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Trademark Appeal Case

商標使用証拠の不備

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2000−30180(T2000−30180/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第1839900号商標の商標登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第1839900号商標(以下「本件商標」という。)は、「白秋の柳川うなぎパイ」の文字を書してなり、第30類「うなぎを加味したパイ」を指定商品として、昭和58年3月18日に登録出願、同61年2月28日に設定登録され、その後、平成12年3月15日に商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張

請求人は、「結論同旨の審決を求める。」と申し立て、その理由を次のように述べて、証拠方法として甲第1号証を提出している。

(1)本件商標は、請求人が調査したところによれば、商標権者は日本国内において継続して3年以上指定商品について使用した様子がない。又、商標登録原簿には専用使用権及び通常使用権の設定登録がなく、このため使用権者が存在するとも思えず、又これらのものが前記商品について使用をしている形跡もない。従って、本件商標は商標法第50条の規定によりその登録は取り消しを免れないものである。

(2)答弁書に対する第1弁駁

(イ)被請求人は、本件商標の指定商品中「菓子」について平成9年末頃まで使用し平成8年2月24日に提出した商標権存続期間の更新登録願に添付した「登録商標の使用説明書」(以下「使用説明書」という。)の写しを提出している。

上記使用説明書は、商標の使用に係る商品名が具体的にどのような菓子か不明なこと、提出された商品の販売価格が明示されていないこと、さらに取引書類が提出されていないことから不明な点が多々あり、当該菓子が商品として流通しているか否か疑わしいものである。

被請求人は、菓子についていろいろの製品を小ロットで販売していると主張しているが、被請求人が自社で製造た商品を全て自社で販売しているのであれば、例え注文伝票あるいは納品伝票のような取引伝票はないとしても、売上げ記録は保存されている筈である。

被請求人は使用説明書の菓子を平成9年末まで販売していた事実を立証してしていない。

(ロ)被請求人は、本件商標を商品「菓子」について平成9年末まで使用していたと主張しているのみで、これを証する証拠は提出されていない。このため、本件商標は日本国内において、審判請求の登録前、継続して3年以上使用されていないものであり取り消しを免れない。

(3)答弁に対する第2弁駁

(イ)被請求人は、乙第1号証で提出した菓子が「洋菓子」であると主張しているのみで具体的な品名を特定していないので、本件商標がどの菓子について使用されたかが不明である。本件商標は昭和34年法により登録されたものであって、その商標法施行規則の「別表」に記載された菓子には、和菓子と洋菓子があり、さらに洋菓子にはビスケットから焼きりんごまで27種類の品目があるので、単に「洋菓子」というだけでは商品を特定することはできない。又、被請求人は、本件商標を付した菓子を平成9年の年末まで販売していたときの価格は1個100円であったと主張しているが、これを立証する証拠はなにも提出されていない。

一方、被請求人は現在、本件商標を付した菓子の販売を再開したと主張して乙第2号証を提出しているが、この使用は本件審判の予告登録をした平成12年3月15日以降の使用であって本件取消審判とは関係のない使用である。なお、蛇足ながら乙第2号証の商品も「菓子」であるとしているが、これでは商品が特定されていないことはい言うまでもない。

上記のように乙第1号証として提出された菓子は、品名が特定されていないので、被請求人が使用していたとする商品が特定されておらず、このため本件商標は商品について使用をされたとは言えないものである。

(ロ)次に、被請求人は、売上げ記録について「洋菓子」「和菓子」と大別したものは存在するが、個々の菓子、すなわち本件商標を付した菓子の売上げ記録は存在しないと主張している。

また、本件商標を付した菓子の販売価格が1個100円であったとしながらその販売数量は立証されていないので、乙第1号証の菓子は商品として流通したものとは言えない。

(答弁書く第3回)において、被請求人は「乙第1号証、乙第3号証、乙第4号証によってその使用を明らかにした菓子は売上げの減少に伴い平成9年の年末後にその製造販売を一時中止したものであるが......」と主張しているが、売上げ記録がない状態でどの菓子の売上げが伸びたのか、又、どの菓子の売上げが減少したのかを判断することはできないであろうし、そうであるとするならば、何を根拠に製造を中止したり再開したりするのであろうか疑問である。それはともかくとして、本件商標を付した菓子を平成9年の年末まで販売していたとする被請求人の主張は根拠のないものである。

又、答弁書(第3回)に、被請求人が販売した菓子を平成9年の年末に購入したとする証明書が2通提出されているが、これらは何れも個人的なものであって信憑性に欠けている。

従って、乙第1号証の菓子が商品として流通していたことの立証がなされていないので、本件商標は被請求人によって審判請求の前継続して3年以上使用されていないものである。

(ハ)被請求人は、本件商標を付した菓子の販売は平成9年の年末に一時中止し、その後、平成12年9月末から再開したとして乙第2号証を提出しているが、再開後の使用が本件審判請求の予告登録後であることは前述したとおりである。又、今回を含めて3回にわたって答弁書が提出されたが、乙第1号証、乙第3号証、乙第4号証だけでは本件商標が商品に使用されていたことが立証されておらず、結局のところ、本件商標は被請求人によって審判請求の登録前継続して3年以上日本国内において使用されていないものであるから、その登録は取り消されるべきである。

3 被請求人の答弁 .

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第4号証を提出している。

(1)本件商標は指定商品中の「菓子」について本件審判の請求日前の3年以内である平成9年の年末頃まで使用していたものである。その事実を証するものとして、本件商標の商標権存続期間更新登録願(平成8年2月24日)の提出時に添付した「登録商標の使用説明書(写)」を乙第1号証として提出する。即ち、本件商標は平成8年2月24日頃は使用していたものであって、その後、平成9年の年末頃まで継続して使用していたものである。

(2)ところで、被請求人会社は菓子についていろいろの製品を小ロットで製造販売しているものであるが、菓子の製造販売に際しては顧客の好みの変化によって、売れ行きが伸びたり、減少したりするものであって、売れ行きが減少した場合は、製造を中止して顧客の好みの変化を研究し、例えば味に変化をもたせて再度製造販売を行っているものである。

(3)よって、請求人の主張は、小ロットで多種類の菓子を製造販売しているこの種菓子業者の実状を無視した主張で不当なものである。

(4)請求人の弁駁に対する答弁

(イ)菓子の種類の説明について、

被請求人が本件商標の「白秋の柳川うなぎパイ」を使用して平成9年の年末頃まで販売していた菓子は、「洋菓子」に相当するものである。

(ロ)販売価格の説明について

本件商標の「白秋の柳川うなぎパイ」を使用して平成9年の年末頃まで販売していた菓子は1個100円で販売していたものである。

なお、被請求人会社は現在本件商標の「白秋の柳川うなぎパイ」を使用した菓子を製造販売しているものであるが、長期に亘り売り上げが向上しない経済状態に於ては販売価格を変動させることができないものである。

被請求人会社に於いては過去10数年に亘り販売価格を変動させていないもので平成9年末頃まで販売の「白秋の柳川うなぎパイ」も、現在販売の「白秋の柳川うなぎパイ」も1個100円の価格で販売しているものである。

(ハ)売上げ記録の提出について

請求人は、被請求人が本件商標を平成9年末まで使用していた証拠として売上げ記録の提出を求めているが、被請求人会社では「洋菓子」及び「和菓子」についての売上記録は存在するが、いろいろの製品を小ロットで製造販売し、顧客の好みの変化によって、売れ行きが伸びたり、減少したりするに伴って製造の継続又は製造の一時中止を行うものであり、更に一時中止したものは顧客の好みの変化を研究し、例えば材料、味、並びに包装形態に変化を持たせて再度製造販売しているものである。

よって、本件商標の「白秋の柳川うなぎパイ」を使用した菓子のみの売上記録は存在しないものである。即ち、売上記録が洋菓子・和菓子別には存在するが、各々の製品別には売上記録は存在しないことは一般にいろいろの製品を小ロットで製造販売している被請求人会社のような菓子業者に於いては社会通念上普通のことである。又、本件商標の「白秋の柳川うなぎパイ」を使用した事実は本件商標の商標権存続期間更新登録願(平成8年2月24日)の提出時に添付した「登録商標の使用説明書(写)」を乙第1号証として平成12年6月28日付審判答弁書に添付したことからも明らかであって、平成9年の年末頃まで継続して使用していたものである。

(ニ)本件商標は、指定商品中の「菓子」について使用したことについて平成12年6月28日付審判答弁書と共に提出した乙第1号証によって明らかにしたものであるが、乙第1号証よってその使用を明らかにした菓子は売上げの減少に伴い平成9年の年末後にその製造販売を一時中止したものである。ところで、本件商標の「白秋の柳川うなぎパイ」を使用した菓子は材料、味、等顧客の好みの変化に伴う研究を重ね、更に包装形態に変化を持たせて平成12年9月末より製造販売を再開したものである。このことは乙第2号証によって立証するものである。

(ホ)本件商標の「白秋の柳川うなぎパイ」を使用した事実は本件商標の商標権存続期間更新登録願(平成8年2月24日)の提出時に添付した「登録商標の使用説明書(写)」を乙第1号証として平成12年6月28日付審判答弁書に添付したことからも明らかであるが、更に平成9年の年末頃まで継続して使用していたものであることを乙第3号証及び乙第4号証によって立証するものである。

乙第1号証、乙第3号証、乙第4号証によってその使用を明らかにした菓子は売上げの減少に伴い平成9年の年末後にその製造販売をー時中止したものであるが、本件商標を使用した菓子は、材料、味、等顧客の好みの変化に伴う研究を重ね、更に包装形態に変化を持たせて平成12年9月末より製造販売を再開したものである。このように菓子の製造販売を一時中止したり、再開したりすることはいろいろの製品を小ロットで製造販売している被請求人会社のような菓子業者に於いては社会通念上普通のことである。

4 当審の判断

商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品について登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れないところである。

そこで、本件商標を使用している事実を立証する証拠として被請求人が提出している乙第1号証ないし同第4号証をみるに、乙第1号証は、本件商標の商標権存続期間の更新登録時に使用した「登録商標の使用説明書」の写しである。これに添付された写真は平成8年2月20日撮影のものであり、本件審判請求の登録前3年以内に撮影されたものではない。

また、乙第2号証の「登録商標の使用説明書」は、写真撮影日(平成12年10月4日)、資料作成日(平成12年9月25日)及び包装紙の裏側の賞味期限(平成12年10月4日)から推測して、本件審判請求後に作成されたものと認められる。

さらに、乙第3号証及び同第4号証の「証明書」は、3年以上も前の菓子の購入事実を、記憶に基づいて証明したものであり、その購入日も被請求人が「平成9年の年末後にその製造を一時停止していた時期」と述べている時期に近い「平成9年の年末頃」と曖昧なものであるから、信憑性の疑わしいものである。

してみれば、被請求人の提出している証拠によっては、本件商標が、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内で、被請求人によって、その指定商品に使用されていたものとは言えず、かつ、本件商標を使用しなかったことについて正当な理由があるものとも認められないものである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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