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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35311号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4040399号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ROUX DI PERFE」の欧文字と「INTERNAZIONALE」の欧文字を上下二段に書してなり、第3類「せっけん類、香料類、化粧品、歯磨き、つや出し剤、研磨紙、研磨布、研磨用砂、人造軽石、つや出し紙、つや出し布、靴クリーム、靴墨、塗料用剥離剤」を指定商品として、平成7年11月20日に登録出願され、平成9年8月8日に登録されたものである。

第2 請求人の主張の要点

1 請求の趣旨

「本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決

2 請求の理由

(1)商標法第4条第1項第11号に関する主張

登録第504740号商標(以下、「引用商標A」という。)は、「ROUX」の欧文字を書してなり、第2類「毛髪染料、睫毛及び眉用色素、睫毛及び眉毛色素剥り剤、毛髪『トナー』、毛髪顔料、クレヨン状毛髪色素、毛髪着色及び漂白用酸化物、オイルシャンプー兼用毛髪色素、毛髪用漂白油、毛髪用色素混合物、パステル状毛髪用色素及びシャンプー兼用毛髪色素」を指定商品として、昭和31年7月7日登録出願、昭和32年6月28日設定登録されたものである。 同じく、登録第2082835号商標(以下、「引用商標B」という。)は、「ROUX」の欧文字と「ルウ」の片仮名文字とを上下二段に書してなり、第4類「せつけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、昭和61年4月22日登録出願、昭和63年10月26日設定登録されたものである。

そこで、本件商標と引用商標A及びBの類似性について検討すると、本願商標はその構成中の英文字に相応して「ルウ ディ ペルフェ」の称呼生ずると考えられるが、同時に本件商標からは「ルウ」のみの称呼も生ずるというべきである。

なぜなら、本件商標を構成する「ROUX」「DI」「PERFE」「INTERNAZIONALE」の組み合わせは、一気に称呼するには冗長で普通の日本人には発音しづらい。さらに、本件商標の前半部分「ROUX(ルウ)」は、元来「料理用ソース」や「赤毛」の意味を有するフランス語であるが、後述するように、請求人が、古くから毛髪染料の商標として採択・使用し、我が国において40年以上もの間使用されている商標であり、現在の美容業界では請求人の商標として広く知られているものである。

すなわち、本件商標は、請求人の商標として我が国の需要者・当業者間において定着している「ROUX」の商標を語頭におき、「ROUX」がフランス語であるにもかかわらず、その後に続く「DI(ディ)」及び下段の「INTERNAZIONALE(インテルナツィオナーレ)」はイタリア語であり、「PERFE」はおそらく英語の「PERFECT」を省略したものと思われる。いずれにしろ「ROUX」「DI」「PERFE」「INTERNAZIONALE」を組み合わせた語は、何ら特定の熟語的意味合いを有するものではなく、一連に称呼するには冗長で、一個のまとまりを有する言葉あるいは標識として認識されるものではにない。ここには、本件商標を使用することにより、横文字に弱い(かっこいいと感じてしまう)日本人に対し、請求人が長い間かかって築き上げ蓄積してきた信用を利用して、顧客の獲得を謀ろうとする被請求人作意が感じられる。

したがって、本件商標からは、看者が最も注意を引きつけられやすい前半部=「ROUX」の部分が他の部分から分離独立して認識され、「ROUX」が毛髪剤・化粧品等について請求人によって長年使用されていきた商標であることとも相俟って、引用商標「ROUX」と容易に関連づけられて認識されるおそれが高い。とくに、流行に左右されやすくライフサイクルが短い商品の多い「化粧品」等の業界においては、人気ブランド商品の販売年数が長くなると、販売戦略・公告展開方法等のマンネリ化を防ぐため、著名商標の構成要素の一部を変更したり、他の短い単語を付加あるいは削除する等してリニューアル効果やイメージチェンジを狙うことが行われる。

本件の場合にも、「ROUX DI PERFE」に接する一般の消費者等は、請求人の商標「ROUX」の一部変更使用による新ブランドが発表されたか、或いは「ROUX」の二次的なブランド(セカンドライン)であると認識するおそれがある。

したがって、本件商標からは「ルウ ディ ペルフェ」の他、単に「ルウ(ROUX)」のみの称呼・観念も生じるいとうべきであり、本件商標は、引用商標A及びBに類似し、同一又は類似の商品を指定商品としているから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第15号に関する主張

請求人は、アメリカ合衆国において化粧品・医療関連製品等を製造・販売している世界的に著名な法人「レブロン コンスーマー プロダクツ コーポレーション」の傘下にある関係会社である。引用商標「ROUX」は、請求人のハウスマークであり、引用商標を付した染毛剤は、世界中に輸出・販売されている。

日本においては、東京綿花株式会社や日本インターレップ株式会社を通じて、全国各地の理容店・美容店に引用商標を付した商品(染毛剤)が販売疎されている。理容・美容業界向けの業務用の商品であるため、一般の大衆にはそれほど知られていないが、長年に渡り理容・美容業界に向けた宣伝広告活動を、効果的に行ってきている(甲第4号証乃至甲第15号証)。

このことを裏付ける事実として、甲第16号証を提出する。これは「ROUX」商標を付した商品の総代理店である日本インターレップ株式会社が作成した「ROUX」製品の年間売上げ、広告宣伝費並びに広告を掲載した雑誌名と出版社名のリストである。このリストからも明らかなように、平成7年度の「ROUX」製品の年間売上高は、2憶4千万円にも達している。

以上のことから、「ROUX」が染毛剤の商標として、本件商標の出願日である平成7年11月20日以前から我が国の美容業界の需要者・取引者間において広く知られていた。

美容院や理容院においては、業務用の商品(染毛剤やシャンプー)顧客の目に触れる場所に展示し、販売を促すことが広く行われている。したがって、請求人の著名商標「ROUX」が付された「染毛剤」や「クレンザー(染毛剤を落とすせっけんの一種)」と本件商標「ROUX DI PERFE」の付された「せっけん類、化粧品」等とが同一店舗で並んで展示・販売されるようなことになれば、本件商標が付された商品は、あたかも請求人又はその関連会社の製造販売する商品であるかの如く、その出所につき誤認・混同を生じさせる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第19号に関する主張

請求人の商標「ROUX」が、毛髪剤・化粧品についての商標として長年に渡り使用されてきたことは既に述べたが、このような商標を構成要素とする類似商標の使用・登録を容認することは、請求人の商標が有する出所表示機能(指標力)を希釈化するばかりでなく、請求人の商標に化体した業務上の信用に“ただ乗り”する事を認めることになり、国際信義上穏当でない。また、出願人は、そのことにより不正の利益を得ることになる。

さらに、本件商標が請求人の著名商標「ROUX」と無関係に選択されたとは考えられず、その顧客吸引力を利用しようとするものであることは容易に看取されるというべきである。したがって、本件商標が請求人と何ら関連性の無い商品に使用すれば、著名商標「ROUX」に化体している請求人の、業務上の長年の信用が損なわれ、同商標によせる需要者・取引者の信頼を失う結果を招来する。

したがって、本件商標の使用は、客観的に不正の利益を得、若しくは請求人に損害を加える目的をもつというべきである。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

3 請求人の答弁に対する弁駁

(1)被請求人は、「被請求人は本件商標の指定商品(中略)の中から、せっけん類、香料類、化粧品、歯みがきを削除」すると述べているが、本件商標の登録原簿を見る限り、本件商標に係る商標権の一部抹消登録申請は行われてはいない(平成12年2月21日現在)。

(2)被請求人は、他の「ROUX」商標の登録例を挙げ「と言うことは特許庁は請求人の『ROUX』は請求人の独占的商標とは判断されていない。」と主張する。

しかしながら、答弁書で挙げている登録例は、本件と事案を異にするものである。なぜなら、出願人の商標が使用されている商品は、美容・理容業界を販売ルートとする「染毛剤」等であり、引用された登録例の指定商品は、請求人の業務とは全く関係がなく、また、一般人も混同するようなことが考えられないような商品ばかりである。したがって、この点の被請求人の主張は合理的理由がない。

(3)被請求人は、答弁書において「本件商標のROUX DI PERFE INTERNAZIONALEの『ROUX』が、請求人の甲第2号証及び同第3号証と類似だということに対して、部分が全体の一部と同一だというだけでは承服できない。また、日本で4件も「ROUX」が他の類で登録されている事実がある。『ROUX』の著名であるのは、理容店・美容店のごく一部にすぎない。」と主張している。つまり、被請求人は、理容店・美容店の一部では、出願人の「ROUX」商標が著名であることを自ら認めているものである。

さらに、平成11年6月14日付特許庁商標審査基準室発表の「周知・著名商標の保護等に関する審査基準の改正について」によれば、その九、第4条第1項第11号の審査基準第4項の(6)において『指定商品又は指定役務について需要者の間に広く認識された他人の登録商標とたの文字又は図形等と結合した商標は、その外観が間まとまりよく一体的に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものを含め、原則として、その他人の登録商標と類似するものとする。』と規定されている。

上記被請求人の主張及び審査基準に照らしても、本件商標は、請求人が40年以上もの永きに渡って我が国において使用してきた引用商標「ROUX」をそっくりそのまま構成中に含むものであるから、請求人の所有する引用商標と類似すること明らかである。

(4)被請求人は、答弁書において「売上高は、平成元年から平成5年にかけては、平均5億円の売り上げがあったが平成7年には、半減している。宣伝広告費は、平成元年から平成4年にかけて平均5300万円あったが、平成6年には1/9になり、平成7年には、0になっている」と述べているので、この点につき説明を補足する。

引用各商標を使用した請求人の商品は、東京綿花株式会社を通じて、全国各地の美容院・理容院に提供されていたが(甲第4号証ないし同第7号証)。平成7年、日本インターレップ株式会社が「ROUX(ルウ)」商品の日本総代理店となった(この経緯は、第9号証の文章中にも明記されている。)。請求人の商品は、アメリカから輸入に係るものがほとんどであるため、厚生省への申請・認可等の手続も必要であり、平成7年中はほとんど商品が供給できないような状況であった。甲第16号証に記載された平成7年の売り上げが半減したこと、並びに広告宣伝費が0となっているのはこうした事情によるものである。

いずれにしろ、平成元年から平成5年にかけて5億円前後の売り上げがあったことは事実であり、平成8年以降も売上高は順調に推移している。したがって、本件商標の出願時(平成7年11月20日)および査定時において「ROUX」が染毛剤の商標として、我が国の美容界の需要者・取引者間に広く知られていたことは疑いない。

4 証拠方法

請求人は、証拠方法として甲第1号証ないし同第16号証を提出している。

第3 被請求人の主張

1 答弁の趣旨

結論掲記

2 答弁の理由

(1)商標法第4条第1項第11号の主張について

本件商標の指定商品の「化粧品」と引用商標Aの指定商品とは一部重なっていることは認めるが、本件商標と引用商標Bの指定商品については、本件商標の指定商品中で「せっけん類(薬剤に属するものを除く)、歯磨き、化粧品(薬剤に属するものを除く)、香料類」が重なっているだけで、他の指定商品は抵触していない。本件商標と引用商標A及びBとの類似については、争うものである。

本件商標の商標検索システム詳細印刷(乙第1号証)における特許庁の審査官の称呼は「ルー ディ ペルフェ インテルナツイオナーレ」「ルー ディ ペルフェ」であり、「ルウ」という単独の称呼はない。

したがって、本件商標と引用商標A及びBとの称呼における類似関係はないものである。

本件商標の「ROUX DI PERFE INTERNAZIONALE」は一気に称呼するのは大変だが、だからといって、「ルウ」が本件商標の略称として一般化されるとは限らない。「ROUX(ルウ)」が例え請求人のいうようなことであると仮に容認しても、「ROUX(ルウ)」と本件商標「ROUX DI PERFE INTERNAZIONALE」とは明らかに外観に差異があり、4つの部分からなっている本件の商標の頭の部分が同じだからといって、引用商標A及びBの日本での公知、公用でもって頭部分だけで同一視するのは短計である。

本件商標はその構成中の「ROUX」だけが本件商標を代表するものとは考えられず、すくなくとも、「ROUX DI PERFE ルー ディ ペルフェ」は一連の商標と考え、称呼可能と考える。

本件商標と引用商標A及びBとはいずれも観念について類似のものではない。

請求人は「ROUX」という商標が著名で日本に独占的に使用されている如く述べているが、「ROUX」として、日本に登録されている商標を4件、乙第2号証乃至乙第5号証を提出する。上記4件の商標は、請求人の商標「ROUX」に“たた乗り”したとは到底思えない。

請求人の登録商標を2件、乙第6号証及び乙第7号証を提出する。上記登録商標は「ROUX」の文字よりなるものであるが、これを特許庁審査官は「ROUX」を「ルークス」「ロークス」と称呼しているものであり、「ルウ」「ルー」の称呼はないものである。

又、甲第4号証乃至甲第15号証において、「ルウ」という称呼が記載されていないバンフレットが4つあり、甲第5号証、同第6号証、同第7号証、同第10号証である。ということは、美容業界や理容業界では「ROUX」は少し著名でも、「ルー」「ルウ」ではあまり知られていなもである。

請求人は「本件商標は、引用商標A及びBに類似し、同一又は類似の商品を指定商品としているから、商標法第4条第1項第11号に該当する」と主張している。

しかして、被請求人は(ア)請求人の先願は認める。(イ)本件商標の「ROUX DI PERFE INTERNAZIONALE」の「ROUX」が、請求人の引用商標A及びBの「ROUX」と類似だということに対して、部分が全体の一部と同一だというだけでは承服できない。また、日本で4件も「ROUX」が他の類で登録されている事実がある。「ROUX」の著名であるのは、理容店・美容店のごく一部にすぎない。

(ウ)両商標が類似するとしても、「せっけん類、香料類、化粧品、歯磨き」を削除する用意がある。よって、商品の出所混同は生じないと確信する。

この結果、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないと思慮する。

(2)商標法第4条第1項第15号に関する主張について

請求人提出に係る甲第4号証乃至甲第15号証の12件のうち日付の確認できるものは3件しかない。平成6年以前のものが3件あるから、本件商標出願以前に宣伝活動していたことは認める。「ROUX」については、宣伝活動は理解できるが、「ルウ」に付いては、4件に付いては表示が無く、あっても小さく分かりにくい。「ルウ」の称呼は日本では余り浸透していないという印象が残る。

甲第16号証について、売上高は平成元年から平成5年にかけては、平均5憶円の売り上げがあったが、平成7年には半減している。宣伝広告費は、平成元年から平成4年にかけて平均3500万円であったが、平成6年には1/9になり、平成7年には、宣伝費は0であった、ということは、被請求人は「ROUX」の宣伝を見る機会がなかったことを意味している。このことは売り上げが半分になったことと合わせて、被請求人が本件商標の出願の年に「ROUX」の商品及び宣伝を見る機会が極端に減ったことを意味している。

被請求人は「ROUX」と本件商標の「ROUX DI PERFE INTERNAZIONALE」は類似でないと信じているが、類似するとしても、指定商品の「せっけん類、香料類、化粧品、歯磨き」を削除する用意があるので、商品の出所混同・誤認はおこらず、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しないと思慮する。

(3)商標法第4条第1項第19号に関する主張について

本件商標と引用商標A及びBが同一ならいざしらず、類似と勝手に決め付けられて、Dilution(希釈理論)やFree Ride(ただ乗り)理論を展開しているが、前述したように、日本において「ROUX」という商標は4件も他の指定商品で登録されている。この4件について国際問題になっているかどうか寡聞にして存じない。

「ROUX」という商標について、請求人は世界で請求人だけの商標のごとく論じているが、日本では、「ROUX」という商標が4件も登録されている。ということは、日本の特許庁の審査官は請求人の「ROUX」は請求人の独占的商標とは判断されていないからである。

本件商標の「ROUX DI PERFE INTERNAZIONALE」の頭部の「ROUX」は引用商標A及びBの「ROUX」の借用・ただ乗りである旨結論しているが被請求人は本件商標は引用商標A及びBの「ROUX」とは類似とは思っていないが、「せっけん類、香料類、化粧品、歯磨き」を削除しますので、請求人の指定商品とは出所混同・誤認は生じなく、商標法第4条第1項第19号に該当しないと思慮する。

3 証拠方法

被請求人は、証拠方法として乙第1号証ないし同第号7証(枝番を含む。)を提出している。

第4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、「ROUX DI PERFE」の文字は、下段に書された「INTERNAZIONALE」の文字に比して大きく顕著に書してなるから、「ROUX DI PERFE」の文字は看者の注意を惹くとともに独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るものである。

そして、「ROUX DI PERFE」の文字部分は、これを構成する「ROUX」「DI」「PERFE」の各文字が同一の書体で外観上まとまりよく一体に書されてなり、これより生ずると認められる「ルウ(ルー)ディペルフェ」の称呼も格段冗長ともいえず、よどみなく一連に称呼し得るものであるから、その構成中の「ROUX」の文字のみが独立して認識されるみるべき特段の事情は見出せない。

しかして、本件商標は、その構成中の「ROUX DI PERFE」の文字に相応して、「ルウ(ルー)ディペルフェ」の称呼を生ずるものであって、特定の意味合いを生じない造語を表したというのが相当である。

これに対し、引用商標A及びBは、前記のとおりの構成よりなるから、これより両商標は、その構成文字に相応して、「ルウ(ルー)」の称呼を生ずるものであり、「赤毛」等の意味合いを生ずるものである。

そこで、本件商標と引用商標A及びBとの類否についてみるに、本件商標と引用商標A及びBとは、それぞれ上記のとおりの構成よりなるものであるから、外観上は明らかに区別し得るものである。

次に、称呼についてみるに、本件商標より生ずると認められる称呼「ルウ(ルー)ディペルフェ」と引用商標A及びBより生ずると認められる称呼「ルウ(ルー)」とを比較するに、両称呼は、「ルウ(ルー)」の音を共通にするとしても、その構成音数を全く異にするものであるから、本件商標と引用商標A及びBは称呼上において互いに相紛れるおそれのないものである。

また、観念についてみるに、本件商標は特定の意味合いを有しない造語であるから、「赤毛」等の意味合いが生ずる引用商標A及びBと比較することはできない。

したがって、本件商標と引用商標A及びBとは、その外観、称呼及び観念上いずれの点においても互いに相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとはいえない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

請求人の提出に係る甲第4号証は商品「染毛剤」のポスター、甲第5号証、甲第7号証、甲第9号証、甲第10号証及び甲第13号証は商品「染毛剤」のチラシ、甲第11号証は商品「クレンザー」のチラシ、甲第12号証は商品「リンス」のチラシ、甲第14号証は商品「脱色剤」のチラシ、甲第15号証は商品「脱色剤」のパンフレットであって、甲第6号証は雑誌「Hair Colorおしゃれ情報(平成3年4月1日発行)」の抜粋、甲第8号証は「ルウ製品価格表(1996年1月)」、そして、甲第16号証はルウ日本総代理店日本インターレップ株式会社の「『ROUX』製品の年間売上、広告宣伝費、広告を掲載した雑誌名と出版社名の一覧表」の証明書であるところ、甲第4号証乃至甲第7号証に示される商品は東京綿花株式会社で取り扱われ、甲第9号証乃至甲第15号証に示される商品は日本インターレップ株式会社で取り扱われたと認められるものである。

しかして、上記のポスター、チラシ、パンフレット及び雑誌「Hair Colorおしゃれ情報」には、引用商標A及びBと社会通念上同一と認められる商標(以下、「ROUX」商標という。)が表示されている事実が認められる。

そして、雑誌「Hair Colorおしゃれ情報」(甲第6号証)には「’91春秋人気のメニューシリーズ」の記載、商品「染毛剤」のチラシ(甲第7号証)には「ROUX ’92mene、おしゃれ染めの」の記載からすれば、1991年(平成3年)、1992年(平成4年)には商品「染毛剤」について「ROUX」商標が使用され広告、宣伝されていたことが推測できる。

また、商品「染毛剤」のチラシ(甲第9号証)には「ルウ製品がリニューアル発表」の記載、商品「クレンザー」のチラシ(甲第11号証)には「ベストセラーの理由 その人気は、60年以上もの歴史が物語っています。」の記載、商品「リンス」のチラシ(甲第12号証)には「欧米を中心に世界で毎年1億本以上使われているプロフェッショナル専用の、ROUXファンシフルリンス、世界を代表するカラーリンスです。」の記載、商品「脱色剤」のチラシ(甲第14号証)には「ルウファンシィフルリンスは欧米を中心に世界で毎年1億本以上使われているプロフェッショナル専用のリンスです。」の記載がみられ、そして、「ルウ製品価格表(1996年1月)」(甲第8号証)」にはチラシ、パンフレット(甲第9号証乃至甲第15号証)に示す商品の価格が表示されていることからすれば、商品「染毛剤」「クレンザー」「リンス」「脱色剤」等について「ROUX」商標がいつ頃から使用されたか定かでないが、一般の需要者のみならず美容業界も対象とし継続して使用され広告、宣伝されていたことが窺われる。

しかしながら、ポスター(甲第4号証)、チラシ(甲第5号証、甲第7号証、甲第9号証乃至甲第14号証)、パンフレット(甲第15号証)が、それぞれどの程度の数量作成され、何時頃から、如何なるところで、どのように頒布されているのか具体的に把握し難いところであり、日本インターレップ株式会社作成に係る「『ROUX』製品の年間売上、広告宣伝費、広告を掲載した雑誌名と出版社名の一覧表」(甲第16号証)は、その記載中の1.ROUX製品の年間売上、2.ROUX製品の広告宣伝費、3.広告を掲載した雑誌名と出版社名の一覧表が、如何なる資料に基づいて作成されたか明らかでないものであるから、これらの事実からすれば商品「染毛剤」「クレンザー」「リンス」「脱色剤」等について使用する「ROUX」商標が、取引者、需要者間にどの程度広く認識されていたか把握しがたいものである。

そうとすれば、請求人提出に係る甲第4号証乃至甲第16号証では、商品「染毛剤」「クレンザー」「リンス」「脱色剤」等について使用する「ROUX」商標が、本件商標の出願前より広く知られた商標と認識されているとはいい難いものである。

してみれば、本件商標をその指定商品に使用しても上記事情からして、請求人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれはないものと認められるから、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない

(3)商標法第4条第1項第19号について

本件商標は、(1)で述べたとおり、これを構成する「ROUX DI PERFE」の文字中に「ROUX」の文字を有するとしても、該文字を抽出して看取しなければならない理由もなく、そして、請求人の業務に係る商品「染毛剤」「クレンザー」「リンス」「脱色剤」等について使用する「ROUX」商標が本件商標の出願前より取引者、需要者間に広く認識されていると認められないこと上記(2)で述べたとおりであるから、本件商標が不正の目的(不正な利益を得る目的、他人に損害を与える目的その他の不正な目的)をもつとはいい難いものである。

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものではない。

(4)したがって、本件商標は、商標法4第条第1項第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、商標法第46条第1項の規定によりその登録を無効とするこはできない。

以上のとおりであるから、請求人の審判請求は、理由がないから成り立たないものとし、審判に関する費用の負担について、商標法第56条第1項、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とすべきものとする。

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