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Trademark Appeal Case

著作物の題号と商標使用

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第30646号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第1551323号商標(以下、「本件商標」という。)は、「POLEPOSITION」の欧文字を横書きしてなり、昭和54年1月24日登録出願、第24類「おもちゃ,その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和57年11月26日に設定登録され、その後、平成5年5月28日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品中「おもちゃ,人形(マネキン人形,洋服飾り型類を除く。)についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第4号証を提出した。

(1)本件商標は、その指定商品中「おもちゃ,人形(マネキン人形,洋服飾り型類を除く。)」につき継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者、通常使用権者により使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何等正当な理由が存することも認められない、したがって、本件商標は、その指定商品中の上記商品について、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

(2)被請求人は、ソニー・コンピュータエンタテイメント製家庭用テレビゲームおもちゃ「プレイステーション」に使用する専用プログラムを記憶させたCD−ROMとして、「ナムコミュージアム VOL.1」及び「ナムコミュージアム VOL.3」を製造・販売しているところ、これらの商品の包装表面に商標「ポールポジション」及び「POLE POSITION」を使用している、と主張しているが、この「ポールポジション」及び「POLE POSITION」の使用は著作物の「題号」としての使用であり、商標法が規定するところの「商標」の使用には該当しない。

そもそも、コンピューター用ゲームについては、そのプログラム自体やそのアウトプットである映像は、思想又は感情の創作的な表現としての面を有し、いずれも著作物性を承認しているものである(著作権法第10条1項第9号、第7号)ところ、一般に著作物の題号は、専らその創作物としての内容を表示するための名称として、普通に用いられる方法で著作物を含む商品に表示されている場合には、仮に右題号が、その指定商品について登録された商標と同一ないし類似している場合であっても、自他商品の識別標識としての機能を果たす態様で用いられている標章でないものと解されるべきだからである。

このような著作物の題号に対する法的保護は、コンピューター用ゲームを記憶させた著作物であるプログラムについて、創作者がその創作物としての内容を表示する名称として題号ないし名称を付した場合においても、書籍の題号の場合と異なるところはないものと考えられる。

この法理は、いわゆる「三国志事件」の千葉地方裁判所平成五年(ヨ)第702号、平成6年3月25日決定においても支持されるものである(甲第3号証)。

(3)被請求人の提出した乙第1号証に示された使用態様について検討するに、同号証の1枚目の上下に写された、コンピューター用CD−ROMのパッケージングの包装表面の表側部分の写しの、右上部に「namco」、上部に「ナムコミュージアム」、右下部に「PlayStationと図形」が記載され、中央部下方向にCD−ROMにプログラムされた著作物の一連に名称が記載されており、その中に「ポールポジション」と「ポールポジション2(表示態様はローマ数字の2である。以下、同じ。)」の記載が認められる。これらの記載中「namco」、「ナムコミュージアム」、「PlayStationと図形」の部分は、一般的な商標的な使用と認められなくはない。しかしながら、「ポールポジション」と「ポールポジション2」の部分は、その意味からしてCD−ROMの中に含まれるコンピュータープログラム自体の内容を表示するものであって、CD−ROMという商品に付された商標としては認められない(甲第4号証)。

また、同号証の2枚目のコンピューター用CD−ROMのパッケージングの包装表面の裏側部分の写しと認められるものは、表側に記載した著作物であるゲームのプログラムの名称とその中の一部の画像を抽出したものが表されているが、これらは、著作物を構成する部分となっており、ここに記載された「POLEと図形」と「POSITIONと図形」から構成されるものは、著作物の題号に他ならず「商標」ではない。

(4)乙第3号証及び同第4号証の、「ソニー・コンピュータエンタテイメント宛請求書」に記載されているのは「PSX.Nミュージアム1」と「SPX.ナムコミュージアムVOL.3」に関する請求にすぎず、乙第1号証の商品であることは特定し得ない。特に、「PSX.Nミュージアム1」中の「N」の意味は不明であるが、たとえこれが乙第1号証に記載されたコンピューター用CD−ROMの請求書であったとしても、当該CD−ROMとの関係において「ポールポジション」、「ポールポジション2」、「POLEと図形」と「POSITIONと図形」からなる名称は、商標法上の商標としては機能していないものであるから、請求人に係る商標の証明とはなり得ない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第4号証を提出した。

(1)被請求人は、過去3年以内に本件審判の対象となっている「おもちゃ」について本件商標を使用している。

例えば、ソニー・コンピュータエンタテイメント製家庭用テレビゲームおもちゃ「プレイステーション」に使用する専用のプログラムを記憶させたCD−ROMとして「ナムコミュージアム VOL.1」及び「ナムコミュージアム VOL.3」を製造、販売しているところ、これらの商品の包装表面に商標「ポールポジション」及び「POLE POSITION」を使用しているものである(乙第1号証)。 この商品の包装の表面に表示されている商標「ポールポジション」はローマ文字「POLEPOSITION」を片仮名文字で表示するものであって、同一の称呼及び観念を生じ、社会通念上本件商標と同一とみられる範囲である。そして、商品の包装裏面に表示されている商標「POLE POSITION」もまた、やや図形化されてはいるものの本件商標と同一の称呼及び観念を生じる社会通念上同一と認められる商標である。

「家庭用テレビゲームおもちゃ」は、本件商標に適用される昭和34年法に基づく商標法施行規則により、本件商標の指定商品中「おもちゃ」に含まれる商品であることはいうまでもない(乙第2号証)。

したがって、両者とも商標法第50条第1項の規定に基づき、本件商標の使用と認めうるものである。

(2)「ナムコミュージアム VOL.1」は1995年11月22日に、「ナムコミュージアム VOL.3」は1996年6月21日にそれぞれ販売を開始し、現在も販売されているものである(乙第3号証及び同第4号証)。

4 当審の判断

本件商標は「POLEPOSITION」の欧文字よりなるものであるところ、該文字(語)は、請求人の提出に係る甲第4号証(「研究社新英和大辞典」第5版3刷1981年、株式会社研究社発行)によれば、「《自動車レース》(トラックの)最も内側の第1列の位置」の記載があり、前記意味合いを有する語であることが認められる。また、「現代用語の基礎知識2000」(2000年1月1日、自由国民社発行)」の「ポールポジション」(pole position)の項には「(レースで)トラックのいちばん内側の位置。」との記載があることからすれば、欧文字の「POLEPOSITION」と片仮名文字の「ポールポジション」の両文字(語)は、同義の文字(語)として需要者に理解、認識されているということができるものである。

また、被請求人が本件商標を使用しているとする商品「家庭用テレビゲームおもちゃに使用する専用のプログラムを記憶させたCD−ROM」(以下、「本件商品」という。」)は、本件審判の取消請求に係る指定商品中に包含されるものである。

ところで、被請求人が本件商標を使用しているとする本件商品は、その取引に係る業界において、各種ゲームの専用プログラムを記憶させたCD−ROMを媒体として、これらのゲームに名称(題名)を付して販売しているのが実情であり、又、その内容や遊技方法は、独自に作成されるもので、ゲームの解説書によらなければ使用できない場合等、特殊性をも有するものということができる。

そして、コンピューター用ゲームは、ゲームのプログラムや画面に登場するキャラクター、音楽等、様々な著作物の集合体であり、個別の著作物とゲームの名称との結びつきは弱くなっており、その性質、特徴は「書籍」と明らかに相違するもので、したがって、ゲームに付された名称(題名)が直ちにそのゲームの内容を想起させる程、その名称(題名)に著作物としての性格を強く求めることは困難というべきであって、むしろ、当該ゲームの製造、販売を取り扱う事業者の信用(商品コンセプトの企画力が優秀であるか等)が化体された商品の出所表示としての色彩が強くなり、自他商品の識別機能を果たしている場合が多いということができるものである。

そこで、被請求人が本件商標を使用している事実を証明するものとして提出した証拠をみるに、乙第1号証(本件商品の包装表面の写し)の1枚目の包装表面表側に「ナムコミュージアム VOL.1」及び「ナムコミュージアム VOL.3」が上下に表され、それぞれ「ナムコミュージアム」、「namco」の各文字、及び「PlayStationの文字と図形」が表示されていると共に、当該包装の中央部に「ポールポジション」及び「ポールポジション2」の文字が他の文字(「パックマン」他)と共に表示されている。又、2枚目の包装表面裏側には、それぞれやや図案化されている「POLE/POSITION」(上下二段に表示されている。以下、同じ。)及び「POLE/POSITION/2」(上下三段に表示されている。以下、同じ。)の文字が表示されている。そして、この包装表面裏側の上部には「パックマン、ポールポジション・・・ 数々の大ヒットゲームがプレイステーションで完全復活!」の文字や、下部に「ついにナムコミュージアムも第三弾!ミュージアム内を大幅にリニューアルして名作ゲームの数々が情報満載で完全復活。」の記載が表示されている。そして、これらの各々左上に「PlayStationの文字と図形」が表示されていることからすると、本件商品は、すでに販売された各種ゲームを新たにソニー・コンピュータエンタテイメント製家庭用テレビゲームおもちゃ(プレイステーション)対応に移植し直して販売しているものと認められ「ナムコミュージアム VOL.1」及び「ナムコミュージアム VOL.3」に、他のコンピューター用ゲームとともに「ポールポジション」(「POLE/POSITION」)及び「ポールポジション2」(「POLE/POSITION/2」)の名称(題名)のゲームが収録されていると確認できるものである。

しかして、「ポールポジション」(「POLE/POSITION」)を始め、収録されている各種のゲームは、個々に独立したコンピューター用ゲームであり、これらゲームの名称(題名)の表示のみからは、それぞれのゲームの内容を直ちに想起させるものとは認め難く、また、本件商品には前記の如く複数のゲームが収録されているものであるが、この種商品に接する需要者は収録されている全てのゲームを欲するときばかりでなく、その内の特定のゲームについて欲するときには、それに付された表示によって本件商品を購入することになるといえるものである。

そうとすれば、乙第1号証において表示されている「ポールポジション」、「POLE/POSITION」は、前記の如く「(レースで)トラックのいちばん内側の位置。」の意味合いを有するとしても、これをもって需要者が特定のゲーム内容を認識するとはいえないものであるから、当該ゲームを含む本件商品についての出所表示機能を果たす商標としての使用にあたるものといわなければならない。

そして、乙第1号証において使用されている「ポールポジション」及び「POLE/POSITION」の各文字からなる商標は、「POLEPOSITION」の文字よりなる本件商標と同一の称呼、観念を生ずるところより社会通念上同一といえる範囲のものと認めるのが相当である。

また、本件商品は、乙第3号証及び同第4号証の請求書、請求明細を総合勘案すると本件審判請求の登録前3年以内である平成9年(1997年)1月20日及び同年3月17日、同19日に株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントとの間で取引が行われたものと推認することができる。

してみれば、被請求人は、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品中の「おもちゃ」に包含される商品について使用していたものといわざるを得ない。

なお、請求人は、「三国志事件」の千葉地方裁判所平成5年(ヨ)第702号、平成6年3月25日決定判決の写しを提出し、本件商用の使用の態様が、品質(内容)を表示するものである旨、主張している。しかしながら、該判決は、「三国志」の語句は、晋の陳寿撰による中国の後漢末代の魏・呉・蜀の三国の史書の題名、ないしは、羅貫中作にかかる右史書を題材に、前記三国の興亡を描いた長編小説「三国志演義」の題名を指称ないし略称するものとして普通に用いられ、その題号や内容の大筋は我が国において既に広く周知愛好されているものであると認定し、その事実を前提として、債務者の商品についての使用の態様、表示の方法について判断をしているものであり、必ずしも本件の事案にそのまま当てはまるものとは認められない。

したがって、本件商標の登録は、その指定商品中請求に係る商品について、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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