結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第35394号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第3178341号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第42類「茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務として、平成4年9月28日に登録出願、同8年7月31日に設定登録されたものである。
請求人は、本件商標の登録はを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第64号証を提出した。
(1)請求人は、カフェの名称として長年使用し、著名に至っていた商標を出願(平成5年商標登録願第24128号)したところ、本件商標を引用され、商標法第4条第1項第11号に該当するとされたことから、本件商標に対し無効審判を請求するに至ったものである(甲第1号証及び甲第2号証)。
(2)請求人の使用する引用商標の著名性について
請求人は、世界的に著名な、フランス国パリのサン・ジェルマン・デ・プレに所在する請求人が経営するカフェの名称で知られる商標「Cafe de Flore」(別掲に表示したとおりの構成よりなる。以下、「引用商標」という。)を引用する。
「Cafe de Flore」(構成文字中「Cafe」の「e」には、アクサン・テギュが付してある。以下、同じ)は、セーヌ川左岸のサン・ジェルマン・デ・プレに1900年ごろに創業したカフェの名称である。その名前は、当時「Cafe de Flore」の入り口にあった「Flore(フロール)」つまり「花の女神」の像に由来する。創業当初から今日まで「Cafe de Flore」には多くの文学者、思想家、政治家、芸術家が集い憩う場として、また彼らの仕事場として次第に有名になった。(甲第3号証ないし甲第24号証)
しかして、我が国において、パリは人気のある観光地で、毎年多数の日本人が旅行に訪れる都市であるから、パリに関する旅行雑誌、パンフレット等は極めて多数販売、頒布されていることは顕著な事実である。引用した「Cafe de Flore」に関する記事の掲載された書籍、雑誌は、本件商標の登録出願日以前のものも数多い。したがつて、「Cafe de Flore」、「カフェ・ド・フローラ」といえば、請求人が経営するカフェの名称として我が国において、本件商標の登録出願日以前からすでに周知・著名となつていたことは明らかである。
さらに、本件商標の登録出願日後においても、横浜のランドマークプラザや東京原宿の表参道において、「Cafe de Flore」の日本店がオープンしたことから、その名は日本においてさらに広く知られるに至ったものである(甲第26号証ないし甲第28号証及び甲第35号証ないし甲第47号証)。
以上のことから、本件商標の登録出願時にはもちろんのこと、査定時においても、パリにおける有名なカフェとして、請求人が経営する「Cafe de Flore」、「カフェ ド フロール」及び請求人の引用商標は、日本をはじめ、世界的に周知・著名であったと言うことができる。
(3)本件商標と引用商標について
本件商標と引用商標とを対比するに、本件商標は、その構成中、比較的大きく書された中段の「CAFE FLORA」の文字より「カフェフローラ」の称呼を生じ、引用商標はその構成に応じて「カフェドフロール」という称呼を生ずるから、称呼において類似する商標である。
また、本件商標と引用商標に含まれる「FLORA」及び「Flore」の語は、それぞれ英語・フランス語において、いずれも「(ローマ神話の)花と豊穣と春の女神」を意味する語である(甲第63号証及び甲第64号証)。「FLORA」と「Flore」の語は、末尾における「a」と「e」の違いがあるとしても、「Flor‐」を同じくするものであり、英語とフランス語における同義の語である。そうすると、本件商標及び引用商標はともに、「花と豊穣と春の女神のカフェ」の如き観念を生ずるものであるといえるから、観念上も類似する商標である。
そして、本件商標の指定役務「茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」は、請求人が使用して著名に至っている商標の役務と同一のものである。
(4)結び
本件商標は、著名なカフェであり、請求人の業務に係る役務を表示するものとして、世界中の需要者・取引者の間に広く認識されている引用商標と類似する商標であって、同一の役務について使用をするものである。
また、本件商標がその指定役務に使用された場合、これに接する需要者・取引者は、恰も請求人の業務に係る役務であるかの如く認識し、その役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
以上の理由により、本件商標は商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号によって無効にされるべきものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出した。
(1)本件商標「CAFE FLORA」と引用商標「Cafe de Flore」とは類似しないものであり、請求人の役務と混同を生ずるおそれがないものである。
先ず、本件商標は活字体の欧文字からなるものであって、全体は一直線上に記してなるものである。これに対し、引用商標は筆記体の欧文宇からなるものであって、全体が円弧状をなし、且つ中央の「de」の部分が他の部分よりも小さい特異なものである。よって、外観は類似しない。
次に、本件商標の「CAFE」の部分と「FLORA」の部分とは特に,意義において関連性がなく、両者を一体に組み合わせても、新たな観念を生ずるものではない。よって、両者の観念が類似するということもない。
請求人は、本件商標及び引用商標から、「花と豊穣との春の女神のカフェ」なる観念が生ずるとしている。しかし、引用商標については「de」(日本語の「の」に相当する)が入っている関係上そうかも知れないが、本件商標は単に2つの関連性のない語が接続されているのみであるから、請求人の主張は妥当ではない。
次に、称呼について述べると、両者の称呼は請求人も認めている様に、それぞれ「カフェフローラ」と「カフェドフロール」であって、両者の称呼は、音数が一つ違い、また最後尾の音が「ラ」であるか「ル」であるかの相違がある。もし、両者の音数が同数であって、単に最後尾の「ラ」と「ル」のみが異なる、という場合であれば、両者の称呼が類似する、とみる余地があり得るかも知れない。しかしながら、木件においては、両者は他に音数の違い、という相違点もある。この様に2箇所も音が異なる時は、両者は類似しない。
さらに考察するに、両商標の使用される役務は、それぞれ飲食物の提供に関するものであり、「カフェ」の部分はその役務との関係からみると識別性が極めて弱い。従って両者の類否判断は、この部分を除いて、「フローラ」と「ドフロール」との間で行うのが妥当である。してみると、両者の音数の違い及び末尾の「ラ」と「ル」の違いが、より一層顕著になる。
さらに、以上の判断を裏付ける事実として、現実に両商標間に混同の事実が存しないことが挙げられる。すなわち、請求人の主張によると、請求人は平成5年に横浜に所在のランドマークプラザにおいて「Cafe de Flore」の我が国一号店を開店したとのことである。一方、被請求人は、該ランドマークプラザに近接したみなとみらい21に「CAFE FLORA」を平成5年9月開店した。しかし、それから6年以上の年月が経ったが、何等の混同も起きてはいない。両者が類似するものではないから、これも当然である。
請求人が我が国に1号店を開いた事実も、この開店時期は本件商標の登録出願日より遅いので、本件審判事件においては何等の重要性も持たないものである。また、原宿の第2号店の開店はこれよりさらに遅い平成7年のことであるから、これも本件審判事件には関係のないものである。同じく、請求人が、引用する「ELLE JAPON」「SPUR」「サンニジェルマン=デ=プレ入門」(甲第17号証)らが発行されたのも、本件商標の登録出願日以降のものであるから、請求人経営のカフェの周知性を証明する資料とはならない。
請求人が経営するカフェ「Cafe de Flore」及び引用商標が周知著名であることを立証するために提出した甲第3号証ないし甲第47号証をみると、本件商標の登録出願時以前の証左は甲第4号証、甲第6号証ないし甲第14号証及び甲第19号証ないし甲第21号証であり、それ以外の証左は本件商標の登録出願以後のものである。
そこで、上記した本件商標の登録出願時以前の証左をみるに、請求人の引用する「Cafe de Flore」(カフェ・ド・フロール)は、フランス国パリのサン・ジェルマン・デ・プレに存在し請求人が経営するカフェの名称であり、多くの文学者、思想家、政治家、芸術家が集うカフェであることが窺える。
さらに、「Cafe de Flore」(カフェ・ド・フロール)に関する紹介記事が書籍「パリ物語」(甲第4号証)、雑誌「ELLE」(甲第5号証)及び「Hanako」(甲第9号証)、旅行雑誌「地球の歩き方」(甲第10号証ないし甲第12号証)、「毎日新聞」(甲第6号証)、「週間読売」(甲第20号証)等に掲載されたことは認められる。
しかしながら、「Cafe de Flore」(カフェ・ド・フロール)がフランス国のパリに存在するカフェの一名称であること、我が国において数多く出版されている書籍、雑誌からすれば、その紹介掲載回数は、さほど多くないこと及び我が国において、請求人がカフェの営業を開始したのは本件商標の登録出願時以後であることからすれば、例え、パリは人気のある観光地で、毎年多数の日本人が旅行に訪れる都市であり、また、パリに関する旅行雑誌、パンフレット等が多数販売、頒布され読まれていることを考慮するとしても、「Cafe de Flore」(カフェ・ド・フロール)の名称又は引用商標は、請求人がフランス国のパリにおいて経営する上記カフェの名称として、本件商標の登録出願時には我が国内において需要者に広く認識されていたものということはできない。
そうとすれば、本件商標と引用商標は別掲に表示したとおりであり、本件商標は、「カフェフローラ」の称呼を生じ、引用商標は、「カフェドフロール」の称呼を生じ、観念において、いずれも「(ローマ神話の)花と豊穣と春の女神」の意味を想起し、称呼、観念において類似するものであるとしても、前記したとおり、引用商標が本件商標の登録出願時には我が国内において需要者に広く認識され周知・著名であったものということはできないし、また、本件商標がその指定役務に使用された場合、これに接する需要者は、請求人の業務若しくは経済的又は組織的に何等かの関係にあるかの如く認識し、その役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものでないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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