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Trademark Appeal Case

著名商標の混同のおそれ

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第17311号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成10年6月5日に登録出願、第36類「店舗の管理,店舗の貸与,建物の管理,建物の賃借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,その他の不動産の取引き」を指定役務とするものである。

2 原査定における拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、東京都豊島区南池袋一丁目28番1号在の『株式会社西武百貨店』が本願登録出願前より商品『装飾品、被服』に使用して著名となっている商標『SAISON』、『セゾン』に類似する『SAISON』の文字を有してなるものであるから、これを本願の指定役務に使用するときは、これがあたかも上記会社又は同会社と経済的もしくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であるかのごとく、役務の出所について混同を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 請求人の主張の主旨

「SAISON」の商標は、昭和55年3月に長岡駅ビルの愛称名として公募によって選ばれたもので、その使用開始時期は「セゾングループ」の「セゾン」より、請求人の「セゾン」の方が早いといえ(昭和60年に「西武流通グループ」から「西武セゾングループ」に改められたのが「セゾン」の使用開始時期と理解される。)、「セゾングループ」の「セゾン」が有名になった時点において、請求人の「セゾン」は既に有名となっていたものといえる。

そして、「SAISON」の商標は、新潟県、少なくとも長岡市及び新潟市において駅ビルの名称として著名であり、西武百貨店を中核とする企業グループが該グループを表示する標章として知られている「SAISON」を意識して選んだのではなく、本願商標が著名であることは認められても、引用の標章の著名性と比肩するものであるから、何ら出所について誤認混同を生じさせるものではなく、それぞれ、判然と識別されて取引に資せられるものといえる。また、既登録例に照らしても、「SAISON」「セゾン」、若しくは商標の構成中に「SAISON」の文字を含む商標が、登録されている事例が存するところである。したがって、「SAISON」の商標が、西武百貨店を中核とする企業グループが該グループを表示する標章として著名であるとの拒絶の理由によって拒絶されるべきものではない。

4 当審の判断

(1)「SAISON」、「セゾン」の商標の周知著名性について

平成13年2月21日付け証拠調べ通知書により通知した証拠によれば、以下の事実が認められる。

(ア)SAISION GROUP 1991−’92(株式会社セゾンコーポレーション1992年刊)第1〜9頁、第14〜23頁、第26〜27頁、第30〜31頁、第34〜35頁、第38〜39頁、第44〜49頁、第52〜60頁によれば、セゾングループは、ファイナンス産業(株式会社クレディセゾン、セゾン生命保険株式会社)、ディベロップメント産業(株式会社西洋環境開発、株式会社ハウスポート西洋、株式会社パルコ、株式会社西電工、株式会社ピサ、株式会社朝日海洋、株式会社西洋ランドシステムズ、株式会社サホロリゾート、株式会社朝日航洋)、輸入・卸・販売業務(株式会社大沢商会)、フードシステム産業(株式会社西洋フードシステムズ、朝日工業株式会社、ホテル及びトラベル産業(株式会社西洋コンチネンタルホテルズ)、リテール産業(株式会社西武百貨店、株式会社西友、株式会社ファミリーマート)、文化事業(株式会社エス・エス・コミュニケーションズ、株式会社セゾン劇場)の各分野において業務を行っており、そして、株式会社セゾンコーポレーションが、生活総合産業という共通の理念をもって活動するセゾングループ各社の有機連動を図ることを目的とするセゾングループの統轄法人である旨の記載。

(イ)株式会社クレディセゾンが発行する「セゾンカード」には「SAISON」標章が大きく表示されている。そして、同社の発行する「セゾンカード」の申込み数は、昭和64年1月〜平成1年12月間に計920481枚、平成2年1〜12月間に計1020632枚、平成3年1〜12月間に計1012444枚、平成4年1〜8月間に計635826枚であり、昭和64年1月から平成4年8月の間の申込み数の合計は、3589383枚であった。

(ウ)日経流通新聞1990年2月20日付の「セゾンの北海道戦略」と題する記事中「西武セゾングループが北海道を舞台にした新規事業を積極的に進めている。・・・『セゾン』の知名度向上を狙ったグループ一体型のイメージ戦略を取る・・・セゾンの北海道における主な事業:苫小牧 中規模ショッピングセンター『トピア』の運営委託」との記載。

(エ)繊研新聞1991年8月31日付の「大型小売業、福祉戦略強める」と題する記事中「生涯学習センターを建設 セゾン:セゾングループは基幹十二社にゼネラルスタッフ的機能を果たす福祉担当を配置・・・各社が独自に進めているのを統一、データを集積してスムーズに対応」との記載。

(オ)日経流通新聞1991年12月3日付の「風’91 検証・グループ戦略 セゾン〈上〉」と題する記事中「セゾングループは現在、百九十三社五研究所・・・六つのグループとその中心企業はここだ。小売り(西友)、デベロッパー(パルコ)、金融(クレディセゾン)、外食(西洋フードシステムズ)、流通・卸(大沢商会)、ホテル・旅行(インター・コンチネンタルホテルズ)」との記載。

(カ)日経流通新聞1991年12月5日付の「風’91 検証・グループ戦略 セゾン〈下〉」と題する記事中「セゾングループがかかえる課題は西武百貨店の経営立て直しとインター・コンチネンタルホテルズの株主再編の二つ・・・セゾン側で出資会社に名乗りを挙げたのは西友、西洋環境開発(東京)、西武日産販売、西武オートリースの四社」との記載。

(キ)立石泰則著 漂流する経営−堤清二とセゾングループ−(株式会社文芸春秋1990年刊)第54〜56頁中、「翌五十九年一月上旬、西武百貨店をはじめ西友、西武都市開発(現、西洋環境開発)、西武化学、西武クレジット(現、クレディセゾン)、レストラン西武(現、西洋フードシステムズ)、朝日航洋、西武オールステート生命保険のグループ基幹企業八社は、代表として常務以上の役員をこの会議の席に送りこんできた・・・こうした努力を経て生まれた、百貨店からグループ全体のプロジェクトへの転換の典型が、有楽町西武八階の『セゾンスクエア』である。グループ企業が出店して、各種ローン、抵当証券、生保・損保の金融商品、セゾンカードなどを取り扱うファイナンシャルサービスから国内外の別荘・住宅販売、映画・演劇などのチケット販売まで、物販ではないさまざまなビジネスが揃えられた。」との記載。

(ク)永川幸樹著 巨大企業集団(セゾングループ)の明日を読む(株式会社第一企画出版1992年刊)第26〜27頁、第52〜55頁、第202〜207頁によれば、(平成2年に)セゾングループと改称された企業集団は、企業数190社、5研究所であったこと、該セゾングループの不動産関連事業の中核に、旧西武都市開発の西洋環境開発グループが存在し、この法人「西洋環境開発」は、セゾングループにおける非流通部門の「顔」として、旧西武化学の不動産・レジャー部門から昭和45年に分離・独立して発足し、昭和61年4月にセゾングループの大洋不動産興業、シティクリエートを吸収合併して成立。西洋環境開発の91年3月期の売上高は779億円、事業比率は住宅事業が72%、都市開発事業13%、リゾート・レジャー事業8%、ホテル事業7%である。そして、該セゾングループ傘下には、朝日工業グループ(鉄鋼建材や有機肥料を中心の農芸事業、物流、環境衛生等の関連事業)、西洋環境開発グループ(不動産・住宅事業・都市開発・リゾートレジャー事業・ウォーターフロント事業等の不動産関連事業の中核)、クレディセゾングループ(セゾンカードを軸に、生活者のためのコンシュマーバンクをめざしている株式会社クレディセゾンを中心に、融資、リース、信用保障から証券までを扱っているファイナンス企業グループ)、パルコグループ(旧丸物百貨店に資本参加して吸収したあとは、ファッション専門店ビルをはじめ複合的な商業施設の開発、運営でことにヤングレディたちのハートをつかむ人気を博しているグループで、さらには劇場、音楽、出版、プロモーション事業のほかホテル、レストラン事業にも進出している)、セゾンコーポレーション&研究所(セゾングループと各企業を横断的にネットワークし、情報、金融、広告など各専門分野で独自の活動をすすめる会社群と、五研究所で構成)、西洋フードシステムズグループ、セゾン生命保険グループ、朝日航洋グループ、大沢商会グループ、ファミリーマートグループ、インターコンチネンタルズグループ等の企業グループが属している旨の記載。

以上の各証拠によれば、本願の出願時において、法人(株)セゾンコーポレーションを中心とした、「セゾングループ」と称する百九十三社五研究所にのぼる企業グループが、流通業をはじめ、不動産、観光事業、製造業、クレジット・ファイナンス事業、外食産業、航空・物流事業、保険業など多岐にわたって事業を行っていたこと、その結果、「セゾングループ」の名称は我が国において取引者、需要者に広く知られるに至っていたものと認められる。そして、該「セゾングループ」が、「セゾン」の略称で知られていることは、前記(ウ)(エ)(オ)(カ)等の新聞記事等に照らしても明らかである。

そして、上記「セゾングループ」各社の営業のうち、セゾン等標章の使用の顕著なものは、株式会社クレディセゾンの発行する「セゾンカード」と称するクレジットカードであり、該カードは、セゾングループの統一カードとして発行がなされ、そのクレジットカードの表面に、「SAIS◎N」の標章が大きく記載されている(別掲2)。そして「セゾンカード」の申込み数は、昭和64年1月から平成4年8月の間の合計で、3589383枚であった。また、同カード会員向け月刊誌「プチ・セゾン(Petite SAIS◎N)」にも、「SAIS◎N」の標章が大きく記載されている(別掲3)。

また、同セゾングループの営業表示や施設では「チケット・セゾン」(別掲4の標章)、「セゾン文化財団」、「銀座セゾン劇場」のように他の語と「セゾン」とを結合した構成の言葉が使用されていることなどの「セゾン」を含む標章の使用例の事実に、セゾングループが広範な事業活動を行い、我が国の取引者・需要者にその名を知られていた事実を総合すれば、セゾン等標章は、いずれも本願商標登録出願時までには、本願指定役務の取引者・需要者の間で、上記「セゾングループ」の営業に関連するものとして、「セゾン」の称呼とともに広く認識され、前記グループを想起させるものとなっていたと認められる。

そして、上記「SAISON」、「セゾン」の標章の周知著名性は、本件商標の登録出願後、現在まで継続しているものと認められる。

(2)出所の混同を生ずるおそれについて

(ア)本願商標は、センチュリーオールド欧文活字書体で書された「SAISON」の欧文字と、筆記体でやや図案化して書された「Deux」の欧文字と、後者の文字の右肩に「2」の数字が白抜きで黒い図案化された丸形図形中に付され、都合二段書きで表されており、視覚上、欧文字2語と数字とからなり、これらがそれぞれ分離して看取されることは明らかである。

(イ)本願商標は、これ全体をもって、特定の知られた意味内容を認識させ、一連不可分に認識されるものとは認められない。

(ウ)本願商標中、分離して見える「SAISON」の欧文字部分と、前記の周知著名な標章の「セゾン」、「SAIS◎N」の標章とを離隔観察するに、最近社名や標章の構成文字の一部を判読できる程度に図案化することは普通に行われていることであって、構成中後者の欧文字の第5文字は、形象がローマ字の「O」を図案化してなるものと容易に印象されるといい得るところから、該標章に接する取引者、需要者をして「SAISON」の欧文字を書してなるものと認識、把握されるとみるのが相当であり、本願商標の構成中上段の、「SAISON」の文字部分と、前記の周知著名な標章「SAISON」の綴りは同一であると認めるべきである。

(エ)本願商標の指定役務は、「店舗の管理,店舗の貸与,建物の管理,建物の賃借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,その他の不動産の取引き」であり、不動産関連の役務といえるところ、前記周知著名な企業グループには、それと互いに密接な関係のある「住宅事業、都市開発事業、不動産賃貸」等の役務を主とする、株式会社西洋環境開発と、全国14店舗、売場面積合計23万平方メートル、800社2400店の専門店を組織化し、都市型商業施設の開発、企画、運営事業を役務とする株式会社パルコ、「不動産賃貸」等を役務とする西和産業株式会社、「旧 株式会社ハウスポート西洋」の住宅仲介部門の営業権を譲り受け全国76店に店舗を拡大した不動産の売買等を役務とする昭和61年設立の安信住宅販売株式会社等が含まれている。

以上を総合すれば、本願商標をその指定役務について使用した場合、取引者、需要者は、本願商標の「SAISON」の文字部分より、周知著名な企業グループの略称「セゾン」を想起し、その役務が、セゾングループあるいは同人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る役務であると誤認し、その役務の出所について混同するおそれがあるものというのが相当である。

したがって、本願商標は、他人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標といわなければならない。

なお、請求人は既登録例(甲第1号証ないし甲第44号証)、登録異議決定例(甲第48号証ないし甲第50号証)を挙げているが、本件については、前記のように判断するのが相当である。

また、請求人は平成13年4月25日付及び平成13年6月21日付の意見書に添付の甲第46号証(枝番を含む)ないし甲第47号証(枝番を含む)及び平成13年6月20日付の意見書に添付の甲第53号証の各証明書を提出しているが、同第53号証の証明書を除けば、いずれも請求人(出願人)の作成に係る画一的な証明願に請求人(出願人)とは地域的関係にある者が署名捺印したものであるばかりでなく、前記同第53号証も含めた各証明書の証明内容は、「SAISON」の商標の周知性が長岡市周辺地域を超えて全国に及んでいることを証するものとは認められないから、これらの証拠によっては、請求人の前記主張を採用することができない。

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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