sokuhyo

Trademark Appeal Case

称呼類似性と著名商標

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35300号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4098364号商標(以下「本件商標」という。)は、「オーガニックマート」の片仮名文字を横書きしてなり、第3類「せっけん類、香料類、化粧品、歯磨き、家庭用帯電防止剤、家庭用脱脂剤、さび除去剤、染み抜きベンジン、洗濯用漂白剤」を指定商品として、平成8年6月11日に登録出願、同9年12月26日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張の要点

1 請求の趣旨

「本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」旨の審決

2 請求の理由

(1)商標法第4条第1項第11号違反

無効審判請求人(以下、「請求人」という。)は、自己の保有する次の登録商標を引用する。

1)登録第4070825号商標(以下、「引用商標1」という。)は、欧文字『ORGANICS』を横書きしてなるものであり、第4類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、平成3年12月13日に登録出願、平成9年10月17日に設定登録されたものである(甲第2号証)。

2)登録第4070826号商標(以下、「引用商標2」という。)は、片仮名『オーガニックス』を横書きしてなるものであり、第4類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、平成3年12月13日に登録出願、平成9年10月17日に設定登録されたものである(甲第3号証)。

3)登録第3071315号商標(以下、「引用商標3」という。)は、欧文字『ELIDA ORGANICS』を横書きしてなるものであり、第3類「せっけん類、香料類、頭髪用化粧品、香水類、制汗用化粧品、防臭性化粧品、その他の化粧品、歯みがき」を指定商品として、平成5年2月5日に登録出願、平成7年8月31日に設定登録されたものである(甲第4号証)。

(ア)最初に、引用商標1、引用商標2及び引用商標3の称呼及び観念を検討するに、引用商標1は、欧文字『ORGANICS』にて構成されるものである。同商標は、英語『ORGANIC』に『S』を付加したものであり、「オーガニックス」の称呼及び「有機的」等の観念を生ずる。(甲第5号証)

引用商標2は、片仮名『オーガニックス』にて構成されるところ、引用商標1を片仮名にて表示したものであるから、引用商標1と同様に「オーガニックス」の称呼及び「有機的」等の観念を生ずる。

更に、引用商標3は、欧文字『ELIDA ORGANICS』にて構成されるところ、『ELIDA』と『ORGANICS』との間にスペースを置いてなり、また、両者の言葉の間に直接かつ密接な関連が見出されないから、「エリーダオーガニックス」の称呼のみならず、「エリーダ」及び「オーガニックス」の称呼、並びに、「有機的」等の観念を生ずる。

(イ) 付言するに、引用商標1は、「シャンプー」について使用され、本件商標の出願日以前より今日に至るまで、同商品の需要者取引者の間で広く認識されている。

以下に、引用商標1の使用情況を概括的に説明する。

a 使用に係る商品: シャンプー

b 使用開始年月日: 平成7年3月1日

c 使用地域及び商標の使用に係る商品の販売先:

・日本全国

・スーパーマーケット、ドラッグ・ストア一、コンビニエンス・ストア一その他のシャンプー取り扱い店舗

d 商標の使用に係る商品の年間販売高及び年間宣伝額:

年 販売高 宣伝費用

平成7年 60億円 26億円

平成8年 60億円 24億円

平成9年 36億円 18億円

平成10年 30億円 12億円

(予測)

上記に商標の使用状況の概要を説明したように、引用商標1は、平成7年3月1日以来、商品「シャンプー」の商標として使用されてきた。同商品の発売開始と同時に精力的な営業活動を行い、また、積極的な宣伝広告活動を展開した。ちなみに、発売初年度の平成7年には26億円を宣伝広告の費用に投じた。その甲斐あって、引用商標1の使用に係る「シャンプー」は、発売開始直後より好調な売上げを記録した。発売初年度の平成7年の売上高は60億円にもなり、単品の商品として誇るべき数値である。

その後も、毎年、20余億円ないし10余億円の費用を宣伝広告にかけ続けている。その結果、毎年、60億円ないし30億円の売上げを得ている。

次に、引用商標1の使用に係る商品の宣伝広告の方法を説明するに、宣伝広告は、主としてテレビジョンを媒介としている。ちなみに、引用商標1の使用に係るシャンプーは、主として若い女性に受け入れてもらうことにより市場への急速な浸透を図ることを販売及び宣伝広告の基本コンセプトとし、証拠方法として提出した「テレビジョン広告のためのプレゼンテーション資料」(甲第6号証の1ないし甲第6号証の7)の内容の宣伝広告が行われた。平成7年3月2日の放映開始時期に、マスメディアを通じて多量の宣伝広告を集中的に行った。幸いに宣伝広告の内容について消費者の好感を得ることもでき、発売当初より、高い売上を得た。それ以来、今日に至るまで継続的にテレビジョンを媒体とした宣伝広告が行われている。商品「シャンプー」に関心のある消費者(特に、若い女性層)であれば、上記のプレゼンテーション資料を見れば、実際にテレビジョンにて放映された宣伝広告の内容を思い出すと思われるくらい頻繁かつ大々的にテレビジョンを媒介とする宣伝は行われた。

また、雑誌等を媒介とする宣伝広告も行われている(甲第7号証の1ないし甲第7号証の6)。上記の通り、引用商標1の使用に係るシャンプーは、主として若い女性層への売り込みに力をいれており、雑誌を媒介とする宣伝広告も、平成7年の発売開始当初より今日に至るまで、これらの人々を主な購読者層とする雑誌に継続的かつ効果的に掲載されているのである。

さらに、請求人は、せっけん類や化粧品等さまざまな商品を製造販売するが、これらの商品の中でもシャンプーその他せっけん類は主要な商品のひとつである。需要者の間でも、請求人が製造販売するシヤンプーその他のせっけん類の評価は非常に高く、結果として、高い売上げシェアを得ている。スーパーマーケット、ドラッグストア一、コンビニエンスストア一その他の店舗のシャンプー陳列コーナーにおいて、請求人の製品が相当のスペースを占めていることは容易に確認できる。請求人の営々たる努力によって築きあげられた強力な商品販売力(販売網や小売店舗における自社製品陳列スペース等を含む。)により、引用商標1の使用に係るシャンプーは、発売開始と同時に、スーパーマーケット、ドラッグストア一、コンビニエンスストア一その他の小売店舗のシャンプー陳列コーナーに大きなスペースを占めることができた。

かような事情も相俟って、請求人が引用商標1の下に販売を開始した新製品のシャンプーは、平成7年3月1日の発売開始当初より順調に市場に受け入れられた。この結果、引用商標1は、本件商標の出願日(平成8年6月11日)以前からシャンプーの需要者の間に極めて広く認識されていたものである。いわんや、同商品の製造、販売をその業務とする取引者の間において、引用商標1の使用に係るシャンプーは発売開始直後より十二分に著名なものであった。その後、今巳に至るまで引き続いて、引用商標1の使用に係るシャンプーは、その需要者、取引者の間で著名なものである。

(ウ)次に、本件商標の称呼及び観念についてみるに

本件商標は、片仮名『オーガニックマート』を同書・同大・同間隔に書してなるものである。

わが国一般人の平均的な言語知識に照らして、指定商品の需要者・取引者は、同商標が『オーガニック』と『マート』の2つの言葉から構成されていることを即座に理解することができる。

前者(すなわち、『オーガニック』)は、「オーガニツク」と発音され、かつ、「有機的」等の意味を有する。また、後者(すなわち、『マート』)は、「マート」と発音され、「市場」等の意味を有する(甲第5号証)。

さて、本件商標の指定商品は、第3類「せっけん類、香料類、化粧品、歯磨き、家庭用帯電防止剤、家庭用脱脂剤、さび除去剤、染み抜きベンゼン、洗濯用漂白剤」であり、スーパーマーケットその他の小売業者を通じて一般消費者に購入されることの多い商品である。これらの指定商品との関係において本件商標の後半部分(すなわち、片仮名『マート』)を考察するに、指定商品の販売場所と関連ある言葉として用いられることも少なくない。例えば、スーパーマーケットの屋号には、「○○○○マート」の如く、「マート」を含むものも少なくない。

したがって、本件商標の後半部分『マート』は、自他商品を識別する機能が弱い部分であると認められる。本件商標にあって、自他商品の識別機能は、専ら、冒頭にあって強く印象に残る前半部分『オーガニック』によって発揮される。

殊に、上記(イ)において説明したように、引用商標1はシャンプーについて需要者取引者の間で極めて広く認識されている。かような取引の実情を考慮するに、簡易迅速を尊ぶ取引場裡において、本件商標に接した需要者取引者は、本件商標の冒頭部分「オーガニック」に着目し、本件商標の冒頭部分より生ずる略称「オーガニック」をもって取引に資することも少なくない。

指定商品との関係や取引の実情を考慮の上で本件商標の称呼及び観念を検討するならば、「本件商標から、その全体より生ずる「オーガニックマート」の称呼のみならず、単に「オーガニック」の省略した称呼も生ずるものである。

しかして、本件商標から生ずる称呼「オーガニック」は、引用商標1、引用商標2及び引用商標3から生ずる称呼「オーガニックス」と比較した場合、前者が4音からなるのに対して後者が5音からなり、後者の末尾音(すなわち、第5音)に「ス」の音があることにわずかな差異が見出せるにすぎない。両者の称呼は、音声によって商標を識別する際に特に重要な役割を占める語頭音(第1音)を含めて、第1音から第4音までのすべての音(すなわち、「オー」、「ガ」、「ニッ」、「ク」)が全く同じ音で構成される。唯一の相違である後者の第5音「ス」は、無声摩擦音の弱音であるばかりでなく、一般的に末尾音は弱く発音される。よって、両者の称呼は、全体の語韻語調が極めて紛らわしい。

本件商標は、離隔観察上、その称呼において引用商標1、引用商標2及び引用商標3と混同を生ずる虞の高い類似商標である。

いわんや、本件商標並びに引用商標1、引用商標2及び引用商標3は、全く同じ意味(すなわち、「有機的」)を表すものであるから、両商標が、観念上、混同する虞があることはもちろんのことであるが、そればかりでなく、両商標の称呼を考える場合にあっても、観念上の同一性が故に、称呼にあっても、需要者が両商標を混同する危険性が極めて高くなる。

また、本件商標の指定商品中「せっけん類、香料類、化粧品、歯磨き」は、引用商標1、引用商標2及び引用商標3の指定商品と同一または類似する商品である。

したがって、本件商標は、その指定商品中「せっけん類、香料類、化粧品、歯磨き」について商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものとして、同法第46条の規定により登録を無効にされるべきである。

(エ)ちなみに、商標の類否判断は、単に取引の経験則のみならず、取引の事情をも考慮して行われるべきである。

過去の審判事件においても、商標の著名性を考慮に入れて商標の類否判断を行っている。

1)商標『SONYLINE』は、商標「SONY」と類似する(昭和46年審判第754号審決)。(甲第11号証の1)

審決の要旨:

商標『SONYLINE』の前半部分「SONY」は、ソニー株式会社の製品に使用される著名商標を示すものといえるのに対して、後半部分「LINE」は、「系列」、「系」等を表す格別の限定的な意味を持たない、諸般の分野において普通に用いられる語として疎薄な印象を与えるに止まる。

簡易迅速を尊ぶ取引場裡における同商標の取引者需要者は、冒頭にあって強く印象に残る「SONY」の文字部分に着目し、これ,より生ずる称呼をもって略称して取引に賢せられる場合が決して少なくない。

同商標は、全体としての「ソニーライン」の称呼のみならず、単に「ソニー」の称呼も生ずる。

2)商標『SONYTEL』は、商標『SONY』と類似する(昭和45年審判第109884号審決)。(甲第11号証の2)

審決の要旨:

『SONY』の文字からなる商標は「音響機器」に使用され、需要者間に広く認識されていることは顕著な事実である。

『SONYTEL』の文字からなる商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者需要者は、上記の事情からして、同商標中「SONY」の綴字の部分に強く注意を惹かれ、かつ印象されるものと言えるから、該文字部分より生ずる「ソニー」の称呼により取引にあたる場合も少なくない。

(2)商標法第4条第1項第15号違反

請求人は、上記(1)の(イ)において、引用商標1がシャンプーについて使用され、本件商標の出願日以前より今日に至るまで、需要者取引者の間で広く認識されていることを説明した。

また、上記(ウ)においては、本件商標の構成態様上、冒頭部分の片仮名『オーガニック』が強く印象に残る部分であると認められるべきものであるから、本件商標より省略した称呼「オーガニック」が生ずることも少なくないと主張した。

上述のように、引用商標1の使用に係るシャンプーは、少なくとも本件商標の登録出願の時期より以前から今日に至るまで、同商品の需要者取引者の間に極めて広く認識されていたものである。

本件商標『オーガニックマート』は、『オーガニック』と『マート』から構成されると容易に理解される。また、本件商標の指定商品である「せっけん類、香料類、化粧品、歯磨き、家庭用帯電防止剤、さび除去剤、染み抜きベンジン、洗濯用漂白剤」のほとんどが最終消費者を対象とする小売市場にて販売されるものであり、かかる商品との関係において本件商標の後半部分『マート』は自他商品の識別機能が弱い。

本件商標の指定商品中、「せっけん類、香料類、化粧品、歯磨き」等は、「シャンプー」と同様に、身体を衛生的かつさわやかに保つ等の目的のために使用される機会の多い商品であり、その用途において相互に密接な関連がある。また、同一の者によって製造され、同一の店舗にて販売される。更に、同一の商標の下に市場に提供されている商品が多数見うけられる商品である。また、本件商標の指定商品中「家庭用帯電防止剤、さび除去剤、染み抜きベンジン、洗濯用漂白剤」も、シャンプーの製造販売者と同一の者によって製造販売される商品であり、同一の商標にて市場に提供されることがあると需要者に認識されるものである。

かような事情において、本件商標を付した指定商品に接した需要者は、強く印象に残る冒頭部分『オーガニック』に注意を惹かれ、『ORGANICS』の文字よりなる引用商標1を付した請求人のシャンプーとその出所が同一の商品であるのか如く、あるいは、請求人の子会社その他の密接な関係がある者の製造販売する商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は、他人の業務にかかる商品と混同を生ずるおそれがある商標であるから商標法第4条第1項第15号の該当するものであり、同法第46条の規定により登録を無効にされるべきである。

(ア)ちなみに、過去の審判事件においても、他人の著名商標の存在を考慮して、商標法第4条第1項第15号の規定を適用し、商標の登録を拒絶あるいは無効にしている。下記の事例はその一部である。これらの事例に照らしても、本件商標は登録を無効にされるべきものである。

1)商標『カーキムコ/CAR KIMCO』(のりおよび接着剤、薬剤、医療補助品)は、商標『KINMCO/キムコ』(脱臭剤)と混同を生ずる虞がある(昭和47年審判第419号審決)。(甲第12号証の1)

審決の要旨:

商標『カーキムコ/CAR KIMCO』を、「薬剤」特に「防臭剤」について使用する場合には、「脱臭剤」の商標として著名なアメリカン・ドラッグ・コーポレーションとの間に何らかの関係を有する者の製造販売にかかる商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。

2)商標『JUNCRAFT』(被服、布製身回品、寝具類)は、商標『JUN』(被服)と混同を生ずるおそれがある。(昭和45年審判第4491号審決)。(甲第12号証の2)

審決の要旨:

「CRAFT」は、工芸、手工芸等の意味に理解され、被服、織物を含め日用品の製作者及びその業界関係者において、その意味において盛んに使用されている。商標『JUNCRAFT』は、「JUN」と「CRAFT」を運綴したものであり、相互に関連のない語である。

株式会社ジュンの商標『JUN』は,被服等について取引者需要者に著名である。

そうしてみると、商標『JUNCRAFT』を付した「被服、布製身回品、寝具類」に接した需要者は、そのうちの「JUN」に注意を惹かれ、上記会社の「JUN」の文字からなる商標を付した商品とその出所が同一のものであると誤認混同するおそれがある。

3)商標『ダイヤキューピー』(パン粉)は、商標『キューピー』(マヨネーズ等)と混同を生ずる虞がある(昭和43年審判第4258号審決)。(甲第12号証の3)

審決の要旨:

商標『ダイヤキューピー』は、その構成中に「キューピー」の片仮名文字を含む。

同商標が「パン粉」について使用された場合、キューピー株式会社が「マヨネーズ」等商品に使用する商標「キューピー」が著名であるという事実および「パン粉」と「マヨネーズ」が関連性があり、かついずれも一般食料品店にて取引されることがきわめて多い実情よりすれば、あたかも同一の出所に係る商品であるかの如く混同することが決して少なくない。

4)商標『ちふれ』(穀物、豆、粉類、飼料、種子類、その他の植物および動物で他の類に属しないもの)は、商標『ちふれ』(化粧品)と混同を生ずるおそれがある。(昭和53年審判第10859号審決)。(甲第12号証の4)

審決の要旨:

商標『ちふれ』は「化粧品」について使用する商標として著名であり、かつ、同商標の所有者は各種の事業を行っている団体であることも相侯って、「ちふれ」の称呼を同じくする商標を「穀物、豆、粉類、飼料、種子類、その他の植物および動物で他の類に属しないもの」に使用するときは、恰も前記所有者の取り扱いに係る商品であるかの如く商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。

5)商標『ポーラ衛材株式会社』(紙類)は、商標『ポーラ』(化粧品)と混同を生ずるおそれがある。(昭和45年審判第5790号審決)。(甲第12号証の5)

審決の要旨:

商標『ポーラ衛材株式会社』を構成する文字中、「衛材」の文字は、指定商品との関係よりすれば「衛生材料」を略称したものと認められ、識別力の弱い部分である。

同商標の指定商品には「ティッシュペーパー、チリ紙」等女性ないしその化粧に関係のある商品が含まれ、これらの商品は、小売販売では、化粧品と同一の薬局、小間物屋等で店頭販売され、デパートでも近接した場所で販売されることが多い。また、多角経営時代の今日、テッシュペーパー等は化粧品と同一人が取り扱うと認識されがちである。

したがって、商標『ポーラ衛材株式会社』をその指定商品について使用した場合、著名商標『ポ」ラ』の文字に印象づけられ、同著名商標の所有者の業務に係る商品と同一の出所を有するか、少なくともこの者の子会社、関連会社によって生産、販売される商品であるかの如く、その出所について混同するおそれがある。

6)商標『C・B/シービー』(菓子)は、商標『C &B』(マーマレード、ジャム、カレー粉等)と混同を生ずる虞がある(昭和46年審判第9651号審決)。(甲第12号証の6)

審決の要旨:

商標『C & B』は、本件商標の出願時には既に著名であり、また、同商標の使用に係る商品「マーマレード、ジャム、カレー粉」等は、商標『C・B/シービー』の指定商品中「クッキー」等の洋菓子の原料として使用され、また、ジャム等の加工品は菓子と同一の店舗にて取引されることが多く、これらの商品は密接な関係にある。

したがって、商標『C・B/シービー』を「菓子」について使用するときは、商標『C & B』の権利者あるいはこれと関連のあるものの取り扱いに係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

7)商標『モンブラン』(食肉、魚介類、海そう類、肉製品、加工水産物、かつお節、削り節、とるろこんぶ、干しのり、焼のり、干しわかめ、干しひじき、すし、べんとう、カレーライスの素、スープの素、ふりかけ、お茶づけのり、なめ物)は、商標『モンブランノ/MONT−B LANC』(洋菓子、パン)と混同を生ずるおそれがある。(昭和49

年審判第4022号審決)。(甲第12号証の7)

審決の要旨:

商標『モンブラン/MONT−BLANC』は、洋菓子、パンについて商標『モンブラン』の出願時以前より著名である。

商標『モンブラン』の指定商品中「すし及びべんとう」は、「洋菓子、パン」と共に同一販売店で取り扱われ、用途、販売店等を共通にすることもあり得る。

したがって、商標『モンブラン』を指定商品中「すし及びべんとう」について使用する場合には、商標『モンブラン/MONT−BLANC』を使用する者が製造販売する商品であるかの如く、その出所につき混同を生じさせるおそれがある。

(3)商標法第4条第1項第7号違反

上記(2)において述べたように、引用商標1は、シャンプーを表示する商標として、本件商標の出願日以前より今日に至るまで日本国内において極めて広く知られたものである。

本件商標の権利者は「せっけん類、香料類、化粧品、歯磨き、家庭用帯電防止剤、さび除去剤、染み抜きペンジン、洗濯用漂白剤」について業として商標の使用せんとするのであるから、請求人と同じ種類の商品を製造販売する、いわゆる同業他社と認められる。したがって、引用商標1の使用の下にて請求人が製造販売を開始し、かつ、テレビジョンや雑誌等のマスメディアを媒介として活発に宣伝広告活動を行った請求人の新製品のシャンプーを、同製品の市場への投入と同時期に知っていたと認められてしかるべき立場のものである。

本件商標の出願日は、平成8年6月11日である。すなわち、引用商標1の使用に係る請求人のシャンプーが市場に投入されてから15ヶ月後に出願された。同時期には、請求人のシャンプーは既に60億円を超える売上を達成し、成功した新製品であった。かような頃に引用商標を構成する文字『ORGANICS』に該当する片仮名『オーガニック』を含む商標を採択せんとする行為は、請求人のシャンプーの順調な市場への浸透に鑑み、請求人のシャンプーについて使用する引用商標1に化体した顧客吸引力にあやかって、不当な利益を得る目的から出願されたものと認められてしかるべきである。

事実、請求人が本件商標をシャンプーについて使用し大々的な宣伝広告を始めた後に、『ORGANIC』ないし『オーガニック』の文字を含む商標が第三者によって続々と出願された。かような商標採択の傾向は改められるべきである。尚、請求人の商品の市場への投入後における第三者名義の『ORGANIC』ないし『オーガニック』の文字を含む商標の登録出願の事例は、容易に職権調査可能である。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当するものであり、商標法第46条に基づき登録を無効にされるべきである。

(4)商標法第4条第1項第19号違反

引用商標1の使用に係るシャンプーは日本国のみにて販売されたものではなく、日本発売に先立って世界各国において発売され、日本発売の頃には既に世界各国の市場において需要者に広く知られていた製品である(甲第8号証)。また、引用商標1と同一の商標が世界各国において出願、登録されている(甲第9号証、甲第10号証の1ないし甲第10号証の8)。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の規定にも該当するものであり、同法第46条の規定により登録を無効にされるべきである。

3 証拠方法

請求人は、証拠方法として甲第1号証ないし同第12号証(枝番を含む。)を提出している。

第3 被請求人の答弁の要点

1 答弁の要旨

結論同旨の審決

2 答弁の理由

(1)商標法第4条第1項第11号について

1)本件商標は片仮名文字で「オーガニックマート」を一連横書きにしてなる。

これに対して、引用商標1は欧文字で「ORGANICS」を横書きにし、引用商標2は片仮名文字で「オーガニックス」を横書きにし、そして引用商標3は欧文字で「ELIDA ORGANICS」を一連横書きにしてなる。したがって、本件商標と引用商標1乃至3とは外観において相紛れることなく非類似である。

2)イ.次に、本件商標と引用商標1乃至3との称呼及び観念について述べる。

本件商標「オーガニックマート」からは「オーガニックマート」の称呼が生じる。

これに対して、引用商標1「ORGANICS」及び引用商標2「オーガニックス」からは「オーガニックス」の称呼が生じ、又、引用商標3「ELIDA ORGANICS」からは「エリーダオーガニックス」、あるいは単に「エリーダ」及び「オーガニックス」の称呼が生じる。

本件商標は片仮名文字で「オーガニックマート」を一連横書きにし、同じ書体、同じ大きさで、左右軽重の差もなく、外観上まとまりよく構成されている。

そして、本件商標「オーガニックマート」に接する需要者は、「オーガニツク」部分及び「マート」部分の語義を逐一取り上げることなく、せいぜい構成全体をもって特定のスーパーマーケット等の名称を表示するものと理解するものである。

これに対して、請求人は、『本件商標は、わが国一般人の平均的な言語知識に照らして、「オーガニック」と「マート」の2つの言葉から構成されていることを即座に理解するものであり、又、本件商標「オーガニックマート」の「マート」の語は指定商品の販売場所と関連のある言葉として用いられることが少なくなく、例えば、スーパーマーケットの屋号には、「○○○○マート」の如く、「マート」を含むものも少なくない。したがって、本件商標の後半部分「マート」は、自他商品識別力の弱い部分であり、本件商標にあって自他商品識別機能は、専ら、冒頭の「オーガニック」部分によって発揮され、本件商標は、単に「オーガニック」の称呼をもって取引に資される』と主張している。

しかしながら、本件商標の「マート」部分は、近時「○○マート」、「○○ストア」等、冒頭に氏姓、地名等を冠して店舗名を形成するように用いられる例が多数見受けられるという実情から、「オーガニック」部分を組合わせることにより、特定の店舗名を示すものと認識されるものであり、又、簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては、適宜略称して取引に資される場合がないとは言えないものの、一般に名称についての略称は、その実体が客観的に認識できる限度においてのみなされているのが実情である(乙第1号証及び同第2号証)。

そうとすれば、本件商標「オーガニックマート」は、その構成と取引の実情から、構成する全体の文字が一体に認識され、一連に称呼しても何ら冗長でない「オーガニックマート」の称呼のみ生じるものである。

現に、商品区分第18類における審査例において、本件商標と同一の構成態様からなる商標「オーガニックマート」(登録第 4109087 号)が、引用商標「ORGANIC」(登録第1359097 号)と類似するとの拒絶理由通知を受けながら、上記趣旨の意見書を提出することにより、非類似であると判断され、登録されている(乙第3号証及び同第4号証)。

また、引用商標1乃至3は、「ORGANIC」の語に商品が液状であることを表示する「AQUA」の語を結合してなる商標「オーガニックアクア/ORGANICAQUA」(登録第2468151号)(乙第5号証)の後願として出願されたものであるが、これとは非類似であるとして登録されたものである。

ロ.請求人は、『本件商標出願日前の平成7年3月1日から引用商標1「ORGANICS」を使用したシャンプーを発売し、積極的な営業活動を行い、積極的な宣伝広告活動を行った結果、需要者の間で広く認識され、著名性を獲得するに至っていたことから、簡易迅速を尊ぶ取引場裡において、本件商標に接する需要者は本件商標の「オーガニック」部分に着目し、本件商標の冒頭部分より生じる略称「オーガニック」をもって取引に資される場合も少なくない』と主張している。

しかしながら、本件商標と同じ商品区分第3類(旧商品区分第4類)の審査例において、コンビニエンスストアの名称として著名な商標「ファミリーマート」(登録第 2617406 号)(乙第6号証)と商標「ファミリー」(登録第1615003 号)(乙第7号証)が非類似であるとして併存しており、同様にコンビニエンスストアの名称として知られる商標「Seicomart」(登録第2456026 号)(乙第8号証)と商標「セイコー」(登録第1973227 号)(乙第9号証)が非類似であるとして併存しており、又、ダイエーグループのスーパーの名称である商標「HYPERMART」(登録第 3284520 号)(乙第10号証)と商標「HYPER/ハイパー」(登録第 2051462 号)(乙第11号証)、ジャスコ(株)の商標「MEGAMART/メガマート」(登録第2610880号)(乙第12号証)と「メガ/MEGA」(登録第 2133842 号)(乙第13号証)、並びに商標「サニーマート」(登録第2385389号)(乙第14号証)と商標「サニー/SUN NY」(登録第 2289297 号)(乙第15号証)がそれぞれ非類似であるとして併存しており、これら登録例は、「マート(mart)」の文字と他の文字が結合してなる商標との類否にあっては、一方の商標が需要者の間で広く認識されるものであっても、「マート(mart)」の語とよく知られた語とが結合してなる商標にあっては、「マート(mart)」の文字部分を排して取引に資されることはないとして、「マート(mart)」と結合した語全体を一体のものとして類否判断がなされていることを端的に示すものである。

なお、請求人が提出する証拠甲第11号証は、いずれも創造語と自他商品識別力の弱い語が結合してなる商標についてのものであり、本件商標のようによく知られた語同士が結合してなる商標の場合とは明らかに事案を異にするものである。

ハ.更に言うならば、本件商標の「オーガニック」の文字部分は、少なくとも請求人の販売に係る商品シャンプーの発売前から「有機の、有機体の」の意味合いを有する語として周知の語であって(乙第16号証)、自他商品識別力の弱い語であり、したがって、本件商標「オーガニックマート」から「オーガニック」の文字部分のみを分離抽出して認識されるものではなく、本件商標と同様に「オーガニック」の文字を含むあらゆる商標に対して引用商標1の効力が及ぶとするならば明らかに不合理である。

したがって、本件商標からは、「オーガニックマート」のみの称呼が生じるものであり、単に「オーガニック」の称呼が生じることなど到底あり得ないものである。

3)観念においては、本件商標「オーガニックマート」は特定の意味合いを生じさせない造語である。

一方、引用商標1乃至3は、「ORGANICS(オーガニックス)」の語、あるいはこれを含むものであるが、「ORGANIC」の語が「有機の、有機体の」の意味合いを有する語として周知であるものの、引用商標1は「ORGANICS(オーガニックス)」であり、本件商標の「オーガニック」の文字部分とは語尾音における「ス」の有無に差異を有するのみであるものの、請求人が述べるわが国一般人の平均的な言語知識を鑑みれば、「ORGANICS(オーガニックス)」と「ORGANIC(オーガニック)」とでは明らかに別異の語であるとして認識されるものであり、この結果、引用商標1乃至3にあっても特定の意味合いを生じさせない造語である。

したがって、本件商標及び引用商標1乃至3は、共に特定の意味合いを生じさせない造語であり、観念において比較すべくもなく非類似である。

4)本件商標と引用商標1乃至3とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛らわしくなく非類似であり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

前述のように、本件商標と引用商標1乃至3とは非類似であり、本件商標に対して請求人がなした登録異議申立事件の決定において、本件商標と引用商標1乃至3とは商品の出所について混同を生じるおそれはないとの判断がなされている(乙第17号証)。

前述のように請求人は、『本件商標出願日前の平成7年3月1日から引用商標1を使用したシャンプーを発売し、需要者の間で広く認識され、著名性を獲得するに至っていた』と主張しているが、本件商標「オーガニックマート」の「オーガニック」及び「マート」の文字部分は周知の語であり、請求人の引用商標1「ORGANICS」は、ハウスマークとして用いられるものでもなく、しかも、商品シャンプーは、テレビコマーシャルをはじめとする媒体を利用して、大手メーカーが大々的に宣伝広告を行う場合も多い商品であることから、引用商標1「ORGANICS」が需要者の間で広く認識され、著名性を獲得していたとまでは言い得ないものである。

現に、本件商標と同じ商品「せっけん類」等が属する商品区分第3類において、「ORGANIC」の話に商品が薄片であることを表示する「FLAKE」の語を結合してなる商標「オーガニックフレーク/ORGANICFLAKE」(登録第4166909号)(乙第18号証)が、引用商標1を使用したシャンプー発売後の平成7年7月10日に出願され、引用商標1とは商品の出所について混同を生じさせるおそれがないとして登録されている。

しかも、本件商標は、需要者、取引者の通常有する注意力をもってすれば、特定のスーパーマーケット等の名称を表示するものと認識され、引用商標1乃至3とは明らかに別異の商標であり、「オーガニック」部分のみを分離抽出して認識されるものではない。

これに関して、引用商標1を使用した商品シャンプーと共に、薬局、スーパーマーケット等で販売される商品「人工甘味料」が属する商品区分第1類、商品「薬剤」等が属する商品区分第5類、商品「携帯用化粧道具入れ」が属する商品区分第18類、商品「化粧用具(「電機式歯ブラシ」を除く。)」が属する商品区分第21類において、本件商標と同一の構成からなる商標が、商品について出所の混同を生じるおそれがないとして登録されている(乙第19号証乃至同第21号証、乙第3号証)。

したがって、本件商標「オーガニックマート」が「オーガニック」の文字を有することをもって、引用商標1を付した請求人のシャンプーと商品の出所について混同を生じさせるおそれなどあり得ない。

(3)商標法第4条第1項第7号について

前述のように、本件商標「オーガニックマート」は、引用商標1乃至3とは商品の出所について混同を生じるおそれはなく、被請求人が本件商標を採択するに際し、請求人が商品「シャンプー」について使用する引用商標1に化体した顧客吸引力にあやかって不当な利益を得ようとしているはずなどあり得ない。

請求人は、『引用商標1乃至3をシャンプーについて使用して以来、「オーガニック」の文字を含む商標が第三者によって続々と出願された』と主張しているが、本件商標が属する商品区分第3類では特にこのような傾向はなく、他の商品区分で出願件数が増加しているとすれば、これはいわゆる「オーガニック(フード)」等、有機栽培された原材料を使用した商品が注目を浴びたことによるものであり、請求人のシャンプーの販売とは全く無関係である。

(4)商標法第4条第1項第19号について

本件商標「オーガニックマート」は、既に述べたように引用商標1乃至3とは非類似であり、本件商標が本規定に違反して登録されたものでないことは明らかである。

(5)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第7号及び商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。

3 証拠方法

被請求人は、証拠方法として乙第1号証ないし同第21号証を提出している。

第4 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号について

(1)本件商標は、「オーガニックマート」の文字を書してなるところ、これを構成する「オーガニック」および「マート」の各文字は、前者が「有機体の、有機的な」等の意味合いを有する英語「organic」に、そして、後者は「市場(market)」等の意味合いを有する英語「mart」に、それぞれ由来する外来語であり、ともに一般に馴染み知られている語である。

そして、本件商標は、その構成中の「オーガニック」の文字と「マート」の文字とは、外観上まとまりよく一体に構成され、観念上も、全体として「有機的な市場」の如き意味合いを把握することができるところ、「マート」の文字が固有名詞の一部として使われることから、全体として「有機的な市場」を意味する「オーガニックマート」という固有な名称を表してなるものというのが相当である。

また、これより生ずると認められる「オーガニックマート」の称呼も格別冗長というべきでなく、よどみなく一連に称呼できるものであり、他に構成中の「オーがニック」の文字部分のみが独立して認識されると見るべき特段の事情は見出せない。

そうとすれば、本件商標は、その構成文字に相応し、「オーガニックマート」のみの一連の称呼を生ずるものであって、固有な名称としての「オーガニックマート」の観念を生ずるものである。

(2)引用商標1は「ORGANICS」の文字を書してなるから、これより「オーガニックス」の称呼および「有機的」等の観念を生ずるものである。引用商標2は「オーガニックス」の文字を書してなるから、これより「オーガニックス」の称呼および「有機的」等の観念を生ずるものである。そして、引用商標3は「ELIDA ORGANICS」の文字を書してなるところ、その構成中の「ELIDA」「ORGANICS」との間にスペースを置いてなり、また、両者の語の間に直接かつ密接な関連を見出せないから、これより「エリーダオーガニックス」の称呼のみならず、「エリーダ」および「オーガニックス」の称呼、並びに、「有機的」等の観念を生ずるものである。

(3)そこで、本件商標と引用商標1ないし3との類否についてみるに、本件商標と引用商標1ないし3は、前記のとおり構成よりなるから、外観上明らかに区別し得る差異を有するものである。

称呼についてみるに、本件商標より生ずる称呼「オーガニックマート」と引用商標1ないし3より生ずる称呼「オーガニックス」、および、引用商標3より生ずる称呼「エリダ」並びに「エリダオーガニック」のそれぞれを比較すると、それぞれの称呼はその構成音数において差異があるものであるから、それぞれを一連に称呼するときは充分に区別し得るものである。

更に、観念についてみるに、本件商標は固有な名称「オーガニックマート」を表すのに対して、引用商標1ないし3は「有機的」等の観念を生ずるものであるから、観念については比較することができないものである。

(4)そうとすると、本件商標と各引用商標とは、外観、称呼、観念のいずれの点よりみても、類似しない商標といわざるを得ない。

2 商標法第4条第1項第15号について、

請求人の提出する各甲号証をみるに、世界各国におけるテレビジョン広告の放映タイトルと放映国一覧表(甲第8号証)、世界各国における商標登録・出願一覧表(甲第9号証)、アルゼンチン登録第1536564号登録証写し(甲第10号証の1)、国際登録第580041号登録証写し(甲第10号証の2)、ベネルクス登録第515542号登録証(甲第10号証の3)、アイルランド登録第148532号登録証写し(甲第10号証の4)、フインランド登録証写し(甲第10号証の5)、パキスタン登録第114842号登録証写し(甲第10号証の6)、マルタ登録第24391号証写し(甲第10号証の7)、タイ登録第号証写し(甲第10号証の7)によれば、「ORGANICS」の文字を基調とする商標が上記各国で登録されていることが認められる。しかしながら、「ORGANICS」なる商標が上記各国において使用され、それが需要者、取引者間に広く知られていることを理解、把握させるにたりる具体的な証拠の提出もないものであるから、かかる証拠(甲第8号証ないし同第10号証の1ないし7)のみによっては上記各国において著名な商標として認識されてるものとは判断しがたいものである。

しかして、テレビジョン広告ためのプレゼンテーション資料(甲第6号証の1ないし7)によれば、それは商品「シャンプー」について引用商標1を用いたテレビジョンによる広告計画であって、平成7年3月2日(甲第6号証の1)、平成7年10月16日(甲第6号証の2)、平成8年2月29日(甲第6号証の3)、平成8年7月26日(甲第6号証の4)、平成9年2月3日(甲第6号証の5)、平成10年1月19日(甲第6号証の6)、平成10年8月19日(甲第6号証の7)の7回にわたるものであり、それぞそれは30秒間放映されるものであることが認められる。しかしながら、テレビジョンによる商品「シャンプー」についての引用商標1が、どこのテレビ局で、どのような地域で、どのような時間帯にどのくらいの回数にわたって放映されるものであるか明らかでないところ、その放映時間も30秒という短いものであり、そのうちの平成8年7月26日以降の放映については本件商標の登録出願日以後の放映であってみれば、平成7年3月2日および平成7年10月16日のテレビジョン広告によってのみでは、商品「シャンプー」についての引用商標1が、本件商標の登録出願前から取引者、需要者間に広く認識されてるとはいい難いものである。

また、雑誌広告写し(甲第6号証の1ないし6)によれば、平成7年掲載分(甲第7号証の1)、平成8年掲載分(甲第7号証の2)、平成9年掲載分(甲第7号証の3)、平成9年掲載分(甲第7号証の4)、平成9年掲載分(甲第7号証の5)、平成9年掲載分(甲第7号証の6)の3年にわたって、商品「シャンプー」について引用商標1を用いた広告がされたことは認められるとしても、かかる広告がどのような雑誌に何回ほど掲載されたのか明らかではなく、そのうちの平成9年掲載分については本件商標の登録出願日以後に発行されたものであるから、平成7年および平成8年に係る掲載分によっては、商品「シャンプー」についての引用商標1が本件商標の登録出願前から取引者、需要者間に広く認識されてるとはいい難いものである。

そうしてみると、「ORGANICS」の文字を基調とする商標が日本以外の国においても登録されているからといって、これをもって引用商標1が国内において広く知られた商標ということもできず、また、テレビジョン広告ためのプレゼーション資料および雑誌広告写しによっても、商品「シャンプー」についての引用商標1が、本件商標の登録出願前から取引者、需要者間に広く認識されてるものとは認められない。

3 商標法第4条第1項第7号について

本件商標は、「オーガニツクマート」の文字を書してなるところ、その構成文字自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字ではなく、指定商品について使用しても社会的公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するものでもなく、また、法律によって、その使用等が禁止されている商標、特定の国若しくはその国民を侮辱する商標又は一般に国際信義に反する商標でもない。

商品「シャンプー」について引用商標1が使用されているとしても、それは著名な商標とはいえないこと、前記2で述べたとおりであるから、引用商標1に化体された顧客吸引力にあやかって、不当な利益を得る目的から「オーガニックマート」の文字を選択、採用したものとはいいがたい。

4 商標法第4条第1項第19号について

本件商標は、「オーガニツクマート」の文字を書してなるところ、商品「シャンプー」について引用商標1が使用されているとしても、それは著名な商標とはいえないこと、前記2で述べたとおりであり、そして、1で述べたように本件商標と引用商標1とは非類似の商標である以上、本件商標は、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的)をもって採択、選択されたものとはいいがたい。

5 結語

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、第15号、第7号、第19号の規定に違反して登録されたものではなく同法第46条第1項第1号に該当しないものであり、請求人の審判請求は、理由がないから成り立たないものとし、審判費用の負担については、商標法第56条第1項、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定を適用して、請求人が負担とすべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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