結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第35622号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件審判請求に係る登録第4011045号商標(以下、「本件商標」という。)は、「一夢庵」の漢字を横書きしてなり、第30類「サンドイッチ、すし、ピザ、べんとう、ミートパイ、ラビオリ、菓子及びパン、コーヒー及びココア、コーヒー豆、茶、調味料、香辛料、食品香料(精油のものを除く。)、米、脱穀済みの大麦、食用粉類、食用グルテン、穀物の加工品、即席菓子のもと、アイスクリームのもと、シャーベットのもと、アーモンドペースト、イーストパウダー、こうじ、酵母、ベーキングパウダー、氷、アイスクリーム凝固剤、家庭用食肉軟化剤、ホイップクリーム用安定剤、酒かす」を指定商品として、平成7年8月14日登録出願、同9年6月13日に登録されたものである。
本件審判請求人(以下「請求人」という。)は、本件商標の登録は、指定商品中、「サンドイッチ、すし、ピザ、べんとう、ミートパイ、ラビオリ、菓子及びパン、コーヒー及びココア、コーヒー豆、茶、調味料、香辛料、食用粉類、食用グルテン、穀物の加工品、即席菓子のもと、アイスクリームのもと、シャーベットのもと、アーモンドペースト、ベーキングパウダー、氷、酒かす」(以下、「本件審判請求に係る指定商品」という。)についての登録は無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める旨主張して、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証から同第22号証までを提出している。
(1) 本件商標の内容は前記1のとおりである。
これに対し、請求人は、同人所有の登録商標「夢庵」及び同「夢庵」を主要部とする商標を引用して、本件商標の指定商品中、「サンドイッチ、すし、ピザ、べんとう、ミートパイ、ラビオリ、菓子及びパン、コーヒー及びココア、コーヒー豆、茶、調味料、香辛料、食用粉類、食用グルテン、穀物の加工品、即席菓子のもと、アイスクリームのもと、シャーベットのもと、アーモンドペースト、ベーキングパウダー、氷、酒かす」について登録の取消しを求める登録異議申立書を平成9年10月2旧付で提出し、この登録異議申立ては、平成9年異議第90218号として審理された。
登録異議申立ての理由の第1は、本件商標は、引用商標(1)、同(2)をもって示す登録商標に類似し、指定商品についても互いに同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する、とするものである。
すなわち、本件商標「一夢庵」と前記引用商標「夢庵」とは数字の「一」が含まれているか否かに過ぎず、しかも、この数字の「一」が含まれることによって、本件商標が引用商標と異なった意味合いを生じさせるものでもないから、本件商標と引用商標(1)、同(2)とは「夢庵」を主要部とする酷似した商標である旨主張した。
理由の第2は、引用商標(3)、同(4)をもって示す商標「夢庵」は、本件商標の登録出願時には既に100店舗余を有するレストランの名称として盛んに使用され,既に関東圏では著名となっているから、本件商標「一夢庵」がその指定商品である「すし、べんとう、ピザ、サンドイッチ、菓子及びパン、茶、コーヒー・紅茶等の飲料、うどん等の穀物の加工品等」に付して使用されたときは、申立人の業務に係る商品であるかの如く、又は少なくとも申立人と関連を有する企業の商品であるかの如く誤認、混同する虞多大であり、商標法第4条第1項第15号に該当する、とするものである。
つまり、本件商標が指定する商品は、レストラン内で供されることが多く、現在ではレストランの店舗内で供される多くの食品がテイクアウトされている事実があるところがら、本件商標に係る指定商品と引用商標(3)、同(5)の役務である飲食物の提供とは不可分の関係にあり、酷似した本件商標が登録異議理由に係る指定商品に付されて使用された場合には、本件商標権者の業務との間で商品の誤認が生じる虞多大であることは明白である。
(2) しかしながら、審判官は、登録異議の申立ては理由がなく平成10年3月4日付で、「登録第4011045号商標の登録を維持する。」と決定し、その謄本は平成10年3月28日に発送された(甲第13号証)。
(3) しかしながら、請求人は本件商標の登録には承服できない。
ここに改めて、請求人所有の5件の登録商標(以下、これらを「引用商標(1)、同(2)、同(3)、同(4)、同(5)」という。甲第3号証乃至同第12号証)を引用し、本件審判請求に係る指定商品について、本件商標の登録を無効とする、との審決を求めるものである。
(4) 引用商標は以下のとおりである。
▲1▼甲第3号証をもって示す商標「引用商標(1)」
登録番号:第2600188号 商標:「夢庵」(別紙1参照) 日本分類第32類 指定商品:「食用水産物、加工食料品、その他本類に属する商品」登録日 平成5年11月30日
▲2▼甲第5号証をもって示す商標「引用商標(2)」
登録番号:第3272082号 商標:「夢庵/ゆめあん/JAPANESERESTAURANT/図付」(別紙2参照) 国際分類第30類 指定商品:「コーヒー及びココア、コーヒー豆、茶、調味料、香辛料、食用粉類、食用グルテン、穀物の加工品、サンドイッチ、すし、ピザ、べんとう、ホットドッグ、ハンバーガー、ミートパイ、ラビオリ、菓子及びパン、即席菓子のもと、アイスクリームのもと、シャーベットのもと、アーモンドペースト、ベーキングパウダー、氷」登録日 平成9年3月12日
▲3▼甲第7号証をもって示す商標 「引用商標(3)」
登録番号:第3213624号 商標:「夢庵」(別紙3参照) 国際分類第42類指定役務:「活魚を主とする飲食物の提供、定食の提供、てんぷら料理の提供、サラダの提供、刺身の提供、茶碗むしの提供、酢の物の提供、塩辛の提供、魚の煮付けの提供、お茶漬けの提供、雑炊の提供、うどんの提供、アルコ−ル飲料の提供、茶・コーヒー・清涼飲料・果実飲料の提供、アイスクリームの提供、フルーツの提供、宴会場の提供」登録日 平成8年10月31日
▲4▼甲第9号証をもって示す商標 「引用商標(4)」
登録番号:第3315295号 商標:「夢庵/ゆめあん/JAPANESERESTAURANT/図付」(別紙4参照) 国際分類第29類 指定商品:「食肉、食用魚介類(生きているものを除く。)、肉製品、加工水産物、豆、加工野菜及び加工果実、卵、加工卵、乳製品、食用油脂、カレー・シチュー又はスープのもと、お茶漬けのり、ふりかけ、豆乳、豆腐、納豆、食用たんぱく」
▲5▼甲第11号証をもって示す商標 「引用商標(5)」
登録番号:第4015413号 商標:「夢庵/ゆめあん/JAPANESERESTAURANT/図付」(別紙5参照) 国際分類第42類 指定役務:「飲食物の提供、写真の提供、会議・宴会等のための多目的ホールの提供」登録日 平成9年6月20日
(5) 本件商標の登録は無効であるとする第1の理由。
本件商標「一夢庵」と引用商標「夢庵」とを対比すれば、両者の指定商品が同一又は類似であることは否定すべくもなく、商標も称呼、観念において酷似した商標であるかろ、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
▲1▼ まず、本件商標が造語であることは、登録異議決定に示すとおりであり、本件商標権者も認めるところである。一方、引用商標「夢庵」も又造語であることは、辞書等に熟語として記載されてはいない事実から否定し得ないものである。
してみれば、造語と造語の対比において本件商標「一夢庵」、引用商標「夢庵」を対比すれば、本件商標と引用商標との差異は、単に和数字「一」が含まれているか否かの差異であり、自他商品識別標識として和数字「一」は単独では登録要件を具備しないことは明白であるから、本件商標の要部は「夢庵」の部分にあり、本件商標「一夢庵」と引用商標「夢庵」との類似性は免れようも無いものである。
仮に、「夢庵」と「一夢庵」が非類似であるという登録異議決定に示す理由を妥当なものとすれば、「二夢庵」、「三夢庵」、「四夢庵」、「五夢庵」・・・・・「百夢庵」等、和数字を含む「夢庵」は総て非類似の商標ということになり、「夢庵」の登録の意味は全く失われてしまうものである。
▲2▼ さらに述べれば、熟語ではないが「夢庵」からは「夢の庵」、「夢のような小さな家」等をイメージする。
つまり、「庵」には和風の「小さな家」、「小さな建物」といった意味があるかろ、こだわりの料理店の店名又は店舗名として、「庵」の文字が使用されている事実が多くあり、登録商標中にも200件以上の「庵」の文字を含む商標が存在している。
したがって、「夢庵」に接する需要者等は、「夢の庵」又は「夢のような和風の店」を想起することも自然である。
このイメージは「一夢庵」になっても「夢庵」と実質的にかわることはなく、「一夢庵」の「一」の文字は、単に数として認識されるに過ぎず、「夢庵」と「一夢庵」の類優性は否定すべくもない。
▲3▼ 故に、本件商標「一夢庵」から「イチユメアン」、「イチムアン」の称呼のみが生じるとしても、本件商標と引用商標とは「夢庵」の部分を要部とする観念、称呼において酷似する類似商標であることは全く否定すべくもないものである。
(6) 本件商標の登録は無効であるとする第2の理由。
本件商標は,商標法第4条第1項第15号にも該当するものである。
請求人が所有する引用商標(3)、同(4)、同(5)の「夢庵」は、請求人の経営する和風レストランの店舗名として、本件商標の登録出願前から盛んに使用され、本件商標の登録出願前の平成7年8月14日には東京都、神奈川県、埼玉県、栃大県等関東圏で68店舗を有し、需要者には「夢庵」といえば和風レストラン「夢庵」を直感するまでに著名となっていたものである(甲14第号証乃至同第22号証)。
登録異議決定に示された理由によれば、登録異議申立書に添付した証拠『「夢庵」のメニュー』、『「夢庵」の店舗一覧表』及び「請求人会社の「有価証券報告書」』から、本件商標の登録出願時に既に70店舗余あったという事実及び「夢庵」にはテイクアウトされる商品がある事実を認めながら、これらの証拠はしストラン「夢庵」が著名となっているとするに十分な証拠とは認めることができない、として著名性を否定しているが、関東圏で68店舗の存在(平成10年11月末店舗数113、甲第18号証)は、著名性を立証する何よりの証拠であり、本件商標の登録出願年度(平成5年度)でさえ70店舗余で年間110億以上の売上高は、その著名性を証する更なる事実である。
役務商標が著名か否かの基準は、商品に付されて転々流通する商品商標と異なり、店舗数・売上げが最重要視されるべきである。
してみれば、かくの如く著名な引用商標と酷似した本件商標が、本件審判請求に係る指定商品に付して使用された場合には、請求人と同一又は少なくとも同系列の企業であるかの如く商品の出所を誤認することは明らかである。
よって、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(7) 以上の次第につき、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同法同条同項第15号に該当する商標であるから、商標法第46条第1項に基づき、本件商標の本件審判請求こ係る指定商品についての登録を無効とするとの審決を求める。
本件審判請求に対して、本件審判請求被請求人は答弁するところがない。
(1) 本件商標と引用各商標の類否について判断する。本件商標は「一夢庵」の漢字を横書きしてなるものであるのに対して、引用各商標はいずれも「夢庵」を要部とするもので、「夢」の下部に「庵」の文字を45度程左にずらして草書体風に縦書きしてなるものである(別紙参照)。
請求人は、本件商標と引用各商標との差異は、単に和数字「一」が含まれているか否かの差異であり、自他商品識別標識として和数字「一」は単独では登録要件を具備しないことは明白であるから、本件商標の要部は「夢庵」の部分にあり、本件商標「一夢庵」と引用商標「夢庵」との類似性は免れようも無いものである旨主張する。
しかしながら、請求人は本件商標を「一」と「夢庵」とに分離して観察し、その理由として「一」の文字は単独では識別力が無いことをあげているが、本件商標は、「一夢庵」と表示してなるものであって、請求人主張の如く分離するのは不自然であり、むしろ「一夢」については「一夢を見る」と言う場合があり、本件商標よりは「一夢を見る庵(いおり)」の如き意味合いが生じるとみられ、本件商標の要部が「夢庵」の文字にあるとの主張は認め難いと言わなければならない。請求人が主張する「料理店の店名又は店舗名として、『庵』の文字が使用されている事実が多くあり、登録商標中にも200件以上の『庵』の文字を含む商標が存在している。」との事実はこれを裏付けるとみられるものである。その他、本件商標の要部が「夢庵」にあるとする理由は見い出せない。
してみれば、本件商標は、その要部が「夢庵」にあるとして、引用各商標と称呼、観念上類似のものであるとする請求人の主張は理由がないと言うべきである。
また、請求人は、本件商標に係る登録異議決定における本件商標と引用各商標とが非類似であるとの判断に対して、仮定の例を挙げて非難するところがあるが、商標の類否の判断は、各事案において当該事案に即して認定、判断されるべきものであり、請求人の主張は当たらない。
その他、本件商標と引用各商標は、外観、称呼又は観念のいずれにおいても類似しないものである。
したがって、本件商標は、引用商標(1)、同(2)とは指定商品において抵触するところがあるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2) 本件商標を指定商品について使用したときに、請求人又は同人と関係のある者の業務に係るものであるが如く出所の混同の虞があるか否かについて判断するに、本件審判請求に係る指定商品「サンドイッチ、すし、ピザ、べんとう、ミートパイ、ラビオリ、菓子及びパン、コーヒー及びココア、コーヒー豆、茶、調味料、香辛料、食用粉類、食用グルテン、穀物の加工品、即席菓子のもと、アイスクリームのもと、シャーベットのもと、アーモンドペースト、ベーキングパウダー、氷、酒かす」はいずれも、それ自体が商品として取引者、需要者の間で流通するものであるのに対して、和風レストラン「夢庵」において提供される役務、すなわち役務の提供としての飲食物はその場で加工され、消費される点において取引上明らかな差異がある。
請求人は、前掲レストラン「夢庵」においてはテイクアウト商品がある旨主張するところがあるが、甲第18号証、同第20号証、同第21号証及び同第22号証には、同「夢庵」において提供されるメニューが記載されているところ、いずれも一般的な和風レストランにおけるメニューと認められ、これらが全てテイクアウトされているとは認め難いものである。僅かに一部の店舗において、持ち帰り用として「おぼろ豆腐」、「味噌ドレッシング」及び「うどん麺」がテイクアウトとして用意されていることが認められる程度で、これらとてレストラン利用のついでの持ち帰り用商品にすぎないものと認められる。
以上の認定した事実等によれば、本件商標と引用各商標は類似するものではないこと、本件審判請求に係る指定商品と引用商標を使用し前掲レストラン「夢庵」が提供する役務とは取引上明らかな差異があること、及び前掲レストラン「夢庵」に係るテイクアウト商品は極僅かで限られた範囲内のものであることが認められる。
してみれば、本件商標は、これを指定商品中、本件審判請求に係る指定商品に使用したときは、引用商標(3)、同(5)が請求人の提供する役務を表示するものとして関東圏においては周知であるとしても、該商品が請求人又は同人と何らかの関係のある者の業務に係る商品の如く出所の混同を生ずる虞があるものとは言うことはできない。
また、引用商標(4)は、「食肉」等を指定商品とするものであるところ、同商標が食肉等について使用されて周知、著名に至ったとの主張、立証がなく、また、本件商標が引用商標(4)との関係において、出所の混同の虞があるものとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号又は同法同条同項第15号に違反してされたものではないから、その登録を無効とすべきではない。
よって結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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