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Trademark Appeal Case

著名商標との混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第12576号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「SAISON」の欧文字を横書きしてなり、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張して平成4年9月12日に登録出願され、第36類「店舗の管理,店舗の貸与」を指定役務とするものである。

2 原査定における拒絶の理由

原審において、登録異議の申立てがあった結果決定した理由の要点は以下のとおりであり、この理由により、本願を拒絶したものである。

登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出に係る各証拠によれば、申立人等の所属する「セゾングループ」が、自己の業務に係る商品・役務(百貨店・ホテル・レストラン・金融)について「SAISON」(「O」は図案化されている。)、「セゾン」を使用した結果、本願商標登録出願時には、既に取引者、需要者間に申立人及び同グループの商標として、広く認識されていたことが認められる。

しかして、本願商標は、「SAISON」の文字を横書きしてなるものであるが、これは申立人及び申立人グループが、商品・役務に使用して著名な「SAISON」、「セゾン」と構成文字、称呼を同一にするものであるから、これをその指定役務「店舗の管理、店舗の貸与」について使用するときは、あたかも該役務が申立人あるいは申立人グループ、若しくは申立人等となんらかの関係ある者の業務に係る役務であるかのごとく、役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認める。

したがって、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するものとする本件登録異議の申立ては、理由があるものとすべきである。

3 請求人の主張の主旨

「SAISON」の商標は、昭和55年3月に長岡駅ビルの愛称名として公募によって選ばれたもので、新潟県、少なくとも長岡市及び新潟市において駅ビルの名称として著名であり、西武百貨店を中核とする企業グループが該グループを表示する標章として知られている「SAISON」を意識して選んだのではなく、本願商標が著名であることは認められても、引用の標章の著名性と比肩するものであるから、何ら出所について誤認混同を生じさせるものではなく、それぞれ、判然と識別されて取引に資せられるものといえる。また、既登録例に照らしても、「SAISON」「セゾン」、若しくは商標の構成中に「SAISON」の文字を含む商標が、登録されている事例が存するところである。したがって、「SAISON」の商標が、西武百貨店を中核とする企業グループが該グループを表示する標章として著名であるとの拒絶の理由によって拒絶されるべきものではない。

4 当審の判断

(1)「SAISON」「セゾン」の商標の周知著名性について

原審において、登録異議の申立てにおける主張および提出された証拠によれば、以下の事実が認められる。

(ア)SAISION GROUP 1991−’92(株式会社セゾンコーポレーション1992年刊)第1〜9頁、第14〜23頁、第26〜27頁、第30〜31頁、第34〜35頁、第38〜39頁、第44〜49頁、第52〜60頁によれば、セゾングループは、ファイナンス産業(株式会社クレディセゾン、セゾン生命保険株式会社)、ディベロップメント産業(株式会社西洋環境開発、株式会社ハウスポート西洋、株式会社パルコ、株式会社西電工、株式会社ピサ、株式会社朝日海洋、株式会社西洋ランドシステムズ、株式会社サホロリゾート、株式会社朝日航洋)、輸入・卸・販売業務(株式会社大沢商会)、フードシステム産業(株式会社西洋フードシステムズ、朝日工業株式会社、ホテル及びトラベル産業(株式会社西洋コンチネンタルホテルズ)、リテール産業(株式会社西武百貨店、株式会社西友、株式会社ファミリーマート)、文化事業(株式会社エス・エス・コミュニケーションズ、株式会社セゾン劇場)の各分野において業務を行っており、そして、株式会社セゾンコーポレーションが、生活総合産業という共通の理念をもって活動するセゾングループ各社の有機連動を図ることを目的とするセゾングループの統轄法人である旨の記載(異議甲第5号証)。

(イ)株式会社クレディセゾンが発行する「セゾンカード」には「SAISON」標章が大きく表示されている(異議甲第6号証の1)。

(ウ)株式会社クレディセゾンの平成4年4月1日から平成5年3月31日までの営業報告書に、同法人が発行する「《セゾン》カード」を中心としたカードの総会員数は前期末より120万人増の1050万人となり、カードの取扱高だけでも1兆円を超える実績を計上している旨の記載(異議甲第6号証の3)。

(エ)株式会社クレディセゾンの発行する「セゾンカード」の申込み数は、昭和64年1月〜平成1年12月間に計920481枚、平成2年1〜12月間に計1020632枚、平成3年1〜12月間に計1012444枚、平成4年1〜8月間に計635826枚であり、昭和64年1月から平成4年8月の間の申込み数の合計は、3589383枚であった(異議甲第6号証の4)。

(オ)株式会社クレディセゾンは、同社の発行する「セゾンカード」利用者に宛、毎月利用明細書のほか、「プチ・セゾン(Petite SAIS◎N)」と称する小冊子を、平成1年(1〜12月)13046246通、平成2年(1〜12月)14989279通、平成3年(1〜12月)17380342通送付し、これにより該セゾングループ各社の広告活動を行っていた。該「プチ・セゾン」は、「Petite」と小さく横書きし、その下段には線を引いて「プチ・セゾン」と小さく記載し、「SAIS◎N」と大きく横書きした表題の右に各月名が記載されていた(異議甲第6号証の5、甲第6号証の6)。

(カ)株式会社朝日広告社発行の株式会社エス・エス・コミュニケーションズ宛の出稿報告によれば、朝日新聞東京本社版朝刊第一社会面に、全2段で昭和59年10月より平成6年2月に至るまで、毎土曜日に継続して「チケット・セゾン」のチケット発売広告を出稿していた(異議甲第7号証の3)。

(キ)セゾン生命保険株式会社の「エバーグリーン」のカタログの表紙に、「SAIS◎N」の文字が表示されている(異議甲第8号証)。

(ク)株式会社ダイヤモンド社発行「週刊ダイヤモンド」1991年3月9日号第90〜91頁の「セゾンの隠し球 西洋環境開発の実態」と題する記事中「西洋環境開発は旧社名『西武都市開発』。1972年、セゾンが総合流通グループを旗揚げして以来の西武百貨店と並ぶ基幹企業だ。」との記載(異議甲第12号証の8)。

(ケ)日経流通新聞1990年2月20日付の「セゾンの北海道戦略」と題する記事中「西武セゾングループが北海道を舞台にした新規事業を積極的に進めている。・・・『セゾン』の知名度向上を狙ったグループ一体型のイメージ戦略を取る・・・セゾンの北海道における主な事業:苫小牧 中規模ショッピングセンター『トピア』の運営委託」との記載(異議甲第12号証の18)。

(コ)繊研新聞1991年8月31日付の「大型小売業、福祉戦略強める」と題する記事中「生涯学習センターを建設 セゾン:セゾングループは基幹十二社にゼネラルスタッフ的機能を果たす福祉担当を配置・・・各社が独自に進めているのを統一、データを集積してスムーズに対応」との記載(異議甲第12号証の27)。

(サ)日経流通新聞1991年12月3日付の「風’91 検証・グループ戦略 セゾン〈上〉」と題する記事中「セゾングループは現在、百九十三社五研究所・・・六つのグループとその中心企業はここだ。小売り(西友)、デベロッパー(パルコ)、金融(クレディセゾン)、外食(西洋フードシステムズ)、流通・卸(大沢商会)、ホテル・旅行(インター・コンチネンタルホテルズ)」との記載(異議甲第12号証の29)。

(シ)日経流通新聞1991年12月5日付の「風’91 検証・グループ戦略 セゾン〈下〉」と題する記事中「セゾングループがかかえる課題は西武百貨店の経営立て直しとインター・コンチネンタルホテルズの株主再編の二つ・・・セゾン側で出資会社に名乗りを挙げたのは西友、西洋環境開発(東京)、西武日産販売、西武オートリースの四社」との記載(異議甲第12号証の30)。

さらに、平成13年2月23日付け証拠調べ通知書により通知した証拠によれば、以下の事実が認められる。

(ス)立石泰則著 漂流する経営−堤清二とセゾングループ−(株式会社文芸春秋1990年刊)第54〜56頁中、「翌五十九年一月上旬、西武百貨店をはじめ西友、西武都市開発(現、西洋環境開発)、西武化学、西武クレジット(現、クレディセゾン)、レストラン西武(現、西洋フードシステムズ)、朝日航洋、西武オールステート生命保険のグループ基幹企業八社は、代表として常務以上の役員をこの会議の席に送りこんできた・・・こうした努力を経て生まれた、百貨店からグループ全体のプロジェクトへの転換の典型が、有楽町西武八階の『セゾンスクエア』である。グループ企業が出店して、各種ローン、抵当証券、生保・損保の金融商品、セゾンカードなどを取り扱うファイナンシャルサービスから国内外の別荘・住宅販売、映画・演劇などのチケット販売まで、物販ではないさまざまなビジネスが揃えられた。」との記載。

(セ)株式会社東洋経済新報社編 日本会社史総覧 下巻(東洋経済新報社1995年刊)第1401頁、第2028頁、第1752頁、第1761頁、第2032頁によれば、昭和51年にはセゾングループのもととなる「西武流通グループ」が結成されグループ傘下の企業を増やし、その後グループ名称を「西武セゾングループ」と変更し、さらに平成2年7月にはグループ名称を「セゾングループ」とそれぞれ変更し、それらの創業者・主宰者が堤清二である旨の記載。

(ソ)株式会社公洵社編 第二十二版 日本会社録(株式会社ぎょうせい1999年刊)第505頁、第534頁によれば、「セゾン生命保険株式会社」(昭和50年設立、平成2年4月現社名に改称。資本金60億円)、「株式会社西洋環境開発」(昭和24年設立、資本金348億5000万円)等のセゾングループ構成企業規模の記載。

(タ)永川幸樹著 巨大企業集団(セゾングループ)の明日を読む(株式会社第一企画出版1992年刊)第26〜27頁、第52〜55頁、第202〜207頁によれば、(平成2年に)セゾングループと改称された企業集団は、企業数190社、5研究所であったこと、該セゾングループの不動産関連事業の中核に、旧西武都市開発の西洋環境開発グループが存在し、この法人「西洋環境開発」は、セゾングループにおける非流通部門の「顔」として、旧西武化学の不動産・レジャー部門から昭和45年に分離・独立して発足し、昭和61年4月にセゾングループの大洋不動産興業、シティクリエートを吸収合併して成立。西洋環境開発の91年3月期の売上高は779億円、事業比率は住宅事業が72%、都市開発事業13%、リゾート・レジャー事業8%、ホテル事業7%である。そして、該セゾングループ傘下には、朝日工業グループ(鉄鋼建材や有機肥料を中心の農芸事業、物流、環境衛生等の関連事業)、西洋環境開発グループ(不動産・住宅事業・都市開発・リゾートレジャー事業・ウォーターフロント事業等の不動産関連事業の中核)、クレディセゾングループ(セゾンカードを軸に、生活者のためのコンシュマーバンクをめざしている株式会社クレディセゾンを中心に、融資、リース、信用保障から証券までを扱っているファイナンス企業グループ)、パルコグループ(旧丸物百貨店に資本参加して吸収したあとは、ファッション専門店ビルをはじめ複合的な商業施設の開発、運営でことにヤングレディたちのハートをつかむ人気を博しているグループで、さらには劇場、音楽、出版、プロモーション事業のほかホテル、レストラン事業にも進出している)、セゾンコーポレーション&研究所(セゾングループと各企業を横断的にネットワークし、情報、金融、広告など各専門分野で独自の活動をすすめる会社群と、五研究所で構成)、西洋フードシステムズグループ、セゾン生命保険グループ、朝日航洋グループ、大沢商会グループ、ファミリーマートグループ、インターコンチネンタルズグループ等の企業グループが属している旨の記載。

(チ)株式会社プレジデント社発行「月刊プレジデント」1995年2月号第164〜171頁の「自壊する『セゾン王国』中核の不動産デベロッパー西洋環境開発の経営危機が表面化」と題する記事中「西洋環境開発の経済危機が深刻なのは、それが西環一社の問題にとどまらずセゾングループ全体に波及する可能性を秘めている。・・・いわばセゾングループおよびその経営を集約したものが西環にほかならないからである。・・・例えば、収益の柱としては住宅、ビルの賃貸収入、八ヶ岳の自然郷の分譲の三つが考えられる」との記載。

(ツ)株式会社不動産流通研究所発行「月刊不動産流通」1993年11月号第112〜117頁の「原点に戻り、住流通を強化グループ力生かす展開模索」と題する記事中「ハウスポート西洋(資本金四億円)は、セゾングループの住流通部門で、発足は昭和36年の西武百貨店不動産部が開設した『西武ハウジングセンター』。その後、昭和50年に西武都市開発と西武百貨店不動産部が合体し、仲介業務は西武都市開発に引き継がれ、昭和61年、西武都市開発は西洋環境開発に社名変更、それにともなって「西武ハウジングセンター」は「西洋ハウジングセンター」に改称、昭和62年に西洋環境開発の住流通事業部が独立、ハウスポート西洋が誕生。セゾングループの住関連事業を横断する新しい企業を目標に西武百貨店、西友との共同出資で設立した。・・・店舗展開は昭和59年から本格化し、60年4月の8店が、61年15店、62年28店、63年46店に拡大し、平成5年現在、出店エリアは首都圏52店、近畿圏24店、北海道3店、仙台1店、静岡1店、名古屋2店、九州2店。」との記載。

(テ)産業動向調査会編 日本の企業集団(第7巻(別巻))(産業動向調査会1996年7月刊)の「西武グループ」(第164〜184頁)中、第172頁の「西洋環境開発」の項目に、〔事業:住宅事業、リゾート・レジャー事業、都市開発事業、ホテル事業(資本金50億円、売上高1101億円)〕〔株主:西武百貨店、パルコ、西友、クレディセゾン、西洋フードシステムズ〕〔事業所:都内、大阪、札幌、北海道茅部郡、仙台、茨城稲敷郡、横浜、千葉、大宮、長野南佐久郡、京都、広島、福岡、那覇、石垣〕〔取引先:(仕入)日本国土開発、鹿島建設、青木建設、竹中工務店、一般個人(販売)一般顧客、西武百貨店、西友〕との記載。同書第175頁の「西和産業」の項目に、〔事業:損害保険代理業、食品卸売、貿易、不動産賃貸〕〔株主:セゾン文化財団、セゾン現代美術館、セゾン生命保険、クレディセゾン、西友、ファミリーマート〕〔取引先:(販売)セゾングループ各社、安田火災他保険会社20社、全国有力問屋〕との記載。同書同頁「パルコ(上場)」の項目に、〔事業:不動産賃貸、ショッピングセンター(資本金175億1990万円、売上高324億円)〕〔株主:西武百貨店、西洋環境開発、西武鉄道、第一勧業銀行、西武建設、神戸西武百貨店、セゾンネットワーク〕〔店舗:都内6,札幌,岐阜,千葉,大分,津田沼,新所沢,吉祥寺,松本,熊本,名古屋,大阪〕との記載。

以上の各証拠によれば、本願の出願時において、法人(株)セゾンコーポレーションを中心とした、「セゾングループ」と称する百九十三社五研究所にのぼる企業グループが、流通業をはじめ、不動産、観光事業、製造業、クレジット・ファイナンス事業、外食産業、航空・物流事業、保険業など多岐にわたって事業を行っていたこと、その結果、「セゾングループ」の名称は我が国において取引者、需要者に広く知られるに至っていたものと認められる。そして、「セゾングループ」が、「セゾン」の略称でして知られていることは、前記(ケ)(コ)(サ)(シ)等の新聞記事、前記(ク)(チ)等の雑誌記事等に照らしても明らかである。

そして、上記「セゾングループ」各社の営業のうち、平成4年ごろにおいてセゾン等標章の使用の顕著なものは次のとおりである。

(ア)株式会社クレディセゾンの発行する「セゾンカード」と称するクレジットカード、すなわち、セゾングループの統一カードとして発行がなされたクレジットカードの表面に、「SAIS◎N」の標章が大きく記載されている(別掲1)。そして該「セゾンカード」の申込み数は、昭和64年1月から平成4年8月の間の合計で、3589383枚であった。

(イ)株式会社クレディセゾンの毎月セゾンカード会員向けに発行する「プチ・セゾン(Petite SAIS◎N)」と称する小冊子には、「Petite」と小さく横書きし、その下段には線を引いて「プチ・セゾン」と小さく記載し、「SAIS◎N」と大きく横書きした構成からなり(別掲2)、 平成1年から平成3年間の合計で、45415867通発送されていた。

(ウ)株式会社エス・エス・コミュニケーションズは「チケット・セゾン」の営業表示のもとに、各種チケットの販売を行っていた。同社は、前記「プチ・セゾン」を利用するほか、昭和59年以来、毎週土曜日の朝日新聞東京本社版第一社会面全二段を固定欄として用いてその宣伝広告をしていた。上記広告の際には、「チケット・セゾン」の表示のほか、「TICKET」、「チケット・セゾン」、「SAIS◎N」を三段横書きにして方形で囲んだ標章(別掲3)が用いられていた。

以上の事実、とりわけ、株式会社クレディセゾンの属するセゾングループのクレジットカードとして「セゾンカード」と称され「SAIS◎N」が大きく記載されたカードが多数発行され使用されていること、同会員向けに「プチ・セゾン」も多数発行されていること、同セゾングループの営業表示や施設では「チケット・セゾン」、「セゾン文化財団」、「銀座セゾン劇場」のように他の語と「セゾン」とを結合した構成の言葉が使用されていることなどの「セゾン」を含む標章の使用例の事実に、セゾングループが広範な事業活動を行い、我が国の取引者・需要者にその名を知られていた事実を総合すれば、セゾン等標章は、いずれも本願商標登録出願時である平成4年9月12日までには、本願指定役務「店舗の管理,店舗の貸与」の取引者・需要者の間で、上記「セゾングループ」の営業に関連するものとして、「セゾン」の称呼とともに広く認識され、前記グループを想起させるものとなっていたと認められる。

そして、上記「セゾン」の標章の周知著名性は、本件商標の登録出願後、現在まで継続しているものと認められる。

(2)出所の混同を生ずるおそれについて

(ア)本願商標は、「SAISON」の文字を書してなるところ、該文字に相応して「セゾン」の称呼が生ずること明らかである。

他方、前記の周知著名な標章は、「セゾン」、「SAIS◎N」の標章として使用されているところ、最近社名や標章の構成文字の一部を判読できる程度に図案化することは普通に行われていることであって、構成中欧文字の第5文字は、形象がローマ字の「O」を図案化してなるものと容易に印象されるといい得るところから、前記標章に接する取引者、需要者をして「SAISON」の欧文字を書してなるものと認識、把握されるとみるのが相当である。

そうとすれば、本願商標の「SAISON」の文字部分と、前記の周知著名な標章「SAISON」の綴りが同一であると認めるべきである。

なお、請求人は、本願商標と前記の周知著名なセゾングループの営業との間に誤認混同を生じるおそれがないと主張している。そして、新潟県長岡市に本店を置く本件請求人がJR新潟駅及びJR長岡駅において経営、管理する駅ビルは、いずれも本願商標「SAISON」を使用し、「セゾン」と称呼されていることが認められるが、上記事実によれば、新潟市、長岡市あるいはその周辺地域においては「セゾン」といえばそれらの駅ビルあるいは駅ビル内の役務を指すという認識も生じているものと推認されるけれども、それが上記周辺地域を超えて全国に及んでいるものとは到底認められない。

(イ)本願商標の指定役務は、「店舗の管理,店舗の貸与」であり、不動産関連の役務といえるところ、前記周知著名な企業グループには、それと互いに密接な関係のある「住宅事業、都市開発事業、不動産賃貸」等の役務を主とする、株式会社西洋環境開発と、全国14店舗、売場面積合計23万平方メートル、800社2400店の専門店を組織化し、都市型商業施設の開発、企画、運営事業を役務とする株式会社パルコ、「不動産賃貸」等を役務とする西和産業株式会社、「旧 株式会社ハウスポート西洋」の住宅仲介部門の営業権を譲り受け全国76店に店舗を拡大した不動産の売買等を役務とする昭和61年設立の安信住宅販売株式会社等が含まれている。

以上を総合すれば、本願商標をその指定役務について使用した場合、取引者、需要者は、本願商標の「SAISON」の文字部分より、周知著名な企業グループの略称「セゾン」を想起し、その役務が、セゾングループあるいは同人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る役務であると誤認し、その役務の出所について混同するおそれがあるものというのが相当である。

したがって、本願商標は、他人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標といわなければならない。

なお、請求人は既登録例(甲第6号証ないし甲第49号証)、登録異議決定例(甲第52号証ないし甲第54号証)を挙げているが、本件については、前記のように判断するのが相当である。

また、請求人は平成10年9月5日付の審判理由補充書に添付の甲第4号証(枝番を含む)ないし甲第5号証(枝番を含む)、平成13年4月25日付及び平成13年6月21日付の意見書に添付の甲第50号証(枝番を含む)ないし甲第51号証(枝番を含む)、及び平成13年6月20日付の意見書に添付の甲第57号証の各証明書を提出しているが、同第57号証の証明書を除けば、いずれも請求人(出願人)の作成に係る画一的な証明願に請求人(出願人)とは地域的関係にある一私人が署名捺印したものであるばかりでなく、前記同第57号証も含めた各証明書の証明内容は、「SAISON」の商標の周知性が長岡市周辺地域を超えて全国に及んでいることを証するものとは認められないから、これらの証拠によっては、請求人の前記主張を採用することができない。

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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