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Trademark Appeal Case

不使用取消審判における使用の有無

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第31237号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2646342号商標の指定商品中「かばん類 袋物 洗面用具入れ」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2646342号商標(以下「本件商標」という。)は、平成4年3月31日に登録出願され、別掲に示すとおりの構成よりなり、指定商品を平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令第1条に基づく商品の区分第21類(以下「旧第21類」という。)「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具」として、平成6年4月28日に設定の登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると主張し、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出している。

(1)請求の理由

本件商標は、その指定商品中の「かばん類、袋物、洗面用具入れ」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

(2)被請求人の答弁に対する弁駁

請求人は、被請求人に対し、平成11年6月18日付内容証明郵便をもって、本件商標について、取消審判をする予定があること及び本件商標の譲渡の申入れを行ったが、その交渉がまとまらず本件の審判請求を行った。したがって、商標法第50条第2項および第3項の趣旨からすれば、請求人が本取消審判の予告をした上記内容証明郵便が被請求人に到達した平成11年6月20日が使用事実の基準日(以下「基準日」という。)である。

被請求人は、本件商標を「現在」サテンバックに使用している旨の主張をするが、基準日である平成11年6月20日前に使用している事実はない。

被請求人は、真珠製品の小売販売を業とするものであり、被請求人が証拠として提出したサテンバックは、購入者にサービスとして無料で交付されていたものにすぎず、本件商標をサテンバックに使用していたものとはいえない。

したがって、被請求人が「かばん類、袋物、化粧用具入れ」のいずれも、本件商標を基準日前に使用した事実はない。

3 被請求人の答弁

本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、検乙第1号証ないし検乙第4号証及び乙第1号証ないし乙第14号証を提出している。

(1)答弁の要旨

被請求人は、本件商標を神戸市内にあるホテル内の店舗において現在使用している。

被請求人は、使用の事実として使用している商品の現物を提出する(検乙第1号証)。当該商品は、指輪や化粧用具及び洗面用具などの小物を収納する小型の袋物であり、本件商標の指定商品中の「かばん類、袋物、洗面用具入れ」に含まれる商品である。

当該商品を見ると、値札とシールに「ヌー」の片仮名文字及びローマ文字の「N」を使用しているものであって、それが本件商標と同一の範囲内で使用するものであることは明白である。当該商品は、中国で製造した製品であり「サテンバッグ」として、平成9年及び平成10年に5000個づつ輸入したものである(乙第1号証ないし乙第2号証)。

そして、本件商標が記されている値札(検乙第2号証)及びシール(検乙第3号証)は、それぞれ1998年7月15日及び1998年8月27日に納品されたものであって、被請求人はこれらの値札及びシールを当該商品に付して販売しているものである。これからも本件商標が本件取消審判日から過去3年以内に、継続使用されているものであることは明白である。

被請求人は、神戸市中央区港島中町七丁目5番1号に支店を有しており(乙第5号証)、この支店は、神戸ポートアイランドに所在するホテルパールシティ神戸内にある(乙第6号証及び乙第7号証)。

そして、本件商標は、商品商標であるとともに被請求人が神戸市内のホテル内で営む店舗名でもある。このことは、平成11年8月10日付デイリースポーツ掲載の記事により明らかである(乙第8号証ないし乙第10号証)。

乙第11号証及び乙第12号証は、店舗を撮影した写真である。これらにより、当該店舗が「ヌー/N」という名の店舗であって本件商標が現実に使用されていることを明らかにする。

乙第13号証及び乙第14号証は、当該店舗の商品の陳列状態と「サテンバック」が当該店舗内において販売されている様子を撮影した写真である。

以上により、「サテンバック」が現在販売され、これを販売している店舗名が「ヌー/N」であることが明らかである。

また、被請求人は、本件商標を店舗名として採用し、小売標として使用している。検乙第4号証のショッピングバッグに本件商標を使用していることは、小売業者が自身の商標を使用する場合の使用の仕方であり、このことから被請求人が本件商標を小売標としても使用し、当該店舗内で販売される商品すべてに対して本件商標を使用していることが明白である。

(2)第二答弁の要旨

請求人は、本件商標のサテンバックへの使用に対して「現在」の言葉のみに言及し、平成11年6月20日前に使用した事実がないとしている。

しかしながら、現在の使用状況を証明しているからといって、それが「現在」のみの使用でしかないと断定することはできない。被請求人は、本件商標を「現在」も継続して使用しているのであって、「現在」の使用状況を明らかにすることにより、本件商標の使用形態が小売標としての使用であることを明らかにしている。

すなわち、過去より小売標として本件商標を使用していることは、乙第3号証ないし乙第4号証のプライスカード及びシールの納品書により証明し、バック類を小売りしていた事実は、乙第1号証ないし乙第2号証のサテンバックの仕入れ書により証明する。

したがって、平成11年6月20日前に使用した事実がないとすることはできない。

また、請求人は、平成11年6月18日付内容証明郵便送達後における被請求人との交渉の過程において被請求人は「かばん類、袋物、洗面道具入れ」を販売していないことを認めていたとするが、そのような事実はない。特に交渉といったものがあったわけではなく、請求人は、一方的に譲渡を求めたに過ぎず、この時、被請求人は譲渡することはできない旨を伝えている。

請求人は、検乙第1号証のサテンバックは、サービスとして無料で渡していたものであると断定しているが、そのような事実は全くない。当該主張は、請求人が自己に都合が良いように考えた想像でしかない。

また、サテンバックの値札が、ネックレスの値札として使用していたものと同じものであることは、何ら不思議なことではない。本件商標が店舗の名称でもある点から、当該店舗で小売販売する商品に、同一の値札を使用することは当然のことで、当該値札の金額からして真珠製品の値札の流用ではないことは明らかである。本証拠は、本件商標が小売標としてサテンバックにどのように使用されてきているかを明らかにするものであり、シールはその使用方法を示したものである。

検乙第2号証は、本件商標が値札に使用されていることを明らかにするものである。本件商標は、小売標として使用されるものであり、特に店舗名でもあることから、本件商標の表示のある値札は、当該店舗内で取り扱う商品すべてに統一的に使用されるものであって、サテンバックのみに限らず、真珠製品にも使用されるものである。

検乙第3号証は、小売標としての使用形態の一つとしてシールを提出し、そこに本件商標が付されていることを明らかにすることを目的とする。当該シールは、検乙第1号証のように商品に直接付したり、包装紙で包んだときの止めとして使用されるものである。当該シールが、平成10年に納品されたものであり、自他商品を識別するために小売標として小売時に使用されてきたことが重要であり、請求人が主張していることは全く根拠のないことである。

検乙第4号証は、小売標としての使用形態の一つとして紙袋を提出し、そこに本件商標が付されていることを明らかにすることを目的とする。当該紙袋が「かばん類、袋物」に該当しないものであることは心得ている。一般に小売業者は、自己の商標を商品に直接付すのではなく、商品の持ち帰り用の紙袋や包装紙に付し、自己が小売りした商品であることを証明する。このことから、本証拠を提出し、本件商標が小売標として使用されていることを明らかにするものである。小売標は、自他商品の識別のためのものであるが、それは、いわば小売りされる店舗、場所を識別してもらうために使用されるものと言える。その使用形態は、紙袋や値札、シールと言ったものとなるので、本証拠及び検乙第2号証ないし検乙第3号証を提出するものである。

乙第1号証及び乙第2号証の仕入れ書にあるサテンバックに関し、顧客に無料で渡していたことは全くなく、基準日以前の平成9年より現実に小売りをしているものである。

乙第3号証は、基準日以前の平成10年に当該値札が納品されていることを明らかにするものである。サテンバックを無料にしたことはなく、当該値札を使用してきたのが事実である。

乙第4号証は、基準日以前の平成10年に当該シールが納品されていたことを明らかにするものである。請求人は、真珠製品の販売のために使用されていたことは認めており、サテンバックには認めないのは自己の都合によるものと判断する。

以上のとおり、請求人の主張には、本件商標が商標法第50条第1項に該当する理由及び法的証拠がないことは明白である。本件商標は、値札(検乙第2号証及び乙第3号証)、シール(検乙第3号証及び乙第4号証)及び紙袋(検乙第4号証)等に付され、被請求人本人が、少なくともサテンバック(乙第1号証)に関し、平成9年及び平成10年(乙第1号証ないし乙第2号証)から現在まで、神戸市中央区港島中町7丁目5番1号にあるホテルパールシティ神戸内の被請求人店舗「ヌー/N」(乙第5号証ないし乙第10号証)で、小売標として使用されてきている(乙第11号証ないし乙第14号証)。

4 当審の判断

本件商標は、前示のとおり「ヌー」の片仮名文字及び「N」の欧文字よりなり、旧第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具」を指定商品とするものである。

請求人は、本件商標は「かばん類、袋物、洗面用具入れ」につき、継続して3年以上日本国内において使用されていないと主張しているのに対し、被請求人は本件商標を「かばん類、袋物、洗面用具入れ」に属する商品である小型の袋物「サテンバック」について使用している旨述べているので、以下、検討する。

乙第1号証及び乙第2号証によれば、被請求人が「サテンバック」なる小型の布製袋物(以下、「小袋」という。)を1997年3月10日頃(数量不明)及び1998年10月14日頃(5000個)、中国抽沙汕斗進出口公司(中華人民共和国所在)から、仕入れていたことが認められる。

乙第3号証によれば、被請求人が「プライスカード」5000枚を1998年7月15日に株式会社中央印刷から納品されていたことが認められる。

しかしながら、当該納品書の商品名の欄には、「プライスカード1/0」と記載されているのみであり、これが被請求人が主張する「ヌー」及び「N」の文字を表示した「プライスカード」(検乙第2号証)と同一のものとは認められない。

乙第4号証及び検乙第3号証によれば、「ヌー」及び「N」の文字を表示したシール2000枚が、1998年8月27日に株式会社中央印刷から被請求人に対し、納品されていたことが推認される。

検乙第1号証は、「ヌー」及び「N」の文字を表示したプライスカード及びシールが貼付された小袋であるところ、これにより、当該小袋が被請求人の主張する「サテンバック」(乙第1号証及び乙第2号証)であること及びその小袋について、プライスカード(検乙第2号証)及びシール(検乙第3号証)が付されていることが認められる。

しかしながら、検乙第1号証に示される小袋が、当該プライスカードを含めて、その状態で本件審判の請求前(基準日は後述参照。)3年以内に不特定多数の需要者に対し、販売され、取引されたとする事実を客観的に示す証左は見い出せない。

検乙第4号証のショッピングバックは、被請求人も自認するとおり、本件商標の指定商品に含まれるものとは認められない。

乙第5号証の被請求人の「現在事項全部証明書」ないし乙第10号証の新聞記事(デイリースポーツ)への掲載受領書は、被請求人の事業内容、店舗名等を示すものであって、本件商標の取消請求に係る商品とは直接関係するものではなく、その使用を証明するものではない。

乙第11号証ないし乙第13号証の写真は、被請求人の店舗等の様子を撮影したものであって、本件審判の取消請求に係る商品とは直接関係するものではなく、その使用を証明するものではない。

乙第14号証の写真は、プライスカードが付された小袋を撮影したものであるところ、前述検乙第1号証の場合と同様に取引の事実は客観的に証明されない。

このほか、乙第11号証ないし乙第14号証の写真によっては、小袋についての取引の事実は客観的に証明されないから、これらを証拠として採用することはできない。

以上、乙第1号証ないし乙第14号証及び検乙第1号証ないし検乙第4号証の各証拠中からは、被請求人が「ヌー」及び「N」の文字よりなる商標を商品「小袋」について使用していたことを明らかにする具体的事実を示すもの、例えば、具体的な販売時期、販売数量及び販売額等を記載した書証等を見出すことはできず、これら証拠によっては、本件商標の取消請求に係る商品についての使用事実を立証するものとはいえない。その他、この認定を覆すに足りる証拠はない。

してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品中の「かばん類、袋物、洗面用具入れ」について使用されていたものとはいえないから、結局、本件商標は商標法第50条の規定により、その登録は、取り消すべきものである。

ところで、本件審判において請求人の述べる「被請求人に本取消審判請求を予告した内容を含む内容証明郵便を送付しているから、被請求人が本件商標の使用を証明すべき時期は、当該郵便が被請求人に到達した平成11年6月20日である。」(商標法第50条第3項)旨の主張に対し、被請求人は、事実上これを認めた上で答弁を述べている。

しかしながら、前示のとおり、被請求人は、本件審判の取消請求に係る商品「かばん類、袋物、洗面用具入れ」について使用していることを主張・立証し得たものとはいえないから、本件商標は、商標法第50条第3項該当の当否について判断するまでもなく、前記法条の規定によりその登録の取消を免れない。

よって、結論のとおり審決する。

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