Trademark Appeal Case
商標の記述性と識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−4005(T2000−4005/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「スモールビジネスバンキング」の文字を標準文字で書してなり、第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定著物または地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,割賦購入あっせん,前払式証票の発行,ガス料金又は電気料金の徴収の代行,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎまたは代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎまたは代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎまたは代理,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,商品市場における先物取引の受託,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,企業の信用に関する調査,慈善のための募金」を指定役務として、平成10年8月7日に登録出願されたものである。
2 原査定の理由
原査定は、「本願商標は、『スモールビジネスバンキング』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、これは『小規模な会社・事業所のコンピュータを通信回線で接続し、各種の銀行取引や情報提供をオンラインで行うシステム』の意味合いを容易に想起させるものであるから、これを本願指定役務中、オンラインを用いて行う振込・振替など上記意味合いに照応する事項を特徴・内容とする役務に使用するときは、単に役務の質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」と認定判断して、本願を拒絶したものである。
3 請求人の主張
本願商標の構成中「スモールビジネス」は、「小さなビジネス(仕事、事業、あるいは企業)」の意味を有するものであって、「小さな会社・事業所」のみを意味する語ではない。そして、この「スモールビジネス」に「バンキング」が結合した場合に、これが「小規模な会社・事業所のコンピュータを通信回線で接続し、各種の銀行取引や情報提供をオンラインで行うシステム」であるとの意味合いを生ずるものでなく、小さいの意味を有する形容詞の「スモール」と「仕事、事業、あるいは企業」などの広い意味を有する「ビジネス」と「バンキング」とが一体に結合された商標であり、またそのように認識されない場合には、「バンキング」は役務を表示する語として識別力が無く、「スモールビジネス」が要部となるもので、この語から「小規模な会社・事業所」という意味合いが生ずるものでもない。また、銀行業務においては、「スモールビジネス」の語は、請求人(出願人)によってはじめて使用され現在に至っているもので周知なものであり、したがって、本願指定役務の取引業界においては、「スモールビジネス(ローン)」は、請求人の役務であると広く認識されているものであって、本願商標も充分に自他役務識別力を有するものである。
4 当審の判断
本願商標は、「スモールビジネスバンキング」の文字を表してなるものであるが、該文字は「中小企業、小企業、個人企業、ベンチャー企業」などを意味する英語の「SMALL BUSINESS」が外来語になった「スモールビジネス」の語と、「金融業務・銀行業務」を意味する「バンキング」の2語からなるもので、構成中の前半の「スモールビジネス」の部分は、1999年(平成11年)1月10日株式会社小学館第2版第7刷発行の「小学館ランダムハウス英和大辞典」には、「small」との形容詞につき「〈事業・活動などが〉(資本・勢力などの)小さい、小規模の、細々とした」との訳語が、また、「business」との名詞につき「企業」との訳語がそれぞれ掲載されており、さらに、昭和52年9月28日パシフィックマネジメントコンサルタンツ株式会社第1版第2刷発行の「英和・和英 新ビジネス英語大辞典」(605頁)には、「small business」につき「中小企業」との訳語が掲載されていることに照らせば、「小規模の企業」ないし「中小企業」との意味を有する「small business」との英熟語が存在し、その字音に相当する「スモールビジネス」は外来語として、中小企業、小企業、個人企業、ベンチャー企業などを意味するものと認められる。
そして、構成中の後半部分の「バンキング」の文字部分は、「金融業務;銀行業務」を意味する語として親しまれており、前半部分に融資先等を表す語を組み合わせて、「プライベートバンキング」「ホームバンキング」「ユニバーサルバンキング」「リテールバンキング」等の如く使用されていて、「スモールビジネスバンキング」もその用例の一つとみられることは、例えば、株式会社日本金融通信社発行の1887年(平成9年)9月12日付け「ニッキン」7頁の「米国証券業界、間接金融分野へ積極参入。96年度は中小企業に500億ドル」と題する記事中に「米経済の活力源とされるスモールビジネス・バンキングに対する証券会社の侵食が始まっている。・・・銀行がリテール・バンキングやスモール・ビジネス融資で地盤沈下を続ける背景に『さまざまな銀行規制がある』と指摘されている。」とあることにも明らかである。
そして、本願の指定役務中には、「資金の貸付け及び手形の割引」が含まれているところ、中小企業金融公庫法(昭和28年法律138号)に基づいて設立された中小企業金融公庫(英名:Small Business Finance Corporation)(東京都千代田区大手町1−9−3)、中小企業総合事業団法(平成11年法律19号)に基づいて設立された中小企業総合事業団(東京都千代田区大手町1−8−2)、法人「商工組合中央金庫」(商工組合中央金庫法に基づく中小企業金融機関)(東京都中央区八重洲2−10−17)等々の中小企業向けの金融機関が存在している。
以上の実情を勘案すると、本願商標をその指定役務に使用するときは、需要者は、「小規模な会社・事業所のための金融業務」すなわち「中小企業向け金融業務」を行っていることを表すものと理解するに止まると認められるから、単に提供する指定役務の質を表すものといわなければならない。そして、本願商標を前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるものと認められる。
なお、請求人は、本願指定役務の取引業界においては、「スモールビジネス(ローン)」は、請求人(出願人)の役務であると認識されているものであって、「スモールビジネスバンキング」の文字も充分に自他役務識別力を有するものである旨主張し、甲第1号証ないし甲第12号証を提出している。
そこで、甲各号証についてみるに、それらには「スモールビジネスローン」の文字が多数見い出せるが、「スモールビジネスローン」の文字の意は、「中小企業向けローン」を表すものであって、その構成中「スモールビジネス」の文字部分は、そのローンの種類たる需要者(融資先)を指称する文字部分に止まるものにすぎないものというべきであって、商標としての使用とは認められず、且つ、請求人の商標である「スモールビジネスバンキング」の片仮名文字の商標が、本願指定役務について永年に亘り広く使用している事実及びその使用の結果として、それらの役務の取引者・需要者により「スモールビジネスバンキング」の商標が、請求人の業務に係る役務を識別するために、充分認識されている名称として知られているものと認めるに足りない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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