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Trademark Appeal Case

著名商標「COCO」の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2000−90776(T2000−90776/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4377705号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4377705号商標(以下「本件商標」という。)は、平成11年1月22日に登録出願され、「ココシャルレ」の片仮名文字と「COCO CHARLE」の欧文字とを二段に左横書きしてなり、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成12年4月21日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人(以下、「申立人」という。)の異議理由

(1)登録異議申立人(以下、「申立人」という。)は、著名なデザイナーである「Gabrielle COCO CHANEL」により創設され、香水等の化粧品の他、高級婦人服、ハンドバッグ、ベルト、靴、時計、アクセサリー等の宝飾品などのデザイン・企画並びにこれらの商品の製造販売を業とするトータルファッションメーカーである。その商品は「シャネルの5番」「シャネルスーツ」「シャネルバッグ」「シャネルシューズ」と称されるほどに極めて高い知名度を有しており、いずれも洗練された高品質の商品であり、申立人の長年の継続的な努力によって、世界の超一流品としての極めて高い信用が日本においても形成されているものである。

「COCO」(ココ)は、前述した申立人の創設者の愛称(甲第4号証乃至甲第6号証)であり、「エレガントでシンプル」を旨とするスタイルを基本的なスタイルとしているものである(甲第7号証)。

申立人は、以上のような申立人の創設者の愛称を表した商標「COCO」を、申立人の商品「香水」等に使用している(甲第8号証)。

申立人の香水「COCO」は、1984年(昭和59年)7月23日にフランスにおいて発表、同年9月にヨーロッパで発売され、日本においては、その翌年たる1985年(昭和60年)9月20日に発売されたものである。申立人の香水「COCO」は、日本での発売と前後して極めて多数の新聞・雑誌によって報道され、各種雑誌に広告されたものである(甲第9号証乃至甲第36号証)。

而して申立人の香水「COCO」の日本における発売開始年度である1985年(昭和60年)9月から12月末日までの約3ヶ月間だけでも、2億5千万円余の販売実績を達成し、その後も継続的に雑誌やテレビによる広告・宣伝を行ない、世界の一流品を掲載する各種刊行物によって紹介されるに至った(甲第37号証乃至甲第48号証)。また、申立人は日本において、発売開始後も10年以上にわたって、香水「COCO」に化体した信用を落とさないよう、その品質の保持のため、1992年度には9億円以上、その後も毎年約4億円近くのもの広告費をかけ、継続的に雑誌やテレビによる広告・宣伝を行い、その信用の蓄積のための努力を継続している(甲第49号証乃至甲第51号証)。その結果、申立人が香水等に使用する商標「COCO」は、発売開始後8年経過した1993年度においても8億円余、1994年度にも7億4千万円余の販売実績を達成しているものである。

したがって、少なくとも本件商標の出願当時1999(平成11)年にはもちろん、査定時においても、申立人が香水等に使用する商標「COCO」は、極めて広く知られるに至っている商標と云うべきである。特許庁においても、別件商願平1一50916号登録異議申立事件、商願平4一244766号登録異議申立事件、商願平4一244768号登録異議申立事件、商願平4一244769号登録異議申立事件、商願平4一244711号登録異議申立事件、商願平4一244772号登録異議申立事件、登録第2220295号商標無効審判事件において、例えば以下のようにして各引用商標の著名性を認めているところからも、「COCO」の著名性については顕著な事実である(甲第52号証乃至甲第58号証)。

「引用商標」(「COCO」「ココ」)は、本件商標出願の日には、すでに申立人の業務に係る商品「香水」に使用している商標として、取引者及び需要者の間に広く認識されていたことは、申立人が提示した証拠によって認めることができる。本件商標は、前半において「COCO」の文字を有しているから、出願人が本件商標を引用商標の使用に係る上記商品と需要者を同一にし、その用途面からも同時に使用することも間々ある間柄の指定商品に使用するときは、恰もその商品が申立人及び申立人と何らかの関係にある者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同させるおそれが多分にあるといわざるを得ない。

以上のことから、前記「COCO」(「ココ」)は、本件商標出願前から、本件指定商品を含むファッション業界において、申立人の創設者であり、著名なデザイナーである「COCO CHANEL」の愛称として広く知られており、また申立人が商品「香水」等に使用して著名な商標であることが明らかである。

また、リサーチ会社「INFOPLAN」による香水の著名度に関する最近の調査においても、トップ3にはすべて申立人の香水がランクされており、前記「COCO」(「ココ」)は香水を使用する人の78%、香水を使用しない人でも60%、トータルで68%の人が知っており、現在においても広く知られていることが明らかであり、申立人の信用の維持のための継続した努力の結果が現れているといえるものである(甲第59号証)。

(2)出所混同について

本件商標は、片仮名の「ココ シャルレ」の文字及びアルファベットの「COCO CHARLE」の文字を二段書きにしてなる商標であり、上述したとおり著名な女性デザイナーである「Gabrielle COCO CHANEL」の愛称であり、世界的に著名な商標である「COCO」(ココ)を含む構成となっている。また、本件商標の構成中に含まれる文字「シャルレ / CHARLE」の文字は、申立人の著名な商標「CHANEL」の文字と看者にとって印象の強い語頭からの3文字「CHA」を共通にするだけでなく、残りの3文字においても共通の文字「E」及び「L」を含む構成となっており、僅かに残りの構成文字である「R」においてその差異があるにすぎないものであり、またそれ独自で特定の観念は生じないものである。なお、平成1年審判第18046号無効審判事件においては、「CHARELS」からなる商標がその指定商品に使用された場合、「CHANEL」の商品と出所の混同が生ずると認められており(甲第69号証)、また最高裁平7(オ)第637号、不正競争行為禁止請求事件においては、「スナック シャレル」の表示の使用が、「シャネル」と広義の混同を生じさせれる行為と認められている(甲第70号証)。

そして、申立人は「COOO CHANEL」からなる各商標を所有しており(甲第63号証乃至甲第68号証)、上記の構成からなる本件商標は全体として、著名なデザイナーである「COCO CHANEL」を認識させる構成となっているものである。さらに、本件商標は、申立人の著名商標たる「COCO」(ココ)の使用に係る香水等と同様の、ファッションに関係する商品「被服、バンド、ベルト、履物、運動用特殊衣服、運動用特殊靴」を指定商品とし、これらの商品は、各引用商標の使用に係る上記商品と需要者を同一にし、その用途面からも同時に使用することも間々ある間柄の商品であり、また申立人の商品は例えば「シャネルスーツ」と呼ばれ高い評価を受けていることは上述したとおりである。

従って、「COCO」を含み、全体としても著名なデザイナーである「COCO CHANEL」を認識させる構成となっている本件商標がその指定商品に使用された場合、申立人の著名な商標「COCO」及び著名なデザイナーである「COCO CHANEL」がイメージされ、恰もその商品が申立人及び申立人と何らかの関係にある者の業務に係る商品又はそのシリーズ商品であるかの如く認識され、その商品の出所について混同を生じるおそれがあるといわなければならないものである。

なお、前述の別件商願平1−50916号登録異議申立事件においては、旧第22類を指定商品とする「I’m coco」からなる商標がその商品に使用された場合、出所の混同を生じさせるおそれがあると認められている。また、前述のように、申立人は莫大な宣伝広告費を費やして香水「COCO/ ココ」を広告・宣伝し、その需要を喚起することに努力を注ぎ続けているものである。

商標は、このようにして積み重ねられた営業や広告等の実績自体を、商標自体に目に見えない信用としてその価値を化体させ、自らの上に保持するものであるから、本件商標のような商標がその指定商品に使用されることで起こる、申立人に係る商品との商品の出所の混同は、申立人が保持する財産的価値を害することにもつながり、商標所有者である申立人にとって重大な損害となるものである。

(3)結び

本件商標がその指定商品に使用された場合、その商品の需要者が申立人の業務に係る商品とその出所について混同するおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであり、取り消されるべきである。

3 当審の取消理由

本件商標は、平成11年1月22日に登録出願され、「ココ シャルレ」の文字と「COCO CHARLE」の文字とを二段に横書きしてなり、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成12年4月21日に設定登録されたものである。

他方、登録異議申立人である「シャネル エス アー エール エル」の提出に係る甲各号証を総合勘案すれば、フランスのデザイナー「Gabrielle COCO CHANEL」の愛称よりなるという商標「COCO」(以下、「引用商標」という。)は、本件商標の登録出願時には申立人の業務に係る商品「香水」等の商標として取引者・需要者の間において広く認識されていたものと認められるものである。

また、上記デザイナー「Gabrielle COCO CHANEL」は、「COCO CHANEL」とも称され著名であることが認められる。

そうとすれば、本件商標は、その構成中に引用商標と綴りを同じくする「COCO」の文字を有し、かつ全体としても著名なデザイナー名である前記「COCO CHANEL」と一文字相違するにすぎない酷似の「COCO CHARLE」の文字よりなるものであるから、これをその指定商品について使用するときは、申立人の業務に係る商品、若しくは、同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

4 当審の判断

商標権者は、当審の上記3の取り消し理由に関し何ら意見を述べていない。

そして、「本件商標は、その構成中に引用商標と綴りを同じくする『COCO』の文字を有し、かつ全体としても著名なデザイナー名である前記『COCO CHANEL』と一文字相違するにすぎない酷似の『COCO CHARLE』の文字よりなるものであるから、これをその指定商品について使用するときは、申立人の業務に係る商品、若しくは、同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。」と認定した、上記3の取消理由は妥当なものと認められるので、本件商標登録は、この取消理由によって、商標法第43条の3項第2号の規定により取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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