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Trademark Appeal Case

語尾音の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成6年審判第18881号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件登録第2180182号商標(以下「本件商標」という。)は別紙に表示したとおりの構成よりなり、昭和61年7月15日に登録出願、第23類「フランス製の時計、フランス製の眼鏡、フランス製のこれらの部品及び附属品」を指定商品として、平成1年10月31日に設定登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

2.請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第847675号商標(以下「引用商標」という。)は別紙に表示したとおりの構成よりなり、昭和43年5月9日に登録出願、第23類「時計、これらの部品及び附属品」を指定商品として、同45年3月3日に設定登録、その後、昭和55年8月26日、平成2年2月19日の2回に亘り、商標権存続期間の更新登録がなされているものである。

3.請求人は、本件商標の登録はその指定商品中「フランス製時計、そのフランス製部品及び附属品」について無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第6号証を提出している。

(1)本件商標はその構成中の欧文字「CELINE」より「セリーヌ」の称呼が生ずるものである。

これに対し引用商標は欧文字を筆記体風に書いてなるも、これを「Cellini」と判読することはさして困難なことではない。

しかして、「Cellini」の「Ce」は「セ」「チェ」または、「ケ」と発音されるものであるが、例えば英語で「Cell・セル・細胞」、「Cellulose・セルロース」からも「Cellー」が「セル」と発音されるのが自然と考えられる。

そこで「セリーヌ」と「セリーニ」の称呼を比較するに、両者は語尾音に「ヌ」と「ニ」の差異を有するのみで他を同じくし、一連の称呼において互いに聞き誤るおそれのあるものといわざるを得ない。

(2)被請求人は、答弁書において、請求人の引用する商標から生ずる称呼は「セリニ」と特定され、本件商標から生ずる「セリーヌ パリ」又は「セリーヌ」との類否を判断している。

しかしながら、「セリニ」は引用商標から生ずるであろう称呼の一つであり、その欧文字から特定の発音、意義が広く認識されているものであるなら格別、「セリーニ」の称呼をも生ずることは否定できない。

一方、本件商標の構成中「CELINE」は権利者の商号でもあり、特にファッション関係では「セリーヌ」の称呼で知られているため、これをあえて英語読みするのは不自然であり、「セリーヌ」以外の称呼は考えられない。

なお、被請求人は本件商標の構成中欧文字「CELINE PARIS」からその指定商品との関係で「セリーヌ パリ」の称呼も考慮すべきとされるが、現行の審査基準からして「PARIS」の部分は商品の生産地、販売地を表示したものであり、商標としての自他識別力はなく、その論旨は採択するに値しないものである。

そこで、「セリーヌ」と「セリーニ」の称呼を比較するに、両者は音構成を同じくし、語尾における差異音「ヌ」と「ニ」の音はいずれも鼻音「n」を要素とするのみならず、その位置するところが発音において比較的明確さを欠く語尾であって、しかも全体的称呼から第2音の「リー」にアクセントが置かれることとも相俟って両者とも極めて近似した音として聴取されやすいものである。

したがって、両商標はそれぞれ一連に称呼するときは互いに相紛れるおそれがあるものといわざるを得ず、その余の異同について論ずるまでもなく、称呼上類似する商標であり、かつ本件商標の指定商品に引用商標の指定商品が包含されているものであるから、本件商標の登録は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであり、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録は請求に係る商品について無効とすべきである。

4.被請求人は、結論同旨の審決を求める、と申し立て、その理由を次のように述べている。

引用商標は、「Cellini」という態様であるから、これからは「セリニ」という称呼か発生するものである。

これに対し、請求人が登録無効を求める本件商標は、図形と文字の双方からなる結合商標であり、その文字部分は「CELINE PARIS」というものである。したがって、この文字部分からは「セリーヌ パリ」という称呼か発生するものである。本件商標の文字部分が上記のように発音されるべきことは、本件商標の指定商品にいずれも「フランス製の」という限定が附せらられていることからも明らかである。「PARIS」の文字が付加されているために、その指定商品には「フランス製の」という限定が付されているのであり、このことは、商標の称呼についても、「PARIS」に対応する「パリ」という称呼を考えなければならないことを示しているのである。

上記のとおり、引用商標の称呼は「セリニ」であり、本件商標の称呼は「セリーヌ パリ」であるから、この両者が截然と区別されるべきことは当然であり、両商標が非類似であることは明らかである。

なお、本件商標の称呼が「セリーヌ」であるとしても、これが引用商標の「セリニ」という称呼と異なることは明らかである。

なぜなら、引用商標の称呼は「セリニ」という3音であるのに対し、本件商標の称呼は「セリーヌ」という4音であり、しかも本件商標の称呼には「リー」という長音が存するのであって、これによって本件商標の称呼と引用商標の称呼とは著しくその印象を異にしているのである。

また、上記のような長音の存在によって、「セリーヌ」の称呼は「リー」の部分が強調されるのに対し、「セリニ」の称呼は語頭部が最も強調されてその余の部分は極めて弱くしか発音されないものである。これによって、両者は、実際に発音して見れば直ちに明らかなとおり、これを聴いた際には全く異なった感じの語として受け取られるのである。

さらに、引用商標の称呼はその末尾が「ニ」であるのに対し、本件商標の称呼の末尾は「ヌ」である。「ニ」の音は語尾においては殆ど発音されず聞き取り難いのに対して、「ヌ」の音は唇を突き出して明瞭に発音されるから、両者はこれを聴くものに明確な差異が存するものである。

以上のとおり、引用商標と本件商標の間には、その称呼においても明確な区別が存するのであり、この両者が非類似であることは明らかである。

なお、前述のとおり、本件商標は図形との結合商標であり、その外観において全く異なることは明らかである。

さらに、本件商標は、世界で最も著名なファッション・メーカーの一つであるセリーヌの会社名をそのまま商標としたものであるから、これを聴く者には明確に認識されるものであり、そのような識別力を全く持たない「Cellini」の商標と明瞭に区別されることは明らかである。

以上のとおり、本件商標が引用商標と異なることは明らかであるから、本件請求は棄却されるべきである。

5.そこで、本件商標と引用商標との類否について判断する。

本件商標及び引用商標の構成は各々前記したとおりであり、両者は外観において明確な差異を有するから、互いに区別しうるものである。

次に、両者をその称呼についてみるに、本件商標は図形と欧文字とよりなるものであるところ、該欧文字部分よりは、「セリーヌパリ」又は「セリーヌ」の称呼を生ずるとしても、本件商標はファッション関係分野における著名な商標といえるものである。そして、取引者、需要者間において本件商標は、「セリーヌ」の称呼をもって取引に資されていることも、広く知られているところである。

他方、引用商標は前記したとおり、欧文字を筆記体風に書したものであって、これよりは、「セリニ」又は「セリーニ」の称呼を生ずるものである。

先ず、本件商標より生ずる「セリーヌ」と引用商標より生ずる「セリニ」の称呼について検討するに、両者は、長音の有無と語尾において「ヌ」と「ニ」の音の差を有することにより、聴感を著しく異にするものである。また、「セリーヌ」の称呼と「セリーニ」の称呼についてみても、両称呼は、「セ」、「リ」の音と長音を共通にしているが、語尾において「ヌ」と「ニ」の音の差を有するものである。そして、その差異音は語尾に位置するものであるが、長音をその前部分に有することによって、語尾に位置する「ニ」の音と「ヌ」の音は強く明確に発せられるものである。しかして、この差異が称呼全体に及ぼす影響は、決して小さいものであるとはいえず、両者はともに3音という比較的短い音構成であることから、称呼において聴感を著しく異にするものである。

したがって、本件商標、引用商標は、明確に聴別できるものであり、称呼上においては相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するを相当とするものである。

さらに、前述のように本件商標は、ファッション関連分野において著名な商標といえるものである。したがって、本件商標に接する取引者、需要者は、商品の取引に際して細心の注意を払い取引に当たると考えられることから、両商標は、この点においても相紛れるおそれはないというべきである。

さらに、観念についてみても、本件商標は「セーリヌ」、引用商標は「セリニ」と発音される女性名(フランス語)とみられるものであり、観念においても区別しうるというべきである。

そうとすれば、本件、引用商標は、外観、称呼、観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとはいえないから同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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