スポーツマックス展開に当ってはマックスマーラ商品のブランドイメージが演出できる有力売り場を中心にする考えで、伊勢丹、西武、三越、高島屋、そごうなどの主要百貨店、全国各地域の最有力専門店を予定している」と報道(同年10月20日付織研新聞)され、同年10月20日付朝日新聞にも報じられており、これらの記事において、請求人を「ヨーロッパで3指に入る有力メーカー」、「イタリアの大手婦人服メーカー」、「イタリア最大」と称して報道している(甲第8号証)。

この提携を基礎に、同53年末より、「SPORTMAX」製品が我が国にも大々的に輸入展開されるようになり、インターモードを通じ、我が国有名百貨店、全国の有名専門店を通じての大々的な販売活動が開始され(甲第10及び第11号証)、本件登録商標が出願された同63年6月には、輸入婦人服、高級婦人服のブランドとして、「SPORTMAX」は我が国の取引者、需要者に広く知られるようになっていた。

昭和60年代は、我が国高度成長の最盛期であり、従来の実用的なファッションから趣味性の高い高級イタリアファッションも大衆化し、イタリアファッションに関する情報は被服業界において広く採り入れられ、「VOGUE ITALIA」などの広告や、我が国有名百貨店、全国の有名専門店への展開を通じ、「SPORTMAX」は、輸入ブランドとして周知、著名なものとなる。

(3)平成1年12月22日には、我が国における「SPORTMAX」を含むマックスマーラ製品の展開のため、株式会社マックスマーラジャパン(東京都港区南青山在、以下「マックスマーラジャパン」という。)が三喜株式会社、三井物産株式会社及び請求人の出資により設立され(甲第4号証)、同2年秋冬物から日本における展開を積極的に開始し、マックスマーラグループの各種婦人衣料を我が国に輸入し、全国各地の専門店や有名百貨店への卸や直営店を通じ小売を行い、「SPORTMAX」を含む「MAXMARA」製品の最近の売上高の推移は、同3年7月期13億円、同4年7月期27億円、同5年7月期35億円、同6年7月期47億円、同7年7月期72億円となっている(甲第5号証)。

イタリアファッションは、世界のファッションの基本的な一大潮流であり、請求人の各種「MAXMARA」製品は、その後も引き続き各種ファッション雑誌などで頻繁に紹介され、同1年のマックスマーラジャパン設立後も「SPORTMAX」を含む「MAXMARA」製品について多くの記事が記されて、例えば、同2年10月15日発行「織研新聞」(甲第16号証)など多くの記事に掲載されている。また、マックスマーラジャパンは「MAXMARA」製品の販売促進活動を継続して積極的に行なった。

これらの記事は、昭和63年以降の発行に係るものであるが、「SPORTMAX」が同50年から同60年代に大々的に展開され、当時、既に周知、著名になっていた事実が客観的記事として記述されている。(甲第13ないし第25号証)

(4)請求人は、「SPORTMAX」製品について、イタリアファッションに関して最も高く評価され世界的にファッション関係者に愛読されている、広範な読者層を有する有名ファッション雑誌「VOGUE ITALIA」を通じての広告を同59年以来、現在まで継続して掲載してきた。該雑誌は、ヨーロッパ各国、北アメリカ各国等に販売されている国際的なファッション雑誌であり、我が国においても、同55年以来、旺文社インターナショナル社を通じ、毎号約1260部、平成9年10月からは海外新聞普及株式会社(東京都港区芝浦在)を通じ、5月、6月、10月及び12月は5,000部、その他の月は7,000部、我が国に輸入販売され(甲第45号証の1)、イタリアファッションに関する必須の情報源として、我が国ファッション関係者に愛読されている。

(5)商標法第4条第1項第7号について

「SPORTMAX」は、請求人が各種ファッション製品に使用する商標として本件商標が出願された昭和63年6月9日以前に国際的な周知、著名商標となっていたことが明らかである。

本件商標は、上段を欧文字「SPORTMAX」とし、下段をそれに相応する発音を表わす片仮名文字「スポ‐ツマックス」を左横書きした構成からなるが、請求人の商標と完全に同一の構成文字からなるものであって、これに相応する発音の片仮名文字を併記したにすぎないものである。

「SPORTMAX」は、請求人の名称の要部「MAX MARA」の「MAX」の前にスポーティーなラインを意味する「SPORT」を配し、これを一体に表わし「SPORTMAX」としたもので、格別の意味を有しない請求人名称を含む造語であって、商標として各社が採用しているありふれた意味内容を有する一般的な用語といったものではない。

したがって、本件商標は、商標権者が独自に採択し、これが請求人の商標「SPORTMAX」と偶然に一致したものではなく、請求人の商標を知ってそこに化体する業務上の信用を利用すべく商品分野を代えて出願し、たまたま本件商品分野においては先行登録がなかったため登録されたものであることが、健全な社会通念に照し容易に判断しうるところである。

その出願時、既に国際的な保護が確立している有名な商標を我が国において取得するような行為は国際信義に反するものであって、かかる商標の出願及び登録は、他人の著名商標を盗用、剽窃する行為であるから、商標法の目的とする公正な競争秩序、善良の風俗に反するものである。

(6)商標法第4条第1項第10号について

昭和53年8月、インターモードが請求人の商品を輸入販売すべく提携し、同54年春夏物の「SPORTMAX」の輸入販売を開始し、同社を通じ、伊勢丹、西武などの主要百貨店、全国各地域の最有力専門店で「SPORTMAX」製品が販売されてきたことは、各社新聞、雑誌の記事、インターモードの社内資料、同社への輸入を示す取引資料に示されている。

さらに、我が国にも数多く頒布されている「VOGUE ITALIA」などへの広告掲載を通じ、同63年6月以前に「SPORTMAX」は請求人の商標として周知、著名なものとなっていた。

請求人の商品は、婦人用のドレス、スーツ、スカート、シャツなどの各種被服を中心とするものであるが、ファッション製品の常として、被服のみならず、マフラー、ショール、ベルト、靴、かさなどの各種関連商品を同一ブランドで提供している。

本件商標「SPORTMAX」、「スポーツマックス」は、本件商標権者が請求人の商標と無関係に採択したものではなく、商標権者が独自に採択し、これが請求人の商標と偶然に一致するといった事情は考えられず、本件商標は、他人の著名商標を盗用、剽窃すべく採択したものであり、「不正競争の目的」に該当するものであって、本件商標は不正競争の目的で登録されたものであることが合理的に判断される。

以上の通り、本件商標は、その出願前に周知、著名であった請求人の商標「SPORTMAX」とその称呼、外観において一致する類似商標「SPORTMAX/スポーツマックス」を、使用目的、商品の供給経路を共通にする類似商品である婦人用の被服製品と類似する商品について、不正競争の目的で登録したものであることが明白である。

(7)商標法第4条第1項第16号について

本件商標は、前述したとおりの構成よりなるが、本件商標に接する者は、一見してこれを請求人の「SPORTMAX」と認識するおそれが大きい。

本件商標は、第22類「はき物、かさ、つえ、これらの部品および附属品」を指定商品としているが、これは、請求人の製造販売に係る商品であり、しかもその中心となっている婦人用の被服とはいずれもファッション関連として共通し、被服のデザインを中心とするファッションデザイナーが衣服の商標と共通する商標を使用してデザイン性の優れた靴、かさなどを展開する企画も知られており、請求人の「SPORTMAX」製品は、全てイタリアで製造され我が国に輸入される商品であって、我が国でライセンス生産されているものはない。

よって、本件商標権者により本件商標がその指定商品について使用されれば、これに接する取引者、需要者は、当該商品があたかも請求人による製品、イタリー製の輸入商品であるごとくその製造地、製造物について誤認を生じるおそれが大きく、さらには、請求人あるいはそれらと何等かの関係を有する企業の取り扱いに係るデザインに優れた高品質の商品であるかのごとく、その品質、内容について誤認を生ずるおそれが大きい。

(8)利害関係の存在について

請求人は、自らの商標「SPORTMAX」を保護し、本件商標が使用されることにより、請求人の「SPORTMAX」に化体する業務上の信用が毀損される事態を防止し、業務上の信用の維持を図るため、本件商標を無効にする必要があるとともに、自らの名義による自己の商標「SPORTMAX」について商標登録を取得するため、本件商標の登録を取り消す法的必要性があり、本件無効審判を請求するにつき、利害関係を有する者である。

以上詳述した通り、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号及び同第16号に該当し、その登録は商標法第46条の規定により無効とされるべきものである。

3.被請求人の答弁

被請求人は、請求人の主張に対して何ら答弁していない。

4.当審の判断

(1)本件商標は、「SPORT MAX」及び「スポーツマックス」の文字を二段に併記してなるものであるところ、請求人の提出に係る甲各号証を総合すると、次の事実が認められる。

(ア)昭和53年に、イタリアの大手婦人服メーカーである請求人と中堅アパレルメーカーであるインターモードが提携したこと。

(イ)同55年頃にはインターモードを通じ、請求人の「SPORTMAX」製品が我が国に輸入され、有名百貨店、全国の有名専門店を通じての販売活動が開始されていたこと。

(ウ)請求人が使用している商標「SPORTMAX」が、ファッション雑誌「VOGUE ITALIA」を通じての広告を同59年以来、現在まで継続して掲載されていたこと。

(2)これらの事実を踏まえると、「SPORTMAX」の文字は、本件商標の出願前から、請求人の取扱いに係る商品を表示するものとして使用され、我が国にも輸入、販売されていたことが認められる。

そこで、本件商標をみるに、本件商標は前記のとおりであるところ、その構成中の「SPORT MAX」の文字部分は、「SPORT」と「MAX」の文字との間に間隔を有してなるが、請求人が「被服」等について使用している商標「SPORTMAX」とは類似するものであり、また、その構成中の「スポーツマックス」の文字部分についても、我が国で宣伝、広告を行う際の片仮名表記と同一のものである。

そして、本件商標の指定商品「はき物、かさ、つえ、これらの部品および附属品」と請求人の取扱いに係る商品「被服」とはファッションに関連する商品として需要者層を共通にする場合も多く、密接な関係にあるものといわなければならない。

してみれば、請求人が使用している商標と酷似する本件商標を被請求人が使用するときは、前記のとおり、請求人の商標を付した商品が我が国に輸入されている実情より、需要者をして、請求人の承諾を得た者又は請求人と関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、その出所について誤認・混同を生ぜしめるおそれがあるものであって、公正な取引の秩序をみだし、ひいては国際取引における信義に反し、公序に違反するものといわなければならない。

したがって、本件商標については、その余の無効事由につき判断するまでもなく、商標法第4条第1項第7号の規定に違反して登録されたものであるから、本件商標の登録は、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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