結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成7年審判第26881号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
1.本件登録第2695130商標(以下「本件商標」という。)は、「MICKYLAND」の欧文字と「ミッキーランド」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成2年5月25日に登録出願、第24類「家庭用テレビゲームおもちゃ、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機、レコード」を指定商品として、平成6年9月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
2.請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第33号証を提出した。
(1)本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するにもかかわらず、誤って登録されたものであるから、商標法第46条第1項第1号の規定により、無効とされるべきである。
本件商標は、「ミッキーランド.及び「MICKEYLAND」の文字からなるものあるが、この商標は「ミッキー/MICKEY」と「ランド/LAND」を組み合わせたものであることが明らかである。
しかして、「ミッキー/MICKEY」は、請求人の業務に係る著名なキャラクター及びその名称である「ミッキーマウス/MICKEYMOUSE」を認識させるものであり、かつ「ランド/LAND」も請求人の業務と密接な関係を有する言葉として認識されているものであるから、結局、本件商標は、請求人のイメージ及びその関連商標を利用して請求人の業務との混同を意図して構成されたものと解さざるを得ない。
(2)「ミッキー/MICKEY」について
請求人は、著名な動画、映画制作者であるウォルト、ディズニー(Walt Disney 1901−1966)によって創立された米国法人であり、現在では、いわゆるディズニー・キャラクターを使用した商品化権事業、東京ディズニーランド等を通じてわが国においても広く知られた企業である。
しかして、「ミッキーマウス/MICKEYMOUSE」は、いわゆる漫画のキャラクターの中で最も著名であり、その著名度は他のあらゆるキャラクターを圧倒しているといって過言ではなく、請求人の信用、イメージと固く結合した標章としても広く認識されているものである。
このことは、すでに特許庁においても顕著な事実と思料するが、同キャラクターに関する異議申立決定を一例として提出する(甲第5号証)。
さらに「ミッキーマウス/MICKEYMOUSE」は、上記のように多くの人々に愛され親しまれてきた結果、単に「ミッキー/MICKEY」と称呼されることも少なくなく、これによって確実に特定されるものとなっている。
すなわち、我が国において、「ミッキー」といえば、請求人の上記キャラクター「ミッキーマウス/MICKEYMOUSE」を指称するものであることは即座に理解され、それ故、請求人自身も、その出版物および商品化権事業に係る商品について「ミッキー」の愛称を広く使用している。
たとえば、甲第6号証は、請求人の商品化権事業に係る商品の一例を示すものであるが、これにより、「ミッキー」及び「MICKEY」の文字が、「一輪車、カメラ、各種のバッグ、セーター、タオルケット、各種の玩具、歯みがきセット、水着、浮き輪、マット、紙袋、トランプ、菓子類、日記帳、鉛筆、ドアチャイム、時計、毛布、宝石箱、メガネケース、楽器、ハンカチ、筆入れ、かき氷器、タオル」等の多種多様な商品に使用されてきたことが明らかである。
また、甲第7号証は、請求人の許諾により株式会社講談社が、本件商標の出願日の時点において発行していた出版物の一例である。
すなわち、甲第7号証の1は、書籍のシリーズ名又は題号に「ミッキー」の文字が使用されたものの一覧表であり、合計で81点に及ぶものである。これらの出版物の実例は、甲第7号証の3の写真に示すとおり、「ミッキー幼児絵本」「なかよしミッキー」「ミッキーとうたおう」「ミッキー、シェープ・ブック」「ミッキーのかくれんぼあそび」「ミッキーの巨人たいじ」「ミッキーのジャックと豆の木」「ミッキーのクリスマスキャロル」「ミッキーのまほうつかいのでし」「ミッキーのとけいえほん」「ミッキーのポップアップ絵本」等と表示され「ミッキー」の文字が顕著に使用されている。
さらに、第三者である新聞等の報道機関によっても、甲第8号証に示すとおり、「ミッキー」はミッキーマウスの愛称として広く全国的に使用されている。
また、我が国においては、特に後述するように、東京ディズニーランドの成功が請求人及びその業務に係るディズニー・キャラクター等の知名度を飛躍的に高めたが、「ミッキーマウス」は東京ディズニーランドの顔であり、東京ディズニーランド関係の出版物においても常に主役をつとめ、「ミッキー」の愛称で頻繁に登場し親しまれている(甲第9号証ないし同第19号証、甲第24号証ないし同第82号証、特に甲第31号証参照)。
以上のような事実からも明らかなとおり、「ミッキー」及び「MICKEY」は、本件商標の出願日はもとより、その以前より請求人のキャラクターであるミッキーマウスの略称(愛称)として広く親しまれ、請求人ないしその関連企業の業務を認識させるものとして広く認識されていたものである。
(3)「ランド/LAND」について
言葉としての「land」自体が「陸地、土地、地域、国」等を意味する既成の英単語であることはいうまでもない。
しかしながら、この言葉は、ウォルト、ディズニー及び請求人によって「ディズニーランド」において使用されて以来、請求人のイメージと分かち難く密接に結び着いたものとなっている。
すなわち、米国のディズニーランドは、1955年7月17日、カリフォルニア州において開園され、従来のいわゆる遊園地にない数々の独創的革命的な特徴を備え、それらにより世界的な成功を収めたものである。ディズニーランドは、又、園内が 4つの主要なテーマパークに区分され、それぞれに「Adventure Land(冒険の国)」、「Frontire Land(開拓の国)」、「Fantasy Land(おとぎの国)」、「Tommorow Land(未来の国)」という名称がつけられ、そこにおける催し物、展示物等の営業活動はすべてその名称に相応しい雰囲気に造られている。
つまり、ディズニーランドは、ディズニーの「ランド(国)」であって、その中にさらに4つの「ランド(国)」があるわけであるが、それぞれが現実の世界とは別の「夢と魔法の王国」であって、ディズニーはそれを「ランド(国)」という言葉で表現したのである。
ディズニーランドにおける初年度の入場者数は約400万人であり、この数字は当時としては驚くべきものであった。その後の隆盛はわが国でも既に広く知られているところであり、近年は常に年間約1000万人の入場者を世界中から迎えている。
このようなディズニーランドの成功によって「ランド(国)」の語は、ウォルト・ディズニーおよび請求人との関係において特別の意味をもつようになった。
さらに、東京ディズニーランドも、我が国における重大な社会現象のひとつとして捉えられるほどの成功を収めている。
しかして、東京ディズニーランドにおいても本国と同用、「ランド(国)」の語が4つの主要なテーマパーク名として採用されている。
すなわち、「Adventure Land(冒険の国)」、「Western(ウエスタンランド)、「Fantasy Land(おとぎの国)」、「Tommorow Land(未来の国)」である。 東京ディズニーランドに上記「ランド」が設けられることは、その開園(昭和58年4月15日)以前から広く報道され、遅くとも昭和55年の時点ですでに周知性を獲得していたものである(甲第20号証ないし同第23号証)。
なお、東京ディズニーランドの開園以来の動向について、又、上記「ランド」については甲第24号証ないし甲第29号証に記録されている。
また、前記講談社の出版物としても、ディズニーランド、東京ディズニーランド、テーマパークとしての上記4つのランドに関するものが古くから数多く出版されてきた。
例えば、甲第7号証の4及び5の月刊「ディズニーラド」誌は、昭和39年7月に創刊され、以来30年近くにわたって出版が継続されて今日に至っている。
また、甲第7号証の2は、書籍のシリーズ名又は題号に「ディズニーランド」「東京ディズニーランド」の文字が使用されたものの一覧表であり、合計で69点に及び、これらにおいて、「ディズニーランド」「東京ディズニーランド」及び4つのテーマパーク即ち「アドベンチャーランド」「ウェスタンランド」「ファンタジーランド」「トゥモローランド」等が頻繁に紹介されている。
以上のような出版活動もディズニーないし請求人と「ランド/LAND」の語との特殊な連想関係を生む要因となっていることは疑いない。
さらに、東京ディズニーランド内には、多数の店があり、年間1500万人に登る入場者がそこを訪れるが、そこでは、「Tokyo Disneyland」はもとより、各テーマパークの名を記した各種の商品が販売されている。甲第33号証は、その商品(記念品)の一例であるが、このような商品に関する「ランド/LAND」の語の使用も、この言葉と東京ディズニーランド、請求人、ディズニー商品との関係を多数の消費者に認識させるものとなっている。
上述した「ランド/LAND」の語と請求人の業務との連想関係は、又、現実の不正競争行為からも窺うことができる。
一例として、不正競争防止法に係るいわゆる「ポルノランドディズニー」事件の東京地裁昭和59年1月18日判決(甲第3号証、なお、本件の控訴審は和解で終結し判決はない)は、つぎのとおり認定している。
「被告の営業はセックスショップの経営であり、原告が直接営業の対象とするものではない。しかし被告は、前述のように原告の『ディズニー』の名称やディズニーキャラクターと同一又は類似の図柄を使用し、原告の『ディズニーランド』が『夢と冒険と魔法の世界』といわれるのに対し、同じように、セックスに関する『大人の夢』を実現するランドとして一般に宣伝する等被告の営業を原告の営業と関係づける工夫を積極的に行っている。」(本件の原告名「ウォルト ディズニー プロダクションズ」は請求人の旧名称であり、両者は同一法人である。)つまり、上記判決も、「被告の営業を原告の営業と関係づける工夫」として、「ランド」の語の使用に着目した認定を行っているのであり、請求人の営業と「ランド」の語の密接な関連性を判示しているものである。
以上のとおり、本件商標に含まれる「ランド」「LAND」の語は、その使用態様により、請求人の業務を表示する強い要因となるものであることが明らかである。
(5)本件商標の構成について
本件商標は、前記のとおり、「ミッキーランド」及び「MICKYLAND」の文字からなるものであるが、これが「ミッキー/MICKEY」および「ランド/LAND」の2語から構成されいることは一見して明白である。
しかして、上記したとおり、「ミッキー/MICKEY」は請求人の営業に係る著名なキャラクターの著名な略称である。本件商標に含まれる文字は、片仮名文字はもとより、そのローマ文字の綴りも正確に請求人の「MICKEY(MOUSE)」のそれと一致している。
さらに、上記したように「ランド」「LAND」の特殊性について明らかにした。すなわち、この語は請求人の営業への連想性が強く、少なくともディズニーやそのキャラクター名等との関連において使用されるときは請求人の業務を表示する結果となる性質を有する。
かかる現状において、本件商標は、上記のような含蓄をもつ「ランド/LAND」と請求人の代表的キャラクター名称である「ミッキー/MICKEY」とを組み合わせてなるものであり、請求人のイメージを強力に喚起させるものというべきである。
たしかに、「ミッキー/MICKEY」と「ランド/LAND」とを全く別々に異なった文脈で使用すれば、「ミッキー/MICKEY」は人名であり、「ランド/LAND」は英単語のひとつにすぎないといえるかもしれないが、ミッキーマウスと請求人のイメージを認識している一般人が本件商標に接したときに、その結合の特殊性からくる強い指標力によって「ミッキーマウス」「ディズニーランド」等を介して請求人が連想され、その顧客吸引力によって本件商標の付された商品が購入される可能性は非常に高いものと思料される。
つまり、本件商標は、請求人のイメージとの関係において、商品の出所の混同を生じさせるおそれが非常に高いものというべきである。
また、別の視点から、本件商標を虚心に眺めれば、これが「ミッキーマウス」や請求人の「ランド」と無関係に成立したものということはあり得ず、その顧客吸引力を利用しようとするものであることは客観的に理解されるというべきである。本件商標のような商標が請求人の商品と無関係の商品に使用されれば、長年にわたって注意深くそのキャラクター商品の品質維持に努めてきた請求人の信用、イメージが損なわれるのみならず、消費者もこれによって欺かれる結果となるのは見易い道理である。(「ミッキーマウス」キャラクター及び請求人の商品化事業の著名性については、前記甲第3号証に示すとおり、異議決定によっても明確に認定されている)。
さらに、本件商標の指定商品は、ビデオゲームおもちゃ、運動用具、レコード等を含む第24類の商品であり、請求人の商品化権事業にも密接な関係を有する分野である(甲第4号証参照)。
以上詳述したところがら明らかなとおり、「ミッキー/MICKEY」と「ランド/LAND」の2語から構成される本件商標が、その指定商品に使用された場合には、その商品が請求人又はその関係企業の業務に係る商品と誤認されることは必至というべきである。
(6)被請求人は、「MICKEY」「ミッキー」は、欧米のありふれた男子の名前「Michael」の略称、愛称であり、また、指定商品中「レコード」との関係では「ミッキー安川」、「ミッキー吉野」等の芸名を使用している者が存在する旨述べ、「MICKEY」「ミッキー」は「MICKEYMOUSE」を想起させるものではない旨主張している。
たしかに、「MICKEY」が欧米の男子名の愛称であること及び「ミッキー安川」等の芸名が存在することは事実である。
しかしながら、現在の現実の商取引および市場においては「ミッキー」といえば、まず想起されるのは一般的な欧米の男子名でも「ミッキー安川」等でもなく、極めて人気の高いキャラクターである「ミッキーマウス」であることは明らかである。特に本件の指定商品「家庭用テレビゲームおもちゃ」や「運動具」さらに「アニメーション映画の音楽を収録したレコード、テープ」等について「ミッキー」といった場合、普通の消費者が想起するのは「ミッキーマウス」であって、一般的な男子名や「ミッキー安川」等ではあり得ない。
つまり、上記のような商品との関係において使用される「MICKEY」「ミッキー」が一般的な男子名あるいは「ミッキー安川」「ミッキー吉野」等と理解されることはありえず、上記のような主張は単なる詭弁である。
請求人が、審判請求書において立証したとおり、「MICKEY」「ミッキー」は請求人の著名なキャラクター名の略称として「ミッキーマウス」を指称するものであり、少なくとも、本件商標の指定商品との関係においては「ミッキー」は「ミッキーマウス」との関連で理解される蓋然性が高い。
しかも、無効審判請求書において述べたとおり、本件商標中の「ランド/LAND」も請求人による「東京ディズニーランド」や、その中の「トゥモローランド」等の使用によって請求人との連想性が強い言葉となっていることは明白である。
したがって、「ミッキー/MICKEY」と「LAND/ランド」からなる本件商標が、いずれも請求人を連想させるこれら2語の組合せによる相乗作用によって、請求人との関係で理解されるおそれは十分にあるというべきである。
3.被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を次のように述べた。
被請求人は、請求人のイメージ等を利用するものではなく、又客観的にみても、本件商標と請求人等の業務との間で混同を生ずることはない。
以下、その理由について敷衍する。
(1)「MICKEY」の文字は、英語の辞書等の記載をみるまでもなく、欧米のありふれた男子の名前「Michael」の略称、愛称であり「ミッキー」はその表音を片仮名文字で表したにすぎないものである。
しかして、本件商標に係る指定商品との関係からしても、例えば、「レコード」との関係では、アーティストとして「ミッキー安川」、「ミッキー吉野」等々、「ミッキー」を芸名として使用している者は、多数存在しており、取り立てて、請求人の主張するように、「MICKEYMOUSE」を直ちに想起させるものではないことは明らかである。
請求人は、甲第5号証として、ミッキーマウスのキャラクターに関する異議決定を提出しているが、本件とは事案を事にするものであり、本件とは何等関連のないものである。
甲第6号証ないし同第7号証の3として、請求人の商品化事業に係る商品を例示しているが、これらの殆ど全ては、いわゆる「ミッキーマウス」のキャラクター図形と「MICKEY」「ミッキー」を併記したものばかりであり、その図形を併記して初めて、「MICKEY」「ミッキー」の文字が「ミッキーマウス」を想起させるにすぎないものであることを物語っているといっても過言ではない。さらに、甲第8号証の新聞記事をみても、同様にミッキーマウスの写真入りで紹介されているものが殆どであり、写真のない記事についても「ミッキーマウス」のフルネームが記載されているものが殆どである。
したがって、本件商標の構成中「MICKEY」「ミッキー」が直ちに請求人のキャラクターであるミッキーマウスを想起させたり、請求人等の業務を認識させることはない。
(2)「ランド/LAND」について言及するに、この語が請求人のイメージと分かち難く密接に結び着いたものとなっている旨の主張は請求人の独善であり、何等客観性を有しないものである。
なるほど、ディズニーランド内において、4つのテーマパークに「LAND」の文字が使用されているが、その事実のみによって、「LAND/ランド」が請求人と密接な関係を有しているということはできない。
請求人は、甲第20号証ないし同第23号証として、異議決定を提出しているが、これらは、あくまでも、上記テーマパークの名称であって、「LAND」又は「ランド」を含むものについてまで請求人の周知性を認めているものではない。
また、甲第3号証にしても、請求人は、「ランド」の語を強調しているが、その判決理由を詳細に検討すれば、被告が原告の「ディズニー」の名称やディズニーキャラクターと同一又は類似の図柄を使用していることが十分勘案されていることは明らかであり、単に「ランド」を使用した事実のみに依拠して判断されたものでないことは明々白々である。
したがって、本件商標に含まれる「ランド」「LAND」の語が請求人の業務を表示する強い要因となる、との請求人の主張は何等根拠のないものである。
(3)請求人は、本件商標が「ミッキー/MICKEY」と「ランド/LAND」の2語から構成されていることから、請求人のイメージを強力に喚起させ、その結合の特殊性から「強い指標力」が発生し、それによって「ミッキーマウス」「ディズニーランド」を介して請求人が連想され、その顧客吸引力によって、本件商標の付された商品が購入される可能性が高い旨主張している。
しかし、このような複雑なプロセスを経なければ請求人の主張ができないという事実こそ、請求人の主張自体、妥当ではないことを如実に物語っているのである。
むしろ、被請求人としては、『ミッキーマウス』や請求人の『ランド』と無関係に成立したものということはあり得ず、その顧客吸引力を利用しようとするものである、旨の請求人の主張は、被請求人を冒涜するものであって、到底承服し得るところではない。
(5)本件商標が、請求人の業務との間で商品の出所について混同を生ぜしめないことは、本件商標の審査段階における異議決定において認められたところであるが、被請求人は、本件商標の使用を開始しようとしているところであり、請求人とは何等関連のない、独自の出所を表示するものである。
4.そこで、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するかについて判断する。
本件商標を構成する「ミッキー」及び「MICKEY」の文字は、男子名「MICHAEL」の愛称、略称であって、「ミッキー安川」、「ミッキー吉野」のように人名(芸名のフルネーム)を表すものとして、我が国においても使用されている事実がある。このことからすれば、単に「ミッキー」、「MICKEY」の語のみでは、特定の人物を指称することは難しいものであって、フルネーム(姓名)表示によって、ようやく、その人物を特定し得るといえるものである。
ところで、請求人提出の甲第7号証の1及び2の「書籍リスト」によれば、「ミッキーの・・・・」の様に「ミッキー」の文字を用いた「幼児絵本」の題号が多数表わされている。しかしながら、この題号の幼児絵本の表紙(甲第7号証の4及び5)には、「ミッキーマウス/MICKEYMOUSE」を現した図形又は写真が併せて用いられているものである。
そして、甲第8号証の各新聞の記事中に使用されている「ミッキー」、「MICKEY」の語は、「ミッキーマウス/MICKEYMOUSE」を現した図形又は写真と併せて用いられている記事が大部分である。また、「ミッキー」、「MICKEY」の文字のみが新聞記事の見出しに使用されている場合であっても、記事の本文中には、「ミッキーマウス/MICKEYMOUSE」の文字が使用されているものであって、他の甲各号証についても同様のことがいえる。
したがって、「ミッキーマウス/MICKEYMOUSE」が著名であるとしても、「ミッキー」、「MICKEY」の文字自体は、「ミッキーマウス/MICKEYMOUSE」のフルネーム又はその図形若しくは写真と併せて用いるか、若しくは「ディズニーランド」の名の下に使用する場合でなければ、何を指称するか特定することが困難といい得るものである。
また、「ランド/LAND」の文字についても、我が国において「土地、国、地域」等の意味合いを有する英語若しくは外来語として親しまれている語でもある。そして、「LAND」を有する語としては、「イングランド/England」、「アイランド/island」等のような例が認められる。このように、「ランド/LAND」の文字を構成の一部に有する語の全てが「ディズニーランド」となんらかの関係を有する者による使用とはいえないものである。
このような事情を併せ考えれば、本件商標を構成する「ミッキーランド」「MICKEYLAND」の文字は、同一の書体、同一の大きさ、同一の間隔で上下二段に外観上まとまりよく一体的に横書きされている本件商標に接する取引者、需要者は、これを一連の造語として捉え、「ディズニーランド」を想起することはないというのが相当である。
したがって、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、該商品が請求人又は、同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品とは誤認されないものであって、同人の業務に係る商品であるかのごとくにその出所について混同を生ずるおそれのないものといわなければならない。
結局、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとはいえず、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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