結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2000−35627(T2000−35627/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4351218号商標(以下、「本件商標」という。)は、別記(1)に示すとおりの構成よりなり、平成11年3月2日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成12年1月14日に設定登録されているものである。
請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第1653908号商標(以下、「引用A商標」という。)は、別記(2)に示すとおりの構成よりなり、昭和55年2月25日に登録出願、第24類「おもちゃ、人形、娯楽用具、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く)レコード、これらの部品及び附属品」を指定商品として、昭和59年1月26日に設定登録され、その後、商標権存続期間の更新登録がなされているものである。同じく、登録第2639087号商標(以下、「引用B商標」という。)は、別記(3)に示すとおりの構成よりなり、平成2年4月2日に登録出願、第22類「くつひも、くつの引き手、くつひも代用金具、くつ保護金具、くつびょう、くつくぎ、くつ合せくぎ、くつはとめ、くつべら、くつブラシ、くつみがき布、軽便くつクリーナー、かさ、つえ」を指定商品として、平成6年3月31日に設定登録されているものである。同じく、登録第4005325号商標(以下、「引用C商標」という。)は、別記(4)に示すとおりの構成よりなり、平成7年7月28日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,帽子,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(乗馬靴を除く)」を指定商品として、平成9年5月30日に設定登録されているものである。同じく、登録第4343451号商標(以下、「引用D商標」という。)は、別記(5)に示すとおりの構成よりなり、平成11年1月22日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成11年12月10日に設定登録されているものである。同じく、登録第595694号商標(以下、「引用E商標」という。)は、別記(6)に示すとおりの構成よりなり、昭和35年5月31日に登録出願、第31類「調味料、香辛料、食用油脂、乳製品」を指定商品として、昭和37年8月24日に設定登録され、その後、3回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされているものである。同じく、登録第832283号商標(以下、「引用F商標」という。)は、「キューピー」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和41年8月11日に登録出願、第31類「調味料、香辛料、食用油脂、乳製品」を指定商品として、昭和44年9月24日に設定登録され、その後、3回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされているものである。
請求人は、「本件商標の登録はこれを無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第36号証(枝番を含む。)を提出している。
1.商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、3つの人形の図と文字よりなるところ、その構成中の3つの人形の図は、世に広く知られたキューピー人形の特徴を備えているものであり、かつその下に書された文字「Kewpieworld」がキューピーを意味する「Kewpie」を有してなるものであることからすれば、誰もが容易にキューピー人形の図を描いたものと認識し得るものである。
そして、このキューピー人形の図は、大きく顕著に表され、かつ下部の文字と一体となって別の意味合いを有するものとなったものとも理解し得ないことからすれば、キューピー人形の図の部分は、独立して自他商品識別標識としての機能を果たすものと看取し得るものである。
そうとすれば、本件商標は、キューピー人形の図の部分より「キューピー」(キューピー人形)の称呼、観念を生じるものである。
また、本件商標の構成中の下に書された「Kewpieworld」の文字は、「Kewpie」の文字と「world」の文字よりなるものと認識し得るものであるところ、「Kewpie」の文字と「world」の文字との間には観念的に一体となって特定の意味、事物、事柄を表示するものとなったとも理解し得ないものであることからすれば、単に「Kewpie」の文字と「world」の文字とを並べて結合させたものと把握され、認識されるというべきものである。
しかして、簡易、迅速を旨とする取引の場において、これに接する取引者、需要者は、語頭部にあって看者の注意を強く惹き、かつ広く知られ、親しまれた「Kewpie」の文字の部分をとらえ、これより生ずる称呼、観念をもって取引にあたることも決して少なくないというのが相当である。
してみれば、本件商標は、「Kewpie」の文字の部分より「キューピー」(キューピー人形)の称呼、観念をも生じるといわざるを得ないものである。
これに対して、引用A商標は、「キユーピー」の文字を上部に書し、その下に人形の図を描いてなるところ、該図は、様々な姿態で描かれることの多いキューピー人形の特徴を備えているものであり、かつ上部に書された「キユーピー」の文字との関係において、キューピー人形の図と容易に認識し得るものであることからすれば、引用A商標よりは、文字と一体となって「キューピー」(キューピー人形)の称呼、観念を生じるものである。
同じく引用B商標は、「QP」の文字の部分がその下の円輪内に小さく描かれたキューピー人形の図より生じる「キューピー」の読みの音をアルファベットで表したものであると容易に認識し得るものであることから、引用B商標よりは「キューピー」(キューピー人形)の称呼、観念を生じるものである。
同じく引用C商標は、キューピー人形の図よりなるものであるから、「キューピー」(キューピー人形)の称呼、観念の生じること明かである。
同じく引用D商標は、「キユーピー」の文字を上段に、「KEWPIE」の文字を下段に書し、中段に大きくキユーピー人形の図を描いてなるものであるから、「キューピー」(キューピー人形)の称呼、観念の生じること明かである。
そうしてみると、本件商標と引用A商標ないし引用D商標とは、「キューピー」(キューピー人形)の称呼、観念を共通にする類似の商標というべきものである。
本件商標と引用A商標ないし引用D商標との類否に関する請求人の主張に関しては、甲第6号証ないし甲第15号証等の多くの審判事件の審決において、複数の語を結合した商標で、一体となった意味を有しない商標は、それぞれの語より生じる称呼、観念をもって取引に資されると判断されているものであり、商願平2ー108787号(商公平4ー41303号)の登録異議申し立て事件においても、「帯祝いキューピー」の文字よりなる商標と「キユーピー」の文字とキューピー人形の図よりなる商標とは、「キューピー」(キューピー人形)の称呼、観念を共通にする類似の商標であると判断して異議決定(甲第16号証)をしていることからすれば、請求人の主張は極めて妥当なものである。
そして、本件商標の指定商品は、引用A商標ないし引用D商標の指定商品の何れかに包含されているものであるから、指定商品も同一又は類似である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するにも拘らず登録されたというべきものである。
2.商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標と引用E商標及び引用F商標との類似について
本件商標は、前記のとおり「キューピー」(キューピー人形)の称呼、観念をも生じるといわざるを得ないものである。
他方、引用E商標及び引用F商標は、「キューピー人形の図」及び「キユーピー」の文字よりなるものであるから、これより「キューピー」(キューピー)の称呼、観念の生ずること明かである。
そうしてみると、本件商標と引用E商標及び引用F商標とは、「キューピー」(キューピー人形)の称呼、観念を共通にする互いに類似の商標というべきものである。
(2)引用E商標及び引用F商標の著名性について
請求人の「キユーピー株式会社」は、大正8年(1919年)に設立された会社であり、大正14年に我が国初の国産マヨネーズの製造を開始し、「キユーピー」の文字及び「キューピー人形の図」よりなる商標を付して発売してより今日に至るまで、商標の書体、態様に多少の変更を加えつつも、一貫してこの商標を使用し続けてきたものである(甲第21号証、甲第22号証)。
そして、戦後の国民の食生活の欧風化に伴い、欧風食に合うマヨネーズが爆発的に売れるようになったことにより、「キユーピー」「キューピー人形の図」の商標は、日本全国津々浦々にまで知れ渡るに至ったものである。
請求人は、「キユーピー」「キューピー人形の図」の商標を付したマヨネーズが全国的なシェアを持つに至ったことから、昭和32年に社名を「キユーピー株式会社」に変更し、以来、今日までその社名を使用し続けてきたものである。
また、請求人は、欧風食に合うマヨネーズ、各種ドレッシング、ミートソース、タルタルソース、マスタード等の調味料ばかりでなく、ベビーフード、卵加工品等の加工食料品も「キユーピー」「キューピー人形の図」の商標を付して次々に発売(甲第21号証、甲第22号証)し、これらが全国的規模で売れたこと、これらの商品には全て製造者として「キユーピー株式会社」の商号が入れられていることから、本件商標出願前には、「キューピー」といえば、直ちに上述の商品(特にマヨネーズ)の商標、或いは請求人を指称するものと認識されるほどに広く知られるに至ったものである。
このような請求人の新商品開発、製造・販売及び商品宣伝の努力により、上述の登録商標が極めて著名になったことから、引用E商標については、防護標章登録第1号ないし防護標章登録第33号(甲第19号証の1ないし甲第19号証の33)の登録が認められるというように、全商品分野に防護標章の登録が認められるほどの著名性を獲得するに至っているものである。
そして、サービスマーク登録制度を導入した改正商標法施行後においても、防護標章登録第34号ないし防護標章登録第41号(甲第19号証の34ないし甲第19号証の41)の登録が認められるというように、本件商標の指定役務を含む全役務分野に防護標章の登録が認められるほどの著名性を獲得しているものである。
また、引用F商標については、防護標章登録第1号ないし防護標章登録第21号(甲第20号証の1ないし甲第20号証の21)及び防護標章登録第28号(甲第20号証の28)の登録が認められるというように食品の分野のみならず、さまざまな分野において、その著名性故に防護標章の登録が認められているものである。
そして、サービスマーク登録制度を導入した改正商標法施行後においても、防護標章登録第22号ないし防護標章登録第27号(甲第20号証の22ないし甲第20号証の27)及び防護標章登録第29号(甲第20号証の29)の登録が認められるというように、役務のほとんどの分野に防護標章の登録が認められるほどの著名性を獲得しているものである。
このような事情より見ると、引用E商標及び引用F商標は、本件商標の出願前より極めて著名であったといわなければならないものである。
(3)「キューピー人形の図」よりなる商標の多様性及び著名性について
請求人は、登録第499626号商標(甲第23号証)、登録第619822号商標(甲第24号証)、登録第1850444号商標(甲第25号証)等の様々な形態の「キューピー人形の図」よりなる商標を上述の引用E商標、引用F商標の連合商標として保有しており、これらをその指定商品に使用し、これらも「キューピー」と称され需要者に広く知られているものである。このうち、登録第619822号商標は、ベルマークとしてマヨネーズに使用(甲第24号証の1)されていることから、また、登録第1850444号商標は、マヨネーズに使用されているばかりでなく、雑誌(甲第25号証の1)にも取り上げられているものであり、かつ、朝日新聞(甲第24号証の2)、読売新聞(甲第24号証の3)、中日新聞等の全国紙に毎月広告を掲載して宣伝に努めていることから極めて著名となっている。
(4)請求人及びその関連会社の業務の多様性について
(ア)請求人は、上述の通りマヨネーズを中心としてドレッシング、ミートソース、タルタルソース等の調味料を主として製造、販売しているものであるが、それらの製品の原料として多く用いる卵に関する技術を発展させ、業務用の錦糸卵、液卵、乾燥卵等の卵製品及びカルシウム強化食品等のヘルスフードをも製造、販売してしているばかりでなく、更にその技術を発展させたファインケミカル製品、フードケミカル製品(化学品、医薬品原料)、食品添加物(卵殻カルシウム等)の製造、販売を昭和57年頃より開始し、これらについても業界の注目を浴びたことから新聞にも取り上げられ、広く知られるに至っているものである(甲第21号証及び甲第21号証の1ないし甲第21号証の29、甲第26号証、甲第27号証)。
(イ)請求人は、自社の各種食品製造機械器具を開発してきた技術を活かして、フードエンジニアリングの分野にも進出したばかりでなく、マヨネーズ、ドレッシング等と関連の深い葉菜類の農業の分野において、工場生産の可能な水耕栽培の技術を開発して、農水省の補助事業であるTSファームの分野にも進出し、これが新聞においても大きく取り上げられ、広く知られるに至っているものである(甲第21号証及び甲第21号証の30ないし甲第21号証の50、甲第28号証、甲第29号証。)。
(ウ)請求人は、その主力商品であるマヨネーズの容器として使用する軟質合成樹脂製容器の製造技術を発展させ、合成樹脂製の点滴に用いる輸液用バッグを開発し、それまで割れ易いガラスの輸液用容器を使用していた医療機関、製薬会社に大きな衝撃を与え、輸液用バッグの分野で大きなシェアを占めるに至っているものである(甲第21号証の51)。
(エ)請求人は、食品の製造を業としていることから、これをさらに発展させるべく、素材と味にこだわったレストランをも開業し、業界新聞にも大きく取り上げられ、広く知られているものである(甲第21号証の52、甲第21号証の53)。
(オ)請求人は、食品製造技術を活かすべく設立したキユーピータマゴ(株)、(株)全農・キユーピー・エッグステーション、キユーピー醸造(株)等の「キユーピー」の文字を名称の一部に用いた商号よりなる関連会社外多数の関連会社を有し、これらの会社は、極めて広い分野の食品の製造、加工、販売を行っているばかりでなく、包装機械、繊維機械の製造、生産ラインの保守管理、人材派遣、運送等の多様な業務を行っているものである(甲第21号証、甲第30号証、甲第31号証)。
(カ)上述したように、請求人及びその子会社、関連会社は、食品の製造のみならず、様々な種類の商品の製造販売を行っているばかりでなく、エンジニアリング、輸送、人材派遣、飲食物の提供等の役務をも提供する企業として広く知られているものである。
(5)本件商標を使用した場合の混同のおそれについて
(ア)上述した通り、本件商標はその構成上「キューピー」(キューピー)の称呼、観念を生ずるものであり、「キューピー」(キューピー)の称呼、観念の生ずること明かな引用E商標及び引用F商標と類似するものである。
(イ)引用E商標は、本件商標の指定商品をも含むあらゆる分野の商品、役務について他人が使用した場合、混同を生じさせるおそれがあるほどに極めて著名であり、引用F商標は、本件商標の指定商品をも含むほとんどの分野の商品、役務について他人が使用した場合、混同を生じさせるおそれがあるほど極めて著名である。
(ウ)請求人の使用する様々な形態の「キューピ人形の図」よりなる商標も「キューピー」と称され、請求人の業務に係る商品に使用され著名である。
(エ)請求人及びその関連会社の業務は食品の分野のみならず酪農、化学品、農業、機械の分野にも広がり、かつエンジニアリング、輸送、人材派遣、飲食物の提供等の役務の分野にも広がっているものであり、その商号には「キューピー」の文字が多く使用されている。
これらのことを総合勘案すると、本件商標をその指定商品に使用するときは、その商品が請求人若しくは請求人の関連会社の業務に係る商品であるかの如く混同を生じさせるおそれがあるといわざるを得ないものである。
(6)つぎに、本件商標は、「キューピー」(キューピー)の称呼、観念上、引用E商標及び引用F商標と類似すると考えられるものであるが、これが仮に類似しないとされる場合においても、本件商標は、様々な態様で使用されている請求人のキューピー人形の図と同じくキューピー人形の図を顕著に描いてなるという共通性があること、その下に書された文字が需要者の注意を惹き易い語頭部において、請求人の著名商標と共通の「Kewpie」の文字を有するものであること、取引社会においては、製造メーカー、販売会社、スーパー等の会社が子会社若しくは関連会社を設立した場合、その商標中に親会社の商号の主要部、若しくは親会社の著名商標と同一の文字、図形を使用することが多く行われていることからすれば、これをその指定商品に使用した場合、広く知られている請求人若しくは関連会社の「キューピー」の文字又はキューピー人形の図よりなる商標であるかの如く認識され、その業務に係る役務と混同を生ずるおそれがあるといわざるを得ない。
(7)以上述べたとおり本件商標は、請求人若しくはその関連会社の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号の規定に該当し登録を受けることができない商標というべきものである。
したがって、本件商標は商標法第46条第1項により、無効とされるべきものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第69号証を提出している。
(1)本件商標と引用A商標ないし引用D商標との類否について
まず、文字部分であるが、本件商標は、「Kewpie」と「world」の文字を間を開けずに一連に表示したものであり、外観上から「Kewpie」と「world」に分離して観察されるような商標ではない。
しかも、語頭の「K」を大文字とし、他の文字を小文字で一連に書した構成からも、途中で分離されるようなものでもない。
また、称呼上からも、「キューピーワールド」という無理のない滑らかな一連の称呼が生じ、わざわざ「キューピー」と「ワールド」に分離するような事情もない。
さらに、観念上においては、成語として存在しないものの、ある程度の関連性を有するものであり(「キューピーの世界」の如き、一つの意味合いを容易に把握できる)、全く結合する必然性がないものでもない。
被請求人の上記主張については、被請求人の登録第3371067号商標(乙第1号証)が既に登録されていることや、その商標に関する商願平7ー55069号についての登録異議の申立てについての決定(乙第2号証)でも裏付けられる。
即ち、上記異議決定でも、『本願商標は、構成中の「キューピー」「Kewpie」と「ワールド」「world」の文字が、いずれも纏まりよく一連に表されているばかりでなく、構成全体をもって「キューピーワールド」と称呼する場合にも、語呂よく称呼されるものであり、他に「キューピー」「Kewpie」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事由も見い出せないものとみるのが妥当である。...、本願商標については、語頭の「K」を大文字で表し、他の文字を小文字で一連に書した構成、態様からも、全体が一体のものと看取され、一種の造語として把握されるものであり、これより「キューピーワールド」の一連の称呼が生ずるというべきである。』と判断され、「キユーピーの図形」及び「キューピー」の文字からなる商標とは、非類似であり、商標法第4条第1項第15号にも該当しないと判断されている。
また、上記の主張は平成6年(行ケ)第157号審決取消請求事件(乙第3号証)の裁判においても支持されているものである。
即ち、上記判決では「キューピー」と同じように、一部が著名であったとしても、「構成各文字が外観上まとまりよく一体的に表現されていて、しかも全体をもって称呼してもよどみなく一連に称呼し得ることや、結合商標の一部の文字部分の間に特に間隔があるわけでもなく、書体の大きさや表示態様を異にするものでもないような商標は、構成一体をもって一体不可分の造語よりなるものと認識し把握されるものとみるのが相当である。」と判断している。
その結果、問題となった結合商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第15号に該当するものではないと判断しており、まさに本件商標と「キューピー」の関係と同じような関係と考えられるものである。
このように、文字部分については、引用A商標ないし引用D商標とは、非類似であることが明らかであるが、念のため、「Kewpie」と「world」の結合商標として、乙第4号証ないし乙第26号証のような商標が登録あるいは、登録されていたことを立証する。
これらの登録例は、その一例であり、他にも数多くの登録例が見受けられるものである。
(2)次に、図の部分について、本件商標と引用A商標ないし引用D商標とが非類似であることを下記に述べる。
即ち、本件商標は、3人のキューピーが、文字部分の枠を手で持ち、全体も枠で囲まれており、しかも、それぞれのキューピーは、異なった衣服を着ているのに対し、引用A商標ないし引用D商標は、何れも裸のキューピー1人が正面を向いた状態であり、その構成態様が全く相違する。
しかも、本件商標は、文字部分と一体となった商標であり、引用A商標ないし引用D商標とは、文字部分の有無や文字部分の相違といった点も異なっている。
請求人は、本件商標の図の部分のみを抽出して、その類否を判断しようとしているが、本件商標は、あくまで図と文字が一体となった構成であり、請求人の都合のよいように、図のみが抽出されるものではない。
したがって、これらの点を考慮すれば、本件商標と引用A商標ないし引用D商標とは、明確に区別が可能である。
また、キューピーの図は、ローズ オニールのキューピッドの絵を模したセルロイド製のおもちゃで1910年代にアメリカで発売されたものが最初であると考えられる。
そのため、キューピーの図は、各方面で、図案を変形して使用されてきたものであり、乙第27号証ないし乙第35号証に示すように、第三者もさかんに使用しており、請求人のみが使用しているものではない。
さらに、本件商標に含まれる商品についても、乙第9号証ないし乙第11号証の他にも、乙第36号証ないし乙第39号証のような登録例がある。
これらの登録例からも明らかなように、本件商標は、引用A商標ないし引用D商標と何等類似するものではない。
(3)ところで、請求人は、本件商標は、請求人の著名な商標である「キューピー人形」の図および「キューピー」との関係から、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあると主張している。
確かに、被請求人も請求人の商標が「マヨネーズ」について、著名であることまで否定するものではない。
しかし、請求人の業務は、関連会社も含めて「食品、食品添加物、酪農、化学品、医療品、食品容器、食品関連の機械、輸送」等、あくまで「食品」を基礎として、その食品の製造や関連技術、食品の輸送等の分野に限られているものであるばかりか、これらの業務は「マヨネーズ」のように、需要者・取引者の間に知れ渡っているとは到底考えられない。
このため、「食品」とは、流通経路、需要者層等全く関連性を有しない本件商標の指定商品に、本件商標を使用しても、商標自体が非類似であることも相俟って、何等出所の混同を生ずるものでもない。
また、請求人の著名な商標の防護標章が本件商標と同一又は類似の商品について登録されていても、本件商標は、その構成自体が非類似であるから、出所混同を生ずるようなこともない。
被請求人の主張は、乙第9号証ないし乙第11号証、乙第27号証ないし乙第39号証及び引用B商標の登録例からも明らかである。
さらに、キューピーの図は、請求人が関連業務とした、「薬剤、医療補助品」等の分野においても、第三者によって、乙第40号証ないし乙第64号証のように登録されている。
また、「キューピー」や「キューピー」を含む結合商標も、乙第65号証ないし乙第69号証のように登録されている。
これらの登録例からすれば、本件商標は請求人の商標によって、出所混同を生ずるようなことはないと考えられる。
また、乙第2号証においても、文字の部分について、出所混同を生ずるおそれはないと判断されていることを付け加えておく。
(4)以上述べたように、本件商標は一体不可分の商標で、図の構成も異なる非類似の商標であり、請求人の業務が限られていることも相俟って何等出所の混同を生ずるようなものでもない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号の規定に該当するものではない。
(1)本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かについて
本件商標は、別記(1)に表示したとおり3個のキューピー人形の図形と「Kewpieworld」の欧文字の組み合わせよりなるものであるところ、該欧文字は、3個のキューピー人形の胴体部分を横切るように顕著に表されているものである。
そして、本件商標の構成中「Kewpieworld」の文字およびその背後に描かれている3個のキューピー人形の図形は、外観上まとまりよく一体的に表されており、これより生ずると認められる「キューピーワールド」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そうとすれば、本件商標は、文字と図形とが相まって「キューピーワールド」の一連の称呼と「キューピーの世界」の如き観念を生じさせるものと判断するのが相当である。
他方、引用A商標ないし引用D商標は、各図形および文字から「キューピー」(キューピー人形)の称呼及び観念を生じさせるものと認められるものである。
そこで、本件商標より生ずる「キューピーワールド」の称呼と引用A商標ないし引用D商標より生ずる「キューピー」の称呼とを比較するに、両称呼は、構成音数の差異により明らかに聴別し得るものである。
さらに、本件商標と引用A商標ないし引用D商標とは、外観上互いに区別し得る差異を有し、また、本件商標は、「Kewpieworld」の文字および背後の3個のキュ−ピー人形の図形が相まって「キューピーの世界」の如き観念を生ずるものに対して、引用A商標ないし引用D商標は、「キューピー」(キューピー人形)の称呼・観念を生じさせるものであるから、両者は観念上も何ら類似するものではない。
してみれば、本件商標と引用A商標ないし引用D商標とは、称呼、外観及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標といい得るものである。
(2)本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するか否かについて
本件商標と引用A商標ないし引用D商標とが非類似の商標であること上記(1)認定のとおりである。
そして、引用A商標ないし引用D商標と同様「キューピー」(キューピー人形)の称呼・観念を生じさせる引用E商標及び引用F商標についても上記(1)同様に判断し得るものであり、他に混同を生ずるとすべき格別の事情も見出し得ないから、引用E商標及び引用F商標が本件商標の登録出願時には請求人の業務に係る商品「マヨネーズ」等の商標として取引者・需要者の間において広く認識されていたものと認められるとしても、本件商標をその指定商品に使用した場合、引用E商標及び引用F商標を連想又は想起するとは認められず、その商品が請求人又は請求人と関係のある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
なお、請求人の援用する登録例及び判決例等は、いずれも本件と事案を異にするものであるから、それに基づく請求人の主張は採用し難い。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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