Trademark Appeal Case
自動車と消防車の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−3946(T2000−3946/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1.本願商標
本願商標は、「STRIKER」の文字を書してなり、第12類「自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,陸上の乗物用の動力機械器具,陸上の乗物用の機械要素,陸上乗物用の交流電動機,電動三輪車 」を指定商品として、平成7年5月18日に登録出願されたものである。そして、指定商品については、同12年3月22日付け提出の手続補正書をもって、第12類「自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,陸上乗物用の交流電動機」と補正されたものである。
第2.原査定で引用した商標
原査定において、本願商標の拒絶の理由に引用した登録第980696号商標(以下「引用A商標」という。)は、「ストライカー」の文字を書してなり、第10類「理化学機械器具、光学機械器具、写真機械器具、映画機械器具、測定機械器具、医療機械器具、これらの部品および附属品、写真材料」を指定商品として、昭和44年7月26日に登録出願、同47年9月18日に設定登録され、その後、2回に亘り商標権の存続期間の更新登録がなされ、該登録に係る権利は、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第1825532号商標(以下「引用B商標」という。)は、「STRIKER」の文字を書してなり、第9類「ボーリングピン、その他本類に属する商品(但し、金属加工機械器具を除く)」を指定商品として、昭和57年7月29日に登録出願、同60年12月25日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、該登録に係る権利は、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第4041075号商標(以下「引用C商標」という。)は、「STRIKER」の文字を書してなり、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電気磁気測定器,電線及びケーブル,眼鏡,電気通信機械器具,電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ,その他の電子応用機械器具及びその部品,ロケット,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気式ワックス磨き機,電気掃除機,電気ブザー,消防艇,消防車,自動車用シガーライター,磁心,抵抗線,電極,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,計算尺,犬笛」を指定商品として、平成6年9月29日に登録出願、同9年8月8日に設定登録されたものである。
第3.請求人の主張要旨
1.商標の類否について
本願商標は英文字「STRIKER」を横一連に書したものであり、「ストライカー」の自然的称呼が生ずることから、各引用例同一又は類似することは認める。したがって、引用各商標との類否については論じない。
2.指定商品の類否について
本願商標の指定商品は、上記のとおり手続補正書により補正された結果、引用AないしB商標との関係においては拒絶の理由である商標法第4条 第1項第11号の関係は脱した。
残る引用C商標の指定商品中の「消防車,自動車用シガーライター」が、特許庁商標課編に係る「類似商品・役務審査基準」によると本願の指定商品中の「自動車並びにその部品及び附属品」と類似するとされている。しかしながら、これらの商品は非類似とされるべきものである。
商品の類否の判断は、「商標審査基準」(改訂第6版)の商標法第4条第1項第11号に関する解説によると、(イ)生産部門が一致するどうか、(ロ)販売部門が一致するかどうか、(ハ)原材料及び品質が一致するかどうか、(ニ)用途が一致するかどうか、(ホ)需要者の範囲が一致するかどうか 、(ヘ)完成品と部品との関係にあるかどうかを総合的に考慮するものとし、その判断は原則として「類似商品・役務審査基準」によるとされている。
(1)「自動車」と「消防車」の類否について
第12類に分類されている「自動車」は、貨物自動車、救急車,乗用車、バス、ダンプカー等の例示から人及び荷物の運搬の用に供するものである。これに対して、「消防車」は消火をその本質的機能とする。したがって、自動車と消防車は上記審査基準の(ニ)の用途は一致しない。「消防車」の製造に際しては、エンジン、制動装置等の自動車としての基本的機能を備えたものに、はしご、ポンプ等の消火に必要な装置が取り付けられる。このポンプ類の取り付けは、自動車本体の製造者が行なうことはなく、専門の業者により行われているのが現状である。このように消防車は、いわゆる自動車メーカーが製造するものではなく、専門の業者により行われていることから、審査基準(イ)の生産部門が一致しないことは明らかである。次に、「消防車」は火災における消火を目的とするものであることから、その公益性の必要から地方自治体に配置が義務付けられている。さらに、民間企業においても、化学工場、石油プラント等、一旦火災が生じた場合には甚大な災害をもたらす可能性のある施設にも配置が義務付けられている。したがって、一般需要者、運送業者等を顧客とする「自動車」と、消防車の需要者は異なるものであることから、審査基準(ホ)の需要者の範囲も一致するものではない。消防車は、生産者と需要者が直結しており、その間に第三者が介在することはなく、しかも転々流通するものではないことから、商標を付すことにより自他商品を識別し、出所の混同を防止すること等は本来必要のないものといえる。したがって、商標法上の商品とはなり得ないものであるとすらいうことができる。これに対して、自動車は大量に生産され、転々流通し、しかも生産者と需要者間には販売店(ディーラー)が介在することから、消防車と異なり生産者と需要者が直結するものではない。したがって、自動車と消防車とはその販売部門を異にするといえるものであることから、審査基準(ロ)も満足するとはいえない。さらに、消防車はエンジン、制動装置等の自動車としての基本的な装置を備えたものに消火に必要な装置類を取り付けるものであることから、原材料及び品質が一致するとはいえないものである。したがって、審査基準(ハ)にも反することになる。又、自動車と消防車間には部品と完成品の関係があるとはいえないことから、審査基準(ヘ)も該当しないものと考える。以上のように、消防車と自動車の間には審査基準(イ)ないし(ヘ)の関係は全くないことから、これらを総合的に考慮した場合、両商品は類似するものではないと判断されるべきである。
(2)「自動車の部品及び附属品」と「自動車用シーガーライター」の関係について
「自動車の部品及び附属品」には、その例示から、人及び荷物の運搬という自動車の本質的機能を発揮させるもの及びそれ自身自動車とは関係があるが運搬とは異なる明確な機能を有していないものが含まれると考える。したがって、自動車とは関係があるが運搬とは異なる明確な機能を有するものは非類似の商品として扱われるべきである。「自動車並びにその部品及び附属品」と「消防車、自動車用シガーライター」との用途・機能は全く異なるものであることから、上記の商標審査基準は勿論、国際分類の一般的注釈によってもこれらの商品は非類似のものとされるべきものである。
以上に述べたように、本願商標の指定商品は引用例の指定商品とは非類似であり、商標法第4条第1項第11号による拒絶の理由は存在しないものである。
第4.当審の判断
本願商標の指定商品は、上記補正の結果、引用AないしB商標の指定商品とは、同一又は類似の商品はすべて削除されたと認め得るところである。
そこで、本願商標と引用C商標との類否について判断する。
(1)商標の類否について
本願商標と引用C商標の構成は、それぞれ前記のとおりであるから、その構成文字に相応して、共に「ストライカー」の称呼を生じ、これをもって取引に資されるものであるから、両商標は称呼を同じくする類似の商標と認められる。
(2)指定商品の類否について
(ア)昭和35年3月8日通商産業省令第13号による商標法施行規則第3条は、「商標法施行令(昭和35年政令第19号)第1条の規定による商品の区分に属すべき商品は、別表のとおりとする。」と定めているところであり、当該別表によると、「消防車」は、該商品の区分第12類の「輸送機械器具」に属する「自動車」の範ちゅうに入るものとして例示されている。また、「自動車用シガーライター」は前記別表には例示されていないが、同じく「自動車の部品及び附属品」の範ちゅうに入るものと解され、取り扱われているものである。さらに、当該別表は、その後、ニース協定の規定に基づく国際分類の採用により、平成3年10月31日通商産業省令第70号をもって改正された結果、「自動車並びにその部品及び附属品」は、第12類に属する商品として例示され、「消防車」及び「自動車用シガーライター」は第9類に属する商品として各々例示されることとなった。
そして、国際分類の下であっても、「政令で定める商品及び役務の区分」と商品及び役務の類似範囲とは別のものであること明らかである(商標法第6条第3項)。
(イ)商品の区分に基づいた「類似商品審査基準(特許庁商標課編集、社団法人発明協会昭和36年10月1日発行)」において「消防車」は、「自動車」の概念に含まれるものとして、必ずしも貨物、あるいは人間を輸送することをその主たる用途、機能としない特殊な車両である散水車、図書館車等を含む他の前記省令に例示されている自動車と類似するとしている。また、「自動車用シガーライター」は、平成4年3月23日に改訂された「類似商品・役務審査基準」おいて、法令の定める商品の区分上、第12類の「自動車の部品および附属品」に属するものでないとしても、商品の概念上、この範ちゅうに入り、それらは相互に類似するとしている。このことは、現在の国際分類採用下においても変更はない。
(ウ)ところで、諸統計の作成に使用されるほか、各企業、業界における商品コードの基準としても利用されている「日本標準商品分類(総務庁編集、財団法人全国統 平成8年9月第3版発行)」(以下「日本標準商品分類」という。)によれば、その序章に記載の如く、商品の用途、機能、材料、成因を基準として類似するものごとに集約し、中分類番号を基本コードとしており、「中分類47−自動車及び二輪自動車(原動機付き自転車を含む。)」中の、「47 1 完成自動車(四輪及び六輪自動車)」に、乗用自動車を始め、消防自動車、救急車、タンク車、じんかい車を含む特殊用途車が同一分類中に分類されているところである。また、「47 8 部品及び附属品」に、ワイパ・アーム・ブレード及びリンク機構、ホーン及びブザー類等の商品と共にシガー・ライターが同一分類中に分類されている。
してみると、「日本標準商品分類」の中分類中に分類されている商品が、必ずしも商品の出所の混同を生じるおそれがあることを前提としての前記類似商品審査基準と同一にする、いわゆる類似商品の掲載を目的としているものではないとしても、前記のとおり、商品の用途、機能、材料、成因を基準として類似するものごとに集約して、現状の取引業界等の商品の生産、流通の実態に合わせるべく作成していることからすれば、「日本標準商品分類」においても、本願商標の指定商品中の「自動車並びにこれらの部品及び附属品」と、引用商標の指定商品中の「消防車、自動車用シガーライター」とは、その概念を同じくし、その範ちゅうに属する類似する商品であるとする点において、前記類似商品審査基準と同じくするものである。
(エ)そして、本願商標の指定商品中の「自動車」と引用商標の指定商品中の「消防車」とは、ガソリン・電気・ガスなどの動力機関を利用した、道路上を動く車という点において、散水車、救急車、バス等と同様であり、また、「消防車」が他の自動車と共に同一の自動車販売業者によって販売されている事実があること、及び消防車を含む自動車の主要な部品と認められるシャシーが同一の自動車製造業者によって製造販売されている事実があること等を考慮すれば、消防車と他の自動車とは、その製造業者、これらを取り扱うディーラー等の取引業者、及び消防車とともに救急車、乗用車を購入するところの地方自治体、民間企業等の需要者を同じくすることのある類似の商品であるといわざるを得ない。
(オ)また、本願商標の指定商品中の「自動車の部品及び附属品」と引用商標の指定商品中の「自動車用シガーライター」とは、自動車の部品ごとの用途及び機能において異なるとしても、いずれも自動車を構成する要素(部品)であるという点において同じくするものであり、該「自動車の部品及び附属品」と「自動車用シガーライター」とが同一の業者によって製造あるいは販売されている事実があるところから、その製造業者、取引業者及び需要者等を同一にする場合があるとみるべきであって、両者は類似の商品であるというのが相当である。
(カ)さらに、本願商標の指定商品中「陸上の乗物用の交流電動機」と、引用C商標の指定商品中「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機」とは、その生産者、需要者を共通にする、類似の商品と認められるものである。
(3)結局、本願商標と引用C商標とは、商標において類似し、また、上記認定のとおり、本願商標の指定商品中には引用C商標の指定商品と類似する商品を含むものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして拒絶した原査定は妥当であって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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