結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成5年審判第22357号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
1.本件登録第2461394号商標(以下、「本件商標」という。)は、「GEMMY」の欧文字を横書きしてなり、平成2年3月13日に登録出願、第4類「歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、同4年9月30日に登録がなされたものである。
2.請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第2037363号商標(以下、「引用商標」という。)は、「ジェニー」の片仮名文字と「JENNY」の欧文字とを二段に横書きしてなり、昭和60年9月17日に登録出願、第4類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、同63年4月26日に登録がなされたものである。
3.請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べるとともに、証拠方法として甲第1号証ないし同第8号証を提出した。
(1)本件商標は「GEMMY」の欧文字を横書きしてなるから、「ジェミー」の称呼を生じる。例えば、甲第5号証には、「ジェム」の見出しに対し原語として「gem」、「ジェミニ」に対して「Gemini」、「ジェモロジー」に対して「gemology」がそれぞれ掲げられており、「GE」のつづりが「ジェ」と表記、発音され得ることを示している。また、甲第6号証の「gemmy」の発音記号からも、「GEMMY」のつづりから「ジェミー」の称呼が生じるのは明らかである。
本件商標から生じる称呼「ジェミー」と、引用商標の称呼「ジェニー」とを比較するに、両者は称呼の識別上重要な要素をしめる語頭音において「ジェ」の音を同じくし、異なるところは末尾音において「ニー」と「ミー」の音を異にした差異を有するものであるが、この差異音とても共に有声の通鼻音であり比較的近似の音といえる「ニ」と「ミ」が各その帯有する母音「イ」を長音として伴い発音する関係上、この差異が称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいい難く、両者を一連に称呼するときはその語感・語調が極めて相似たものとなり、称呼上互いに相紛れるおそれがある。
なお、以上と同旨の審決例として昭和62年審判第17073号審決(甲第7号証)が存在する。
してみれば、両商標は、称呼上類似する商標であって、かつ、指定商品も同じくするものであるから、結局、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたから、同第46条第1項第1号により無効にされるべきである。
なお、請求人は、平成5年9月6日に片仮名文字「ジェミー」と書してなる商標について第3類「香料類、化粧品」を指定商品として商標登録出願をしている。この商標登録出願は本件商標と称呼が一致し、指定商品が重複するので、本件商標の存在により、商標法第4条第1項第11号で拒絶されるおそれがある。したがって、請求人は本件審判の請求に対する利害関係を十分に有するものと思料する。
(2)被請求人は引用商標と本件商標との称呼について種々述べた上で、両商標が非類似である旨答弁しているが、被請求人が問題にしている称呼の差異とは、英語を母国語とする人物、またはその人物と同等レベルで英語に堪能な人物にとっての差異である。したがって、被請求人の答弁は何等の説得力を有していない。
そもそも、本件審判請求事件に限らず、我が国商標法において商標の称呼の類否判断がその対象としているのは、日本人のごく自然な発話において、特にそれが外国語表記による商標の場合、平均的日本人が通常有する語学力をもって当該商標がどのように読まれ得るかである。
被請求人は、本件商標を仮名書きで表記するとすれば「ジイエーミイ」或いは「ジイエーミー」となり、これらは引用商標と称呼を異にするものであるとの主張を行っている。このような表記は、被請求人が英語としてより自然な発音を片仮名によって表そうとしたためであるが、平均的教育水準にあると思われる日本人に、おいて極めて発話しづらいものである。常識的に見て、これら表記は日本人の自然な発話とは到底考えられるものでないばかりか、むしろ相当程度不自然な称呼である。
また仮に、このような称呼も本件商標から生じ得るとしても、それが唯一絶対の称呼であって、他の称呼は生じ得ないことが立証されているならばともかく、「ジイエーミイ」或いは「ジイエーミー」なる称呼が「ジェミー」なる称呼と異なる旨を強調するに終始し、本件商標から「ジェミー」なる称呼は生じ得ないとの立証、説明が何等なされていないわけであるから、何をもって非類似の論拠としているのか不明である。
(3)被請求人は、請求人が証拠として提出した甲第7号証について「参考にならない」と断定しているが、その根拠は極めて薄弱である。
その根拠とは、本件審判請求事件は第4類における類否判断が争点であるが、甲第7号証は第13類に関するものであり、つまるところ指定商品が異なるから、というものである。
ところで、類否判断における指定商品固有の事情の考慮が、一体如何なる程度の影響力を類否判断に対し及ぼし得るのかに関し、答弁書中にその説明なり根拠の提示なりは特段見当たらない。しかるに被請求人は、第4類は第13類に比較して「著しく厳格に」類否判断される主張を展開しているが、指定商品の一方が化粧品等であり、一方が「手動利器、手動工具、金具」である場合、化粧品等については何ゆえ「著しく厳格に」類否判断されるのかについて説明を欠いている。加えて、商取引の実情をも云々されているが、それぞれ如何なる商取引であり、それが何ゆえ類否判断にどの程度の影響を与えるのかについても説明、立証がない。
請求人の提出した甲第7号証は、商品が異なるものであるとはいえ、その比較されている商標の態様は全く同じものである。ましてや審決なのであるから、審査段階における個々の処分などと異なり相応の既判力を有している。また、その審決において、「手動利器、手動工具、金具」といった商品固有の事情が勘案、考慮されて類否判断がなされているならともかく、審決文に明らかなとおり純粋に称呼上の類否に限定して判断がなされているわけだから、少なくとも純称呼上の見地からは本件商標と引用商標は類似すると言い得るのである。よって、甲第7号証は相応の証拠価値を有するものである。
4.被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を次のように述べるとともに、証拠方法として乙第1号証ないし同第7号証を提出した。
(1)本件商標「GEMMY」は、外観においては「ジェニー」「JENNY」とは大きく異なる。
(2)称呼において、乙第3号証には「GEMMY」の称呼は「GEM−MY」であり、日本語で仮名書きにすることは著しく困難であるが、敢えて仮名書きにすれば発音のとおり「ジイエーミイ」ないしは「ジイエーミー」であり、(MM)があるが故に「GEM」に大きくアクセントがあり、単なる「ジェニー」「JENNY」とはその称呼を異にするものである。
(3)更に観念においては、「GEMMY」は乙第3号証によると、(a)宝石に富む、宝石で被う、宝石をちりばめる、宝石に似たもの。(b)宝石のようにかがやく、ピカピカ光る。の観念を生ずるのに反して「ジェニー」「JENNY」は造語で何等格別の意味のない商標であるが故に、「GEMMY」とは商標の類否を判断するに足るような観念を生ずることがなく、両商標は観念上の類似を判断することができず、観念上も類似ではないのである。
したがって、「GEMMY」と「ジェニー」「JENNY」とは外観、称呼、観念において何れも全く相違し、両商標を付した各商品は彼此混同誤認される恐れは全くなく、両者とも両立して各々その識別作用を果たし得るものと確信する。
(4)甲第5号証として本件商標の「GEMMY」に対して「Gemini」「Gemology」を挙げているが、本件商標とは発音上、称呼上も共に本件商標とは全く異なり、またスペリングも発音も全く異にしているもので、ただ「ge」が語頭にある文言を挙げたに止まるものである。
(5)請求人は、甲第7号証として審決公報を挙げているが、商標の類否判断は商品の種類によるものであり、第13類「手動利器、手動工具、金具」を指定商品とするものが、本件商標の指定商品、化粧品等の第4類には商取引の実情から直ちに参考になるものではない。けだし、化粧品等の第4類を指定商品とする商標は称呼類似が第13類等に比較して著しく厳格に判断されるものである。
したがって、甲第7号証の審決公報があるとしても、第4類「歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品とする商標には上記したように当てはまらぬものであり、参考にならないのである。
即ち、本件商標の問題の場合には甲第7号証の審決公報とは類否判断や商標の識別力有無の認定が異なるが故に、上記甲第7号証の審決公報は上記したように指定商品、第13類と第4類とに関しては取引の経験則からしても又は取引の実情からしても本件の場合の第4類を指定商品とする商標には何等参考にはならないものである。
(6)弁駁書には「化粧品等については何ゆえ著しく厳格に類否判断されるのかについて説明を欠いている。」としているが、このことは被請求人の独断ではなくして一般論であり、例えば、江口俊夫著「新商標法解説」の記載、即ち「類否判断の場合注意すべきことは商品の種類によって、判断の結果が異なることである。例えば化粧品や薬剤については称呼類似は厳格に判断される反面、食料品や菓子については称呼類似はそれほど厳格に適用されず(中略)、商標の最も大きな特徴は商品によって類否の判断や識別力有無の認定が異なるところにあるといえよう。」という記載によったものである。
即ち、本件商標が指定商品として第4類「歯みがき、化粧品、香料類」について論じているところ、第13類「手動利器、手動工具、金具」には上記したことより当てはまらぬものであり、何等参考にはならないのである。
5.よって按ずるに、本件商標は、前記した構成のものであって、これに接する取引者、需要者は、例えば、一般によく知られているといえる英語における「gem」が「ジェム」、「generation」が「ジェネレーション」、「gentleman」が「ジェントルマン」、「gesture」が「ジェスチュア」のように発音される事例に倣って、「GE」の文字部分を「ジェ」と発音し、全体としては「ジェミー」と発音して取引にあたる場合が多いものとみるのが相当である。
そうとすると、本件商標は、その構成文字に相応して「ジェミー」の称呼を生ずるものといわざるを得ない。
他方、引用商標は、その構成文字に相応して「ジェニー」の称呼を生ずること明らかである。
そこで、本件商標と引用商標の前記称呼を比較すると、両称呼は、第2音において「ミー」と「ニー」の差異を有するものである。
しかして、この差異音は、前者が両唇を密閉し、有声の気息を鼻腔に通じて発する鼻子音(m)と母音(i)との結合した音節に長音を伴う音であるのに対し、後者が舌尖を前硬口蓋に触れて発する鼻子音(n)と母音(i)との結合した音節に長音を伴う音であって、調音位置を異にする音であるから、この差異がわずか2音よりなる両称呼の全体に及ぼす影響は大きく、両称呼を一連に称呼した場合においても語調、語感を異にし聴き誤るおそれはないものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼において類似しない商標といわなければならない。
また、本件商標と引用商標は、その外観及び観念において類似するものとはいえない。
なお、請求人は、審決例(甲第7号証)を援用しているが、本件については前記のとおり認定できるものであるから、この点に関する請求人の主張は採用の限りでない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものでないから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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