Trademark Appeal Case
結合商標と著名商標の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第2811号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い」を指定商品として、平成5年2月5日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由及び当審における証拠調べ結果の通知
(1)原査定は、「本願商標は、アメリカ合州国ニューヨーク州在の「ザ ポロ ローレン カンパニー」が商品「被服、ネクタイ」等に使用して本願の出願時には既に著名となっている商標「POLO」の文字を有してなるものであるから、このような商標を本願の指定商品に使用するときには、これが恰も上記会社或はこれと何等かの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定して、本願を拒絶したものである。
(2)当審において本願について改めて証拠調べを行った結果、本願商標をなお商標法第4条第1項第15号に該当すべきものとする新たな証拠を発見したので、商標法第56条において準用する特許法第150条の規定により、請求人に対し、期間を指定して意見を述べる機会を与えて通知した審尋の内容は以下のとおりである。
<審尋書>
【本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当する理由】
A.本願商標の構成について
本願商標は、「POLOGROUND」の文字を籠字風に表し、その各文字字形内に、馬に乗りポロ競技のマレットを持った人物の部分図を描いてなるものである。そして、わが国において「ポロ競技」が盛んに行われ一般に親しまれているとはいえないばかりでなく、本願商標を構成する文字から、直ちに請求人が主張するような「ポロ競技場」の意味合いが想起されると認め得る事情は見出せない。また、本願商標は、構成中に「POLO」の文字、及び「ポロ競技」を認識させる図形を有してなり、また、構成中の「GROUND」の文字が、「地面、土地」などを意味する親しまれた英語でもあることから、本願商標は、需要者をして「POLO」と「GROUND」とが結合された商標であると容易に認識されるものというのが相当である。
B.「POLO」又は「Polo」の文字からなる商標について
【ア】ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)について
「男の一流品 大図鑑」(株式会社講談社昭和53年7月20日発行)、及び、「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」(サンケイマーケティング(サンケイ新聞データシステムマーケティング事業部)昭和58年9月28日発行)によれば、以下の事実が指摘できる。
(a)ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)は、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして迎えられ、幅が広いネクタイをデザインし、これが若者に支持され、世界に広まったこと。
(b)ラルフ・ローレンは、翌年独立し、社名を「ポロ・ファッションズ」(現在の「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」の前身)として、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、カバンなどのデザイン製作を開始し、1971年には婦人服デザインにも進出したこと。
(c)ラルフ・ローレンは、アメリカのファッション界では最も権威のある「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、他にも賞を受賞し高い評価を受け、「POLO」ブランドを世界に通用させたこと。
(d)ラルフ・ローレンは、自己の取り扱いに係る商品に使用する商標を「ポロ競技」にヒントを得て採択したこと。
(e)前出「男の一流品 大図鑑」、「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」及び「世界の一流品大図鑑’80年版」(株式会社講談社昭和55年6月20日第二刷発行)によれば、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして前記「POLO」の外、「Polo」の文字(第2文字目以降を小文字で表示した商標)も使用されていることが認められ、これは、「POLO」商標と、相互に同一の称呼(「ポロ」)及び観念(「ポロ競技」)が生ずるものと認められ、両者は社会通念上同一の商標とみて差し支えないといえるものである(以下、「POLO」及び「Polo」の文字からなる商標を一括して「POLO商標」という)。
【イ】「POLO商標」の我が国での使用・紹介について
「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」(株式会社洋品界昭和55年4月15日発行)の「ポロ」の項、「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」(ボイス情報株式会社昭和59年9月25日発行)の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項、及び、昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事を総合すれば、我が国においては、ポロ・ファッションズ社(あるいは、ラルフ・ローレン)との契約に基づき、西武百貨店が、昭和52年にラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴の取り扱いを、同53年からは婦人服の取り扱いを開始したことが認められる。また、前掲の書籍・新聞の外、「別冊チャネラー ファッション・ブランド年鑑’80」(株式会社チャネラー昭和54年9月20日発行)、「男の一流品大図鑑’81年版」(株式会社講談社昭和56年4月25日第二刷発行)、「世界の一流品大図鑑’81年版」(株式会社講談社昭和56年6月20日第二刷発行)、「流行ブランド図鑑」(株式会社講談社昭和60年6月25日第2刷発行)によれば、ラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、ジャケット、シャツ、ネクタイ、眼鏡に「POLO商標」が使用されていることが認められる。
【ウ】「POLO商標」の著名性について
以上の(1)乃至(3)の認定事実を総合して検討すれば、「POLO商標」は、我が国においては、遅くとも本願商標の出願の時までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識され、かつ著名となっていたものと判断され、その状態は現在もなお継続しているというのが相当である。そして、他にこの判断を覆すに足りる証拠はない。
C.出所の混同のおそれについて
本願商標は、その構成中に「POLO」の文字、及び「ポロ競技」を認識させる図形を有すること前記したとおりである。一方、前記認定のとおり、「POLO商標」が、我が国において、遅くとも本願商標の出願の時までには、「ラルフ・ローレン」のデザインに係る商品である被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品を表示するものとして、当該商品に関する取引者、需要者の間において著名となっていたといい得るものである。しかして、本願商標の指定商品は「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い」であって、「POLO商標」が使用されている商品と同一または類似のものであって、共にファッション性を有する関連の深い商品であることから、これら商品に係わる取引者、需要者が本願商標に接した場合には、「POLO商標」の著名性ゆえに「POLO」の文字部分、及びその文字中に描かれた「ポロ競技の図」に注意を惹かれ、「POLO商標」を連想・想起し、それがあたかも、「ラルフ・ローレン」又は前述関連会社、あるいは、これら者の事業と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。なお、「ラルフ・ローレン」の「POLO」、「Polo」の商標について、本件判断とほぼ同様の東京高等裁判所の判決も多数存在する(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡 外)ところである。
D.請求人の主張
請求人は、「本願商標は一連一体の称呼・観念が生ずる」、「請求人は件外登録第1675575商標の商標権を有しておりこれが使用されて著名となっている」、「『POLO』、『Polo』の登録商標は、件外他の我が国の法人が有している」、「本願指定商品に関して『POLO』、『ポロ』の文字を含む商標が多数登録されている」旨述べ、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当しないと主張している。しかしながら、本願商標は、これが使用されて請求人の取り扱いに係る商品の商標として、POLO商標とは別個のものとして周知・著名となっているとの証左は認められず、本件については、前記認定・判断を相当とするものであり、また、件外他人に係る登録商標の存在もこの認定を覆すに足りないから、これらの点を述べる請求人の主張は採用することができない。
E.結語
以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものといわなければならない。
3 当審の判断
上記2(2)の証拠調べ結果通知書に対し、請求人からは所定の期間を経過するも何らの応答もなかった。
そして、本願商標について行った当審の証拠調べの結果とそれに基づくさきの認定・判断は妥当なものであって、本願商標は、これをその指定商品に使用した場合、他人の業務に係る商品の如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるとみるのが相当であるから、結果として同旨の理由により本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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