結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第35451号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4091551号商標(以下、「本件商標」という。)は、別記(1)に示すとおりの構成よりなり、平成7年4月14日登録出願、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,みそ,ウースターソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,サンドイッチ,すし,ピザ,べんとう,ミートパイ,ラビオリ,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷」を指定商品として、同9年12月12日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
2−1 請求人は、結論同旨の審決を求めると主張し、その理由を以下のように述べた。
本件商標は、商標法第4条第1項第15号、同第16号及び同第19号に該当するにもかかわらず、登録されたものであるから、その登録は、同法第46条第1項の規定により無効とすべきものである。
2−2 商標法第4条第1項第15号に関する主張
(1)請求人は、「カナディアンクラブ」「バランタイン」といった著名なウイスキーをはじめ、各種ワイン及びリキュール等の洋酒を世界的に販売している会社である。その傘下の洋酒関係会社、あるいは請求人の関連会社は世界中に多数存在しており、世界的に著名な「KAHLUA(カルーア)」【別記(2)商標の文字部分参照】(Uの文字の上にアクサンテギューを付してある。)の商標を付したコーヒーリキュールもその主要な取扱い商品の一つである。
「カルーア」は、メキシコ産のアラビカ種のコーヒー豆を原材料として製造されるコーヒーリキュールであり、請求人が所有する登録第737034号商標に示すラベルを付して世界各国で販売されている(甲第2号証)。同ラベルは、1937年5月20日にアメリカにおいて最初に使用され、以後50年以上もの間、世界各国で一貫して前記商品及び関連商品に使用されている。また、「KAHLUA(カルーア)」(Uの文字の上にアクサンテギューを付してある。)関連商標は、請求人又はその関連会社の名義で、日本を含む世界各国に登録あるいは出願されており(わが国では登録第737034号、同第2463374号、同第2463375号、同第2571267号、同第4051264号、同第4100724号及び同第4100725号として登録<甲第3号証の1及び2乃至同第9号証の1及び2>)、コーヒーリキュールの代名詞として世界的に極めて広く知られている(甲第10号証の1乃至3、同第11号証、同第12号証及び同第13号証)。
(2)日本においては、1970年(昭和45年)にサントリー株式会社が本格的な輸入販売を初めてから飛躍的に販売量が増加し、特にこれをベースにしたカクテル「カルーアミルク」はコーヒー牛乳のような口当たりの良さで女性や若い世代を中心に人気を博した。とりわけ女性の間では「誰でも知っているカクテル」の一つとされており(甲第14号証及び同第15号証)、雑誌のアンケートでも最も好きなカクテルの第1位に挙げられている(甲第16号証)。また、女性誌等がカクテルの特集を組む場合には、必ず「カルーアミルク」についての記載がなされ(甲第17号証乃至同第21号証)、1984年(昭和59年)時点で、既に「カルーア」を知っていることは当然のこととして記事が書かれていることが窺える(甲第22号証)
さらに、このことを裏付ける事実として、1988年(昭和63年)から1991年(平成3年)の「輸入洋酒銘柄別輸入通関ランキング」(リキュール部門)では、「KAHLUA(カルーア)」(Uの文字の上にアクサンテギューを付してある。)が常に輸入高の第1位を占めている(甲第23号証)。
(3)「カルーア」のこのような圧倒的な人気に鑑み、サントリーアライドライオンズ株式会社及び販売総代理店であるサントリー株式会社は、長年に渡って、若い女性向け雑誌等に「カルーア」の広告を多数掲載し続けている(甲第24号証乃至同第42号証)。また、若い世代に向けたイベントやコンサート、スポーツ大会などをいわゆる「冠スポンサー」として企画・開催し、その冠に「カルーア」の名前を掲げて、より一層同商品の宣伝販売に力を注いでいる(甲第43号証乃至同第46号証)。最近では「カルーア」をカクテルだけでなく、家庭でも幅広い料理の素材として利用してもらおうと、「カルーア」を利用した料理法を紹介したパンフレット等を作成し、その普及にも努力している(甲第47号証乃至同第49号証)。
以上のことから、「カルーア」がコーヒーリキュールの商標として、本件商標の出願日である平成7年4月14日以前から我が国において広く知られていたことは明らかである。
(4)一方、本件商標は、別記(1)のとおり、最上段に配された被請求人のハウスマーク別記(3)に示すとおり、と下二段に表された「カルーア」及び「KARUHA」は、外観上はもとより称呼及び観念上も分離して認識されることが明らかである。
しかして、「カルーア」という語は、請求人の「コーヒーリキュール」を表す以外に特定の意味を有さない造語である(甲第50号証)。したがって、本件商標は、明らかに被請求人が、請求人の著名な商標「カルーア」を利用して選択した商標と疑わざるを得ない。特記すべきは、本件商標の指定商品に、「コーヒー」及び「コーヒー豆」が挙げられているという事実である。
請求人は、「カルーア」及び「カルーアミルク」の人気に応えて、家庭でも気軽に「カルーアミルク」が楽しめるようにと、1985年(昭和60年)に従来のボトルの半分にあたる700mlのハーフサイズを、1991年(平成3年)には、さらに小さいベビーサイズ(200ml)を発売し、缶飲料「カルーアミルク」を1993年(平成5年)秋に発売している(甲第51号証乃至同第54号証)。これらの商品は家庭用に作られたものであり、主として酒店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等で販売されるため、本件商標の指定商品とは、流通・販売経路とも酷似する。
したがって、仮に、請求人の著名商標「カルーア」が付された「コーヒーリキュール」や「ミルクコーヒーカクテルの缶飲料」と、本件商標「別記(3)に示すとおりの構成」、「カルーア」、「KARUHA」の付された「コーヒー」や「コーヒー豆」とが同一店舗で並んで販売されるようなことになれば、本件商標が付された商品は、あたかも請求人又はその関連会社の製造販売する商品であるかの如く、その出所につき誤認・混同を生じさせることは必至である。
また、被請求人は、本件商標のほか、同日付けで同一の構成からなる商標を第32類にも出願し(商願平7ー37342号、甲第63号証の1)、別記(3)に示すとおりの構成、カタカナ文字「カルーアモカ」及び英文字「KARUHAMOCHA」(Uの文字の上にアクサンテギュを付してある。)を三段に横書きした構成の商標を第30類及び第32類に出願している(商願平7-37343号及び商願平7-37344号、甲第63号証の2及び3)。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
2-3 商標法第4条第1項第16号に関する主張
前述したように、「カルーア」という語は、請求人の「コーヒーリキュール」を表す以外に特定の意味を有さず、特に女性や若い世代に人気のある著名なコーヒーリキュールの名前である。したがって、仮に、本件商標が付された清涼飲料等が市場に出回れば、その商品に接する者は、その清涼飲料等に請求人の「コーヒーリキュール」すなわち「酒」が入っていると商品の品質について誤認を生じるおそれがあることは明らかである。
つまり、本件商標は、指定商品の原材料について誤解を与えるという意味において、「商品の品質の誤認を生ずるおそれのある商標」というべきである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号にも該当する。
2-4 商標法第4条第1項第19号に関する主張
「KAHLUA(カルーア)」(Uの文字の上にアクサンテギュを付してある。)は、コーヒーリキュールについての商標として著名であるばかりでなく、甲第50号証及び同第56号証乃至同第62号証に示すとおり、一般的な辞書や各種事典にも多数掲載されている。
このように世界的に著名な商標を含んだ本件商標の登録、使用を容認することは、請求人の著名な商標が有する出所表示機能(指標力)を稀釈化するばかりでなく、請求人の著名商標に化体した業務上の信用、すなわち莫大なグッドウィルにただ乗りすることを認めることとなり、国際信義上穏当でない。
また、このような著名な商標を含む商標の出願をその本来の権利者に無断で行なうことは、被請求人が著名商標へのただ乗り、すなわち不正の利益を得る目的を有するものと解すべきである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号にも該当する。
本件商標が商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものか否かについて判断するに、本件商標の構成は前示のとおりであって、別記(3)に示すとおりの構成、「カルーア」及び「KARUHA」の文字を三段に表示してなるものであり、第30類に属する「コーヒー及びココア,コーヒー豆」を含む前記したとおりの商品を指定商品とするものである。
これに対して、請求人が引用する商標は、別記(2)のとおり、「KARUHA」(Uの文字の上にアクサンテギュを付してある。)を要部とする商標であって、コーヒーリュキュールに使用しているものである。しかして、甲第12号証乃至同第62号証によれば、請求人は、コーヒーリキュールについて、「KARUHA」(Uの文字の上にアクサンテギュを付してある。)を要部とする商標を本件商標の登録出願前から継続して使用していることが認められ、その結果、該商標は、本件商標の登録出願時には我が国の取引者、需要者の間で周知、著名に至っていたものと認めることができ、その事実は本件商標の査定時においても継続していたものと推認される。
そうすると、本件商標は前示の構成のとおりであり、請求人に係る周知、著名商標と似た綴りの「KARUHA」及びそのカタカナ表示「カルーア」の文字を有するものであること明らかであり、しかも本件商標の指定商品は、請求人の使用に係る商品「コーヒーリキュール」とは、製造者、販売者、需要者や用途を同じくする場合が多いものであることからすれば、本件商標は、これを指定商品に使用するときは、請求人の業務に係る商品の如くその出所について混同を生ずるおそれがあったというべきである。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は商標法第46条第1項第1号の規定により無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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