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Trademark Appeal Case

著名商標の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成6年審判第7727号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件登録第2458604号商標(以下「本件商標」という。)は、「ロメックス」の片仮名文字と「ROMEX」の欧文字を上下二段に左横書きしてなり、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉およびその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、平成1年3月15日に登録出願、同4年9月30日設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2.請求人が本件商標の無効の理由に引用する登録第125919号商標(以下、「引用A商標」という。)は、「ROLEX」の欧文字を左横書きしてなり、第21類「時計類及其附属品」を指定商品として、大正9年12月29日登録出願、同10年2月25日設定登録され、その後、昭和16年1月7日、同36年10月31日、同47年3月6日、同56年6月30日及び平成3年6月26日に商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

同じく、登録第562472号商標(以下、「引用B商標」という。)は、別紙に表示したとおり「ROLEX」の欧文字を左横書きした上に王冠マークを描いた構成よりなり、第21類「時計並にその各部及び附属品」を指定商品として、昭和34年6月8日登録出願、同35年12月15日設定登録、同56年4月30日及び平成2年12月21日商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

同じく、登録第2208114号商標(以下、「引用C商標」という。)は、別紙に表示したとおり「ROLEX」の欧文字を左横書きした上に王冠マークを描いた構成よりなり、第21類「かばん類、袋物、宝玉およびその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、昭和49年9月20日登録出願、平成2年1月30日設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3.請求人は、「本件登録第2458604号商標の登録は無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証乃至甲第33号証を提出した。

(1)請求人は、引用A商標乃至引用C商標の登録権利者であるから、本件審判請求について請求の利益(利害関係)を有する。

(2)本件商標は、商標法第4条第1項第11号或いは同法第4条第1項第15号に該当し、その登録は同法第46条の規定により無効とされるべきである。

(3)請求人は1905年の創業以来、請求人の略記略称兼同社諸製品の代表的出所標識たる引用商標の「ROLEX」および(または)「王冠マーク」のもと主として腕時計、その部品および附属品を製造販売し、その高精密な技術性能と優れたデザインを以て世界的に著名となっており、請求人製高級腕時計の優れた技術・デザイン・宝飾性を以て、常に世界の時計業界をリードし、本件商標出願の久しい以前よりその名声信用は国際間に揺ぎないものとなっている。

請求人製腕時計の日本における取引活動は、全国主要都市に営業所を有する日本ロレックス株式会社(本社東京都千代田区所在)を通じ組織的に行なわれ、同社の活発な宣伝活動と請求人製高級腕時計の優れた品質・デザイン等と相侯ち、絶大な人気を博し今日に至っている。

それ故、請求人の略記略称「ROLEX」及び(または)「王冠マーク」より成る引用商標は、請求人製造販売の各種高級腕時計は勿論のこと、本類に属するベルト、ペンダント、カフスボタン、バッグ、ポーチ、カードケース、さいふ等のアクセサリー用品(甲第10乃至13号証)に永年使用され、請求人会社諸製品の代表的出所標識として本件商標出願当時既に日本の取引者需要者のみならず世人一般に良く知られていることは、当業者需要者の等しく認めるところであり、特許庁においても顕著な事実と確信する。(甲第9乃至25号証)

因に、ブランド時代といわれる近年、著名ブランドの有する経済的価値は極めて強大なものとなり、権利者や同業者が現に販売する商品、従事する営業の範囲を超えて、ブランドはあらゆる商品について、特定の出所(系列、関連会社を含む)と結合して認識されるに至っており、ブランド自体が、有体的な商品を超越する高価な商品となっている。かかる著名ブランドの権利者は、この経済価値をそのまま眠らせたままではおかずに有効に利用しようと考えており、すなわち著名ブランドを有する企業、とくに消費財企業は、現にユーザーの関心を呼びそうなあらゆる商品に同一ブランドを付して販売する試みを始めているのである。これはまた請求人及び被請求人においても、この例に漏れなく該当するものと思料する。(甲第26号証)

(4)以上の事実を念頭に本件商標と引用各商標の類否を検討するに、まず外観から検討した場合、前者は「ロメックス」の片仮名文字及び「ROMEX」の欧文字を併記し、他方後者は「ROLEX」の欧文字或いは該文字と王冠図形の組み合わせからなるものであるから、その限りにおいては双方を区別できるかもしれない。しかしながら、商標そのものは実際の取引において自他商品を識別するための標識である以上取引社会の諸事情を看過すべきでなく、また幾多の審判決例も商標の類否決定にあたってはこれを勘案すべきであると判示しているので、本件においても所謂商標見本を固定化し他と比較するような観察方法は現実の取引社会における商標使用の実情から甚だ遊離し妥当な方法ではない。

蓋し、実際の使用態様において例えば商品のパッケージ・説明書等の上下裏表にそれぞれの文字部分を切り離して表示し、結果的には両種文字を使用している例が極めて頻繁に見受けられるから、本件商標のような文字商標にあってはそれぞれの文字部分が世人の注意を惹く商標の要部であって、これが同種文字の対比こそ肝要である。

そこで、本件において対応する欧文字部分「ROMEX」と「ROLEX」は、両者は構成する欧文字の語頭を含む2文字「R」「O」及び語尾部「E」「X」を共通にするものであり、唯一の相違部分は、看者の注意が比較的届きにくい中間に位置する「M」「L」の1文字にすぎない。それ故、迅速繁忙な取引の実際において世人通常の印象回想力に拠り離隔的に観察した場合、両者は、引用商標の著名性も相俟って、全体として互いを錯覚しやすい視覚的な紛らわしさがあり出所の同一性につき誤認混同される虜れが充分にある。

これ等請求人の主張するところが正当なるものであることは、本件と同種文字構成の商標が、商標全体として相互に類似と判断された特許庁における審決例を参酌すれば明らかになるものと思料する。(甲第27乃至28号証)

(5)次に称呼については、本件商標は「ロメツクス」、引用各商標は「ロレツクス」の称呼が生じること明らかである。

そこで、両称呼を対比するに、両者は共に5音構成からなり、称呼における識別上最も重要な部分を占める語頭音「ロ」及び第3音以下の「ツクス」の4音を共通にし、単に中間音「メ」と「レ」の1音に差異を有するにすぎず、しかも、その相違音「メ」(me)と「レ」(re)は、例え子音「m」と「r」が鼻音と弾音の調音方法における相違を有するとしても、母音「e」を共通するのみならず比較的聴別し難い中間音であり、かつ、いずれも促音「ツ」を伴う関係上、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、その音感がすこぶる近似したものとして聴取され、聴者をして彼此聴き誤らせる虞れがある。

それ故、両称呼を取引の実際に則し一気一連に発音した場合、両者は全体として類似した聴覚印象が感取され、迅速繁忙な商品社会においては卒爾の間互いを特に後者の著名性から前者を請求人の製造販売に係るものと聞き違い、その出所を誤認混同される虞れが充分にある。

これ等請求人の主張するところが正当なるものであることは、特許庁における登録異議申立ての決定及び審決例を参酌すれば容易に明らかになるものと思料する。(甲第29乃至32号証)

その上、本件商標と引用C商標の指定商品が相抵触することは明かであり、さらに引用各商標とは類似した外観構成並びに類似した称呼に照らし、本件商標が例えば請求人の本類に属するアクセサリー用品たる「ベルト、ペンダント、カフスボタン、バッグ、ポーチ、カードケース、さいふ」(甲第10乃至13号証)等、或いは宝飾装身具・宝玉等に使用され取引市場に出現せんか、腕時計も今やドレス・アップすなわち身につけ飾るファッンョン・身飾性が重要視され、請求人会社もダイヤモンドその他の宝玉を散りばめた宝飾時計を盛んに製造販売しており、また時計と宝飾装身具が同一店舗で販売されることが多い等の事実を勘案すれば、本件商標の製品も世界的に著名な請求人と営業上何等かの関係ある如く、当業者需要者に誤認混同される虞れは必至である。(甲第33号証)

(6)以上により、本件商標は、その出願当時著名な引用各商標と外観、称呼上類似し、また引用C商標との関係では外観、称呼上類似するのみならず指定商品も相抵触すること明らかであって、請求人の商品と混同される虜れが充分にあるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号或いは同第15号の規定に該当するものである。

4.被請求人は、何ら答弁していない。

5.そこで、本件商標と引用各商標の類否について判断するに、まず両者の外観については、それぞれの構成前記したとおりであるから、両者はそれらの構成全体の比較においては区別できること明らかである。

また、本件商標は片仮名文字と欧文字とを一体のものとして使用することを前提として出願されたものであり、その構成中の欧文字部分のみを使用すると認め得る証左はないが、本件商標の構成中の「ROMEX」の文字と引用各商標の構成中の「ROLEX」の文字(引用A商標についてはその構成文字)との比較においては、両者は前半部の「R」「O」及び後半部の「E」「X」の文字を共通にするが、中間において「M」と「L」の差異を有するものである。

そして、この「M」と「L」は、それ自体明らかに区別できる文字であり、共に5文字という短い文字構成からなる両者の比較においては、その差異が外観に及ぼす影響は決して小さいものとはいえず、さらに、「ROLEX」の文字が請求人の商標として著名であって、その文字構成が取引者・需要者に明確に認識されているものといい得ることと相俟って、両者は離隔的に観察しても相紛れるおそれがないものといえるものである。

次に、称呼についてみるに、本件商標は「ロメックス」、引用各商標は「ロレックス」の称呼を生ずること明らかである。

そして、両者は共に5音(促音を含む)という短い音構成中第2音目において、「メ」(me)と「レ」(re)の音の差異を有するものであり、該差異音が母音「e」を共通にするとしても、前者が鼻音、後者が弾音という調音方法の異なるものであり、かつ、いずれも促音を伴っていることから、この差異音にアクセントが生じ、両者の音質の差がより強調されるものといい、得るものである。

そうとすれば、両称呼は、それぞれ一連に称呼しても全体の音調・音感が異なり、彼此聴き誤るおそれのないものである。

さらに、観念については、本件商標は造語と認められるものであるから、比較することができない。

してみれば、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならず、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとはいえない。

また、本件商標と引用各商標とは、商標において明らかに区別し得る別異のものであるから、本件商標をその指定商品に使用しても、該商品が請求人若しくは請求人の系列、関連会社の業務にかかる商品であるかの如く商品の出所について混同を生じさせるおそれがないものといわなければならず、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものともいえない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第46条の規定により無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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